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店の日常編
外の世界に少しずつ その11
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テンちゃんだけじゃなく、おにぎりの店にいるメンバー全員の詳細は、村人たちにはよく知られていない。
むしろ、村外の方に詳しい人が多い。
挨拶回りをしていきなり追い出されるかもしれなかったからな。
それに、村に利益をもたらすような働きはしてないが、危害を加えるわけでなし、その場所も村の端で危険区域寄りなら、村人は誰もノータッチだろう。
村人でここを知っている者は、まずはドーセン。
そしてサミーとのトラブルを起こした双子一家。
これだけ。
だからいきなりテンちゃんが牧場で寝そべってたら、まずは何これって反応が多かったらしい。
連れて来たサーマルは説明を求められた。
散歩がてら見つけたこの天馬、大人しく従順な性格、という説明だけをして、あとは煙に巻いたんだと。
その設定、ガバガバすぎじゃねぇかよ、おっさん。
「リウルとロウレ……息子の二人だが、あの子らから話をいくらか聞いてたんです」
何のだ。
「この店の魔物達みんな、私達と会話ができるとか」
まぁそんな情報なら普通に接すればすぐ分かることだから、知られても別に気にする話じゃない。
備考として加える情報は、サミーは会話はできないが理解はできるくらいか。
「報せなくていい事までは報せる必要もないわけで、余計なことを教えたことで、テンちゃんさんに余計な負担をかけるのも申し訳ないですし」
こっちは食っちゃ寝してもいいってことに申し訳がないんだが。
けど、その、何かの役に立ったって話はどうなった?
「牧場を見に来た客に紛れて、農作物泥棒がいたらしくて」
「へぇ?」
「会話が聞こえてきたらしくて。次はどこの畑を狙うとか。観光客は増えてほしいと思ってますが、閑散としているわけでもありませんし、関心は牧場にいる動物達ですから、周りの客の耳には入らなかったようで」
なんとまぁ。
それでそいつらの会話に気付いたのが、まさか理解してるとは思わないテンちゃんだったということ?
「寝そべってたテンちゃんさんが普通に立ち上がって、普通に近寄ってきて」
「それで、その係の人に教えたと?」
「いえ。係の者が困惑して私に報告に来まして。係りの者達にも、テンちゃんさんは話を理解できるということを伏せてまして」
身内にも内緒?
まぁ……そっちにも事情はあるだろうから、俺がそれについてどうこうは言えねぇわなあ。
「初対面の時、他の動物と接するような感じだったから、あたしもそんな風な態度になってた方がいいかなぁって」
意外と気が利くじゃねぇか。
「農場の人達が取り押さえようとしたら、そいつら逃げようとしてね」
まぁそうだろうな。
「先回りして、ぶわあって羽根広げて脅かしたら、みんな驚いて腰抜かして。面白かったあ」
こらこら。
ちょっとそれは不謹慎だぞ? テンちゃんよぉ。
「そういうことで、泥棒一味を一網打尽にできたわけです。泥棒を捕まえてくれるなど、こっちは思いもしませんでしたからねぇ。頼むことすら考えてませんでした。それがこんな風に、私達の抱えた問題を解決していただけたのですから……」
瓢箪から駒、はそっちの方でも起きたってことか。
それにしても……テンちゃん……何という外面の良さか。
馬鹿天馬ってこの人の前で呼んだら、間違いなく頭ごなしに否定してくるだろうな。
「それで是非とも謝礼を、と……」
「こいつへの干し草だけで十分。だよな、テンちゃん?」
「そだねー。バイトの時と変わらないけど、でもそっちの方がうれしいしなー」
「えぇ……」
サーマルが戸惑っている。
けど本人達がそう言うんだから、それ以外に感謝の気持ちは伝わらない。
いくら金を積まれても、村を追い出されたらあんまり意味ないしな。
村を追い出されて放浪生活になったら、積まれた金だけじゃ全く足りなくなるだろうし。
なんせ大所帯だもんな。
報酬を知られても妬まれないような物でもあるだろうし。
平穏な生活が何よりなんですよ? サーマルさん?
