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とある緊縛師の独白。
4.
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翌週、彼はちゃんと時間通りにオフィスにやってきた。
そして、前回言われた通りに、あのえげつないボンデージをきちんと身に付けて、更衣室から出てきた。
「では、床に正座して、頭を下げて」
「土下座をするんですか?」
「そうだよ。今日もお願いしますと言って、私の靴にキスをしなさい」
「はい」
不思議なくらいに、彼はこれらの要求になんの躊躇も見せない。
床にペタリと座り、両手を付いて頭を下げた。
「本日も、よろしくご指導お願いします」
それから顔を上げ、私の黒い革靴に唇を寄せる。
その一連の動作の美しさに、自分でも気付かぬうちに視線が釘付けになっていた。
靴に口付けた後、彼は顔を上げて私を見上げてきた。
たぶん、なんの意図も無く、彼はそうしたのだろうが。
見上げてくる彼の、何の下心も感じられない表情が、あまりに無垢な様子でドキリとする。
「…では、立ち上がって、腕を後ろで組んで背中を私に向けなさい」
縄を掛け、前回同様に後ろ手に縛る。
「ほら、ダメだよ。俯かないで、鏡を見るんだ」
「はい……」
緊縛されて前回のレッスンを思い出したのか、先程までの何の躊躇もなく従っていた様子とは裏腹に、彼は羞恥に耐え難さを覚えているようだった。
彼の気持ちに明確な線引があるのか、はたまた単に無神経な気質をしているが、いきなりスイッチが入るのか?
だが、そうして感じてくれるなら、こちらも都合が良い。
父親への捻じ曲がり複雑化しているコンプレックスと、臀部に折檻されたトラウマを利用して、彼を私の奴隷にレッスンしようと決めた。
それには彼の従順な態度以上に、羞恥やマゾ気質を引き出せるチャンスが必要だった。
「悪いコだな、キミは」
「え……っ?」
私は、前回のラストで彼の尻を殴打した、ちょっと痛みが鋭い鞭を手に持った。
そして、その鞭の先で彼の性器をピタピタと叩く。
「あの……」
「前回、尻を叩かれてイッてしまったけど。普通はみんな、一度や二度でこんなに反応しないよ?」
「反応……なんて、なにも……」
「言い訳はしなくて良い。キミの身体が淫乱なマゾなのは、キミの所為じゃないからね」
「そんな……っ!」
根拠の無い中傷を続けながら、私は彼のトラウマに繋がるキーワードを探していた。
厳格な父親が、彼を傷付けるのに口にした言葉が、必ずあるはずだ。
「それにしても、叩かれて感じるようになるのも、それなりに時間が掛かるものだけど。たった一回のレッスンで、縛られると勃つような恥ずかしいコは珍しいよ。こんなに変態で、いやらしくて……はしたないコはね」
最後の単語に、彼の表情が強張った。
どうやらそれが、彼の琴線に触れるキーワードのようだ。
カアッと頬を赤らめて、まるで恥ずかしさのあまり消え入ってしまいたいとでも言いたげに顔を俯けて、唇を噛んでいる。
「おや、どうしたのかな? ココが更に堅くなってるよ」
鞭の先端でツウッと性器をなぞると、彼は全身を竦み上がらせる。
「ダメだよ。顔を上げて、ちゃんと鏡を見なさい。自分のココがどれほど浅ましく、はしたなくなっているのか……自覚をしないといけないよ」
「せ…せんせぇ……、こ…こんな事は……」
視線を彷徨わせ、彼は最後に縋るような目で私を見た。
「辛いかい? そうだろうねぇ、自分の身体が、本当はひどく淫乱でド変態だった…なんて、今まで知らなかったんだろう? いきなり認めるのは、辛いし苦しいだろう。だけど聖一クン。このままでは、キミの身体は底なしに浅ましく、いやらしい行為を欲しがってしまうよ。こんなはしたないコ、付き合ってくれる人なんて居ないだろうねぇ。可哀想に……」
