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第四話 神々のヒントと、動き出す陰謀
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ライオス・アークライトという、信頼できる協力者を得たアリアンナの日常は、静かながらも確かな変化を遂げていた。
一人で神々の声に耳を傾け、真実のかけらを探すだけでなく、今はその情報を共有し、共に行動してくれる相手がいる。
それだけで、彼女の心は以前よりもずっと軽くなっていた。
二人は、大神官が南の嵐を利用して何かを企んでいる、という疑いを確信に変えるため、秘密裏に調査を開始した。
ライオスは騎士団長としての立場を使い、部下に命じて神殿内の金の流れや、大神官の最近の不審な行動を探らせた。
一方、アリアンナは、自室や図書室で過ごす時間の中で、ひたすら神々の心の声に耳を澄ませ、大神官や嵐に関する情報を拾い集めようとした。
神々の囁きは、相変わらず気まぐれで、重要な情報の中にどうでもいい愚痴が混じっていることも多い。
『(むぅ、今日の大神官の祈りは一段と長いのう。早く終わらせて昼寝がしたいのじゃが……)』
『(あら? 大神官の奴、また地下の隠し部屋に何か運び込んでいたわよ。怪しい古文書みたいなやつ。どうせろくな物じゃないんでしょうけど)』
『(南の嵐、そろそろ頃合いかのう。あやつが持っておる『風呼びの石』、古代の遺物じゃが、制御を誤れば大惨事になるぞ。まあ、そうなったらそうなったで面白いか……ふぉっふぉっふぉ)』
隠し部屋? 古文書? 風呼びの石?
アリアンナは、聞き取った断片的な情報をメモ帳に書き留め、それを密かにライオスに渡した。
時には、神殿の庭にいる小鳥や、書庫に住み着いたネズミたちにそっと話しかけ、彼らが見聞きした情報を集めることもあった。
動物たちは、不思議な力を持つアリアンナに協力的で、貴重な情報をもたらしてくれることも少なくなかった。
ライオスは、アリアンナからもたらされる、時に突拍子もないが妙に核心を突いた情報に驚きながらも、それを元に調査を進めていった。
アリアンナの言う通り、大神官の私室の近くには巧妙に隠された地下室が存在し、そこからは用途不明の古代文字で書かれた古文書や、不気味な魔力を放つ石が見つかったのだ。
それは、大神官が嵐を人為的に操り、それを自らの手で鎮めることで、救世主として民衆の支持を集め、最終的には国王すら凌ぐ権力を握ろうとしている動かぬ証拠だった。
「……信じられない。大神官が、そこまで……」
ライオスは、集まった証拠を前に、怒りと失望に顔を歪ませた。
神に仕える身でありながら、私利私欲のために天災を利用し、人々を危険に晒そうとは。
「ライオス様……」
アリアンナは、彼の隣に立ち、心配そうにその横顔を見上げた。
彼にとって、大神官は長年仕えてきた上司でもある。
その裏切りは、どれほど彼の心を傷つけただろうか。
アリアンナは、そっと彼の手に自分の手を重ねた。
声は出せないけれど、貴方の痛みは分かります、と伝えるように。
ライオスは、アリアンナの小さな手の温かさに、はっと我に返った。
そして、彼女の澄んだ瞳に見つめられ、胸の奥が温かくなるのを感じた。
そうだ、自分は一人ではないのだ。
この心優しく、そして強い意志を持った女性が、隣にいてくれる。
「……ありがとう、アリアンナ様」
ライオスは、アリアンナの手をそっと握り返した。
「貴女のおかげで、真実に辿り着くことができた。あとは、大神官の陰謀を阻止し、その罪を白日の下に晒すだけです」
彼の声には、もう迷いはなかった。
正義を貫く、騎士としての決意が漲っている。
しかし、彼らの動きは、既に大神官側に察知されていた。
大神官は、ライオスが自分の秘密を探っていること、そしてその背後に「沈黙の聖女候補」アリアンナの影があることに気づいていたのだ。
(あの忌々しい小娘め……何か特別な力を持っているようだな。そして、あの石頭の騎士団長も、彼女に入れ込んでいるらしい……。邪魔者は、消さねばなるまい)
大神官は、邪悪な笑みを浮かべ、新たな罠を仕掛ける準備を始めた。
アリアンナたちの元には、巧妙に偽装された偽情報が流されるようになった。
ライオスを陥れるための罠が、神殿のあちこちに仕掛けられた。
そして、アリアンナ自身にも、再び陰湿な嫌がらせや、時には命を狙うかのような危険な出来事が起こり始めた。
夜道で何者かに突き飛ばされそうになったり、食事に微量の毒が混ぜられていたり。
幸い、アリアンナは神々の声や動物たちの警告で事前に危険を察知し、ライオスも常に彼女を気遣い守っていたため、大事には至らなかったが、状況は確実に悪化していた。
「……大神官め、我々を潰す気らしい」
ライオスは、苦々しげに呟いた。
「おそらく、嵐が最大になるタイミングで、最後の勝負を仕掛けてくるでしょう。我々を排除し、そして自らが『奇跡』を起こして英雄となるために」
神々の心の声も、その推測を裏付けていた。
『(おやおや、大神官の奴、いよいよ『風呼びの石』を使う気じゃな。しかも、力を増幅させる呪文まで準備しておるぞ。あれは危険じゃ……失敗すれば、嵐は南だけでなく王都まで飲み込みかねん)』
『(あらー、どうしましょ。あの騎士くんと聖女ちゃん、気づいてるのかしら? このままじゃ、みんな破滅よ? ……まあ、それはそれで面白いかもしれないけど)』
神々は、相変わらずどこか他人事だ。
(もう時間がない……!)
