勇者パーティから戦力外通告された宿屋送り組、捨てられたはずが“街の英雄”になりました。

まぴ56

文字の大きさ
1 / 1

勇者パーティから戦力外通告された宿屋送り組、捨てられたはずが“街の英雄”になりました。

しおりを挟む
 戦場の夜は、火があっても寒い。
 焦げた草の匂いと、血の鉄臭さが混ざって、息を吸うたび喉の奥がざらつく。

 焚き火の橙が、勇者の顔を半分だけ照らしていた。もう半分は影だ。
 影のほうが似合う顔をしている。勝っても笑わない、負けなくても喜ばない——そんな顔。

 焚き火の向こう側で、遊び人の金髪が揺れた。
 腰まで伸びたロングの髪が火の光を拾って、蜂蜜みたいに光る。本人は軽く笑ったつもりだった。いつも通りに。いつも通りにできるはずだった。

「……遊び人。ここまでだ」

 言葉は静かだった。静かすぎて、火のはぜる音のほうが大きく聞こえる。

「え? なにが?」

 軽く返したつもりだったのに、声が少しだけ上ずった。
 笑って流すはずだった。いつもみたいに。

 隣でバトルマスターが武器を拭いている。剣、槍、斧、短剣。どれを握っても手が迷わない。近接の最強職——いや、近接という枠すら狭い。武器という武器を使いこなす、戦の天才。

 賢者は杖を鳴らした。魔力の残り香が雪みたいにふわりと散る。
 回復も、攻撃も、支援も、ほとんど全部を一人でやってのける最強魔術職。——そして、遊び人が本来座るはずだった席を奪った人。

「明日からの布陣は、わたくしが支えます。回復も、支援も、殲滅も——最適化できます」

 賢者の声は落ち着いている。
 正しい。正しいから、逃げ道がない。

「つまり、あたしは……いらないってこと?」

 言い方だけ軽くした。軽くしないと、ここで崩れる気がした。

 勇者は、ようやくこちらを見た。
 その目が、ひどく疲れているのが分かった。——責任と恐怖を、ずっと飲み続けている目だ。

「生き残るためだ。……お前を嫌いになったわけじゃない」

「優しい言い方しても、同じじゃん!」

 喉が熱い。笑ってるのか、泣きそうなのか、自分でも分からない。

 そのとき、盗賊が遊び人の袖を掴んだ。
 強く握っているのに、指先が冷たい。戦場で鍛えられた手なのに、やけに震えて見えた。

「……盗賊」

 たったそれだけで胸が詰まった。

「大丈夫だから。そんな顔しないで」

 遊び人は袖を引いて、盗賊の額を指で軽く弾いた。笑い方だけ、いつも通りにしてみせる。

「宿屋でしょ? 預ける場所。預けたら、また引き出す。——ほら、簡単」

 盗賊は唇を噛んで、視線を落とした。

「……絶対、戻るよね」

「戻るよ。呼ばれたら、すぐに戻ってくる」

 口が勝手に言う。
 言ってしまえば、本当にそうなる気がしたから。

 勇者は火に薪を足した。ぱち、と火が弾ける。

「宿屋の場所は伝えてある。必要になったら呼ぶ。……それまで休め」

「休めって……」

 言い返そうとして、やめた。
 言い返したら、ここで全部終わってしまう気がした。

 遊び人は荷物を背負い直して、焚き火の輪から一歩外へ出た。
 背中が冷える。火の温度が、いきなり他人事になったみたいに遠い。

     ◆

 宿屋は王都の外れにあった。
 門をくぐって数本、石畳の通りを曲がったところ。町の喧騒が薄まり、かわりに酒と汗と諦めが混ざった匂いが濃くなる。

「いらっしゃいませ!」

 カウンターの向こうの少女が、背伸びしてこちらを見上げた。
 小さな手で帳面を押さえ、目だけがやけにまっすぐだ。

 栗色の髪をきちんとまとめ、袖をまくった腕には働き者の細い筋が浮いている。年齢はまだ十代半ばだろう。なのに宿の空気の“主”みたいに見えた。

「……勇者さまの、仲間の方ですか?」

「そ。今日からここ」

 少女は一瞬だけ、唇を結んだ。笑顔が止まり、それから慌てたみたいに戻る。

「フィオナと申します。……お部屋、空いてますよ! えっと、ここは、その……ちゃんと宿屋なので。寝て、食べて——」

「うん。ありがと」

 鍵を受け取って振り返った瞬間、酒場のほうから大声が飛んできた。

「ぷはぁっ!! 人生終わったぁぁぁ!!」

 見覚えのある顔。
 テーブルに突っ伏した僧侶が杯を振り回している。白髪が乱れ、頬は赤い。首の聖印がエールの泡で濡れて光っていた。

「……僧侶さん?」

「さん付けやめろって何度言えば覚えんのよ、あんた! 敬称付けられれば現実が回復するの!? 回復しないよね!? じゃあ飲む! わたしは飲む! お酒こそが全人類のヒーラーなのよ!!」

