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王宮動乱編
集団戦の人気がおにぎりを上回る その1
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事業を広げるつもりは全くないんだよな。
俺はあくまで、おにぎりの店の店長……店主?
まぁこの仕事がメインだ。
集団戦のマネジメントに力を入れる気はない。
大体、俺はその集団戦に参加できるような素質も知恵もないし、技術も道具もない。
何よりやる気がない。
仲間の魔物達はやる気十分のようだがな。
しかも儲けはほとんどないようにしている。
料金は当然取る。
タダで訓練を好き放題できると思ってもらわれても困るんでな。
こっちから出す人材一人につき、半日分なら五千円。一日分なら一万円。
集団戦だから、一回につき最低でも一万円は入る。
だが儲けが出ない理由は……。
「その依頼は無理だ。とっとと帰れ」
「情に訴えるつもりはないが、国内外に対しての戦力増強、軍事力増強が依頼の理由だ。それによって国民の暮らしに安心を……」
「確かに主張する内容は立派なもんだ。だがそっちが俺に協力を仰がなきゃならねぇ理由はねぇ。協力者なんざ、俺以外にもたくさんいるだろうが」
「確かにいるが……」
「そっちがこっちに依頼して、ここで訓練するってんなら文句を言う筋合いは俺にもねぇよ。こっちゃ比較の割合上飽和状態になりそうな新人の連中をなんとかしてやりたいっていう目的もあったからな。何しろあいつらの伸びしろはでかい。訓練を無事終了したっつーことで、何も満足に買い揃えられないあいつらに、こっちからはささやかな祝いの品を配ってる。それでいくらかは仕事の達成率も上がってくるだろ?」
儲けはその品を揃えるための出費になる。
もちろん仲間への報酬も忘れずに渡している。
「大体こっちゃ軍事訓練の相手なんざできるわきゃねぇだろうよ。訓練時の行動をそっちからリクエストされたって、そっちの望む通りの動き何かできゃしねぇしよ」
冒険者ってば、ある意味戦闘のプロだ。
だが軍人、兵士たちはプロ中のプロ。
そんな連中の相手なんかさせてられるかよ。
こんな無茶な依頼を持ち込んできたのは、依頼の行列の中にシアン。
もちろん変装していたが。
でないと、大騒ぎになってこっちも困る。
用件は、日本大王国国軍の軍事訓練を、城域内で開催してもらえないだろうか、という無茶苦茶なもの。
失敗してこっちに責任問題がふりかかってきたらどうすんだっての!
それとな。
小声でそんな重大な用件の会話するの、精神が擦り切れそうだっつーの!
「親衛隊のみんなが、時々ここにきて世話になってるそうじゃないか」
「ここでやる分にゃ構わねぇし、あくまで休暇中の私用として来てんだぞ? お前のこの件とは次元が違い過ぎるわ! それと、まだ客が並んでんだよ! あっさりと引き下がれ! はい、次の方―!」
顔見知りだからこんな会話してやってんだぞ?
そうじゃなかったら、次、次と進めて行かなきゃ、受付の仕事が終わらねぇんだよっ!
※※※※※ ※※※※※
「ということがあったさー……って、人の話聞けよお前らっ」
全員揃った、その日の晩飯の時間。
シアンからの依頼の話を報告しても、こいつらは右から左へ聞き流し、会話で盛り上がりながら飯を食ってる。
まぁ仲がいいことはいいことなんだがな。
「そうよ。アラタとあたし、おにぎり作りと販売、そしてみんなが相手をする集団戦の受け付けをしなきゃなんないんだから。こんなことがあったっていう話くらいは聞いてよね?」
ヨウミが珍しく援護してくれた。
つか、援護してくれること、ほんとに少なくなったよなー。
「アラタの判断って、大概間違わないもん。そういうことがあったんだねーって聞いてるけど、ほかに言いようがないしなー」
そりゃテンちゃんの言う通りなんだけどさ。
「それにい、ここでの戦闘をお、想定しての訓練ならあ、ここでやるべきだけどさあ。市街戦とかならあ、俺ら役に立たないかもしれないしい」
「町中を襲う魔物と同じように振る舞うのは無理だしね」
「建物を好き放題に壊すんならいいけどもねー」
モーナーの言うこともマッキーの言うこともコーティの吐いた毒ももっともだ。
それにこいつらとの訓練に慣れてしまったら、違う種族に襲われたときの対処ができなくなるだろう。
ま、それについて俺がどうこう考えるのも余計なお世話なんだろうが。
「デモ、トキドキシンエイタイノヒト、クルヨネ」
「でしたね。その事シアンさんに伝えなかったんですか?」
「来たことはある、みたいな感じでは言ったさ。来ている、とまでは言ってないがな」
ただでさえ、ここに来る連中に聞かせられない、ある意味ヤバい話題を持ち出された。
更に親衛隊の話題が上がったら話は長引くし、どこで聞き耳立てられてるか分からない。
それに詳しく報告する義務もなし。
いくら親衛隊の主っつってもな。
「いいんでねぇの? いくら仲間になりてぇっつっても、シアンにゃ立場ってもんがあるだろうしよ」
「グンタイトボウケンシャ、アツカイモチガッテクルダロウシナ」
ほんとそれ。
冒険者は、ある意味自称できる。
だが国軍……軍人、兵士はそうじゃない。
冒険者と違って欠けたら国が困る人材だ。
訓練で手加減しろっていうようなもんだろ。
実戦の相手は手加減なんかするわきゃねぇんだし。
そんな訓練、実戦のどこに役立つってんだか。
それに、こいつらがそいつらへの対応にミスをしたら、誰の責任になるってんだ。
こいつらが責任とれるわけじゃなし、俺だってそうだ。
大体責任なんてのは、とるもんじゃなく果たすもんじゃねぇの?
