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店の日常編
緩衝材なんて真っ平ご免 その4
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翌日。
店に来る連中の目的が、もうカオス状態。
ファンクラブの連中、冒険者達、見物客と様々だ。
おまけに、昨日きてたイールさんのような、おにぎりを食いに来たって客もいる。
その本人は、当然今日も来ている。
「っぷぅ……。まったくなぁ……。買い物客なら文句ねぇけど、ファンクラブ会員とやらがなあ」
「一体どこで結成されたんでしょうね?」
「知らねぇ」
人気者が俺に聞くなよ。
つっても、その人気者だって、本人のあずかり知らぬところで盛り上がってんだろうなぁ。
待てよ?
ファンクラブが結成されてるってことは、ここ以外にも人気者がいる、とは言えないか?
ほかんところではどう対処してんだろうなぁ。
「大変ですね、アラタさん」
「ん? あ、あぁ、まぁな」
客が途切れたところで話しかけられるのは別に構わない。
そこら辺は、このイールって人も弁えてるようで有り難い。
穏やかな笑顔で話しかけてくるせいもあるんだろうか。
だが、俺達は一旦ここを切り上げる必要がある。
「さて……と……昼飯にすっか。じゃあ店番お願いしま……いてっ!」
「こらっ! なんでイールさんにお願いすんのよっ! 失礼にも程があるでしょ!」
ハリセンで叩かれた。
手足で蹴る殴るをすると、客がドン引きしてしまうから、だとか。
俺への労わりの気持ちはねぇのかよ!
「ふふふ。面白い方ですね、アラタさん。で、留守番にする……って、どこかへお出かけですか?」
「いえ、ただのお昼ご飯なんですよ。朝と晩は必ずみんなで。お昼は、都合のつく仲間達と一緒に食べるんです。あ、イールさんもいかが?」
おい。
いきなり突然誘う奴があるかよ。
しかも、この店に来て二回目だろ?
しかもおにぎり食ってなかったか?
「え? あの……いいんですか?」
ほれみろ。
戸惑ってるじゃねぇか。
「いいですよー。昔のあたし達の事知ってる人なんて、珍しいですもん。ということでアラタ。注文一人追加ー。イールさん、何がいいですか?」
っておい。
「じゃあおにぎりにしようかな」
おい。
ノリ、よすぎ。
※※※※※ ※※※※※
「ということで、お邪魔します……」
何だこの急展開は。
この人にとっては、俺らと対面するのは……五度目。
ところが俺らから見れば、この人の記憶は行商時代にはない。
つまり、昨日と今日の、実質二度目の来訪者。
ヨウミも覚えてないらしいが、昼飯に誘うってのはどうかと思うんだ。
「クリマーさんとサミーちゃんは見ましたけど……。人間が二人。それ以外みんな魔物……って……。しかも使役とか奴隷とかじゃないんですね」
「まぁな」
奴隷制度とかってあるんだっけ?
建前では禁じられてるんじゃなかったかな?
「襲われません?」
「こいつにはよく叩かれる。それとコーティの口が悪すぎる」
「アラタが変な事ばかり口にするからでしょう? あたしのせいにしないでよ」
「この時とばかりに文句言うわね。失礼なっ!」
なんでヨウミとコーティから反撃食らうんだよ。
事実じゃねぇか。
「仲……いいんですね」
「まあ……険悪じゃあないな。こんな風にブーブー文句言う奴もいるし」
「文句じゃないって言ってるでしょうにっ!」
「まぁまぁ、コーティさん。ゲストがいらしてるんですから、今回に限っては激高するのは控えておいた方が……」
「クリマーまでそんなこと言うの?」
クリマー……。俺らの唯一の良心って感じだなぁ……。
「あの……アラタさんにヨウミさん」
「ん?」
「何でしょう? イールさん」
なんかもぞもぞしてる。
何かを言いたくても言い出しづらい、そんな感じ。
「あの……えっと……、二人とも、怖くはないんですか?」
何か、決心して気合い入れて、真剣な顔して質問してきた。
けど、何を言いたいのか分かんないし、何でそんなに力を入れてるのか。
「怖い? 何がです?」
キョトンとして聞き返すヨウミ。
俺も似たような顔してるんじゃないかな。
一体何のことやら、と。
「お、襲われたりはしないんですか?」
「襲われる……?」
「俺はむしろ、ヨウミに叩かれたり蹴られたり……いてっ」
ヨウミから、今度は背中をどつかれた。
コーティが呆れて俺を見る。
他の奴らは……昼飯に夢中になってる。
「えっと……大丈夫……なんですか?」
あぁ。
クリマーとか、あとは行商時代からいたライムやテンちゃんはともかく、体がでかいモーナーとか、でかすぎるンーゴとかは、生涯で初めて見たのかもしれねぇんだな。
なるほど。
「どこかを探索して、いきなりこんな奴らと出会ったら……ってことか」
「え、えぇ……」
俺らの仲間だってのは分かってはいるんだろうが、初見じゃ流石にビビるか。
逆にこの人はどうなんだ?