「いや、ヒーラーは僧侶でしょ……」

「ヒーラーが回復される側になった時点で世界は終わってんの! わたしの尊厳返して! あと金貨も! それとエールおかわりぃ!!」

 叫んで笑って、また叫んで。
 でも目だけが笑っていない。——“最初に宿屋送りにされた者”の目だ。

 作業台のほうでは、戦士が粉をふるっていた。
 高身長の体は鎧の名残みたいに真っ直ぐで、赤髪を太い三つ編みにして背中へ流している。

 壁に掛けられた大きな斧。刃の部分に、なぜか生地がべったり付いている。

「……戦士。斧、どうしたの」

 戦士が振り返る。姿勢が無駄に良い。声も無駄に格好いい。

「これは斧であり、料理道具だ」

「……り、料理道具」

「食を支えるのも戦いだ。斧は戦いの道具。つまり料理道具にもなりうる」

「物凄い暴論を言い張ったな……」

「言うな」

 短く、強い。
 なのに作業台の端に、小さな星型の型抜きが置いてあるのを遊び人は見逃さなかった。

 奥の席。踊り子が膝を抱えて、床の木目を見ている。
 細い体が椅子に沈み、水色のボブが頬にかかる。足首の鈴は布で巻かれて鳴らない。

「踊り子ちゃん、久しぶり。元気にしてた?」

「……うちに話しかけんといて。あんさん、うち見たら運落ちる」

「落ちないって。踊り子ちゃんといると元気になれるし!」

「落ちる。うち、役立たずやもん。笑わせるために来たのに……笑われて終わった。もう、踊れへん」

 言葉が重くて、吐いた息まで沈む。

 さらに奥。武闘家が薬草をすり潰していた。
 黒髪短髪の、小さな少女。机の上に整然と並ぶ瓶、包帯、針。手つきだけが異様に落ち着いている。

「立ってても良いが、邪魔はするな」

「う、うん。その、お久しぶり——」

「手」

「え?」

「手を見せろ。震えてるな。寝不足と冷え。……そのままだと倒れるぞ」

「いきなり診察!?」

「倒れられると面倒だ。自己管理はしろ。ここにいるやつ、だれ一人として、できてはいないがな」

 面倒、と言いながら、包帯の巻き方は丁寧だった。

 扉が開いて、冷たい夜気と一緒に、香水みたいな匂いが入り込む。

「武闘家さま! その資料、勝手に持ち出してはなりませんわ!」

 魔法使いが山のような書類を抱えて入ってくる。
 桃色の髪をツインテールに結い、背筋は真っ直ぐ。声は高貴。……なのに、段差でちょっとよろけた。

「ちょ、魔法使い大丈夫?」

 遊び人が支えると、魔法使いは顔を赤くして顎を上げる。

「だ、大丈夫ですわ。わたくし、淑女ですの。転びませんの」

「転びかけてたから……」

「見なかったことにしてくださいませ! 遊び人さんは昔からいけずですわ!」

 酒場を見回す。
 武器がない。鎧がない。戦いの匂いがしない。

 あるのは、酒と甘い匂いと、巻かれた鈴と、薬草と、書類の山。

「……前線に戻った人、いないの?」

 僧侶が杯を机に叩きつけた。
 こぼれた泡が木の染みに吸い込まれていく。

「いないわよ。ひとりも。わたしが最初で、わたしが最後」

 言い切って、僧侶は笑った。笑ってから、急に真顔になる。

「……あんたもね、すぐ分かるわよ。ここは“預ける”場所じゃない。“捨てる”場所だってこと」

 胸の奥が、きしんだ。

「そ、そんなわけないって!」

 遊び人は笑って見せた。
 笑わないと、この空気に飲まれる気がした。

「呼ばれるよ。だって、あたしは……ずっと一緒に——」

 言いかけて、止まる。
 ここで勇者の名前を出したら、何かが壊れる気がしたから。

 盗賊はいない。
 勇者もいない。
 焚き火の輪は、ここにはない。

     ◆

 数日。数週間。
 宿屋の窓から朝日が差し込んでも、勇者からの伝令は来なかった。

 僧侶は毎朝「今日は呼ばれる気がする!」と言って飲み始め、昼には「やっぱダメだった!」と言って大泣きしながら寝る。
 戦士は「これは戦闘訓練だ」と言い張りながら、クッキーを焼く。
 踊り子は鈴を巻いたまま、噴水の音だけを聞きに行く。
 武闘家は診療所へ行き、夜に宿屋へ戻って薬草の匂いを連れてくる。
 魔法使いは研究所に通い、帰るたび書類が増える。
 フィオナは朝から晩まで帳面とにらめっこをして、背伸びするみたいに必死で宿を回していた。