次々に投げつけられるひどい言葉を、彼はかなり本気で受け取っているようで、追い詰められるように視線を落としている。
「先生……、私は…そんなに誰にも相手にしてもらえないでしょうか?」
「そうだね。このままではダメだろう。もっと…慎みを覚えなければね」
上目遣いで伺うように、彼は私の顔を見る。
「キミみたいにとんでもなく淫乱で、はしたない身体をしていたら、慎みを身に付けるのは至難の業では無いだろうな。とても厳しいレッスンになるだろう。だけど、キミが慎みを覚えたいと望むなら、私はちゃんと躾けてあげるよ」
希望の光を見出すように、彼は表情を明るくして顔を上げる。
「先生…っ!」
「黙って……」
彼の顎に手を添えて、私は彼の唇に自分のそれを重ねあわせた。
ぎこちなく、なんのテクニックも持たないそのキスは、むしろこれからいくらでも自分好みに仕込める可能性を感じさせる。
私は大胆に舌を使って、彼を翻弄した。
「んあ……」
「ダメだよ、聖一クン。そんなにはしたなく先をねだるんじゃなくて、もっと舌と唇を使って、感謝の気持ちを伝えなければ」
「感謝の気持ち…?」
「そうだよ。相手を歓ばせる術を覚えなさい。私がしてあげているのを手本にして、奉仕するんだ」
再びキスをすると、彼は素直に言葉に従って、舌を絡め唇を啄んでくる。
「少しマシになったが、まだまだだな。キミは自分の欲しい気持ちが先走ってしまうようだね。ダメだよ、ガッついては」
「そんなつもりは…」
「無意識か…。更に始末が悪いな」
罵倒されて、彼は消沈したようだった。
「では、ガッついている事を、まずはキミ自身が自覚する事から始めよう」
足を肩幅程度に開かせて、頭を少し下げさせる。
尻を突き出すような姿勢を取らせて、私は彼の背後に回った。
「店で知り合った相手と、えっちをしたと言ってたね」
「……はい」
「それは、どんな事をしたの?」
問いかけながら、私はローションを手に取ると自分の指にたっぷりと塗りつけた。
「え……っ?」
「互いに手で高めあったの? 口でしゃぶりあったの? それとも……」
ローションを纏わせた指で、彼の窄みをそっと撫でる。
「ココを使って、セックスしたの?」
鏡に映った彼の顔を見る必要も無く、耳やうなじまで赤く染まる。
「そう…、ココに相手のを挿れて貰ったんだね」
そっと撫でていた中指に力を込め、私は指を彼の窄みに穿つ。
「ひう……っ!」
「それで? ココに相手のを頬張って、いっぱいイイコトして貰ったの? ああ、でもキミ、キスだけであんなにガッついてたからなぁ。キミの素敵な容姿に騙されてホテルに行ったけど、キミがあんまりふしだらで淫乱だったから、向こうはびっくりしちゃったかもね。せっかくえっち出来たのに、イイコトして貰える前に逃げられちゃったんじゃない?」
彼の身体が、微かに震え始めた。
趣味の延長とはいえ、仮にも雇用主たる店の事を悪く言うのはどうかと思うが、あの店に来る客層はお世辞にも優良とは言い難い。
彼がどういった経緯であの店を訪れるようになったのかは知らないが、あの店に出入りをしている客…特に出逢いを求めている者の大半は、行きずりの手っ取り早いセックスを求めている。
そしてあのバーに出入りをしている、自称 ”ドS” の男の殆どは、暴力とサディズムの区別も付かないような身勝手の馬鹿ばかりと言っても過言では無い。
彼のような、真剣でステディな相手を求めている者とは、思想の根底が真逆な輩ばかりだろう。
