孤影の旅路

琉斗六

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6.始まりの草原【2】

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「これ以上、説明を聞いていると腹が立ってきそうだ。とりあえず、オマエの言う "それっぽい" が出来るようになればいいんだろう?」
サークルに織り込む呪文スペルは、魔導士セイドラーそれぞれがオリジナルで考える。だが他人のサークルを解読しようとするやつもいるから、出来るだけ派手に光らせて、描いた線を見えにくくするのがコツだ」
「なら、少々複雑で、パッと見には何が描いてあるかわからんほうがいいだろうな」

 ウェスはレッドの構えを真似て右手を掲げ、空中に何かを描く動きをした。
 すると、ウェスの頭上に複雑な紋様の光が現れ、ブワッと広がる。
 ウェスが放った旋風は、レッドのものより大きく、さらに一回り外側の草を刈り取った。

妖魔モンスターがいないな」
「私のじゅつであらかた倒したし、仲間の死に様を見たら逃げ散ったからな。だが、やり方は完璧だ。さすが」
「オマエの褒め方は、どうにもバカにされているような気がするぞ」
「そりゃ済まない。さんざ初心者講習をやっていたものだから、褒めて伸ばすクセがついている」

 からかうように笑うレッドに、ウェスは呆れた顔をした。
 だが、そこで笑っていたレッドの表情が不意に険しいものに変わる。
 その視線の先は草原の向こう、林の中だ。

「どうした?」
「ウェスは、気配察知は苦手のようだな」
「気配? なにか来るのか?」
「ああ。面倒にならないうちに、引き上げよう。三十六計逃げるに如かずってな」

 レッドはウェスの手を引いて、来た道を引き返し始める。

「それで、なにが来ていたんだ?」
魔族ディアブロだ。出来ればヒトガタ種族には鉢合わせしたくないと思っていたが、選りに選って面倒な相手だ」
「面倒……とは?」
「バトルジャンキーが多いんだ。こっちにある程度の力量があると見込んだら、とりあえず戦いを挑まれる」
人間フォルク相手にか? それじゃあ、ただのなぶり殺しじゃないか」
「力量がない相手なら、スルーしてくれる」
「じゃあ "人間フォルクでございます" って顔をしてればいいだろう?」
「あんな魔気ガルドレートの濃い草原に立ち入った時点で、相応の力量があると見なされる。てか、今更だが、人間フォルクじゃなくて人間リオンと呼べ。普段使っている言葉のほうが、自然と口をついて出るからな」
「それ、なにが違うんだ?」

 ウェスが問いかけるその瞬間、レッドは黙ってウェスを抱え、その場を飛び退いた。
 ドドドッと大きな音が響き、二人がいた場所に鋭い氷の槍が数本、地面に突き立つ。

「なんだ? 追ってきたのか?」
「まずいな……、囲まれた……」

 レッドはウェスをそっと地面に下ろし、身構えながら緊張した面持ちで周囲を見渡した。
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