 遊び人は——最初、内心で見下していた。

 どうして戦わないの。
 どうして諦めるの。
 呼ばれたらすぐ行けるように、待ってるべきじゃないの。

 そう思っていたのに。

 夜になると胸の奥が空っぽになる。
 みんなが寝静まって、僧侶の寝言が聞こえて、廊下の木がきしんで、窓の外で風が鳴く。

 その暗がりの中で、遊び人はひとり、考える。

 呼ばれない。
 必要じゃない。
 ここにいるのは、ただの“余り”だ。

 ——そんなの、認められるわけがない。

     ◆

 ある朝、遊び人は宿屋を出た。
 誰にも言わなかった。言ったら止められる気がしたから。止められたら、戻れなくなる気がしたから。

 国境へ続く街道。
 王都の石畳が土に変わり、畑が途切れ、草原が広がる。

 風が強い。
 草が波みたいに揺れて、その間から“それ”が湧く。

 牙。爪。腐臭。
 モンスターだ。

「……来なよ」

 遊び人はブーメランを握り直す。
 勇者がくれたもの。軽い木の柄。刃は小さく、戦士の斧みたいな説得力はない。バトルマスターの剣みたいな威圧もない。

 それでも——手に馴染んでいる。

 投げる。
 回転。
 斬る。
 戻る。

 ブーメランが戻るたび、手首に衝撃が返ってくる。
 痛い。地味に痛い。じわじわ痛い。

 でも、やめられない。

 夜が明けてもモンスターは湧いた。
 昼が過ぎてもモンスターは湧いた。
 夕日が落ちてもモンスターは湧いた。

 三日三晩、眠らずに戦った。

 視界が霞む。
 毒の痺れが足を舐める。
 熱が出て、寒気がして、胃がひっくり返る。

「……っ、まだ……!」

 投げる。戻る。投げる。戻る。
 ふらつく。転ぶ。立つ。

 足元の死体が増える。
 自分の血も増える。

 ——あたし、ほんとに戦える職じゃないんだな。
 今さらそんな当たり前が、笑えない。

 そのとき、遠くで悲鳴がした。

 草の波の向こう、荷車が横倒しになっている。
 そのそばで、小さな影が逃げ惑っていた。

 栗色の髪。
 袖をまくった腕。
 目だけがまっすぐな——

「……フィオナ!?」

 宿屋のオーナー、フィオナだ。
 どうしてこんなところに。仕入れか。薬草か。薪か。分からない。

 分からないけど、身体が勝手に動いた。

 遊び人は走る。
 足の速さには自信があった。今までずっと嫌なことから逃げ続けた人生だったから。——でも、今日は逃げ足じゃない。

 守るための速さだ。

 ブーメランを投げる。
 追っていた狼型のモンスターの喉が裂ける。
 次が来る。次も来る。

「フィオナ、こっち!」

「っ……!」

 フィオナが駆け寄る。だが足がもつれる。
 その背後から、爬虫類の巨体が跳んだ。

「——っ!」

 遊び人は身体ごとフィオナを抱えて転がり、間一髪で噛みつきを避けた。
 避けた、はずだった。

 次の瞬間、視界が裏返る。

 モンスターの尾が、遊び人の腹を叩き潰した。

 息が抜ける。
 声が出ない。
 内側がぐちゃりと沈む感覚。

 それでも、遊び人は笑おうとした。
 いつもみたいに、軽く。

「……だい、じょ——」

 言葉にならない。
 視界が黒くなる。

 フィオナが必死に遊び人の腕を掴んだ。
 手が細くて、震えている。

「や、やだ……! 起きて……! お願い……!」

 ここで倒れたら、呼ばれた時に戻れない。
 ——でも。

 黒が全部を飲み込んだ。

     ◆

 目を開けると、天井があった。
 木の梁。白い布。ほのかに薬草の匂い。

「ようやく起きたか」

 枕元に武闘家が座っていた。
 黒髪短髪の小さな少女が、椅子を引き寄せて腕を組んでいる。

