「星の化身とオカルト男子の銀河騒動」

第6話汝、星を導く調律

塔の静寂を切り裂くように、不気味な低音が響き渡る。星々の調和が再び乱れ、空間に漆黒の亀裂が走る。その中心に現れたのは、暗黒を纏った影――アステリオンだった。

「これが貴様らの選んだ未来か。調和を乱し、新たな秩序を謳うその姿が、いかに浅薄かを示してやろう。」

アステリオンの声は星の破片が砕け散る音のように重く響き渡る。その姿は半透明の星屑でできた体を持ち、無数の目が全方位を見据えている。漆黒の闇と星の光が交錯し、その姿はこの世のものではない威圧感を放っていた。

瀬戸は剣を構えながら一歩前に出た。鋭い目つきで敵を睨みつける。 「お前が……この塔を支配していた黒幕か！」

リディアは動揺を隠せない。
「アステリオン……！ あなたは星の記憶を司る存在だったはず。どうしてこんなことを？」

アステリオンは冷たい笑みを浮かべ、巨大な腕を広げた。
「私こそが記憶そのもの。だが、星々が作り出した夢と希望は、無限の憂いを生み出したに過ぎない。私はその結果として生まれた存在だ。過去の愚行を繰り返す未来など、必要ない。」


---

星々の憂い

アステリオンが手を振ると、塔全体が激しく揺れた。空間に響き渡る音は、星が砕けるような悲鳴だった。
「過去の記憶は憂いの連鎖だ。それを繋ぎ止めようとする貴様らの行いこそ、無意味なのだ！」

「お前のその理屈、俺には理解できねえな！」
瀬戸は剣を強く握り、アステリオンに向かって一歩踏み出した。「記憶が憂いだろうとなんだろうと、それを未来に繋げる意味がある！ 俺たちはそれを証明するためにここにいるんだ！」

「愚か者が！」
アステリオンが振り下ろした漆黒の腕が、瀬戸を直撃しようと迫る。しかし、その瞬間、リディアが手をかざし、星屑の光が防壁を作り出した。

「アステリオン、あなたが憂いそのものなら、私たちはその憂いを乗り越える！ あなたが何を思おうと、未来は私たちの手で作る！」

アステリオンの目がリディアをじっと見つめる。その視線は冷たいが、どこか迷いのようなものも感じられた。

「憂いを乗り越える……？ 笑わせるな。それこそが星々が繰り返してきた愚行だ。」


---

瀬戸の底力

リディアが防壁を維持しながら叫ぶ。
「瀬戸、まだ時間が必要よ！ 彼の力の核を探るわ！」

「了解だ！」
瀬戸は剣を振り上げ、アステリオンに向かって突進した。その剣先から放たれる光がアステリオンの闇を切り裂くように突き進む。

しかし、アステリオンの一撃が瀬戸を弾き飛ばす。彼は瓦礫の中に叩きつけられ、息を切らしながら立ち上がった。

「無力だ……」
アステリオンは冷たく告げる。「貴様らのようなちっぽけな存在が、銀河の運命を変えるなど――」

「ちっぽけだと？」
瀬戸は笑みを浮かべながら立ち上がる。その瞳には揺るぎない決意が宿っていた。
「確かに、俺たちなんて銀河から見たらちっぽけだ。だけど、それがどうした！？」

瀬戸は剣を構え直し、力強く叫ぶ。
「ちっぽけだからこそ、ここで止まるわけにはいかないんだよ！ 俺たちは未来を掴むために戦ってるんだ！」


---

調律の核

リディアがアステリオンの動きを観察しながら、星々の記憶を読み解く。
「分かったわ……アステリオンの力の源、それは銀河の記憶そのもの。記憶の中の憂いが彼を作り出している……！」