「そりゃ……仲間だからな。イールさんはどうよ? 中には、出逢うこと自体縁起が悪いって言われてるらしい種族もいるんだが」
「アラタさん達がいなければ……ちょっと……怖いですね……。コーティさん、ですか? 可愛らしい姿ですけど、魔力がけた違いに大きいようですし……」
「フフン。分かってればいいのよ、分かってれば」
うぜぇ。
相手してられるかよ。
そうだ。
この人に、何か違和感あったんだよな。
怖いって聞かれたから、その正体が分かった。
「……同じ種族がいたら……仇、取りたいですか?」
「え?」
店に来る連中の目的が、もうカオス状態。
ファンクラブの連中、冒険者達、見物客と様々だ。
おまけに、昨日きてたイールさんのような、おにぎりを食いに来たって客もいる。
その本人は、当然今日も来ている。
「っぷぅ……。まったくなぁ……。買い物客なら文句ねぇけど、ファンクラブ会員とやらがなあ」
「一体どこで結成されたんでしょうね?」
「知らねぇ」
人気者が俺に聞くなよ。
つっても、その人気者だって、本人のあずかり知らぬところで盛り上がってんだろうなぁ。
待てよ?
ファンクラブが結成されてるってことは、ここ以外にも人気者がいる、とは言えないか?
ほかんところではどう対処してんだろうなぁ。
「大変ですね、アラタさん」
「ん? あ、あぁ、まぁな」
客が途切れたところで話しかけられるのは別に構わない。
そこら辺は、このイールって人も弁えてるようで有り難い。
穏やかな笑顔で話しかけてくるせいもあるんだろうか。
だが、俺達は一旦ここを切り上げる必要がある。
「さて……と……昼飯にすっか。じゃあ店番お願いしま……いてっ!」
「こらっ! なんでイールさんにお願いすんのよっ! 失礼にも程があるでしょ!」
ハリセンで叩かれた。
手足で蹴る殴るをすると、客がドン引きしてしまうから、だとか。
俺への労わりの気持ちはねぇのかよ!
「ふふふ。面白い方ですね、アラタさん。で、留守番にする……って、どこかへお出かけですか?」
「いえ、ただのお昼ご飯なんですよ。朝と晩は必ずみんなで。お昼は、都合のつく仲間達と一緒に食べるんです。あ、イールさんもいかが?」
おい。
いきなり突然誘う奴があるかよ。
しかも、この店に来て二回目だろ?
しかもおにぎり食ってなかったか?
「え? あの……いいんですか?」
ほれみろ。
戸惑ってるじゃねぇか。
「いいですよー。昔のあたし達の事知ってる人なんて、珍しいですもん。ということでアラタ。注文一人追加ー。イールさん、何がいいですか?」
っておい。
「じゃあおにぎりにしようかな」
おい。
ノリ、よすぎ。
※※※※※ ※※※※※
「ということで、お邪魔します……」
何だこの急展開は。
この人にとっては、俺らと対面するのは……五度目。
ところが俺らから見れば、この人の記憶は行商時代にはない。
つまり、昨日と今日の、実質二度目の来訪者。
ヨウミも覚えてないらしいが、昼飯に誘うってのはどうかと思うんだ。
「クリマーさんとサミーちゃんは見ましたけど……。人間が二人。それ以外みんな魔物……って……。しかも使役とか奴隷とかじゃないんですね」
「まぁな」
奴隷制度とかってあるんだっけ?
建前では禁じられてるんじゃなかったかな?
「襲われません?」
「こいつにはよく叩かれる。それとコーティの口が悪すぎる」
「アラタが変な事ばかり口にするからでしょう? あたしのせいにしないでよ」
「この時とばかりに文句言うわね。失礼なっ!」
なんでヨウミとコーティから反撃食らうんだよ。
事実じゃねぇか。
「仲……いいんですね」
「まあ……険悪じゃあないな。こんな風にブーブー文句言う奴もいるし」
「文句じゃないって言ってるでしょうにっ!」
「まぁまぁ、コーティさん。ゲストがいらしてるんですから、今回に限っては激高するのは控えておいた方が……」
「クリマーまでそんなこと言うの?」
クリマー……。俺らの唯一の良心って感じだなぁ……。
「あの……アラタさんにヨウミさん」
「ん?」
「何でしょう? イールさん」
なんかもぞもぞしてる。
何かを言いたくても言い出しづらい、そんな感じ。
「あの……えっと……、二人とも、怖くはないんですか?」
何か、決心して気合い入れて、真剣な顔して質問してきた。
けど、何を言いたいのか分かんないし、何でそんなに力を入れてるのか。
「怖い? 何がです?」
キョトンとして聞き返すヨウミ。
俺も似たような顔してるんじゃないかな。
一体何のことやら、と。
「お、襲われたりはしないんですか?」
「襲われる……?」
「俺はむしろ、ヨウミに叩かれたり蹴られたり……いてっ」
ヨウミから、今度は背中をどつかれた。
コーティが呆れて俺を見る。
他の奴らは……昼飯に夢中になってる。
「えっと……大丈夫……なんですか?」
あぁ。
クリマーとか、あとは行商時代からいたライムやテンちゃんはともかく、体がでかいモーナーとか、でかすぎるンーゴとかは、生涯で初めて見たのかもしれねぇんだな。
なるほど。
「どこかを探索して、いきなりこんな奴らと出会ったら……ってことか」
「え、えぇ……」
俺らの仲間だってのは分かってはいるんだろうが、初見じゃ流石にビビるか。
逆にこの人はどうなんだ?
「そりゃ……仲間だからな。イールさんはどうよ? 中には、出逢うこと自体縁起が悪いって言われてるらしい種族もいるんだが」
「アラタさん達がいなければ……ちょっと……怖いですね……。コーティさん、ですか? 可愛らしい姿ですけど、魔力がけた違いに大きいようですし……」
「フフン。分かってればいいのよ、分かってれば」
うぜぇ。
相手してられるかよ。
そうだ。
この人に、何か違和感あったんだよな。
怖いって聞かれたから、その正体が分かった。
「……同じ種族がいたら……仇、取りたいですか?」
「え?」
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