SMバーで出逢った行きずりの相手に、サディズムと勝手に思い込んでいる一方的な暴力を振るい、ラブドールにマスターベイションをするのと大差ない行為に満足しているような輩とのセックスしかしていないとしたら、彼は付き合った人数と同じ回数、ポイ捨てをされているに決まっている。
その真実を歪めて、まるで彼に全ての責任があるような言い回しをした私の言葉に、彼は傷付いただろう。
くだらぬ中傷は、彼の人格を否定してM奴隷的な思想を植え付けるための手段だが、実は少々の時間稼ぎの意味もある。
まるでもう、存在価値もロクに無いようなマゾ体質であるかのように揶揄しているが、実際の彼の身体はまだ全くの未開発で、正直こうして指を挿れたところで彼が感じるかどうかも判らない。
前立腺の裏側辺りにあるポイントを探り出し、そこで感じる事をまずは覚えさせなくてはならないが、彼には彼の身体が淫乱であると思い込ませなければならないのだ。
だが、私の焦りや心配は、思いがけずに直ぐにも解決の糸口が見つかった。
罵倒されながら、恥ずかしい場所を明るい所で覗きこまれ、好き勝手に蹂躙される羞恥に身を縮めていた彼が、不意にビクリと身体を強張らせたのだ。
どうやら彼の身体は、繊細に感じやすい、こちらの都合に丁度良いものらしい。
彼が竦み上がった場所を確認するように、私は指を無遠慮にグイグイと押し込み、更に蹂躙した。
「は……あっ!」
「ほら、聖一クン。解るかい? ココをこんな風にいじられただけで、また堅くなっただろう? はしたないな」
指を抜き、彼が安堵の息を吐く間を与えずに、今度はそこに小型のローターを捩じ込む。
「ああっ! それは…なんですか……?」
「ローターだよ。初日に見せてあげただろう? 一番小さい、リモコンで使えるタイプだ。振動するだけで、特別な動きはしないヤツだから。この程度の物では、普通はイケないよ」
またしても素知らぬ顔で嘘を吐き、リモコンのスイッチを押して微弱な振動をさせる。
「んあっ!」
指で探り出したポイントに、ローターを的確にあてがえているらしい。
彼の膝はガクガクと震え、今にもくずおれそうだ。
「姿勢を崩してはダメだよ。こんな小さなローターで感じ過ぎだな。本当にはしたないな…」
ビクリと身体を強張らせ、彼は射精していた。
「おや、イッてしまったのかい?」
「も…申し訳ありません……」
「ダメだよ、もっと我慢をしなければ。仕方がないな、はしたない身体にお仕置きをしなければね」
「お…しおき……?」
「簡単だよ、こうするだけだ」
鞭を振り上げ、彼の尻を打つ。
「あううっ!」
「おやおや、また勃ってきたね。懲りないな、キミは」
タイミングを合わせて、再び彼が達する瞬間に尻を続けざまに鞭で叩く。
「はしたなくて、本当に悪いコだ」
「ああっ! ご……ごめんなさ……」
彼の身体が戦慄き、声音が前回の時と同じように怯えた色を滲ませて、口調が少し子供っぽくなる。
どうやら、上手く彼のトラウマを呼び起こす事に成功したようだ。
鞭を置いて、私は再び彼の正面に回り、そっと顎に手を掛けて上を向かせた。
「ごめ……ごめんなさ……」
ガラス細工のような青い瞳には、怯えの色がありありと浮かび、うっすらと涙ぐんでいる。
顔を近付け、私は彼の唇をそっと吸った。
それから優しく啄み、口を開かせて舌を絡め、最後にやんわりと唇を噛んだ。
彼は、トロンとした顔でキスを受け止めている。
詐欺まがいの調教で、彼が言いなりになってから、ゆっくり寝室に誘おうと思っていたが、そんな顔を見せられてしまっては、こちらの余裕は瞬時に粉砕されてしまった。
部屋の中には、レッスンに使うためのマットレスが置かれており、私はキスを続けながらさり気なく彼の身体をそのマットレスの上に仰向けに倒した。
そして、彼の体内に挿れてあったローターを引き抜く。
途切れる事無くキスを与えながら、手早く自分の衣服を寛がせ、先程手に塗り込めたローションを、今度は自分の性器に塗る。