「……ここ……」

「宿屋。おまえ、丸二日寝てた」

「二日も!?」

 跳ね起きようとして、頭がくらっとした。
 武闘家が額を指で押さえて戻す。

「寝てろ。まだふらつく」

「……なんで、助かったの」

「僧侶の回復だ。……あと、知らせが来た」

「知らせ?」

 武闘家が顎で扉のほうを示す。

 ガタン、と音がして扉が開いた。
 飛び込んできたのはフィオナだった。息が切れている。目が赤い。胸に手を当てているのに、笑おうとして失敗する。

「……よかった……! ほんとに、よかった……!」

 その後ろから、僧侶が入ってくる。目の下にクマ。なのに杯を持っている。

「起きた! 起きたじゃん! あんた、馬鹿! ほんと馬鹿! あんたのせいでわたし二日間飲む暇なかったんだからね!?」

「最後のそれ、怒るところそこ!?」

 続いて、戦士が入ってくる。焼き菓子の包みを抱えている。
 赤髪の太い三つ編みが揺れもせず背に落ちていた。静かな足音が、逆に怖い。

 戦士の影に踊り子がいた。細い体を縮めるみたいに、布で巻いた鈴を握っている。
 魔法使いも息を切らしていた。桃色のツインテールが少し乱れている。

「遊び人さま! 勝手にいなくなるなんて——!」

「もしかして怒ってる?」

「当たり前ですわ!」

 戦士が包みを差し出した。

「……食べろ」

「……みんな、助けに来てくれたの?」

 聞いた瞬間、胸が締まった。
 返事が怖かった。

 僧侶が椅子を蹴って座り、テーブルを指で叩く。

「当たり前でしょ!? 放っとけるわけないじゃん! あんたが居なくなったら、誰がわたしの愚痴を聞くの!? 誰が戦士をからかうの!? 誰が踊り子の背中押すの!? 誰がわたしのゲロ掃除すんの!? ねえ!?」

「僧侶の愚痴がメインになってない?」

「そうに決まってんじゃない! 皆に迷惑かけていいけど! わたしには迷惑かけないでよ!」

 戦士が咳払いする。

「……騒ぐな」

 魔法使いが唇を噛む。

「……あなたさまがいない二日間、宿屋が……静かすぎましたの」

 踊り子が小さく言う。

「……あんさん、帰ってこないか思って、うち……怖かった」

 その一言で、遊び人の中の何かが決壊した。
 笑って誤魔化せない。喉が勝手に泣き声になる。

「……こわかった……!」

 声が出た。ずっと言わなかった言葉。
 ずっと“明るい遊び人”でいるために、飲み込んできた言葉。

「こわいよ。置いていかれるのも、役立たずって言われるのも、みんなが死ぬのも……!」

 息が詰まって、泣いて、泣いて、笑ってしまった。

 武闘家が呆れたみたいにため息をつく。

「遅い」

「うるさいなあ……」

「遅いけど、言えたならいい」

 僧侶が目尻を拭って、鼻を鳴らした。

「……ほら、飲む? 泣いた後の酒、うまいよ」

「僧侶、結局それ!?」

「結局これよ! 酒は皆のヒーラーなの!!」

 戦士が小さく笑った。見間違いじゃない。
 踊り子が布を少しだけ緩める。鈴が小さく鳴った。

 それは、泣き声より弱くて、でも確かに“生きてる音”だった。

     ◆

 そこから先、宿屋は少しずつ変わった。

 遊び人は僧侶と飲んで、馬鹿騒ぎして、翌朝頭を抱えて、また笑う。
 戦士と一緒に菓子を作って、孤児院に届けて、子どもに囲まれて逃げる戦士を見て笑う。
 武闘家の診療所では薬草を運び、泣く子の手を握って、痛いのが終わるまで一緒に歌う。
 魔法使いの研究所へ差し入れを持っていって、書類の山に埋もれた魔法使いを引き上げる。
 踊り子とは噴水前で、最初は立つだけ。次に手を動かすだけ。次に一歩だけ。鈴が鳴るたび、踊り子の表情が少しずつ戻っていく。