俺はあくまで、おにぎりの店の店長……店主?
まぁこの仕事がメインだ。
集団戦のマネジメントに力を入れる気はない。
大体、俺はその集団戦に参加できるような素質も知恵もないし、技術も道具もない。
何よりやる気がない。
仲間の魔物達はやる気十分のようだがな。
しかも儲けはほとんどないようにしている。
料金は当然取る。
タダで訓練を好き放題できると思ってもらわれても困るんでな。
こっちから出す人材一人につき、半日分なら五千円。一日分なら一万円。
集団戦だから、一回につき最低でも一万円は入る。
だが儲けが出ない理由は……。
「その依頼は無理だ。とっとと帰れ」
「情に訴えるつもりはないが、国内外に対しての戦力増強、軍事力増強が依頼の理由だ。それによって国民の暮らしに安心を……」
「確かに主張する内容は立派なもんだ。だがそっちが俺に協力を仰がなきゃならねぇ理由はねぇ。協力者なんざ、俺以外にもたくさんいるだろうが」
「確かにいるが……」
「そっちがこっちに依頼して、ここで訓練するってんなら文句を言う筋合いは俺にもねぇよ。こっちゃ比較の割合上飽和状態になりそうな新人の連中をなんとかしてやりたいっていう目的もあったからな。何しろあいつらの伸びしろはでかい。訓練を無事終了したっつーことで、何も満足に買い揃えられないあいつらに、こっちからはささやかな祝いの品を配ってる。それでいくらかは仕事の達成率も上がってくるだろ?」
儲けはその品を揃えるための出費になる。
もちろん仲間への報酬も忘れずに渡している。
「大体こっちゃ軍事訓練の相手なんざできるわきゃねぇだろうよ。訓練時の行動をそっちからリクエストされたって、そっちの望む通りの動き何かできゃしねぇしよ」
冒険者ってば、ある意味戦闘のプロだ。
だが軍人、兵士たちはプロ中のプロ。
そんな連中の相手なんかさせてられるかよ。
こんな無茶な依頼を持ち込んできたのは、依頼の行列の中にシアン。
もちろん変装していたが。
でないと、大騒ぎになってこっちも困る。
用件は、日本大王国国軍の軍事訓練を、城域内で開催してもらえないだろうか、という無茶苦茶なもの。
失敗してこっちに責任問題がふりかかってきたらどうすんだっての!
それとな。
小声でそんな重大な用件の会話するの、精神が擦り切れそうだっつーの!
「親衛隊のみんなが、時々ここにきて世話になってるそうじゃないか」
「ここでやる分にゃ構わねぇし、あくまで休暇中の私用として来てんだぞ? お前のこの件とは次元が違い過ぎるわ! それと、まだ客が並んでんだよ! あっさりと引き下がれ! はい、次の方―!」
顔見知りだからこんな会話してやってんだぞ?
そうじゃなかったら、次、次と進めて行かなきゃ、受付の仕事が終わらねぇんだよっ!
※※※※※ ※※※※※
「ということがあったさー……って、人の話聞けよお前らっ」
全員揃った、その日の晩飯の時間。
シアンからの依頼の話を報告しても、こいつらは右から左へ聞き流し、会話で盛り上がりながら飯を食ってる。
まぁ仲がいいことはいいことなんだがな。
「そうよ。アラタとあたし、おにぎり作りと販売、そしてみんなが相手をする集団戦の受け付けをしなきゃなんないんだから。こんなことがあったっていう話くらいは聞いてよね?」
ヨウミが珍しく援護してくれた。
つか、援護してくれること、ほんとに少なくなったよなー。
「アラタの判断って、大概間違わないもん。そういうことがあったんだねーって聞いてるけど、ほかに言いようがないしなー」
そりゃテンちゃんの言う通りなんだけどさ。
「それにい、ここでの戦闘をお、想定しての訓練ならあ、ここでやるべきだけどさあ。市街戦とかならあ、俺ら役に立たないかもしれないしい」
「町中を襲う魔物と同じように振る舞うのは無理だしね」
「建物を好き放題に壊すんならいいけどもねー」
モーナーの言うこともマッキーの言うこともコーティの吐いた毒ももっともだ。
それにこいつらとの訓練に慣れてしまったら、違う種族に襲われたときの対処ができなくなるだろう。
ま、それについて俺がどうこう考えるのも余計なお世話なんだろうが。
「デモ、トキドキシンエイタイノヒト、クルヨネ」
「でしたね。その事シアンさんに伝えなかったんですか?」
「来たことはある、みたいな感じでは言ったさ。来ている、とまでは言ってないがな」
ただでさえ、ここに来る連中に聞かせられない、ある意味ヤバい話題を持ち出された。
更に親衛隊の話題が上がったら話は長引くし、どこで聞き耳立てられてるか分からない。
それに詳しく報告する義務もなし。
いくら親衛隊の主っつってもな。
「いいんでねぇの? いくら仲間になりてぇっつっても、シアンにゃ立場ってもんがあるだろうしよ」
「グンタイトボウケンシャ、アツカイモチガッテクルダロウシナ」
ほんとそれ。
冒険者は、ある意味自称できる。
だが国軍……軍人、兵士はそうじゃない。
冒険者と違って欠けたら国が困る人材だ。
訓練で手加減しろっていうようなもんだろ。
実戦の相手は手加減なんかするわきゃねぇんだし。
そんな訓練、実戦のどこに役立つってんだか。
それに、こいつらがそいつらへの対応にミスをしたら、誰の責任になるってんだ。
こいつらが責任とれるわけじゃなし、俺だってそうだ。
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