最後に彼の足を大きく広げさせて、私は彼の体内に自身を穿った。
「ひゃうん!」
簡単にローションを塗ったローターを抜き差ししただけの窄みは、いきなりほぼフルマックスに勃起したペニスを捻じ込まれて、悲鳴を上げている。
明らかに同意を得ていない行為だったし、ほんの少し指を抜き差しした後に、小型のローターを使っただけの窄みは、成人男性の熱り立ったモノをいきなり捩じ込まれてはかなり辛いだろう。
だが、えげつないボンデージ姿で両腕を拘束され、組み敷かれている彼の姿は痛々しくも艶めかしい。
「そんなに、ココを犯されるのが好きなのかい? はしたないコだ」
「ご…ごめんなさい…」
縄が食い込んでいる胸に手を当て、薄地のボンデージの上から撫でた。
「おやおや、こんな服越しに解るほど、乳首がカチカチに勃ってるね。このはしたない身体では、ココを弄られるのも好きなんだろう?」
ぷっくりと膨らんでいる乳首を、エナメルの服越しにいきなりキツく噛み付くと、彼は全身を強張らせた。
「ひうっ!」
「やっぱり、ココもはしたないね。刺激すると、私を頬張ってるキミのいやらしい穴が、嬉しい嬉しいって締め付けてくる。本当にはしたない身体だ」
「ごめんなさ…、いやらしくなくなるように、努力しま…あ、ああっ!」
「言ってるそばから、もう我慢出来ないようだ。キミは情けを掛けてもらっているんだから、してもらえる事だけで満足しなければいけないよ。私もキミに辛い思いはさせたくないから、お仕置きはなるべくしたくない。分かるね?」
「わ…、分かりまし…あっ!」
説教がましい言葉を口にしながら、まだ馴染んでいない窄みを、散々に犯す。
馴染ませていないと言っても、たっぷりのローションとローターで嬲られた後だけに、こちらの進退が困窮するほどでは無い。
だが、彼にしてみれば、無理矢理こじ開けられ、ズブズブと捻じ込まれたモノを、強引に抜き差しされている状態だ。
私が思うままに腰を振れば、落ち着いて返事をする事など、出来ようはずも無い。
それでも彼は、私の中傷に耐え、いじましい程に必死になって、こちらの無茶な要求にも応えようとする。
それはまるで、今まで体験した事の無い、夢のような時間だった。
混乱状態の彼が、どれくらいきちんとこの状況を把握しているのかは判らなかったが、理不尽な暴力に蹂躙されている彼の美しさに、私はすっかり虜になっていた。
そして、前回言われた通りに、あのえげつないボンデージをきちんと身に付けて、更衣室から出てきた。
「では、床に正座して、頭を下げて」
「土下座をするんですか?」
「そうだよ。今日もお願いしますと言って、私の靴にキスをしなさい」
「はい」
不思議なくらいに、彼はこれらの要求になんの躊躇も見せない。
床にペタリと座り、両手を付いて頭を下げた。
「本日も、よろしくご指導お願いします」
それから顔を上げ、私の黒い革靴に唇を寄せる。
その一連の動作の美しさに、自分でも気付かぬうちに視線が釘付けになっていた。
靴に口付けた後、彼は顔を上げて私を見上げてきた。
たぶん、なんの意図も無く、彼はそうしたのだろうが。
見上げてくる彼の、何の下心も感じられない表情が、あまりに無垢な様子でドキリとする。
「…では、立ち上がって、腕を後ろで組んで背中を私に向けなさい」
縄を掛け、前回同様に後ろ手に縛る。
「ほら、ダメだよ。俯かないで、鏡を見るんだ」
「はい……」
緊縛されて前回のレッスンを思い出したのか、先程までの何の躊躇もなく従っていた様子とは裏腹に、彼は羞恥に耐え難さを覚えているようだった。
彼の気持ちに明確な線引があるのか、はたまた単に無神経な気質をしているが、いきなりスイッチが入るのか?