「だからどうする？」
瀬戸が苦笑しながら振り返る。
「記憶そのものをどうにかするなんて、無理だろ？」

「いいえ、できる！」
リディアは強く頷いた。「記憶を浄化するわ。そして、憂いを未来の力に変えるの！」

リディアの手から星の記憶が輝き始める。その光がアステリオンに向かって広がり、彼の体を包み込む。

「愚か者……その光が、私を消すことなどできるはずがない！」
アステリオンは抵抗を試みるが、その力が徐々に弱まっていく。


---

未来への一歩

アステリオンの体が崩れ、星屑となって散っていく。彼の声が静かに響く。
「もし本当に未来を変えることができるのならば……その答えを見せてみよ……」

塔の揺れが止まり、静寂が訪れる。瀬戸とリディアはお互いに息を整えながら立ち尽くす。

「……終わったのか？」
瀬戸が疲れた声で呟く。

リディアは静かに頷き、星の記憶を手に取りながら答える。
「ええ、でもこれは始まりよ。これから私たちがこの記憶を未来に繋げなければならない。」

瀬戸は空を見上げ、肩をすくめた。
「ったく、未来ってやつは手間がかかるな。でも……悪くない。」

リディアは笑みを浮かべ、瀬戸の言葉に応える。
「ええ、これが私たちの使命ね。」


---

星海を紡ぐ戦い ～アステリオンとの対峙～

星屑が降り注ぐ空間で、瀬戸は剣を握り締めた。アステリオンの兵隊たちが空間に無数の影を作り出し、ゆっくりと迫りくる。その姿は人型をしているものの、目も顔もなく、ただ暗黒に覆われていた。

