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レヴィアタン号は、レーダーとソナーが使えない海域を離れ、安全な場所に移動していた。
「ネフェスト艦長、妨害物質の成分分析が終わりました。廃魔石の粉と思われます」
「廃魔石……って、魔力放出できなくなった……アレか?」
「そうです。かなり細かい粉状にすることで、魔力を吸収するようですね。魔力砲を実弾しか撃てなかったの、むしろ不幸中の幸いでしたよ。魔力吸収下では、それが命綱になった形です」
「なるほど、海の中なら沈殿に時間が掛かるから、効果も大きいな」
「そうすると、沈下にかなりの時間を要するんじゃないですか?」
パネルを見ているヒューレルが言った。
「レーダーが効かないんじゃ、ミスティがどこに流されたのか、見当もつかないしな……」
「艦長。前方に識別不明の潜水艇。小型ですが、早いな……。なんだろう?」
ヒューレルの報告に、トリスタンは顔をしかめる。
「まさか、魔人が?」
「いや、闇魔力ならむしろ識別は簡単ですよ。って言うか、通信入りました」
ヒューレルは、通信に集中したあとに、驚き顔でトリスタンを見た。
「艦長、ヴァルハラです。こちらが発信した遭難信号を受信して、この辺りの海域を捜索中だそうです」
「遭難信号……? あ、魔導通信が届いたかどうかわからないって言ってた、あれか」
「ヴァルハラって、そんな微弱な信号まで拾えるのか……?」
シェイドとトリスタンが、それぞれに驚きの声をもらした。
ヒューレルがパネルから顔を上げる。
「艦長、なんかあっちの様子、変ですよ」
正面に止まった、白い機体に金のラインが入った小型潜水艦。
ライトがチカチカと明滅している。
トリスタンが身を乗り出した。
「なんだろう?」
相手の潜水艇は、こちらの有視界航行可能窓を正確に見据えるように、真正面に静止した。
こちらの反応を測るように、リズムのある光が点滅を繰り返している。
やや間を置いて、ヒューレルが叫んだ。
「世界共通点滅信号だ!」
そして、手元の古式ゆかしいボードを手に取ると、相手が繰り返す点滅をメモに取っている。
「……今どき紙?」
後ろで見ていたシェイドが呟く。
「この状況で魔導デバイス使うほーがやばいでしょ」
「なぜ?」
「こっちが通信に音声応答してるのに、わざわざ光の点滅でなんかを説明してるのなんて、盗聴の可能性しか考えらんないっしょ。……えっと、"ミスティは無事保護、安心されたし" ……です!」
ヒューレルの言葉に、シェイドが歓声を上げた。
「本当ですか!」
「つまり……不死身の男は、ちゃんと自分の事情を伝えられる程度に回復したってことか。ミスティから聞いて、通信が傍受されている可能性を考えて、直に接触してるんじゃないのか?」
「ってことは、あんまり長く音声通信を返さないと、通信を傍受している相手に不審に思われますよね」
「よし、音声通信は僕が応対する。ヒューレルは、あちらとライトで会話して、状況を聞いてくれ」
「わかりました」
トリスタンとヒューレルは、パネルを切り替え、音声通信を操縦席に引き渡す。
「こちら、深海遺構調査団所属のレヴィアタン号、トリスタン・ネフェスト艦長だ。海上で漂流中の船舶から、二人の遭難者を保護したが、そのあとに船籍不明の敵襲を受け遭難。保護した二名はアクアラングを付けて本艦より退去した。その後、不安定ながら再始動に成功、現在は自力航行が可能になったので、退去した二名の捜索を行っていた」
ヒューレルは、受けた端から詳細をメモ紙にしてトリスタンに渡した。
トリスタンは内容を確認して、わざと "二名の遭難者は退去した" と告げたのだ。
「ヴァルハラ、了解。では、救助の必要なしですね」
「出動、感謝する」
トリスタンは、真から感謝の念を込めて通信を切った。
「いやぁ、世界共通点滅信号、久々すぎて途中ちょっと混乱しましたよ。こりゃ、少し勉強し直さないとだめかなぁ」
