悲空

KanaCielo

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青の一族(事故)

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 一族の名をここに書いたら怒られそうなので、青の一族としておこう。


 青の一族と合ったのは、1年前のことだ。


 _____


 いつもながら時間にギリギリで、その日も仕事の30分前にようやく布団から出た。


「そろそろ用意しなきゃ遅刻だ…」


 用意もそこそこに家から出て自転車にまたがる。自転車で10分の距離なので5分前には着く計算だ。


 それでもゆっくり運転してれば遅刻してしまう。平日の昼過ぎということもあり、車や人通りも少なく、ゆるやかな坂道なのでかなりのスピードが出てたと思う。



 4メートル先に急に車が顔を出したのが見えた。


「あっ!」


 要は驚いて、両手で急ブレーキをかけてしまった。
 坂道で立ち漕ぎをしていて前のめりだったからか、ブレーキをかけた瞬間に後輪が浮きさらに体が前に傾く。


 こういう時って本当にスローモーション何だと考える時間が何故かあった。それでも対処策を考える時間なんてなく、ただハンドルをギュッと握りしめた。



「……っつ…」


 握りしめた反動で胸部をハンドルに打ち付け、バランスを崩し一回転してコンクリートに頭から落ちた。


 車と衝突することは回避出来たが、胸部を打ったからか痛みで息が吸えず声も出せずに蹲ることしかできなかった。



「大丈夫ですか?救急車呼びますか?」


 歩行してた方が声をかけてくれるのは聞こえるが、大丈夫と伝えたいが痛みで声が出ない。


 運転手も車から降りてくるのが見え、何か言ってるが胸が痛くて息が吸えない状況が分からなくて少し待って欲しかった。


 大丈夫だから救急車は呼ばないで、早く仕事に行かなきゃ遅刻する。この痛みさえ引けば声が出ると思っていると、浮遊感がして男に持ち上げられた。


 (え?え??何……痛い……)



 俵担ぎにされて運ばれてる。ちょうど胸部が肩に当たって振動でさらに痛い。
 わけも分からず車のドアがあき、ちょっと投げられるように押し込められた。


 頭も打ち付けたため痛いのに更に押し込められた時にぶつけ、痛みを目を閉じてやり過ごしているとそのまま寝てしまった。



 ____



 目が覚めると布団に寝かされていた。畳、襖、電気も旅館みたいだった。


「仕事!痛っ……」


 勢いよく起き上がってしまったためか頭が酷く痛く布団に戻って閉まった。
 周りを渡すと、自分の荷物が置いてあり、携帯もあった。


 チャットを開くと、複数回の電話とメッセージが来ていて、仕事の時間より4時間も遅れている。


「うわぁ……最悪だ。ここどこかも分からないし。とりあえず電話!」


 (ここどこなんだろ…多分今日は仕事行けないな)


「やっと連絡来た、寝坊?」


 上司に伝えてもらおうと同僚に電話するが、寝坊で遅刻が何回かあったからか繋がった瞬間に言われる。


「いや、違くて……車と事故?にはあってないんだけど、気を失ってたら誰かの家に来てて……今日は仕事行けないって伝えて貰えますか?」


「え?事故って大丈夫?誰かの家ってそれ大丈夫なんか!?警察呼ぶ!?」


「分からない、頭が痛くて……明日まで連絡無かったら頼よ」


「縁起でもないこと言うなよ」


「車にぶつかりそうになって、その車の人の家だと思う。多分大丈夫だと思うけど、連絡途切れたらよろしく」


「できるだけチャットしろよ!」


「わかった……じゃあ、上司には宜しくお願いします。」


 電話していたらさらに頭痛が酷くなり、布団に踞る。カバンの中に痛み止めなかったかなと探って見つけるが、飲み物がない。


(どうしようかな……ここにずっといても痛いだけだし、水貰えるかな?)


立ち上がって襖まで音を立てないように気をつけて歩いた。

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