 気づけば、宿屋のテーブルはいつも埋まっていた。
 最初は宿屋の人間だけ。次に町の人が混ざり、兵士が混ざり、旅人が混ざる。

「おい、遊び人! 今日も噴水前やるんだろ!」

「やるやる! 踊り子ちゃん、行こ!」

「……しゃあないなぁ」

「おい僧侶、飲む前に踊れ!」

「わたしは飲んでから踊る! それが流儀なの!」

「酒飲む流儀ってなんだよ!?」

 笑い声が町に散っていった。
 それがいつのまにか、町の空気を少しだけ軽くした。

 ——このままでも、悪くない。
 そう思い始めた頃だった。

     ◆

 噴水前で、背中から呼び止められた。

「遊び人さん!」

 振り返るとフィオナがいた。
 いつもより顔色が悪い。息が浅い。手が震えている。

「城壁南部が……南部が危ないんです。お父さまが、騎士団長が……!」

 フィオナの声が震える。
 周りの町人たちが、どこかそわそわしているのに気づいた。いつもより人が少ない。騎士も少ない。空気が落ち着かない。

「城壁南部が魔王軍の猛攻を受けて、決壊寸前なんです! でも、みんなの混乱を避けるために、国はこのことを隠してて! でも、みんなうっすらと気づいてて……」

「……国王は隠してる。でも、みんな気づいてる。そういうこと?」

 フィオナは涙をこぼして頷いた。

「お願いです……! 助けてください……! お金なら——」

 小さな財布から金貨が覗いた瞬間、遊び人はフィオナの手をそっと押さえた。

「いらない」

「……え」

 遊び人はしゃがみ込んで目を合わせる。
 フィオナの瞳が揺れる。拒絶されたと勘違いしそうになる、その揺れ。

「依頼は受け取れない。……勇者パーティって、そういう決まりあるし」

 フィオナの顔が崩れかける。
 だから遊び人は、ぎゅっと彼女の手を握った。

「でもね。依頼じゃない。家族を助けるのに、金はいらない」

「……家族?」

「この町の人、みんな。あたしの家族みたいなもんだし」

 フィオナがきょとんとする。
 その顔が、あまりにも幼くて、守りたいと思ってしまった。

「結論。あたしは、あたしが助けたいから助けに行く。心配も金もいらない」

 遊び人はウインクして、親指を立てた。
 フィオナはバッと遊び人に抱きついた。安堵で、涙が溢れていた。

「……ありがとうございます……!」

 背中に小さな重み。
 それだけで胸が熱くなる。

 ——そして遊び人は、走り出した。

 振り返らない。
 仲間を呼ぶ時間もない。呼んだら止められる。止められたら、また“預けられる”気がした。

 逃げ足の速さじゃない。
 守るための速さで。

     ◆

 南へ向かう道は、いつもより静かだった。
 畑は荒れ、荷車が放り出され、鳥の鳴き声すら少ない。風が草を撫でる音だけが耳に残る。

 嫌な静けさだ。戦場の前の、呼吸の止まった静けさ。

 遠くに黒煙が見えた。
 焦げた匂いが風に混ざって来る。胸の奥が、ひゅっと冷える。

 歩幅が自然に速くなる。
 指が勝手にブーメランの柄を確かめる。軽い。頼りない。いつも通りの相棒なのに、今日は妙に心細い。

 それでも、行く。

     ◆

 前線は、地獄だった。

 折れた槍。潰れた盾。血に沈んだ草。
 モンスターの死体が散り、騎士の死体がその間に転がっている。

「……なにこれ……うそでしょ」

 喉の奥が冷える。
 それでも遠くでまだ戦っている影が見える。——人間だ。生きている。まだ、間に合う。

 今にも首を取られそうな兵士がいた。
 遊び人はブーメランを投げた。風を切って飛び、モンスターの首を刎ねる。

「助かった……!」

 兵士が振り返った、その瞬間。

 後ろから巨体が現れて、兵士の首が跳ねた。
 赤が噴き上がる。世界が一瞬、音を失った。

「……っ!」

 震えが背骨を這い上がった。
 何度見ても慣れない。慣れてはいけない。

 歩いてくる影がいる。

 四つ腕の骸骨騎士。漆黒の鎧。兜の隙間から赤い眼光。
 大剣、大斧、長槍、ハンマー。四つの武器が、それぞれ別の死に方を約束しているみたいに光る。

 魔王軍幹部、四つ腕の骸骨騎士——ドンブラン。

「……見覚えがあるな」