アリアンナは焦った。
大神官の計画を止めなければ、国が、そしてライオス様が危ない。
証拠は揃いつつある。
あとは、どうやって大神官の陰謀を公にし、彼を断罪するかだ。
アリアンナは、ライオスと顔を見合わせた。
二人の瞳には、同じ決意が宿っていた。
それは、危険を顧みず、最後の戦いに挑むという覚悟。
「行きましょう、ライオス様」
アリアンナは、ペンを取り、力強くメモ帳に書き記した。
「わたくしたちの手で、真実を明らかに」
ライオスは、その文字を読み、そしてアリアンナの強い瞳を見つめ返すと、力強く頷いた。
「ええ、必ず」
大神官が最後の切り札を切ろうとしている、嵐が最も激しくなるであろう、次の満月の夜。
それが、決戦の時となるだろう。
沈黙の聖女候補と、堅物な騎士団長。
そして、気まぐれな神々の囁き。
それぞれの思惑が交錯する中、物語はついにクライマックスへと向かっていく。
一人で神々の声に耳を傾け、真実のかけらを探すだけでなく、今はその情報を共有し、共に行動してくれる相手がいる。
それだけで、彼女の心は以前よりもずっと軽くなっていた。
二人は、大神官が南の嵐を利用して何かを企んでいる、という疑いを確信に変えるため、秘密裏に調査を開始した。
ライオスは騎士団長としての立場を使い、部下に命じて神殿内の金の流れや、大神官の最近の不審な行動を探らせた。
一方、アリアンナは、自室や図書室で過ごす時間の中で、ひたすら神々の心の声に耳を澄ませ、大神官や嵐に関する情報を拾い集めようとした。
神々の囁きは、相変わらず気まぐれで、重要な情報の中にどうでもいい愚痴が混じっていることも多い。
『(むぅ、今日の大神官の祈りは一段と長いのう。早く終わらせて昼寝がしたいのじゃが……)』
『(あら? 大神官の奴、また地下の隠し部屋に何か運び込んでいたわよ。怪しい古文書みたいなやつ。どうせろくな物じゃないんでしょうけど)』
『(南の嵐、そろそろ頃合いかのう。あやつが持っておる『風呼びの石』、古代の遺物じゃが、制御を誤れば大惨事になるぞ。まあ、そうなったらそうなったで面白いか……ふぉっふぉっふぉ)』
隠し部屋? 古文書? 風呼びの石?
