拉致られて箱庭掃除をやらされてます。~きっと犯人は闇の組織に違いない

那珂川

文字の大きさ
13 / 58

ダンプカー犬と幽霊とオーブと龍踊りの会話

しおりを挟む
 浮島を守護するフェンリルの二頭は、最近漸くこの世界を管理してくれる神を迎えた。
 この世界が造られ、自分達神獣等が造られた時は創造神が管理していた。
 その創造神はいつも気だるそうで、いつも別の世界の創造神のことを愚痴っていた。

 ふと気付けばこの世界の創造神が姿を消し、管理者が居なくなったこの世界の中心にある世界樹が徐々に枯れていくという事態に陥ってしまった。
 直ぐにどうこうなるわけではないが、この世界に生きている全てのものにとっては由々しき事態であった。
 神獣であるフェンリルや龍達にもどうすることも出来ず、精霊も力が衰えていった。
 その中でも光龍と呼ばれる白い龍は浄化のスキル持ちだったので、少しずつこの世界を取り巻いていく瘴気を浄化し続けたが、それも焼け石に水だった。

 ある時他の世界の創造神ローマンザックが現れ、この世界の創造神カルキントスが夫持ちの何処かの女神と駆け落ちしたことを説明され、フェンリル達は呆然した。
 そんなフェンリル達に、ローマンザックは新たな管理者である神を連れてくるからそれまで我慢して欲しいと告げる。
 何でもその人物は、ローマンザックが『チキュウ』という世界に遊びに出掛けた時に命を助けてくれた心優しい人らしいのだ。
「彼はね、本当に本当に優しくて、遊んでくれて、ずっと傍に居たいぐらいだった人なんだ」と頬を染めながら話すローマンザックの姿を見て、フェンリル達は心をときめかせた。
 今度の神様なら自分達と遊んでくれるかもしれないと。

 それから暫くしてフェンリル達が守護する浮島に二階建ての家が出現した。
 木で造られたその家から何やら優しい波動を感じた。

 来た!神様が来た!
 フェンリル達は嬉しくて堪らない。
 ローマンザックからは新たに神が来ても驚かさないであげてね、と言われいたが、早く自分達の主に会いたいフェンリルは、家の扉を開けようする主の雰囲気を感じ、扉に張り付いた。

 が、開いた扉は直ぐに閉められた。

 主を驚かせてしまったフェンリル達は慌てて扉から離れ、今度は主から接触してくるまでじっくりと待つことにした。

 庭で待っていると水と土の精霊王と、多くの精霊たちがやって来ていた。
 皆、神様がやって来るのを待ち望んでいたからだ。

「いやぁ~フェンリルさん達もニッコニコですなぁ」

「そういう貴方方精霊王もソワソワしてるじゃないですか」

「そらもう、あんだけ待った神さんですよ?世界樹ユグドラシルのユグさんも早く瘴気消して~♪ゆ~てテンションMAXになってはりましたわ」

「「「「なってたなってたで~♪」」」」

 精霊王の周りを飛び回る精霊達も楽しそうだ。

 そこへフラフラと上空から浮島に降りてくる者が居た。

「光龍殿、久方ぶりですね」

「いやぁ、参った参った」

 光龍は白い身体を庭に横たわらせた。

「光龍さんも久しぶりですなぁ。ゆ~ても1年ぶり?」

「実は水龍にもっと海を浄化しろと文句言われてな。断ったらワシの美しい鬣の手が届かん部分を三つ編みして行きおったんよ。そんなかっこ悪い姿嫌じゃろ?なもんで山に擦り付けたりしたんじゃけど中々解けんで、周りにちょ~と咆哮したら人間達の街を壊したみたいでの。何やら結界?みたいなので眠らされとったわ」

「何やってんですか、貴方は」

「いやぁ面目ない。しかし昨日目が覚めての。もしかして新しい主が来とるんじゃと思うて浮島に来てみたんじゃよ」

 光龍は少し疲れが見えるが、背を反らしたり尻尾をグルグル回したりとストレッチをしている。

「ほぉ~人間も結界が作れるようになったんやなぁ。光龍さんとこやったらライソン帝国かいなぁ?眠らされたんゆ~のにえらいのほほんとしてますなぁ」

 木の精霊王が訝しげに光龍を見詰める。
 ここ十数年、精霊の力が衰えて人間に強制支配されていた精霊達が、少しずつ解放され、精霊王にもその分力が蘇って来た為、精霊王達は人間に罰を与えようか会議で話し合っているらしい。

「ワシは鬣が元に戻ればどうでもええんじゃ。それに結界で眠らされたのもワシが暴れたからじゃしの。ライソン帝国の港街ではワシを崇める祭を開催してくれとったし、代替わりしてから頑張っとるようじゃしの」

 崇める祭の部分で光龍は照れたように頬を染めたが、精霊王やフェンリル達はスルーした。

「ワシもこっそり人化して祭でたんまり酒を飲んで楽しんどるんじゃ」

「酒!?なんつ~羨ましいことを!ウチらも飲みたいわ!昔は精霊を大事にする人間もおってテーブルの隅に酒の一杯でも置きよったんに、強制支配スキルを持った人間が現れてから扱いが酷いもんや!」

「ほんま、むかっ腹立つわ!」

「「「「ほんまや、ほんまや~」」」」

 水と木の精霊王はプンスカプン状態である。

「え?人化して鬣の三つ編みを解けばいいんじゃ…」

「え?」

 フェンリルの内の一頭がボソッと呟きに、光龍は人化して三つ編みを解き、又元の龍の姿に戻り、まるで何もなかったかのような態度をとった。

「まぁまぁ、このまま主の浄化が進めば、その強制支配も徐々に使えなくなるだろう。あのスキルは瘴気が濃くなってから生まれたものだしな」

「そやな、ほな、ウチら又会議室に戻るわ。もしかしたら風のやら火のやら光のやら闇の達が庭に来るかもしれへんから、もし来たらよぅしたってな」

 二人の精霊王はスーッと消えていき、精霊達も竹林へ消えて行った。
 竹林の奥には花畑があり、精霊達はその花畑で自分達を癒すのだ。
 強制支配を抜けて、庭に現れた時の精霊はボロボロでグッタリしていたが、花畑で少しずつ回復していった。主と家が現れてからは回復するスピードが早くなったのか、庭に集まって来る様にもなった。

「ワシもちょっと疲れとるんで、庭で休ませてもらう」

 そう言って光龍は身体を完全に横たわらせて目を閉じた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

処理中です...