だが、そうして感じてくれるなら、こちらも都合が良い。
父親への捻じ曲がり複雑化しているコンプレックスと、臀部に折檻されたトラウマを利用して、彼を私の奴隷にレッスンしようと決めた。
それには彼の従順な態度以上に、羞恥やマゾ気質を引き出せるチャンスが必要だった。
「悪いコだな、キミは」
「え……っ?」
私は、前回のラストで彼の尻を殴打した、ちょっと痛みが鋭い鞭を手に持った。
そして、その鞭の先で彼の性器をピタピタと叩く。
「あの……」
「前回、尻を叩かれてイッてしまったけど。普通はみんな、一度や二度でこんなに反応しないよ?」
「反応……なんて、なにも……」
「言い訳はしなくて良い。キミの身体が淫乱なマゾなのは、キミの所為じゃないからね」
「そんな……っ!」
根拠の無い中傷を続けながら、私は彼のトラウマに繋がるキーワードを探していた。
厳格な父親が、彼を傷付けるのに口にした言葉が、必ずあるはずだ。
「それにしても、叩かれて感じるようになるのも、それなりに時間が掛かるものだけど。たった一回のレッスンで、縛られると勃つような恥ずかしいコは珍しいよ。こんなに変態で、いやらしくて……はしたないコはね」
最後の単語に、彼の表情が強張った。
どうやらそれが、彼の琴線に触れるキーワードのようだ。
カアッと頬を赤らめて、まるで恥ずかしさのあまり消え入ってしまいたいとでも言いたげに顔を俯けて、唇を噛んでいる。
「おや、どうしたのかな? ココが更に堅くなってるよ」
鞭の先端でツウッと性器をなぞると、彼は全身を竦み上がらせる。
「ダメだよ。顔を上げて、ちゃんと鏡を見なさい。自分のココがどれほど浅ましく、はしたなくなっているのか……自覚をしないといけないよ」
「せ…せんせぇ……、こ…こんな事は……」
視線を彷徨わせ、彼は最後に縋るような目で私を見た。
「辛いかい? そうだろうねぇ、自分の身体が、本当はひどく淫乱でド変態だった…なんて、今まで知らなかったんだろう? いきなり認めるのは、辛いし苦しいだろう。だけど聖一クン。このままでは、キミの身体は底なしに浅ましく、いやらしい行為を欲しがってしまうよ。こんなはしたないコ、付き合ってくれる人なんて居ないだろうねぇ。可哀想に……」
次々に投げつけられるひどい言葉を、彼はかなり本気で受け取っているようで、追い詰められるように視線を落としている。
「先生……、私は…そんなに誰にも相手にしてもらえないでしょうか?」
「そうだね。このままではダメだろう。もっと…慎みを覚えなければね」
上目遣いで伺うように、彼は私の顔を見る。
「キミみたいにとんでもなく淫乱で、はしたない身体をしていたら、慎みを身に付けるのは至難の業では無いだろうな。とても厳しいレッスンになるだろう。だけど、キミが慎みを覚えたいと望むなら、私はちゃんと躾けてあげるよ」
希望の光を見出すように、彼は表情を明るくして顔を上げる。
「先生…っ!」
「黙って……」
彼の顎に手を添えて、私は彼の唇に自分のそれを重ねあわせた。
ぎこちなく、なんのテクニックも持たないそのキスは、むしろこれからいくらでも自分好みに仕込める可能性を感じさせる。
私は大胆に舌を使って、彼を翻弄した。
「んあ……」
「ダメだよ、聖一クン。そんなにはしたなく先をねだるんじゃなくて、もっと舌と唇を使って、感謝の気持ちを伝えなければ」
「感謝の気持ち…?」
「そうだよ。相手を歓ばせる術を覚えなさい。私がしてあげているのを手本にして、奉仕するんだ」
再びキスをすると、彼は素直に言葉に従って、舌を絡め唇を啄んでくる。
「少しマシになったが、まだまだだな。キミは自分の欲しい気持ちが先走ってしまうようだね。ダメだよ、ガッついては」
「そんなつもりは…」
「無意識か…。更に始末が悪いな」
罵倒されて、彼は消沈したようだった。
「では、ガッついている事を、まずはキミ自身が自覚する事から始めよう」
足を肩幅程度に開かせて、頭を少し下げさせる。
尻を突き出すような姿勢を取らせて、私は彼の背後に回った。
「店で知り合った相手と、えっちをしたと言ってたね」
「……はい」
「それは、どんな事をしたの?」
問いかけながら、私はローションを手に取ると自分の指にたっぷりと塗りつけた。
「え……っ?」