 声が骨の内側に響く。
 脂汗が頬を伝う。手が震えてブーメランが滑りそうになる。

「……そうか。勇者一行の雑魚か」

 悔しい。腹が立つ。
 なのに怖い。怖すぎて、膝が笑いそうになる。

 ——あの勇者が、負けた相手。
 バトルマスターでも、盗賊でも、届かなかった相手。

 視界が暗くなりかけた、その時。

「名乗れ! 魔王軍幹部!」

 倒れていた騎士が立ち上がった。
 荘厳な鎧。血まみれの剣。背中は折れそうなのに、声だけは折れていない。

「私は王国騎士団長! 国王のため、国民のため! ——そして、国で待つ娘のために! お前を止める!」

 フィオナの父。
 その言葉だけで胸がぎゅっと潰れた。

 ドンブランが興味深そうに首を傾げる。

「貴様のような雑魚に、何ができる」

 騎士団長は笑った。歯の隙間から血が滲む。

「何もできん。何もできん……が、それでも立つ! 怖くても、無様でも、負けても! ——俺の後ろには、守りたいものがある!」

 剣が振るわれる。
 黒い甲冑に弾かれた。

 宙を舞った団長の腹に、ドンブランの蹴りが突き刺さる。
 団長は地面を跳ねて転がり、動かなくなった。

 それを合図にしたみたいに、森の奥からぞろぞろとモンスターの群れが現れた。
 興味が失せたように、ドンブランが踵を返す。

「後は餌にくれてやる」

 ——置いていく。
 団長も、兵士も、町も。全部。

 その背中に、遊び人の身体が勝手に動いた。

 ブーメランを投げる。
 ただ投げるんじゃない。聖水を叩きつけたブーメランを。

 ガッ、と鎧の肩口が焼けた。
 ドンブランが振り返る。赤い目が見開かれる。

「……傷、だと?」

 遊び人の手には空の小瓶。
 今日の朝、街のシスターに押し付けられた聖水。

『お守りよ。あなた、無茶する顔してるもの』

 今になって、その声が刺さる。

 遊び人の足が動く。
 後ろじゃない。前へ。

 逃げない。
 勝てないと分かっていても、立つ。

 剣が振り下ろされる。斧が叩きつけられる。槍が貫こうとする。ハンマーが地面ごと砕く。
 遊び人は避けて、転んで、血を吐いて、それでも立った。

 ブーメランで殴る。切る。叩く。
 ほとんど効かない。効かないのに、やめられない。

「……っ、はあっ、はあっ……!」

 息が熱い。視界が滲む。
 団長が倒れている。まだ生きている。胸が上下している。

「……死なせない……!」

 ドンブランの赤い目が、苛立ちに染まった。

「薄汚い執念め」

 ハンマーが真正面から遊び人の腹をえぐった。

 骨が折れ、内臓が弾け、筋肉がちぎれる音が響く。
 と同時に、遊び人は吹き飛ばされた。

 何度も地面を跳ねて、ようやく止まった。
 彼女の手から離れたブーメランだけが、くるりと虚しく回転し、ころりと滑って——ドンブランの足元に残った。

 そこでドンブランの焦りがすっと消える。
 消えたのは焦りだけじゃない。胸の奥に刺さっていた違和感が、ようやく名前を持つ。

 ——この弱者を、俺は怖れていた。

「……貴様を侮っていた。だが、今は違う」

 腐っても騎士。
 そう言い聞かせるみたいに、ドンブランは右腕の大剣を掲げた。介錯でもするつもりなのか、刃が夜の天を指す。

「弱者の勇気に——敬意を示そう」

 一歩。二歩。
 ブーメランを踏み越え、倒れ伏す遊び人へ近づく。

 大剣が大きく振りかぶられ——振り下ろされた。

 ——ガキンッ!

 金属が嚙み合う爆音とともに、赤い砂煙が舞い上がった。

 砂煙の向こうで、遊び人は立っていた。
 近くの騎士の剣を拾い、大剣を受け止めていた。肩が震える。全身の傷が開いて血を吹く。

 なのに、口が動いた。

「ふざけんな……敬意とか、かっこつけんな……!」

 涙なのか汗なのか分からないものが頬を伝う。

「怖いよ! 怖くて怖くて怖くて、逃げたい! 勇気なんてない! ——でも!」

 剣を押し返して、よろめきながら立ち直る。
 足元に倒れた団長を見る。

「……あたしは、バトルマスターみたいに世界一強くない! 賢者みたいに世界一賢くない! 盗賊みたいに勇者を世界一愛してるわけでもない! 勇者みたいに世界一勇敢じゃない!」

