「天気予報は気まぐれガールズ」

トンカツうどん

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第11話ピクニック宣言!!

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サフウが勢いよく立ち上がり、腕を組んで得意げに宣言する。

「次にピクニックに行くわ!!」

その突然の発言に、隼人は思わず眉をひそめた。

「藪から棒に何を言い出すんだ?」隼人は、サフウが突如として何かを言い出すのは慣れているものの、今回も意表を突かれた。

しかし、サフウは隼人の反応を完全に無視し、さらに自分の考えをまくし立てる。

「ピクニックで気象部を楽しむのよ!歩き続ける者が勝利を獲るって言うじゃない!サバイバルゲーム部との勝負も楽しかったし、情報も取れたわ。でも、私は部活としてもっと楽しみたいの!」

彼女の言葉はどこか熱っぽく、まるで彼女が気象部の未来を背負っているかのような勢いだ。隼人はその情熱に圧倒されつつも、ため息をつきながらサフウを見つめる。

「それに、ちゃんと気象庁のデータの取り方に近い方法で記録もするから、科学的にも本格的よ!これで気象観測を楽しみつつ、勉強にもなる。ピクニックと言ってもただの遊びじゃないのよ!」サフウは、胸を張り、部室の空気を震わすように力強く宣言する。

隼人は椅子に深く腰を下ろしながら、肩をすくめる。「またか…。お前の計画には毎回振り回されるな。まぁ、ピクニックならまだマシだけどさ。」

サフウは隼人の反応に全く動じることなく、むしろ楽しそうに笑みを浮かべた。「そうでしょ?だから、みんなで外に出て、気象観測を楽しみましょう!これで気象部はさらに盛り上がるわ!」

その様子を見た光が、大きく手を挙げて元気いっぱいに声を張り上げる。「お兄ちゃん、私もちゃんと気象観測やりたい!どうやってやるのか教えて!」

隼人は戸惑いながらも、「まあ、やり方は気象庁のデータの取り方に近いらしいけど…詳しくは西風が説明してくれるさ」と西風に話を振る。

すると、西風が前に出て軽く咳払いをし、話し始めた。「さて、みんな。今日は気象観測のやり方について少しお勉強だ。まずは、気象庁がどうやってデータを取るかってところからだな。簡単に言うと、気温や湿度、風速なんかを記録するんだけど、これが意外と面倒なんだよな。」

西風は肩をすくめながら、説明を続ける。「気象庁では、気温を測るための温度計は地上1.5メートルの位置に設置するんだ。で、風速計は高い場所に置かないと意味がないから、10メートルくらいの高さに設置するってわけだ。湿度計や降水量を測る計器も、全部別々に配置しなきゃいけない。しかも、これらの機器を風の影響を受けにくい場所に置く必要があるから、適当に置いてもダメなんだ。」

光はその説明に目を輝かせて、「すごい!じゃあ、ちゃんとした方法で測らないと意味がないんだね!」と感心していた。

西風は頷きながら、「そういうことだ。今回のピクニックでは、俺たちも気象庁の方法に近い形でデータを取るってわけさ。でも、そんなに厳密にやる必要はない。夏休みの自由研究だと思ってくれれば十分さ。」

隼人は、その言葉にまたため息をつきながら、「自由研究か…結局、ピクニックって言ってるけど、宿題みたいなもんじゃないか」とぼやいた。

西風はニヤリと笑い、「まあ、遊びのついでにちょっとデータ取るだけさ。気象庁レベルの観測なんて言っても、俺たちは楽しくやるのが目的だからな。そんなに堅苦しく考える必要はないって!」と軽く返した。

隼人は呆れ顔で「遊びのついでって言うけど、結局真面目にやらされるのは俺たちなんだろうな…」とつぶやく。

光はそのやり取りを楽しそうに見ながら、「お兄ちゃん、頑張って!私は楽しむからね!」と笑顔で応援する。

西風はさらに肩をすくめて、「要するに、気象観測って言っても遊びの一部だから。終わったら、ピクニックをのんびり楽しめばいいさ。天気の変化にちょっとだけ興味を持てば、いつもの風景も少し違って見えるかもしれないぜ?」

サフウはその話を聞いて勢いよく立ち上がり、「よし、雷堂も誘いましょう!みんなでリフレッシュするピクニックを楽しむのよ!」と、さらに計画を膨らませていく。

西風は「はい、はい、わかりましたよっと」と軽い調子で応じるが、その顔にはどこかあきらめが漂っていた。

光は突然、西風の方に向かい、「西風くん!偏西風なんだから、どうにかして!」と真剣に言い出す。

西風は苦笑いを浮かべつつ、肩をすくめて「無理だな。風向きは操れるかもしれないけど、恋まで吹かせるのはさすがに無理だぜ。」
雷堂は少し居心地悪そうに椅子に座り直したが、その後すぐに穏やかな笑みを浮かべて話し始めた。サフウが盛り上がっているのを見て、どこか彼女のペースに巻き込まれつつも、そのエネルギーには感心しているようだ。