むしろ、村外の方に詳しい人が多い。
挨拶回りをしていきなり追い出されるかもしれなかったからな。
それに、村に利益をもたらすような働きはしてないが、危害を加えるわけでなし、その場所も村の端で危険区域寄りなら、村人は誰もノータッチだろう。
村人でここを知っている者は、まずはドーセン。
そしてサミーとのトラブルを起こした双子一家。
これだけ。
だからいきなりテンちゃんが牧場で寝そべってたら、まずは何これって反応が多かったらしい。
連れて来たサーマルは説明を求められた。
散歩がてら見つけたこの天馬、大人しく従順な性格、という説明だけをして、あとは煙に巻いたんだと。
その設定、ガバガバすぎじゃねぇかよ、おっさん。
「リウルとロウレ……息子の二人だが、あの子らから話をいくらか聞いてたんです」
何のだ。
「この店の魔物達みんな、私達と会話ができるとか」
まぁそんな情報なら普通に接すればすぐ分かることだから、知られても別に気にする話じゃない。
備考として加える情報は、サミーは会話はできないが理解はできるくらいか。
「報せなくていい事までは報せる必要もないわけで、余計なことを教えたことで、テンちゃんさんに余計な負担をかけるのも申し訳ないですし」
こっちは食っちゃ寝してもいいってことに申し訳がないんだが。
けど、その、何かの役に立ったって話はどうなった?
「牧場を見に来た客に紛れて、農作物泥棒がいたらしくて」
「へぇ?」
「会話が聞こえてきたらしくて。次はどこの畑を狙うとか。観光客は増えてほしいと思ってますが、閑散としているわけでもありませんし、関心は牧場にいる動物達ですから、周りの客の耳には入らなかったようで」
なんとまぁ。
それでそいつらの会話に気付いたのが、まさか理解してるとは思わないテンちゃんだったということ?
「寝そべってたテンちゃんさんが普通に立ち上がって、普通に近寄ってきて」
「それで、その係の人に教えたと?」
「いえ。係の者が困惑して私に報告に来まして。係りの者達にも、テンちゃんさんは話を理解できるということを伏せてまして」
身内にも内緒?
まぁ……そっちにも事情はあるだろうから、俺がそれについてどうこうは言えねぇわなあ。
「初対面の時、他の動物と接するような感じだったから、あたしもそんな風な態度になってた方がいいかなぁって」
意外と気が利くじゃねぇか。
「農場の人達が取り押さえようとしたら、そいつら逃げようとしてね」
まぁそうだろうな。
「先回りして、ぶわあって羽根広げて脅かしたら、みんな驚いて腰抜かして。面白かったあ」
こらこら。
ちょっとそれは不謹慎だぞ? テンちゃんよぉ。
「そういうことで、泥棒一味を一網打尽にできたわけです。泥棒を捕まえてくれるなど、こっちは思いもしませんでしたからねぇ。頼むことすら考えてませんでした。それがこんな風に、私達の抱えた問題を解決していただけたのですから……」
瓢箪から駒、はそっちの方でも起きたってことか。
それにしても……テンちゃん……何という外面の良さか。
馬鹿天馬ってこの人の前で呼んだら、間違いなく頭ごなしに否定してくるだろうな。
「それで是非とも謝礼を、と……」
「こいつへの干し草だけで十分。だよな、テンちゃん?」
「そだねー。バイトの時と変わらないけど、でもそっちの方がうれしいしなー」
「えぇ……」
サーマルが戸惑っている。
けど本人達がそう言うんだから、それ以外に感謝の気持ちは伝わらない。
いくら金を積まれても、村を追い出されたらあんまり意味ないしな。
村を追い出されて放浪生活になったら、積まれた金だけじゃ全く足りなくなるだろうし。
なんせ大所帯だもんな。
報酬を知られても妬まれないような物でもあるだろうし。
平穏な生活が何よりなんですよ? サーマルさん?
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○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
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