 喉が痛い。声が枯れる。

「——でも、世界で一番、みんなが大好きなのは、あたしだ!! だから……!」

 ドンブランが斧を振り下ろした。
 ——その刃が、透明な壁に弾かれた。

「なに——」

 遊び人の目の前に薄い光の膜。守りの膜。
 さっきまで無かったはずの——“味方の魔法”。

「やっと届いたぁぁ!!」

 聞き慣れた、酔っぱらいの声。

「守る! 守る守る守る! だってわたし、勇者パーティのヒーラーなんだからぁぁ!!」

「僧侶……!?」

 白髪の僧侶が杖を振り上げる。
 光が広がる。倒れている騎士たち全員に、薄い膜が張られる。

「酔ってても詠唱はできるから! むしろ酔ってた方が声出るわ!!」

 次の瞬間、空から炎の弾幕が降った。
 森から出てくるモンスターの群れがまとめて焼ける。焦げた匂いが一気に濃くなる。

「ちょっと! なにわたくし抜きでかっこいいことやってるんですの!!」

 城壁の上。
 桃髪ツインテの魔法使いが、息を切らしながらも詠唱を続けていた。巨大な魔法陣が展開され、炎弾の雨を降らせ続ける。

「あなたさま、死んだら承知しませんわよ!!」

 ——いる。来た。
 でも、どうして。いつ。

 答えは、重い足音で来た。

 ガシャン、と鎧が擦れる音。
 赤髪の太い三つ編み、高身長の戦士が、斧を担いで立っていた。

 それはもう、菓子の粉まみれの斧じゃない。
 血と土の匂いをまとった、戦士の斧だ。

「……君。立て」

 戦士はそう言って手を差し出した。
 守る対象への心配じゃない。同じ戦う者への確認。——“戦える身体か”という確認。

 遊び人は、その手を取った。

「……もちろん」

 戦士が持ち前の腕力で引き上げる。
 その瞬間、横から小さな影が跳んだ。

「何度言えば分かる」

 黒髪短髪の小さな武闘家。
 包帯を拳に巻きながら、空中で一回転して——ドンブランの顔面に踵を叩き込んだ。

 ドンブランがよろめく。
 よろめいた“だけ”だ。

「小癪な——」

 四つの腕が同時に動く。
 斧が武闘家を叩き落とそうとした、その瞬間。

 戦士の斧が横から差し込む。
 ガキン、と金属が噛み合い、火花が散る。

「私の相手をしてもらう」

 声が、甘ったるい菓子みたいじゃない。
 張りのある、戦士の声だ。

 そして——鈴の音。

 チリン、チリン。
 布がほどかれた鈴が、戦場で鳴る。

 水色のボブの踊り子が、城門の前に立っていた。
 その後ろには町民たち。包丁、鍬、棒。武器になりそうなものを握って、怯えながらも立っている。

 踊り子は深く息を吸った。
 震えている。足も、指も。怖いのは分かる。

 それでも、口を開いた。

「聞け! これは王国の闘い! つまり国民……うちらの闘いや!!」

 声が、戦場に通った。
 自信を失っていた声じゃない。鈴みたいに澄んだ声だ。

「守りたいものは己が手で守るんや! うちらは——うちら勇者パーティは、必ず前を押さえる! せやから君らは、この国を守れ!!」

 啖呵を合図に町民が走り出す。
 僧侶の回復魔法が、地面に倒れた騎士たちを一気に癒していく。
 騎士たちも立ち上がる。

「俺たちも……守りたいんだ……!」

 戦場が、息を吹き返す。

 遊び人は——胸の奥で何かが燃えるのを感じた。

 怖い。
 怖いのに。
 ひとりじゃない。

「……そっか」

 遊び人は剣を握り直した。
 指が震えているのが分かる。震えたままでも立てる。今は。

「勇者パーティって、勇者が率いるパーティじゃない」

 ドンブランが赤い目を細める。

「戯言を」

「戯言じゃない」

 遊び人は周りを見る。
 僧侶は酔いながらも詠唱してる。
 戦士は斧を構えてる。
 武闘家は小さな体で前に出る。
 魔法使いは城壁の上で喉を枯らしてる。
 踊り子は鈴を鳴らして町を動かしてる。

 ——怖い顔が並んでいる。泣きそうな顔もある。震えてるのもいる。
 それでも誰も下がらない。

「守るために立つやつが集まったら、それが勇者パーティなんだ!!」

 その瞬間、僧侶が叫んだ。

「支援、全部乗せ!!」

「え、ちょ、全部!?」

「全部だよ! 今しかないでしょ!!」

 眩い光が遊び人の身体に重なる。
 筋力増強。速度増強。耐久増強。器用増強。反射増強。
 普通の僧侶が出来ない密度の支援。——酔ってるのに、なんでこんな時だけ完璧なんだ。