「くそっ、終わりのない敵がこんなに……！」
瀬戸は一歩後退し、額から流れる汗を手で拭った。

リディアは一歩前に進み、88星座の力を借りるべく、声を上げる。
「星たちよ、私たちに力を貸して！ 私たちが未来を切り開くために必要な希望を見せて！」

ヴェルナ・ベガが空間に現れると、彼女の金髪が星屑の光を反射し、まるで神々しい彗星のようだった。彼女は気高く微笑みながらリディアに近づく。

「よく呼んだわね。星空の未来を守るために、私がここにいるのよ。さあ、貴方たち、力を合わせなさい！」

瀬戸は半信半疑の表情を浮かべた。
「おいおい、本当に現れるのかよ、こんな神話じみたやつが！」

リゲル・オリオンがその声に反応し、ツインテールを揺らしながら現れた。
「私の名前を忘れるな！ リゲル・オリオン！ 私がいる限り、星空の平穏は守られるわ！」

瀬戸は口元を抑えながら苦笑した。
「なんだ、ツンデレまで出てきたのかよ……。まあ、これで状況が少しはマシになるかもしれないな。」


---

アステリオンの兵隊の襲撃

アステリオンの声が空間全体に響き渡る。
「無駄だ。星たちの力を束ねようとも、私に抗うことはできない。この塔と共に、お前たちは記憶の一部として消え去るだけだ！」

アステリオンの兵隊たちが一斉に動き出し、黒い波となって押し寄せる。

「行くぞ、リディア！」 瀬戸が剣を振るい、先陣を切った。リゲルが後ろから援護するように、星の力を放つ。

「リゲルフレア！」
真紅のエネルギーが爆発的に放たれ、兵隊たちを薙ぎ払う。しかし、その波はすぐに埋め尽くされ、止まることがなかった。

リディアは焦る表情を見せるが、ヴェルナ・ベガが彼女の肩に手を置く。
「焦らないで。この戦いは力だけじゃ勝てない。星々の導きを信じなさい。」


---

星座の導き

ヴェルナは空に手を掲げると、星座たちが光の軌跡を描き始めた。
「星座たちよ、リディアを導きなさい！」

その言葉と共に、88の星座の力がリディアに降り注ぐ。彼女の瞳が輝き、全身に星々のエネルギーが満ちる。

「これが……星たちの力……！」
リディアは空を見上げ、手を広げた。

ヴェルナは微笑みながら言う。
「さあ、星たちの調律を完成させなさい。これが未来への道を開く鍵よ。」


---

アステリオンとの最終局面

空間が再び揺れ、アステリオンの姿がゆっくりと変化し始めた。その暗黒の身体が星々の輝きを吸収し、塔全体を覆う存在へと変貌する。

「私は記憶そのもの。未来などという曖昧なもののために、過去を乱すことは許されない！」

リディアはその言葉に立ち向かうように声を張り上げた。
「過去を守るだけでは未来はない！ 星たちの記憶を希望に変えて、新しい未来を作るのよ！」

ヴェルナとリゲルもリディアに続き、星の力を解放する。
「ここが正念場よ、リディア！」
「星空の平穏を守るために、この力を全て注ぐ！」


---

クライマックス

星々の力が一つに集まり、アステリオンの暗黒の体を包み込む。瀬戸はその光景を見ながら剣を握りしめ、最後の力を振り絞る。

「これで終わりだ！ 88星座の力を合わせて、未来を取り戻す！」

星海を紡ぐ戦い ～アステリオンとの対峙～

星屑が降り注ぐ空間で、瀬戸は剣を握り締めた。アステリオンの兵隊たちが空間に無数の影を作り出し、ゆっくりと迫りくる。その姿は人型をしているものの、目も顔もなく、ただ暗黒に覆われていた。

