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三波新、定住編
閑話休題:ギョリュウ種の情報も特になく、疲れるだけの一日だった
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「まず、魚竜種はすべて卵生だ。魚のエイをはじめ、熱帯魚の一部などはやや違うようだが、魚の姿の竜はすべて卵から生まれる。そして成長過程で脱皮を繰り返すが変態はしない。変態というのは」
「下らねーことはいいから、先を続けろ」
サミーをテンちゃんの腹に戻して皇太子の所に戻ると、説明を始めてくれた。
だが横道に逸れるんじゃねぇっての。
要するに、芋虫から蝶になったり、オタマジャクシがカエルになったり、っていう、成長するとそれまでの姿かたちが欠片も見当たらない姿になるってやつだろ?
「エイの姿の魚竜は何度も見たことがある。もちろん他の魚の姿の奴もだ。どの竜も鱗、もしくは鱗がないものはぬめりに覆われた姿をしている。あのように猫とかリスのような体毛に覆われた者は初めて見た。ましてや子供だぞ? どうやって唆した」
唆すって、人聞きの悪い事言ってんじゃねぇよ!
「強奪とかそんなんじゃねぇぞ? 落ちてたんだとさ。第一発見者は……テンちゃんだったかマッキーだったか……。報せを受けて現場に行ったら、卵が一個。ギョリュウ種だろうっつーことで親元に帰しに行こうってな」
「……物を知らない者の強み、だな。よくもまぁそんな大それたことを」
親元で健やかに育ってきた奴らには分かるまいよ。
おそらくサミーだって自覚してないと思う。
「で、その途中で出会ったミアーノとンーゴからも聞いたが、捨て石? だか何だか、本命の卵を敵に狙わせないためのダミーの卵らしかった。ただ、発見した時にはもう、卵の中で成長してたっぽかったからよ。そうでなきゃ親元に帰そうなんて思いもしねぇよ。相手は竜だろ? 想像しかできねぇけど、怖い連中に決まってんだろ」
「ふむ……体感、経験はなくとも怖さは想像できたか」
何偉そうにモノ言ってんだ。
「だが卵の中に命があった。竜に会いに行くっつーより、卵の親に会いに行くっつった方がいいよな。それに卵取り返しに来る可能性だってゼロじゃねぇ。村が全滅するほど暴れ回られても困る」
「……そうか……で、親には」
「会ったからこうして養育で頭悩ませてんだろうが! 会ってなかったら、親から襲われない方法を教わりたいってせがむだろうよ」
つい上手い事を言っちまった。
「子育て中の竜に会ったとは……。しかも囮の卵だったとは……。アラタは一体何者だ?」
学生時代なら、SV人物っつって受けをとれた質問なんだが、それどころじゃねぇよなぁ。
「……旗手を辞めた一般人に決まってんだろ。それより何を食わせたらいいかとか、いつになったら跳べるようになるのかとかよ、何か子育てのヒントは」
「あるわけがない。何から何まで前例がない。ただ、魔物とは言え生き物だ。我々同様、動物植物を口にして成長する存在だろう」
流石に石や泥食わせたら腹壊すか。
その心配はないのはミアーノとンーゴくらいか?
もっともあいつらも、泥自体を食うわけじゃなさそうだからな。
にしても空振りか。
何か情報を持ってると思ったんだがな。
「まぁ子供とは言え、本能はあるだろう。好き嫌いもあるんじゃないか? わがままになるだろうが、その我がままに任せるしかあるまい。犬や猫には食わせてはならない、我々人間の食べ物もあるからな」
そうなんだよな。
玉ねぎとかな。
犬に食わせられないんだよな。
あれ?
猫だったか?
まぁ……しつけも大事だが、健康維持が優先だろうな。
「力になれずに済まない。この穴埋めは必ず」
「いや、そういうの、いいから」
「……いいのか?」
「あ? 別に、気にするな。脱皮して成長するというのが分かっただけでも」
「そいつも脱皮するとは限らんぞ? 例外かも分からんしな」
例外だったとしても、こいつの責任じゃない。
こいつから聞いた情報がサミーに当てはまらなかったとしても、こいつが悪いわけじゃない。
「そういうことなら、私はお前の仲間という」
「なんでそうなるんだよっ! 良い子は寝る時間だぜ? お前、もうとっとと帰って寝ろ!」
「私はもう子供ではない。ということは、良い大人ということだ。ここから先は良い大人の時間」
「やかましいっ! 帰れ!」
怒っても、なかなかすぐには帰らない。
奥でテンちゃん達が寝てるから、大声を出すわけにもいかない。
無理やり背中を押して、ようやく何とか追い出せた。
何で俺だけ、こんなに疲れなきゃなんないんだ?
ショーケースの上に乗っている、あいつが置いてった財布……パックか? に、「お疲れさん」と言われた気がした。
パックになぜかあいつの顔が浮かんで見える。
疲れたのはお前のせいだっつーの!
