悲空

KanaCielo

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一族からの呼び出し

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「今日も配信来てくれた方ありがと!
 おつかな~!」

 (今日もなんだかんだ遅くまで配信してしまったな…。もうちょっと時間配分気をつけないと動画編集に手が回らないや。)


 城田要は、配信画面を閉じてカーテンを開けてから部屋の電気を消した。紫色の空がオレンジの光で染まる。眩しさに目をしばしばさせ、ベットには入った。布団の柔らかさと肌触りが眠気を誘う。

 鳥の鳴き声が僕の一日の終わりを告げる。





 ブーブーブーブー

「わっ!誰!?」

 危険物注意!みたいな警戒音が鳴り響く。目覚ましに設定している音なのでうるさいなーと思いながら消そうと携帯を見ると着信の表示。

 着信名は【一族】

 時刻は朝5時過ぎ、要はこれからが寝る時間だが、一般的にはまだ寝てる時間だろう。寝てて気づかなかった、そう言い訳を後ですれば良い。無視を決めたいところ……だけどこの時間にかけてくるってことは急用なのだろう。

「はい、何かありましたか?」

「出るのが遅いのよ、ノロマね今すぐに用意をしなさい、迎えは直ぐによこすわ」

 要件だけ伝えて電話はブチッと切れた。
 命令し慣れた声、この声を聞くと要の心は落ち着かなくなる。
 この一族はの横柄な態度の人が多く、関わりたくないのが本音だ。それができないのは、本能が強者に従え口答えするなと言うからだ。


 仕方なくやっと入ったベッドから抜け出し、ノロノロと外出の準備を始める。
 あらかた用意が出来たなというタイミングでアパートの駐車場に車が止まる音がした。


 木造で築何年も経っているアパートは、早朝に近所迷惑になる前に回避できるのが利点だな。

 外に出ると運転手が立っていて、要の顔を見るなり一礼をして後部座席のドアを開ける。

「お久しぶでございます。シエロ様」

 聞きなれない名前で呼ばれ人違いです。と帰りたいが、シエロもまた自分の名前のため何も言わず大人しく車に乗る。

 カーテンで窓が見えず、助手席とも仕切られていて話す気にも慣れない。薄暗い車内に数時間も揺られてると疲れもあって寝てしまった。
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