「くそっ、終わりのない敵がこんなに……！」
瀬戸は一歩後退し、額から流れる汗を手で拭った。

リディアは一歩前に進み、88星座の力を借りるべく、声を上げる。
「星たちよ、私たちに力を貸して！ 私たちが未来を切り開くために必要な希望を見せて！」

ヴェルナ・ベガが空間に現れると、彼女の金髪が星屑の光を反射し、まるで神々しい彗星のようだった。彼女は気高く微笑みながらリディアに近づく。

「よく呼んだわね。星空の未来を守るために、私がここにいるのよ。さあ、貴方たち、力を合わせなさい！」

瀬戸は半信半疑の表情を浮かべた。
「おいおい、本当に現れるのかよ、こんな神話じみたやつが！」

リゲル・オリオンがその声に反応し、ツインテールを揺らしながら現れた。
「私の名前を忘れるな！ リゲル・オリオン！ 私がいる限り、星空の平穏は守られるわ！」

瀬戸は口元を抑えながら苦笑した。
「なんだ、ツンデレまで出てきたのかよ……。まあ、これで状況が少しはマシになるかもしれないな。」


---

アステリオンの兵隊の襲撃

アステリオンの声が空間全体に響き渡る。
「無駄だ。星たちの力を束ねようとも、私に抗うことはできない。この塔と共に、お前たちは記憶の一部として消え去るだけだ！」

アステリオンの兵隊たちが一斉に動き出し、黒い波となって押し寄せる。

「行くぞ、リディア！」 瀬戸が剣を振るい、先陣を切った。リゲルが後ろから援護するように、星の力を放つ。

「リゲルフレア！」
真紅のエネルギーが爆発的に放たれ、兵隊たちを薙ぎ払う。しかし、その波はすぐに埋め尽くされ、止まることがなかった。

リディアは焦る表情を見せるが、ヴェルナ・ベガが彼女の肩に手を置く。
「焦らないで。この戦いは力だけじゃ勝てない。星々の導きを信じなさい。」


---

星座の導き

ヴェルナは空に手を掲げると、星座たちが光の軌跡を描き始めた。
「星座たちよ、リディアを導きなさい！」

その言葉と共に、88の星座の力がリディアに降り注ぐ。彼女の瞳が輝き、全身に星々のエネルギーが満ちる。

「これが……星たちの力……！」
リディアは空を見上げ、手を広げた。

ヴェルナは微笑みながら言う。
「さあ、星たちの調律を完成させなさい。これが未来への道を開く鍵よ。」


---

アステリオンとの最終局面

空間が再び揺れ、アステリオンの姿がゆっくりと変化し始めた。その暗黒の身体が星々の輝きを吸収し、塔全体を覆う存在へと変貌する。

「私は記憶そのもの。未来などという曖昧なもののために、過去を乱すことは許されない！」

リディアはその言葉に立ち向かうように声を張り上げた。
「過去を守るだけでは未来はない！ 星たちの記憶を希望に変えて、新しい未来を作るのよ！」

ヴェルナとリゲルもリディアに続き、星の力を解放する。
「ここが正念場よ、リディア！」
「星空の平穏を守るために、この力を全て注ぐ！」


---

クライマックス

星々の力が一つに集まり、アステリオンの暗黒の体を包み込む。瀬戸はその光景を見ながら剣を握りしめ、最後の力を振り絞る。

「これで終わりだ！ 88星座の力を合わせて、未来を取り戻す！」

空間全体が星々の光で満たされ、アステリオンの姿が消えていく。


---

汝、星を導く調律 (VII)

アステリオンの漆黒の波動が空間全体を覆い、塔が呻くように揺れた。瀬戸は倒れたまま拳を握り締め、立ち上がろうとするが、その力はすでに限界に近かった。

「瀬戸！」
リディアが駆け寄ろうとするが、アステリオンの力が彼女の行く手を阻む。

「……貴様らは愚かな生き物だ。調和を乱し、新たな未来を夢見る？ その全てが憂いを生むだけだ。」
アステリオンの言葉には、星々の記憶が抱えた無数の悲しみが込められていた。

リディアはそれを聞いてもなお、強い瞳で立ち向かった。
「アステリオン、あなたが憂いの結晶だというのなら、私たちは希望の先を示す！ 未来は変えられるのよ！」

アステリオンの無数の目が彼女を冷たく見据え、漆黒の光が再び塔を飲み込むように広がった。


---

瀬戸の奮起

瀬戸は呻きながら剣を杖代わりに立ち上がり、震える声で叫んだ。
「ふざけんなよ……お前みたいな奴に未来を決めさせるわけにはいかねぇだろ！」

リディアが驚いて振り返る。
「瀬戸……！」

瀬戸は息を切らしながら、剣を地面に突き刺し、虚空に向かって手を掲げた。
「88星座よ……頼む、リディアに力を貸してくれ！ 未来を作るのは俺じゃない、こいつなんだ！」

その瞬間、虚空が一瞬静寂に包まれた。星座たちの輝きが瀬戸の言葉に応じるように空間に浮かび上がる。最初に現れたのはコンパス座だった。


---

リディアへの授け

コンパス座が輝きながらリディアに降り注ぐ。星の光が彼女の身体を包み込み、新たな力を宿す。リディアは目を見開き、星々の声が胸に響いた。

「リディア、これは……？」
瀬戸が問いかけるが、彼女は微笑んで応えた。
「コンパス座が私に導きをくれるの。この力で、未来を照らす道を切り拓くわ！」

リディアは両手を空に掲げ、コンパス座の力をその手に集めた。その手のひらには星屑のような光の道が描かれていく。
「アーヴァ・リサール！（星の導きを照らせ！）」
ハーレ語の呪文が空間に響き渡り、その音が星々に共鳴する。


---

アステリオンとの衝突

「その力で何を成すつもりだ？」
アステリオンは嘲笑うように問いかけながら、黒い波動を放つ。

だが、リディアはその攻撃を正面から受け止め、コンパス座の光を掲げた。光の道が黒い波動を切り裂き、空間全体に広がる。

「星々の力はただ守るためのものじゃない！ 希望を紡ぎ、新たな道を作る力なのよ！」
リディアの声に、瀬戸も微笑む。

「そうだ……！ 星座たちが応えてくれる限り、俺たちは負けない！」
瀬戸は剣を振り上げ、アステリオンの目を狙うように突進した。


---

ハーレ語の呼びかけ

リディアはハーレ語で88星座を再び呼びかける。
「アルス・ヴィカーン！（星たちよ、共に未来を織りなそう！）」
その声に応じて、他の星座たちも次々と現れる。アルタイル座、オリオン座、そしてシリウスの輝きがリディアの力を後押しした。


