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4.なんでこうなった?
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一体、何がどうしてそうなったのか、俺の目の前で話が進んでいたはずなのに、気がついたらリサイタルをする事になっていた。
マエストロ神楽坂での双子の演奏は、確かに素晴らしかった。
特に、ヴァイオリンの演奏はとても高校生のそれとは思えないレベルで、しかも双子の特性なのか、ピアノの演奏も息がピッタリで、寄り添い合うようなというか、融合しているというか、確かにすごかった。
演奏が終わったトコロで、白砂サンは拍手をし、二人の演奏を褒め称え、最後にもう一回「別に、下手では無かったよ」とコーキ君にフォローにならないフォローを付け足した。
どれくらい白砂サンが感動していたかというと、ササッとテーブルを用意して、双子とコーキ君を座らせると、パパッとティーセットとアップルパイが用意されて、あれよあれよと接待しちゃったぐらいだ。
そこで白砂サンが双子を絶賛しながら、イロイロなんか話をして、学生として忙しいだろうけど時間が出来た時でいいから、店でリサイタルをしないか? と、持ちかけたらしい。
そこまでノリノリでリサイタルをプッシュしたのには、白砂サンなりの気遣いとかシタゴコロがあったからだろう。
最大のシタゴコロは、メゾンの子供達に芸術を肌で感じさせたい…的なドリーミングで、特にヴァイオリン弾きのヨウ君の才能に親しませる事で、ナニカが開花したら良いと思ったっぽい。
次点は、楽器の価値が、俺達が考えていたよりもずっと〝ピアノ弾き〟を釣るのに良いエサだと解ったところだ。
それをストリートピアノとして提供出来るって強みを、商店街にアピール出来ると考えたようだ。
オマケとして、連絡係兼当日の譜めくり係に任命されたコーキ君に、優先的にベーゼンドルファーの使用権を回し、練習する機会を与えてあげたいと思ったらしい。
その詳細は、俺には計り知れないけれど、とにかく双子と白砂サンは(もしかしたら白砂サンが一方的にかもしれないけど)妙に懇意になってしまって、なんらかの取り決めが交わされてしまった。
当然、お祭り騒ぎが大好きなシノさんが、こんな話しに反対するワケがない。
シノさんがゴーサインを出せば、キャンパスチームが否やも無いワケで、ホクトが作った告知ポスターが店に張り出され、あれよあれよと周知の事実となった。
ちなみに演奏の他に、ケーキかキッシュどちらかにドリンクのサービスが付いて、トータルで小一時間のリサイタルだが、チケットは五千円とシノさんが値段設定した。
そんな強気の値段で売れるのか? と思ったのだが、十六席分のチケットは常連達の協力なのか、当日限定でドリンクに白砂サン手ずからのドリップコーヒーが選択肢に入っていたからなのか、はたまた白砂サンが商店街の広報に手を回して拡散したからなのか、とにかく完売してしまった。
で、当日。
「この部屋を使って」
「はい、ありがとうございます」
俺はやってきた双子とコーキ君を、アナログレコードの管理をしている部屋に案内した。
アナログレコードの在庫が棚にびっしりと並び、端っこに発送管理をするためのボロいパソコンに、安っちい事務机と椅子、それに俺の着替えが入ってる年代物のファンシーケースを見て、少年達は面食らった様子だ。
彼らの着替えには、スタンドタイプのコートハンガーを出しておいたから、それを自由に使って欲しい旨を、俺はヨウ君に説明した。
ヨウ君に説明をしたのは、単に側に立っていたのがヨウ君だったからで、他にはなんら理由があった訳では無い。
だがなぜか、俺がヨウ君に話をしてる間中、セイ君が俺を睨んでいた。
表情というのは眉目秀麗なほど際立つもので、細っそりとした美青年から意味不明な敵意を向けられた俺は、言うまでもなく速攻でビビった。
だから必要な説明を終えると早々、俺はレコード部屋から逃げ出した。
マエストロ神楽坂での双子の演奏は、確かに素晴らしかった。
特に、ヴァイオリンの演奏はとても高校生のそれとは思えないレベルで、しかも双子の特性なのか、ピアノの演奏も息がピッタリで、寄り添い合うようなというか、融合しているというか、確かにすごかった。
演奏が終わったトコロで、白砂サンは拍手をし、二人の演奏を褒め称え、最後にもう一回「別に、下手では無かったよ」とコーキ君にフォローにならないフォローを付け足した。
どれくらい白砂サンが感動していたかというと、ササッとテーブルを用意して、双子とコーキ君を座らせると、パパッとティーセットとアップルパイが用意されて、あれよあれよと接待しちゃったぐらいだ。
そこで白砂サンが双子を絶賛しながら、イロイロなんか話をして、学生として忙しいだろうけど時間が出来た時でいいから、店でリサイタルをしないか? と、持ちかけたらしい。
そこまでノリノリでリサイタルをプッシュしたのには、白砂サンなりの気遣いとかシタゴコロがあったからだろう。
最大のシタゴコロは、メゾンの子供達に芸術を肌で感じさせたい…的なドリーミングで、特にヴァイオリン弾きのヨウ君の才能に親しませる事で、ナニカが開花したら良いと思ったっぽい。
次点は、楽器の価値が、俺達が考えていたよりもずっと〝ピアノ弾き〟を釣るのに良いエサだと解ったところだ。
それをストリートピアノとして提供出来るって強みを、商店街にアピール出来ると考えたようだ。
オマケとして、連絡係兼当日の譜めくり係に任命されたコーキ君に、優先的にベーゼンドルファーの使用権を回し、練習する機会を与えてあげたいと思ったらしい。
その詳細は、俺には計り知れないけれど、とにかく双子と白砂サンは(もしかしたら白砂サンが一方的にかもしれないけど)妙に懇意になってしまって、なんらかの取り決めが交わされてしまった。
当然、お祭り騒ぎが大好きなシノさんが、こんな話しに反対するワケがない。
シノさんがゴーサインを出せば、キャンパスチームが否やも無いワケで、ホクトが作った告知ポスターが店に張り出され、あれよあれよと周知の事実となった。
ちなみに演奏の他に、ケーキかキッシュどちらかにドリンクのサービスが付いて、トータルで小一時間のリサイタルだが、チケットは五千円とシノさんが値段設定した。
そんな強気の値段で売れるのか? と思ったのだが、十六席分のチケットは常連達の協力なのか、当日限定でドリンクに白砂サン手ずからのドリップコーヒーが選択肢に入っていたからなのか、はたまた白砂サンが商店街の広報に手を回して拡散したからなのか、とにかく完売してしまった。
で、当日。
「この部屋を使って」
「はい、ありがとうございます」
俺はやってきた双子とコーキ君を、アナログレコードの管理をしている部屋に案内した。
アナログレコードの在庫が棚にびっしりと並び、端っこに発送管理をするためのボロいパソコンに、安っちい事務机と椅子、それに俺の着替えが入ってる年代物のファンシーケースを見て、少年達は面食らった様子だ。
彼らの着替えには、スタンドタイプのコートハンガーを出しておいたから、それを自由に使って欲しい旨を、俺はヨウ君に説明した。
ヨウ君に説明をしたのは、単に側に立っていたのがヨウ君だったからで、他にはなんら理由があった訳では無い。
だがなぜか、俺がヨウ君に話をしてる間中、セイ君が俺を睨んでいた。
表情というのは眉目秀麗なほど際立つもので、細っそりとした美青年から意味不明な敵意を向けられた俺は、言うまでもなく速攻でビビった。
だから必要な説明を終えると早々、俺はレコード部屋から逃げ出した。
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