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Untitled:バーテンダーとの会話
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文雄の問いに、到流は考えた。
確かに経済的な理由の殆どが、父の収監の所為…と言ってしまえば、そうかもしれない。
しかし金の話の場合、到流が腹を立てているのは、父よりも母の親族に対してだ。
母が父と結婚をしたのは、母の父が亡くなった事が原因だが、母の母…つまり到流にとっての母方の祖母もかなり大きな原因だったと、到流は思っている。
簡単に言えば、母方の祖母は娘を売ったのだ。
父は漁師で、現金収入などは無かったが、母を専業主婦にさせ、順調に行けば到流が高校や大学に進学出来る目処もあった。
到流は漁船に乗るのが好きだったが、母は到流が漁師になる事は望んでいなかったので、父は進学のための積立のような事もしていたらしい。
だが、母が死んだ後、家も財産も、母方の祖母に取られた。
殺人犯の息子はいらないと言って、到流は父方の祖母に引き取られたのだ。
「じゃあ、どうしてお父さんに会いにいかないの?」
「だって、会う理由も無いっしょ?」
「会わない理由は、あるの?」
その質問、到流には衝撃だった。
会わない理由?
「そんなもん、ありませんよ」
「なら、会ったら良いのに」
「でも、会う理由も無いっす」
「会わない理由も、無いんだろ? でもお父さんは手紙で会いたいと言ってきた。お父さんには会いたい理由が、あるんだよ」
到流は、目からウロコが落ちた。
もしかしたらそれは、目では無く心を覆っていた頑ななウロコだったかもしれない。
しかもそれは、周囲やマスコミによって、知らず知らずのうちに作り上げられていたウロコのような鎧だった。
父に会う理由が無いと思っていたのは、父を憎んで当然と思い込んでいたからだ。
だが改めて指摘されれば、そんな物は存在しない。
自分が父に持っている気持ちも、思い出も、全て好意的な感情ばかりだ。
むしろ、母方の祖母に対する嫌悪感と同じような感情を、生前の母にも持っている。
確かに経済的な理由の殆どが、父の収監の所為…と言ってしまえば、そうかもしれない。
しかし金の話の場合、到流が腹を立てているのは、父よりも母の親族に対してだ。
母が父と結婚をしたのは、母の父が亡くなった事が原因だが、母の母…つまり到流にとっての母方の祖母もかなり大きな原因だったと、到流は思っている。
簡単に言えば、母方の祖母は娘を売ったのだ。
父は漁師で、現金収入などは無かったが、母を専業主婦にさせ、順調に行けば到流が高校や大学に進学出来る目処もあった。
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「じゃあ、どうしてお父さんに会いにいかないの?」
「だって、会う理由も無いっしょ?」
「会わない理由は、あるの?」
その質問、到流には衝撃だった。
会わない理由?
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「なら、会ったら良いのに」
「でも、会う理由も無いっす」
「会わない理由も、無いんだろ? でもお父さんは手紙で会いたいと言ってきた。お父さんには会いたい理由が、あるんだよ」
到流は、目からウロコが落ちた。
もしかしたらそれは、目では無く心を覆っていた頑ななウロコだったかもしれない。
しかもそれは、周囲やマスコミによって、知らず知らずのうちに作り上げられていたウロコのような鎧だった。
父に会う理由が無いと思っていたのは、父を憎んで当然と思い込んでいたからだ。
だが改めて指摘されれば、そんな物は存在しない。
自分が父に持っている気持ちも、思い出も、全て好意的な感情ばかりだ。
むしろ、母方の祖母に対する嫌悪感と同じような感情を、生前の母にも持っている。
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