---

戦いの頂点

アステリオンの影が薄れ、塔全体が光に包まれる中、彼の最後の声が響いた。
「憂いを超える未来を作れるとでも思うか……？ その代償が何か、思い知るがいい……」

リディアはその声に動じず、最後の一撃を放った。
「希望を紡ぐ力を、星々と共に！」

コンパス座の光がアステリオンを貫き、塔全体を再び調和へと導く。


---

汝、星を導く調律 (VIII)


---

リディアの両手に宿る星々の記憶が一つの光となり、温かな輝きで塔内を照らした。その光は周囲の暗黒を追い払い、アステリオンの漆黒の影に切り込むように広がっていく。

「アステリオン、あなたが憂いそのものだというのなら、私たちが新しい夢を見せる！」
リディアの声が空間に響き、光はさらに強さを増した。

瀬戸は剣を構え直し、その光に背中を押されるように一歩前へ踏み出した。光の粒子が彼を包み込み、体中に力が湧き上がるのを感じた。

「これが俺たちの未来だ――受け取れ！」
瀬戸は叫びながら剣を振り上げ、渾身の力でアステリオンの核心を目指して突進した。


---

核心への一撃

アステリオンの無数の目が瀬戸を捉え、その圧倒的な力で波動を放つ。黒い波が彼に向かって押し寄せるが、リディアの光がそれを打ち消し、道を切り開いた。

「まさか……このような希望が……」
アステリオンの声が微かに揺れる。瀬戸の剣が彼の核心に届いた瞬間、リディアの光が剣を通じてアステリオンの中へと浸透していく。

「これで終わりだ！」
瀬戸の叫びと共に、アステリオンの体が音もなく砕け散り、星屑となって宙に舞った。


---

新たな仲間の登場

その静寂を破るように、新たな光が現れる。それは、淡い蒼い輝きと共に舞い降りた少女――アンネリース・アンドロメダだった。

「私はアンドロメダ……あなたを支えるためにここにいます。どうか、星の輝きを信じてください。」
物静かながらも芯のある声が響き、リディアと瀬戸の前に立ちはだかる。

リディアは驚きつつも、その姿にどこか安堵を覚えた。
「あなたは……アンドロメダ？ 星々が新しい未来を信じて現れてくれたのね！」

アンネリースは静かに頷き、蒼い瞳をリディアに向けた。
「はい、私の使命は星々を繋ぎ、未来を導くこと。そして、あなたを守ることです。」


---

アンドロメダの力

アンネリースは手をかざし、星座の糸を編むように動かす。その糸はまるで星と星を繋ぐ橋のように輝き、周囲の空間を穏やかに満たしていった。

「この糸は、星々の絆を象徴するもの。今こそ、それを力に変える時です。」
その言葉と共に、アンネリースはリディアと瀬戸に星座の糸を託した。その瞬間、二人は新たな力を感じ取った。

「すごい……これが星々の絆の力なのね！」
リディアはその輝きに胸が熱くなるのを感じた。

瀬戸も驚きながら笑みを浮かべた。
「なるほどな、これならどんな闇も切り裂ける気がするぜ！」


---

次の試練へ

だが、喜びの瞬間も束の間、塔の奥から再び揺れる音が響き渡った。アステリオンの最後の言葉のように、まだ試練が続くことを示唆していた。

「次の試練が待っているようね。」
リディアはアンネリースに目を向けた。
「一緒に来てくれる？」

アンネリースは微笑み、静かに頷いた。
「もちろんです。星々のために、共に戦いましょう。」


---

汝、星を導く調律 (IX)