「互いに手で高めあったの? 口でしゃぶりあったの? それとも……」
ローションを纏わせた指で、彼の窄みをそっと撫でる。
「ココを使って、セックスしたの?」
鏡に映った彼の顔を見る必要も無く、耳やうなじまで赤く染まる。
「そう…、ココに相手のを挿れて貰ったんだね」
そっと撫でていた中指に力を込め、私は指を彼の窄みに穿つ。
「ひう……っ!」
「それで? ココに相手のを頬張って、いっぱいイイコトして貰ったの? ああ、でもキミ、キスだけであんなにガッついてたからなぁ。キミの素敵な容姿に騙されてホテルに行ったけど、キミがあんまりふしだらで淫乱だったから、向こうはびっくりしちゃったかもね。せっかくえっち出来たのに、イイコトして貰える前に逃げられちゃったんじゃない?」
彼の身体が、微かに震え始めた。
趣味の延長とはいえ、仮にも雇用主たる店の事を悪く言うのはどうかと思うが、あの店に来る客層はお世辞にも優良とは言い難い。
彼がどういった経緯であの店を訪れるようになったのかは知らないが、あの店に出入りをしている客…特に出逢いを求めている者の大半は、行きずりの手っ取り早いセックスを求めている。
そしてあのバーに出入りをしている、自称 ”ドS” の男の殆どは、暴力とサディズムの区別も付かないような身勝手の馬鹿ばかりと言っても過言では無い。
彼のような、真剣でステディな相手を求めている者とは、思想の根底が真逆な輩ばかりだろう。
SMバーで出逢った行きずりの相手に、サディズムと勝手に思い込んでいる一方的な暴力を振るい、ラブドールにマスターベイションをするのと大差ない行為に満足しているような輩とのセックスしかしていないとしたら、彼は付き合った人数と同じ回数、ポイ捨てをされているに決まっている。
その真実を歪めて、まるで彼に全ての責任があるような言い回しをした私の言葉に、彼は傷付いただろう。
くだらぬ中傷は、彼の人格を否定してM奴隷的な思想を植え付けるための手段だが、実は少々の時間稼ぎの意味もある。
まるでもう、存在価値もロクに無いようなマゾ体質であるかのように揶揄しているが、実際の彼の身体はまだ全くの未開発で、正直こうして指を挿れたところで彼が感じるかどうかも判らない。
前立腺の裏側辺りにあるポイントを探り出し、そこで感じる事をまずは覚えさせなくてはならないが、彼には彼の身体が淫乱であると思い込ませなければならないのだ。
だが、私の焦りや心配は、思いがけずに直ぐにも解決の糸口が見つかった。
罵倒されながら、恥ずかしい場所を明るい所で覗きこまれ、好き勝手に蹂躙される羞恥に身を縮めていた彼が、不意にビクリと身体を強張らせたのだ。
どうやら彼の身体は、繊細に感じやすい、こちらの都合に丁度良いものらしい。
彼が竦み上がった場所を確認するように、私は指を無遠慮にグイグイと押し込み、更に蹂躙した。
「は……あっ!」
「ほら、聖一クン。解るかい? ココをこんな風にいじられただけで、また堅くなっただろう? はしたないな」
指を抜き、彼が安堵の息を吐く間を与えずに、今度はそこに小型のローターを捩じ込む。
「ああっ! それは…なんですか……?」
「ローターだよ。初日に見せてあげただろう? 一番小さい、リモコンで使えるタイプだ。振動するだけで、特別な動きはしないヤツだから。この程度の物では、普通はイケないよ」
またしても素知らぬ顔で嘘を吐き、リモコンのスイッチを押して微弱な振動をさせる。
「んあっ!」
指で探り出したポイントに、ローターを的確にあてがえているらしい。
彼の膝はガクガクと震え、今にもくずおれそうだ。
「姿勢を崩してはダメだよ。こんな小さなローターで感じ過ぎだな。本当にはしたないな…」
ビクリと身体を強張らせ、彼は射精していた。
「おや、イッてしまったのかい?」
「も…申し訳ありません……」
「ダメだよ、もっと我慢をしなければ。仕方がないな、はしたない身体にお仕置きをしなければね」
「お…しおき……?」
「簡単だよ、こうするだけだ」
鞭を振り上げ、彼の尻を打つ。
「あううっ!」
「おやおや、また勃ってきたね。懲りないな、キミは」
タイミングを合わせて、再び彼が達する瞬間に尻を続けざまに鞭で叩く。
「はしたなくて、本当に悪いコだ」
「ああっ! ご……ごめんなさ……」