中に入っている球がどれほどの価値を持ってるかは知らん。
だが俺にとっちゃ二束三文だわ。
「ただいまー。家族の人から見られずに戻れたよ」
「どうしたんです? 妙に疲れてませんか?」
やれやれ。
見送りの三人がようやく帰ってきたか。
「……そっちはそっちでお疲れさん」
「何か……大丈夫? 無理して起きてなくていいのに……」
説明すらしたくない。
とっとと寝るぞー。
「下らねーことはいいから、先を続けろ」
サミーをテンちゃんの腹に戻して皇太子の所に戻ると、説明を始めてくれた。
だが横道に逸れるんじゃねぇっての。
要するに、芋虫から蝶になったり、オタマジャクシがカエルになったり、っていう、成長するとそれまでの姿かたちが欠片も見当たらない姿になるってやつだろ?
「エイの姿の魚竜は何度も見たことがある。もちろん他の魚の姿の奴もだ。どの竜も鱗、もしくは鱗がないものはぬめりに覆われた姿をしている。あのように猫とかリスのような体毛に覆われた者は初めて見た。ましてや子供だぞ? どうやって唆した」
唆すって、人聞きの悪い事言ってんじゃねぇよ!
「強奪とかそんなんじゃねぇぞ? 落ちてたんだとさ。第一発見者は……テンちゃんだったかマッキーだったか……。報せを受けて現場に行ったら、卵が一個。ギョリュウ種だろうっつーことで親元に帰しに行こうってな」
「……物を知らない者の強み、だな。よくもまぁそんな大それたことを」
親元で健やかに育ってきた奴らには分かるまいよ。
おそらくサミーだって自覚してないと思う。
「で、その途中で出会ったミアーノとンーゴからも聞いたが、捨て石? だか何だか、本命の卵を敵に狙わせないためのダミーの卵らしかった。ただ、発見した時にはもう、卵の中で成長してたっぽかったからよ。そうでなきゃ親元に帰そうなんて思いもしねぇよ。相手は竜だろ? 想像しかできねぇけど、怖い連中に決まってんだろ」
「ふむ……体感、経験はなくとも怖さは想像できたか」
何偉そうにモノ言ってんだ。
「だが卵の中に命があった。竜に会いに行くっつーより、卵の親に会いに行くっつった方がいいよな。それに卵取り返しに来る可能性だってゼロじゃねぇ。村が全滅するほど暴れ回られても困る」
「……そうか……で、親には」
「会ったからこうして養育で頭悩ませてんだろうが! 会ってなかったら、親から襲われない方法を教わりたいってせがむだろうよ」
つい上手い事を言っちまった。
「子育て中の竜に会ったとは……。しかも囮の卵だったとは……。アラタは一体何者だ?」
学生時代なら、SV人物っつって受けをとれた質問なんだが、それどころじゃねぇよなぁ。
「……旗手を辞めた一般人に決まってんだろ。それより何を食わせたらいいかとか、いつになったら跳べるようになるのかとかよ、何か子育てのヒントは」
「あるわけがない。何から何まで前例がない。ただ、魔物とは言え生き物だ。我々同様、動物植物を口にして成長する存在だろう」
流石に石や泥食わせたら腹壊すか。
その心配はないのはミアーノとンーゴくらいか?
もっともあいつらも、泥自体を食うわけじゃなさそうだからな。
にしても空振りか。
何か情報を持ってると思ったんだがな。
「まぁ子供とは言え、本能はあるだろう。好き嫌いもあるんじゃないか? わがままになるだろうが、その我がままに任せるしかあるまい。犬や猫には食わせてはならない、我々人間の食べ物もあるからな」
そうなんだよな。
玉ねぎとかな。
犬に食わせられないんだよな。
あれ?
猫だったか?
まぁ……しつけも大事だが、健康維持が優先だろうな。
「力になれずに済まない。この穴埋めは必ず」
「いや、そういうの、いいから」
「……いいのか?」
「あ? 別に、気にするな。脱皮して成長するというのが分かっただけでも」
「そいつも脱皮するとは限らんぞ? 例外かも分からんしな」
例外だったとしても、こいつの責任じゃない。
こいつから聞いた情報がサミーに当てはまらなかったとしても、こいつが悪いわけじゃない。
「そういうことなら、私はお前の仲間という」
「なんでそうなるんだよっ! 良い子は寝る時間だぜ? お前、もうとっとと帰って寝ろ!」
「私はもう子供ではない。ということは、良い大人ということだ。ここから先は良い大人の時間」
「やかましいっ! 帰れ!」
怒っても、なかなかすぐには帰らない。
奥でテンちゃん達が寝てるから、大声を出すわけにもいかない。
無理やり背中を押して、ようやく何とか追い出せた。
何で俺だけ、こんなに疲れなきゃなんないんだ?
ショーケースの上に乗っている、あいつが置いてった財布……パックか? に、「お疲れさん」と言われた気がした。
パックになぜかあいつの顔が浮かんで見える。
疲れたのはお前のせいだっつーの!
中に入っている球がどれほどの価値を持ってるかは知らん。
だが俺にとっちゃ二束三文だわ。
「ただいまー。家族の人から見られずに戻れたよ」
「どうしたんです? 妙に疲れてませんか?」
やれやれ。
見送りの三人がようやく帰ってきたか。
「……そっちはそっちでお疲れさん」
「何か……大丈夫? 無理して起きてなくていいのに……」
説明すらしたくない。
とっとと寝るぞー。
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