---

アンネリースの蒼い瞳が僅かに揺れる。その瞳に映るのは、輝きに満ちた星々ではなく、静かに蠢く暗黒。彼女の手から放たれる星座の糸が、一瞬にしてその光を変えた。絆を繋ぐはずの糸が、突如として鋭利な刃のように輝き、リディアと瀬戸に向かって振り下ろされる。

「アンネリース、なぜ……！」
リディアの声は驚きと悲しみに満ちていた。彼女の光が咄嗟に反応し、鋭利な糸を防ぐように輝きを広げる。

アンネリースは微かに微笑んだ。しかし、その微笑みにはどこか冷たさが漂っている。
「……申し訳ありません、リディア様。私の使命は、星々の絆を守ることではなく、アステリオン様の意志を継ぐことなのです。」


---

アステリオンの影

瀬戸は剣を握り締めながらアンネリースの前に立ち塞がる。
「お前……！ さっきまで味方みたいな顔してたくせに、一体どういうつもりだ！？」

アンネリースは彼の問いに答えることなく、静かに糸を操り始めた。その糸は星座の形を描き、空間全体に網のように広がる。

「私はアステリオン様の従者として存在しています。そして、アステリオン様の意志は、過去から未来を否定すること。その目的のために私はここにいます。」
彼女の声は冷静で、まるで感情を切り離したかのようだった。


---

絡み合う運命

リディアは苦しげにアンネリースを見つめる。
「でも、あなたは未来を信じていると言ったじゃない……！ 私たちと一緒に星々の新しい道を作るって……！」

アンネリースの手が一瞬止まった。その言葉は、彼女の中に僅かな揺らぎを生んでいた。だが、彼女はすぐに首を振り、毅然とした態度を取った。
「それは幻想です、リディア様。未来とは、ただ過去の繰り返しに過ぎません。それを覆そうとする行為こそが、混沌を生むのです。」

瀬戸が叫ぶ。
「お前の言ってることはただの言い訳だ！ 過去がどうだろうと、未来を変えられるのは俺たちの意志だろうが！」


---

戦いの始まり

アンネリースは糸を操り、二人に向かって放つ。その動きは無駄がなく、まるで美しい舞を踊るかのようだった。
「ならば証明してください。あなたたちが本当に未来を作る力を持っているのかを。」

瀬戸は剣を振るいながらリディアに叫ぶ。
「リディア、こいつの糸は厄介だ！ 何とかしてくれ！」

リディアは輝きを手に取り、アンネリースの動きを観察する。
「彼女の力は星座の糸。ならば、その星座の流れを変えれば……！」

リディアは両手を広げ、周囲に散らばる星屑を集め始めた。その光は徐々に糸の動きを阻害し、アンネリースの動きを鈍らせる。


---

アステリオンの意志を超えて

アンネリースは一瞬の隙を突かれ、攻撃の手を止めざるを得なかった。その顔には僅かな迷いが浮かんでいる。
「なぜ……星座の流れが変わる……？」

リディアが力強く答える。
「あなたの力はアステリオンの意志に縛られている。でも、星々はそんなものではない！ 星座の記憶は、自由で無限なのよ！」

瀬戸はリディアの言葉に応えるように剣を構え直した。
「つまり、アンネリース。お前が縛られてるのはただの過去だ。未来を信じられるなら、そっちを選べ！」

アンネリースはその言葉に微かに動揺する。だが、彼女はすぐにその表情を引き締めた。
「アステリオン様の意志を否定することはできません。ですが……もし本当に未来があるというのなら、私に証明してください！」