彼の身体が戦慄き、声音が前回の時と同じように怯えた色を滲ませて、口調が少し子供っぽくなる。
どうやら、上手く彼のトラウマを呼び起こす事に成功したようだ。
鞭を置いて、私は再び彼の正面に回り、そっと顎に手を掛けて上を向かせた。
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そして、彼の体内に挿れてあったローターを引き抜く。
途切れる事無くキスを与えながら、手早く自分の衣服を寛がせ、先程手に塗り込めたローションを、今度は自分の性器に塗る。
最後に彼の足を大きく広げさせて、私は彼の体内に自身を穿った。
「ひゃうん!」
簡単にローションを塗ったローターを抜き差ししただけの窄みは、いきなりほぼフルマックスに勃起したペニスを捻じ込まれて、悲鳴を上げている。
明らかに同意を得ていない行為だったし、ほんの少し指を抜き差しした後に、小型のローターを使っただけの窄みは、成人男性の熱り立ったモノをいきなり捩じ込まれてはかなり辛いだろう。
だが、えげつないボンデージ姿で両腕を拘束され、組み敷かれている彼の姿は痛々しくも艶めかしい。
「そんなに、ココを犯されるのが好きなのかい? はしたないコだ」
「ご…ごめんなさい…」
縄が食い込んでいる胸に手を当て、薄地のボンデージの上から撫でた。
「おやおや、こんな服越しに解るほど、乳首がカチカチに勃ってるね。このはしたない身体では、ココを弄られるのも好きなんだろう?」
ぷっくりと膨らんでいる乳首を、エナメルの服越しにいきなりキツく噛み付くと、彼は全身を強張らせた。
「ひうっ!」
「やっぱり、ココもはしたないね。刺激すると、私を頬張ってるキミのいやらしい穴が、嬉しい嬉しいって締め付けてくる。本当にはしたない身体だ」
「ごめんなさ…、いやらしくなくなるように、努力しま…あ、ああっ!」
「言ってるそばから、もう我慢出来ないようだ。キミは情けを掛けてもらっているんだから、してもらえる事だけで満足しなければいけないよ。私もキミに辛い思いはさせたくないから、お仕置きはなるべくしたくない。分かるね?」
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説教がましい言葉を口にしながら、まだ馴染んでいない窄みを、散々に犯す。
馴染ませていないと言っても、たっぷりのローションとローターで嬲られた後だけに、こちらの進退が困窮するほどでは無い。
だが、彼にしてみれば、無理矢理こじ開けられ、ズブズブと捻じ込まれたモノを、強引に抜き差しされている状態だ。
私が思うままに腰を振れば、落ち着いて返事をする事など、出来ようはずも無い。
それでも彼は、私の中傷に耐え、いじましい程に必死になって、こちらの無茶な要求にも応えようとする。
それはまるで、今まで体験した事の無い、夢のような時間だった。
混乱状態の彼が、どれくらいきちんとこの状況を把握しているのかは判らなかったが、理不尽な暴力に蹂躙されている彼の美しさに、私はすっかり虜になっていた。
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高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
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悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
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12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
上司、快楽に沈むまで
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完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
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