「昼休みにサフウから話を聞いたけど、ピクニックで気象観測だって?なんか、面白そうだね。でも、本当にそんなに本格的にやるの?」雷堂は、少し不安そうに言葉を続けた。彼女は陸上部のエースとして活躍しているが、科学的なデータを集めるという発想にはあまり馴染みがない様子だった。

「まぁ、そんなにガチガチにやるわけじゃないんだろ?」と隼人が口を挟んだ。

サフウはそれを聞いて腕を組み直し、堂々と答える。「もちろんよ!でも、気象庁のデータの取り方に近い方法でやるの。そこがミソなのよ。私たちは遊びながらも、しっかりしたデータを取る。部活としての楽しさと、本格的な研究のバランスを取るのが私の作戦だから!」

雷堂はその勢いに少し戸惑いながらも、微笑みを浮かべた。「うーん、なんだかサフウらしいね。でも、そういうの、ちょっと面白そうかも。陸上の合宿とは違って、外でゆっくり観察するのも新鮮だし。」

光がすかさず元気に声を上げる。「雷堂先輩も一緒に来てくれるんですか?やった!一緒に観測するなんて、すごく楽しみです!」

雷堂は照れくさそうに頷きながら、「ええ、まぁ、サフウが誘ってくれたし、せっかくだから参加するよ。みんなで一緒に何かするのって、なかなかないしね。」と言った。

西風がその様子を見ながら、茶化すように軽く言葉を投げかけた。「まったく、サフウの勢いに巻き込まれると、気づけばピクニックと観測が同時進行だって話になるんだよな。でも、ま、たまにはいいんじゃないか。夏休みの自由研究だと思えばさ。」

隼人はその言葉に同調し、「本当にまたサフウの計画に巻き込まれてる気がするけどな。遊びのつもりで行って、がっつりデータ取らされるってオチなんだろう…」とぼやいた。

雷堂はそのやり取りに笑いながらも、「でも、データを取るってどんな感じなの?私はあまり詳しくないけど、そんなに難しいことなのかな?」と真剣な顔で聞いてきた。

西風がすかさず答えた。「いや、心配するなよ。風向きとか気温を測るのは、基本的には機械がやってくれるから。俺たちがやるのは、その数値を記録して、後でまとめるだけさ。難しいことはないけど、注意は必要だな。」

雷堂は少し安心した様子で、「そうなんだ、じゃあ私でもできるかな?なんだか楽しみになってきた!」と言った。

サフウは満足そうにうなずき、さらに話を締めくくるように宣言した。「そうでしょ?だから、次のピクニックはみんなで楽しむと同時に、ちゃんとデータを取るのよ!それが私たち気象部の強みなんだから!」

その言葉に、部室の空気が一瞬静まり、次第にそれぞれが次の活動に向けた期待を感じ始めていた。

サフウは自信満々に話しながらも、その内心では少し違った思いを抱えていた。彼女にとって、ピクニック兼観測というのは表向きの理由にすぎなかった。実は、もう少し個人的な意味合いもあったのだ。それは、雷堂と一緒に外で過ごせる時間――それが観測という名目でも、少しでも彼女にとっては特別な時間になると思っていた。

「観測も大事だけど、やっぱりこうやって一緒に過ごすことが…いいよね」と、ふと口に出そうになり、慌てて言葉を飲み込んだ。

一方の雷堂は、特に恋愛的な感情があるのかはまだはっきりとはしていなかったが、サフウとのこのピクニックには少しだけ楽しみにしている自分がいた。普段から忙しい陸上部の練習とは違い、自然の中でのリフレッシュができる時間――その中で、サフウともっと親しくなれたら、という思いもどこかにあったのかもしれない。彼女の情熱的な提案を聞きながら、何か特別なことが起こるかもしれない、そんな淡い期待が心の片隅に浮かんでいた。

雷堂は少し戸惑いながらも、「まあ、リフレッシュにはなるかもね。外で観測するのって、楽しそうだし」と微笑んだが、どこかその言葉の裏に彼女の本当の気持ちが隠れているようにも感じた。

そのやり取りを遠巻きに見ていた光が、突然元気よく声を上げる。「お兄ちゃーん!ピクニック、楽しみだね!一緒に観測しようよ!」

光はいつもの無邪気な笑顔を浮かべながら隼人に寄っていく。隼人はその声に少し驚きつつも、妹の無邪気さにはどうしても逆らえず、やや照れくさそうに応じる。「ああ、まあな…一緒にやるのはいいけど、光、お前本当に観測に集中できるのか?」