アリアンナは、聞き取った断片的な情報をメモ帳に書き留め、それを密かにライオスに渡した。
時には、神殿の庭にいる小鳥や、書庫に住み着いたネズミたちにそっと話しかけ、彼らが見聞きした情報を集めることもあった。
動物たちは、不思議な力を持つアリアンナに協力的で、貴重な情報をもたらしてくれることも少なくなかった。
ライオスは、アリアンナからもたらされる、時に突拍子もないが妙に核心を突いた情報に驚きながらも、それを元に調査を進めていった。
アリアンナの言う通り、大神官の私室の近くには巧妙に隠された地下室が存在し、そこからは用途不明の古代文字で書かれた古文書や、不気味な魔力を放つ石が見つかったのだ。
それは、大神官が嵐を人為的に操り、それを自らの手で鎮めることで、救世主として民衆の支持を集め、最終的には国王すら凌ぐ権力を握ろうとしている動かぬ証拠だった。
「……信じられない。大神官が、そこまで……」
ライオスは、集まった証拠を前に、怒りと失望に顔を歪ませた。
神に仕える身でありながら、私利私欲のために天災を利用し、人々を危険に晒そうとは。
「ライオス様……」
アリアンナは、彼の隣に立ち、心配そうにその横顔を見上げた。
彼にとって、大神官は長年仕えてきた上司でもある。
その裏切りは、どれほど彼の心を傷つけただろうか。
アリアンナは、そっと彼の手に自分の手を重ねた。
声は出せないけれど、貴方の痛みは分かります、と伝えるように。
ライオスは、アリアンナの小さな手の温かさに、はっと我に返った。
そして、彼女の澄んだ瞳に見つめられ、胸の奥が温かくなるのを感じた。
そうだ、自分は一人ではないのだ。
この心優しく、そして強い意志を持った女性が、隣にいてくれる。
「……ありがとう、アリアンナ様」
ライオスは、アリアンナの手をそっと握り返した。
「貴女のおかげで、真実に辿り着くことができた。あとは、大神官の陰謀を阻止し、その罪を白日の下に晒すだけです」
彼の声には、もう迷いはなかった。
正義を貫く、騎士としての決意が漲っている。
しかし、彼らの動きは、既に大神官側に察知されていた。
大神官は、ライオスが自分の秘密を探っていること、そしてその背後に「沈黙の聖女候補」アリアンナの影があることに気づいていたのだ。
(あの忌々しい小娘め……何か特別な力を持っているようだな。そして、あの石頭の騎士団長も、彼女に入れ込んでいるらしい……。邪魔者は、消さねばなるまい)
大神官は、邪悪な笑みを浮かべ、新たな罠を仕掛ける準備を始めた。
アリアンナたちの元には、巧妙に偽装された偽情報が流されるようになった。
ライオスを陥れるための罠が、神殿のあちこちに仕掛けられた。
そして、アリアンナ自身にも、再び陰湿な嫌がらせや、時には命を狙うかのような危険な出来事が起こり始めた。
夜道で何者かに突き飛ばされそうになったり、食事に微量の毒が混ぜられていたり。
幸い、アリアンナは神々の声や動物たちの警告で事前に危険を察知し、ライオスも常に彼女を気遣い守っていたため、大事には至らなかったが、状況は確実に悪化していた。
「……大神官め、我々を潰す気らしい」
ライオスは、苦々しげに呟いた。
「おそらく、嵐が最大になるタイミングで、最後の勝負を仕掛けてくるでしょう。我々を排除し、そして自らが『奇跡』を起こして英雄となるために」
神々の心の声も、その推測を裏付けていた。
『(おやおや、大神官の奴、いよいよ『風呼びの石』を使う気じゃな。しかも、力を増幅させる呪文まで準備しておるぞ。あれは危険じゃ……失敗すれば、嵐は南だけでなく王都まで飲み込みかねん)』
『(あらー、どうしましょ。あの騎士くんと聖女ちゃん、気づいてるのかしら? このままじゃ、みんな破滅よ? ……まあ、それはそれで面白いかもしれないけど)』
神々は、相変わらずどこか他人事だ。
(もう時間がない……!)
アリアンナは焦った。
大神官の計画を止めなければ、国が、そしてライオス様が危ない。
証拠は揃いつつある。
あとは、どうやって大神官の陰謀を公にし、彼を断罪するかだ。
アリアンナは、ライオスと顔を見合わせた。
二人の瞳には、同じ決意が宿っていた。
それは、危険を顧みず、最後の戦いに挑むという覚悟。
「行きましょう、ライオス様」
アリアンナは、ペンを取り、力強くメモ帳に書き記した。
「わたくしたちの手で、真実を明らかに」
ライオスは、その文字を読み、そしてアリアンナの強い瞳を見つめ返すと、力強く頷いた。
「ええ、必ず」
大神官が最後の切り札を切ろうとしている、嵐が最も激しくなるであろう、次の満月の夜。
それが、決戦の時となるだろう。
沈黙の聖女候補と、堅物な騎士団長。
そして、気まぐれな神々の囁き。
それぞれの思惑が交錯する中、物語はついにクライマックスへと向かっていく。
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