 魔法使いの声が重なる。

「きようさの補正! 剣筋の収束! ——あなたさま、いけますの!!」

 踊り子の鈴が鳴る。
 その音が、鼓動と重なる。

 戦士が低く言った。

「行け」

 武闘家が短く言う。

「やれ」

 町民と騎士の声が背中を押す。
 戦場にいる全員の願いが、ひとつに重なる。

「——遊び人!!」

 遊び人は息を吸った。
 ずっと後ろから見てきた。勇者の背中で覚えた。

 でもこれは勇者“ひとり”の剣じゃない。
 守るために立った全員の、剣だ。

「勇者乃剣(ブレイブラッシュ)!!」

 一閃。虹色の光が森までを裂いた。
 木が折れる。地面が焦げる。モンスターが焼け落ちる。

 ドンブランの鎧に横一文字の光が走り、甲冑が悲鳴を上げて砕けた。

「ば、かな……」

 灰になりながら、ドンブランの赤い目が見開かれる。

「……それは、勇者だけの——」

「違う」

 遊び人は剣を下ろし、息を吐いた。喉が痛い。体が痛い。全部痛い。
 でも、心だけが軽い。

「ここにいるみんなが、立ったからできたんだよ」

 ドンブランは灰のまま風に散った。

     ◆

 戦いの後。
 宿屋の朝。

 木枠の窓から光が差し込んで、酒場のテーブルを斜めに照らす。
 遊び人はエールを飲んで、ため息をついた。

「……えへへ……やっぱ、だらっとした生活のほうが好きかも」

「反省してない」

 遊び人が僧侶をじとっと見た。白髪の先が寝癖で跳ねている。

「してるよ。ちょっとだけ」

 戦士が皿を置いた。
 星型のクッキーが並んでいる。赤髪三つ編みの顔は相変わらず無表情だが、耳だけが微妙に赤い。

「……焼きたてだ。食べろ」

「やったあ! 今日もかわいい!」

「言うな!」

 踊り子が鈴を鳴らして笑う。
 水色のボブが揺れて、その音が今は怖くないみたいに響いた。

「なあ遊び人。うち、まだたまに落ち込むけど……その、前よりはマシや」

「マシなら勝ちでしょ! どんなに良くなろうと、常に求めるのが人間だもん」

 武闘家が帳面をめくりながら言う。

「次は怪我を減らせ。おまえら、治療費がかさむ」

「現実的!」

 魔法使いが優雅に座り、扇で口元を隠す。

「みなさま。隣国から手紙ですわ」

 カウンターのフィオナが、申し訳なさそうに封蝋の手紙を差し出した。
 目の下に少しだけ疲れがある。でも、笑い方は以前より上手くなっている。

「その……皆さんの活躍が、隣国まで伝わったみたいで……」

 手紙を開く。水の都。王直々の依頼。モンスター討伐。
 ——“宿屋組”へ。

 遊び人は目を細めて笑った。

「……また、のんびりが邪魔されるね」

 僧侶が拳を上げる。

「よし乾杯しよ! わたし、今日だけは“勝利の乾杯”って言ってあげる!」

「今日だけって言い方!」

 戦士が斧を担ぐ。

「行くぞ」

 武闘家が立ち上がる。

「準備しろ」

 魔法使いが顎を上げる。

「わたくしの研究成果、見せて差し上げますわ」

 踊り子が鈴を鳴らす。

「うち、背中押したる」

 フィオナが小さく頭を下げた。

「……行ってらっしゃいませ。帰ってくる場所、ちゃんと空けておきます」

 宿屋は、捨て場じゃなかった。
 ここは、帰ってくる場所だ。立ち上がる場所だ。

「行ってきます!」

 その声に、みんなが笑った。

 ——そして今日もまた、
 “宿屋送り”の勇者パーティは、世界を救う。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された私はカエルにされましたが、悪役令嬢な妹が拾って舞踏会で全部ひっくり返します

まぴ56
恋愛
異世界貴族の私は、婚約者に捨てられ――口封じに“蛙”へ。 声も出せず噴水の縁で震える私を拾ったのは、嫌味たっぷりで見下すように笑う妹のミレイだった。 「汚らしいお姉さま――わたくしが連れ帰って、たっぷり苛めて差し上げますわ」 冷たく弄ぶふりをしながら、夜な夜な呪いの文献を漁るミレイ。 やがて迎える、王も出席する大舞踏会。ミレイの千里眼が映す“真実”が、裏切り者たちの仮面を剥ぎ取っていく―― 呪いが解ける条件は、最後のひと押し。 姉妹の絆が、ざまぁと逆転を連れてくる。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...