その問いに対し、光はニコッと笑って「もちろん!お兄ちゃんがちゃんと教えてくれれば、私もちゃんとできるもん!」と元気よく答えた。

そんなやり取りを見ていた西風が、茶化すようにちゃっかりと口を挟む。「はは、隼人、まったくお兄ちゃんは大変だな。光に振り回されるのも観測の一部ってやつか?」

隼人はため息をつきながらも、「お前に言われると、なんか余計に疲れるな」とぼやいたが、その口調にはどこか楽しさも混じっていた。

西風はニヤリと笑い、「まあまあ、今回はピクニックだから、のんびり楽しめばいいさ。お前ら、恋まで風で吹かせるのは無理だが、気象のデータならなんとかなるだろ?」と、軽い冗談を交えつつも、その場の空気を和ませた。

サフウはその言葉を聞いて、一瞬だけ顔を赤らめたが、すぐにいつもの自信満々な表情に戻り、力強く言い放った。「そうよ!私がリーダーなんだから、全員ちゃんと楽しんで観測すること!これが私たち気象部の使命よ!」

部室はサフウの勢いに再び包まれ、みんなはそのエネルギーに引き込まれるように、次のピクニックに向けた意識が高まっていった。

それぞれの思いを胸に、ピクニックの計画は徐々に現実味を帯びていく。


晴れ渡る青空の下、気象部のメンバーは山頂からのピクニックを終え、静かな山道を下っていた。山の清々しい風が彼らの頬を撫で、自然の美しさに囲まれながらも、それぞれが別々の思いを抱えていた。

サフウは先頭を歩きながら、ふと隼人の方を盗み見る。彼女の提案で始まったこのピクニック、もちろん気象観測という大義名分はあったものの、彼女にとっては隼人との時間を共有するためのものでもあった。だが、それを口にする勇気はなく、彼女の中に湧き上がる微かな不安が胸の奥で燻っていた。

「なんだか、今日は平和だな」と隼人がぼそりと呟く。まるで何かが起こるのを期待していたかのようなその声に、サフウは自分の思いが見透かされた気がして、ほんの少し肩をすくめた。

「今回は絶対、何かしらの気象現象が起きると思ってたんだけどな…」サフウは内心、ピクニックをもっとドラマチックなものにしたいと考えていたが、実際には何も起こらなかった。彼女は観測者としての立場と、ただ楽しみたいという自分の感情の狭間で揺れていた。

光は、木々の間を楽しそうに駆け回りながら、気の向くままに自然を満喫していた。何も考えず、ただこの瞬間を楽しむ彼女にとって、ピクニックは単なる遊びだった。

一方、西風は、そんな光を見守りつつ、軽口をたたきながら歩いていた。「おいおい、俺たち三拍子が揃って何も起こらないなんて、逆に珍しいな。気象部の"偏西風"、"低気圧"、"高気圧"が揃って異常気象が起きないなんてな」

隼人は半ば呆れた表情を浮かべた。「お前ら、また何かデータをいじってるんじゃないのか?前にやらかしたこと、まだ覚えてるぞ」

その問いに、サフウは即座に振り返り、「まさか!今回は純粋に観測してるだけ。他意なんてないわ!それに、私とデートに文句でもあるの?」と、冗談めかしながら答えた。

隼人は一瞬、言葉に詰まる。「デートって…何を言ってるんだ?」

「そうよ、私がリーダーなんだから、みんなを引っ張っていくのが私の役目なの!」サフウは強気な態度でそう言ったものの、その表情はどこか照れくさそうだった。

光がそのやり取りを目にし、無邪気に声を上げた。「お兄ちゃん、サフウ先輩とデートしてるの?いいなぁ!私も一緒に楽しめたよ!」

その言葉に、光が天真爛漫すぎて思わず笑みがこぼれる西風が茶化すように言った。「まあ、恋の風までは俺も吹かせられないからな。偏西風の力じゃ恋の嵐を巻き起こすのは無理だぜ」

「西風くん、なんとかできないの?偏西風なんだから!」と、光がいたずらっぽく問いかけるが、西風は肩をすくめて笑うだけだった。「いやいや、偏西風が吹かせられるのは天気だけだ。恋は別物だよ、光ちゃん」


---

エンドロール

ピクニックの終わりを迎え、下山が進むにつれて天気は変わることなく、平穏なままだった。気象部の"低気圧"サフウ、"高気圧"光、"偏西風"西風という三拍子が揃っているにもかかわらず、異常気象の兆しすら見られない。まるで自然が彼らの時間を静かに見守っているかのようだった。

今回の天気は、気象庁の予報どおり。低気圧、高気圧、偏西風という三つの要素が揃えば、何かしらの変化が起こるはずだが、今日はそれらが全て揃っても何も起こらなかった。

台風の進路や温帯低気圧の形成など、実際にはこれらの要素が組み合わさって天候に大きな影響を与える。しかし、この日はあまりにも穏やかで、気象部のメンバーに何の異常ももたらさなかった。

「結局、何も起こらなかったな…」隼人は山の向こうに沈む夕日を見つめながら、つぶやいた。

異常気象もなく、ただ穏やかな日常が続いた――サフウ、光、西風という"天気"そのものを象徴するメンバーが揃っても、今日は平穏なまま。それが不思議でありながらも、どこか安心感が漂う。
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