隣でヒューレルが、笑い混じりにそう言った。
「ネフェスト艦長、妨害物質の成分分析が終わりました。廃魔石の粉と思われます」
「廃魔石……って、魔力放出できなくなった……アレか?」
「そうです。かなり細かい粉状にすることで、魔力を吸収するようですね。魔力砲を実弾しか撃てなかったの、むしろ不幸中の幸いでしたよ。魔力吸収下では、それが命綱になった形です」
「なるほど、海の中なら沈殿に時間が掛かるから、効果も大きいな」
「そうすると、沈下にかなりの時間を要するんじゃないですか?」
パネルを見ているヒューレルが言った。
「レーダーが効かないんじゃ、ミスティがどこに流されたのか、見当もつかないしな……」
「艦長。前方に識別不明の潜水艇。小型ですが、早いな……。なんだろう?」
ヒューレルの報告に、トリスタンは顔をしかめる。
「まさか、魔人が?」
「いや、闇魔力ならむしろ識別は簡単ですよ。って言うか、通信入りました」
ヒューレルは、通信に集中したあとに、驚き顔でトリスタンを見た。
「艦長、ヴァルハラです。こちらが発信した遭難信号を受信して、この辺りの海域を捜索中だそうです」
「遭難信号……? あ、魔導通信が届いたかどうかわからないって言ってた、あれか」
「ヴァルハラって、そんな微弱な信号まで拾えるのか……?」
シェイドとトリスタンが、それぞれに驚きの声をもらした。
ヒューレルがパネルから顔を上げる。
「艦長、なんかあっちの様子、変ですよ」
正面に止まった、白い機体に金のラインが入った小型潜水艦。
ライトがチカチカと明滅している。
トリスタンが身を乗り出した。
「なんだろう?」
相手の潜水艇は、こちらの有視界航行可能窓を正確に見据えるように、真正面に静止した。
こちらの反応を測るように、リズムのある光が点滅を繰り返している。
やや間を置いて、ヒューレルが叫んだ。
「世界共通点滅信号だ!」
そして、手元の古式ゆかしいボードを手に取ると、相手が繰り返す点滅をメモに取っている。
「……今どき紙?」
後ろで見ていたシェイドが呟く。
「この状況で魔導デバイス使うほーがやばいでしょ」
「なぜ?」
「こっちが通信に音声応答してるのに、わざわざ光の点滅でなんかを説明してるのなんて、盗聴の可能性しか考えらんないっしょ。……えっと、"ミスティは無事保護、安心されたし" ……です!」
ヒューレルの言葉に、シェイドが歓声を上げた。
「本当ですか!」
「つまり……不死身の男は、ちゃんと自分の事情を伝えられる程度に回復したってことか。ミスティから聞いて、通信が傍受されている可能性を考えて、直に接触してるんじゃないのか?」
「ってことは、あんまり長く音声通信を返さないと、通信を傍受している相手に不審に思われますよね」
「よし、音声通信は僕が応対する。ヒューレルは、あちらとライトで会話して、状況を聞いてくれ」
「わかりました」
トリスタンとヒューレルは、パネルを切り替え、音声通信を操縦席に引き渡す。
「こちら、深海遺構調査団所属のレヴィアタン号、トリスタン・ネフェスト艦長だ。海上で漂流中の船舶から、二人の遭難者を保護したが、そのあとに船籍不明の敵襲を受け遭難。保護した二名はアクアラングを付けて本艦より退去した。その後、不安定ながら再始動に成功、現在は自力航行が可能になったので、退去した二名の捜索を行っていた」
ヒューレルは、受けた端から詳細をメモ紙にしてトリスタンに渡した。
トリスタンは内容を確認して、わざと "二名の遭難者は退去した" と告げたのだ。
「ヴァルハラ、了解。では、救助の必要なしですね」
「出動、感謝する」
トリスタンは、真から感謝の念を込めて通信を切った。
「いやぁ、世界共通点滅信号、久々すぎて途中ちょっと混乱しましたよ。こりゃ、少し勉強し直さないとだめかなぁ」
隣でヒューレルが、笑い混じりにそう言った。
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