---

新たなる絆

リディアは輝きをアンネリースに向けて放ち、その光が彼女の糸を包み込む。星座の流れが変わり、新たな絆が生まれた。

アンネリースはその光に目を奪われ、動きを止めた。そして、涙を一筋流しながら囁く。
「こんな……未来が本当に……？」

リディアは彼女に微笑みかける。
「そうよ。未来は私たちの手で作れるの。」

アンネリースはゆっくりと糸を解き、膝をついた。
「私は間違っていたのかもしれません……リディア様、瀬戸様。どうか、この力を……あなた方に。」


---

---

塔の奥深く、アステリオンは冷たく輝く瞳をアンネリースに向けていた。その眼差しは星々の静寂を宿しながらも、冷酷な意志を感じさせる。彼の声は深く低く、全てを包み込むような威圧感に満ちていた。

「アンネリース。貴様には失望した。」
その一言が、空間全体に重苦しい響きを残す。

アンネリースはその言葉に動揺を隠しきれない。微かに肩を震わせながら、アステリオンに向き直る。
「……アステリオン様、私は……。」

アステリオンは彼女の言葉を遮るように手を振る。
「聞く必要はない。情に絆され、簡単に寝返るとは……。お前にとって、私が守り続けてきた記憶の重みは、その程度だったのだな。」


---

冷酷な裁き

アステリオンの体から暗黒の光が迸り、空間を切り裂く。彼の冷酷な意志がそのまま形を持ったような攻撃が、アンネリースを襲う。

「お前は星々の記憶の従者として生まれた。しかし、その使命を捨てるというなら、ここで消えるがいい。」
その言葉には、一切の感情が感じられなかった。

リディアが叫ぶ。
「やめて！ アンネリースはまだ、未来を選ぶことができるわ！」
彼女の声は、まるで氷の壁を砕こうとする熱い叫びのようだった。

しかし、アステリオンは微動だにせず、冷酷な微笑みを浮かべる。
「リディア、お前には理解できまい。記憶の重さというものを。過去が未来を形作るのではなく、未来が過去を無意味にする。その真実が、お前の無知を証明している。」


---

瀬戸の反撃

その瞬間、暗黒の光を斬り裂く閃光が走る。瀬戸が剣を構え、アステリオンの前に立ちはだかった。
「おいおい、あんたの話は全然面白くないな。記憶だの使命だの、難しい話は後にしてもらうぜ！」
瀬戸の瞳には強い意志が宿っていた。

アステリオンは冷笑を浮かべる。
「瀬戸、お前のような小さき存在が、星の運命に何を語るというのだ？」

瀬戸はその挑発に臆することなく、一歩前に出た。
「星の運命？ そんな大層なもんは知らねえ。でもな、未来ってのは、どんな暗い夜空だって一筋の光で変えられるんだよ！」

瀬戸の言葉に応じるように、剣が輝きを放つ。その光は暗黒の波に押されながらも、確実にアステリオンの闇に抵抗していた。


---

アンネリースの決意

攻防の中、アンネリースは静かに立ち上がった。その瞳には迷いが消え、代わりに強い決意が宿っていた。彼女はリディアに目を向け、小さく微笑む。

「リディア様、あなたが正しい。未来を作るために、私は……！」
アンネリースの星座の糸が輝きを取り戻し、リディアの光と共鳴するように輝きを放つ。

アステリオンはその光景を見つめ、僅かに表情を歪めた。
「アンネリース、お前がその選択をするのか……。愚かだな。」


---

決戦の幕開け

リディア、瀬戸、アンネリースの三人が力を合わせ、アステリオンの冷酷な闇に立ち向かう。星々の輝きと闇の力がぶつかり合い、塔全体が揺れる。

瀬戸が叫ぶ。
「行くぞ、リディア！ アンネリースも、今度こそ頼りにしてるからな！」

リディアは頷き、輝きをさらに強める。
「分かってる！ 未来は、私たちの手で作る！」

アンネリースは静かに手を掲げ、糸を操りながら囁いた。
「アステリオン様、あなたの悲しみも、この戦いで終わらせます……！」

その瞬間、星々の力が一つに重なり、アステリオンの暗黒を貫いた。彼の冷酷な瞳が僅かに揺れ、やがてその体は星屑となって空間に溶けていく。