孤影の旅路

琉斗六

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6.始まりの草原【1】

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 翌日、レッドとウェスは早朝に宿を出た。
 ウェスが「食べることは出来なくもないが、それをする意味がわからない」と言うので、朝食を取らずに早立ちするていを装って出発した。
 ひんやりとした空気の中、二人は街道から外れた林に入り、冒険者アドベンチャーでもめったに立ち入らない草原へと足を進める。

「ここら辺りなら、良いだろう」

 レッドは足を止め、ウェスに振り返った。

「なにが良いんだ?」
「四足の妖魔モンスターが近くに潜んでいる。試し撃ちにはもってこいだ。昨日も言ったが、人間リオンの目がある場所では偏った属性エレメントじゅつを使うほうが目立たずに済む」
「だが俺は、人間フォルクの使う呪文スペルなんて知らないぞ?」
「それはしっかり指導してやるさ。ウェスは調和の緑ウェントス恩恵の瞳アストーガ持ちだからな。風のじゅつ使いにしておくか?」
「ものすごく短絡的に調和の緑ウェントス=風と思っているようだが。炎も氷も使えるぞ?」
「それは当然だろう。だが、使えちゃまずい・・・のさ。人間リオンは二つの属性エレメントを使えたら、すぐに噂になるからな」

 ウェスはちらと、レッドの顔を見た。

「参考までに、オマエはいくつ・・・使えるんだ?」
「私はちょっとワケアリ・・・・でな。子供の頃から苦手克服をしまくったおかげで、攻撃系ならなんでも使える」
「子供の頃? それってつまり、幻獣族ファンタズマに成る前からか?」
「だから、ワケアリ・・・・だと言っただろう。おかげで最初に冒険者組合アドベンチャーギルドに登録した時は、結構面倒事に巻き込まれたぞ」
「分かった。なら、どうする?」
「声に出す時は、疾風ヴィントゥルーだ。まあ普通は呪文スペルなんぞ使わずに、サークルを描くフリをするだけでいいけどな……」

 レッドは右手を掲げ、空中に何かを描くような動きをした。
 描かれたサークルが輝いて広がると、周囲の草がザッと音を立てて刈り取られる。
 二人に近づいてきていた四足の妖魔モンスターは、草とともに鋭利な風に切り裂かれ、吹き飛ばされた。

「フリって、なんだ? ちゃんと教えると言ったじゃないか」
「私の描いたサークルもデマカセだ。それっぽい線を描いて光らせるだけで、じゅつそのものは呪文スペルを使わずに放ってる」
「なんだそれ? 騙りじゃないか!」
「だから。最初からそう言ってるだろう。人間リオン魔力ガルドルが少ないから、じゅつを安定して使うために呪文スペルサークルを使うんだ。だがウェスも分かってると思うが、魔力ガルドルに余裕があるこっちからすれば、治癒以外のじゅつはイメージさえあれば行使するのは容易だろ?」
「確かに……それは否定が出来ないが……」
「要は、人間リオンに不審を抱かせないのがキモなんだよ」

 レッドはぱちんとウィンクをしてみせた。
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