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本物のオオカミで大変!
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「すげえ、これがお前の本当の姿か……!」
ジンがワーウルフになった俺の姿を見てすげえ感心してる。
けど俺の方は散々だ。これからトモキのとこへ戻らなきゃいけないのに、これじゃあいつ失神しちゃう、っていうか俺が自由研究のターゲットになっちゃうし。
それと同時に、嗅覚もいつも以上に研ぎ澄まされてきた。
ああわかる。それほど離れてない場所に、なんていうかピリピリした殺意そのものの匂いが。
「タケル、分かるな……お前の背後にいる」
ゆっくり振り返ったその先には……
二本足で立っている毛むくじゃらの焦げ茶。
血走った目にモヒカンのような髪型。そして上向きの鼻の左右には、短く鋭い牙が。
俺がワーウルフだとしたら、英語分からないけど、つまりはこいつはワーイノシシだ!
鼻からまるで湯気のような真っ白い鼻息が噴き出ている。でも二本足で立ってるってことは俺の仲間でもあるのかな、話しかけられるのかな、なんてふと思ったんだけど、無理そうだなこりゃ。だって目がバキバキに決まっててヤバいことこの上ないし。
「タケル、戦いの経験はあんのか?」
ジンの問いかけに速攻で「ない」って答えたら、あいつそうだよなって軽く舌打ちしてた。
「ならそこで見てろ」そう言い残すとジンは、ゆっくりとワーイノシシの前に足を進めた。
歩くたびに、ジンの姿がだんだんと変わっていく……木の枝がまとめて折れるようなバキバキって音とともにあいつの身体が大きくなってきて、そして立ち上がって……
俺とはまた違う姿。
なんで形容すればいいんだろう、俺はオオカミの姿をした人間で、ジンは逆。つまりオオカミが人間みたく二本の足で立ち上がった姿なんだ。その証拠に俺は足の指先からカカトまでがかなり長くなるんだけど、あいつはそれほど大きくならないし、膝も逆方向っぽいまま。
そうそう、それに服着てないから、つまり全裸なんだよなアイツ……こんな状況だってのについ吹き出しそうになっちゃった。
「かかってきな、イノシシ野郎!」
言葉を理解しているのか、ワーイノシシは地面をガシガシと蹴りあげ、突進する構えを取った!
と思う間もなく、イノシシは猛スピードでタックルをかましてきた、頭が、牙がやべえええええ!
だがジンはそんな攻撃に一歩も引くこともなく、その牙を掴み上げ、軽々と真上に放り投げたんだ。
「真っ直ぐに走るしか能がないようだな」
「ウゴァァァァァァァッッッ!」
だがイノシシもただものじゃない。空中でくるっと一回転して音もなく着地した。
「うおおおおッ!」
遠吠えにも似た声を上げ、ジンは今度はイノシシの首元に食らいついた……けど、毛皮が厚いのか、ジンも手間取ってるみたいだ。
「俺様のキバじゃ無理っぽいか……ならば!」
ジンの身体が音もなく地面を蹴ると、瞬く間にイノシシの顔面に殴る蹴るの攻撃を休む間もなく浴びせ続けた。
え、あいつジャンプしたままだろ? 空中でなんで止まれるのさ!?
そして今度は片方の牙を掴み、思い切り投げつけた。
そこからはもう一方的だった。
立ち上がったイノシシの突進を紙一重でかわし、ローキックで転ばせて、立ち上がったところを胸に膝蹴り……
そうだ、俺なんかじゃこんなの無理だ。戦い慣れしているジンだからこそやれるんだ。
いつしかイノシシは両肩で大きく息をするまでに疲弊していた。
「どうした? 俺はまだ準備運動しかやってねえぞ」
鋭く爪の伸びた親指で、ジンは胸を指した。
そうだ、余裕たっぷりの挑発。
「ウゴォォォォオ!」
……だけど、イノシシの体力の方が先に尽きたみたいだ。
ガクッとひざが崩れて、そのままうつ伏せに倒れてしまった。
「情けねえな、特に最後に吠えるところとか」一方ジンは息切れすらしていない。すげえ……まるで格闘ゲームのパーフェクト勝ちを目の当たりにしたような、そんな感じすらした。
だけどジンはそんなワーイノシシに目もくれないまま、今度は俺のところへ来たんだ。
「さて、次はお前の番だ」
……え?
ジンがワーウルフになった俺の姿を見てすげえ感心してる。
けど俺の方は散々だ。これからトモキのとこへ戻らなきゃいけないのに、これじゃあいつ失神しちゃう、っていうか俺が自由研究のターゲットになっちゃうし。
それと同時に、嗅覚もいつも以上に研ぎ澄まされてきた。
ああわかる。それほど離れてない場所に、なんていうかピリピリした殺意そのものの匂いが。
「タケル、分かるな……お前の背後にいる」
ゆっくり振り返ったその先には……
二本足で立っている毛むくじゃらの焦げ茶。
血走った目にモヒカンのような髪型。そして上向きの鼻の左右には、短く鋭い牙が。
俺がワーウルフだとしたら、英語分からないけど、つまりはこいつはワーイノシシだ!
鼻からまるで湯気のような真っ白い鼻息が噴き出ている。でも二本足で立ってるってことは俺の仲間でもあるのかな、話しかけられるのかな、なんてふと思ったんだけど、無理そうだなこりゃ。だって目がバキバキに決まっててヤバいことこの上ないし。
「タケル、戦いの経験はあんのか?」
ジンの問いかけに速攻で「ない」って答えたら、あいつそうだよなって軽く舌打ちしてた。
「ならそこで見てろ」そう言い残すとジンは、ゆっくりとワーイノシシの前に足を進めた。
歩くたびに、ジンの姿がだんだんと変わっていく……木の枝がまとめて折れるようなバキバキって音とともにあいつの身体が大きくなってきて、そして立ち上がって……
俺とはまた違う姿。
なんで形容すればいいんだろう、俺はオオカミの姿をした人間で、ジンは逆。つまりオオカミが人間みたく二本の足で立ち上がった姿なんだ。その証拠に俺は足の指先からカカトまでがかなり長くなるんだけど、あいつはそれほど大きくならないし、膝も逆方向っぽいまま。
そうそう、それに服着てないから、つまり全裸なんだよなアイツ……こんな状況だってのについ吹き出しそうになっちゃった。
「かかってきな、イノシシ野郎!」
言葉を理解しているのか、ワーイノシシは地面をガシガシと蹴りあげ、突進する構えを取った!
と思う間もなく、イノシシは猛スピードでタックルをかましてきた、頭が、牙がやべえええええ!
だがジンはそんな攻撃に一歩も引くこともなく、その牙を掴み上げ、軽々と真上に放り投げたんだ。
「真っ直ぐに走るしか能がないようだな」
「ウゴァァァァァァァッッッ!」
だがイノシシもただものじゃない。空中でくるっと一回転して音もなく着地した。
「うおおおおッ!」
遠吠えにも似た声を上げ、ジンは今度はイノシシの首元に食らいついた……けど、毛皮が厚いのか、ジンも手間取ってるみたいだ。
「俺様のキバじゃ無理っぽいか……ならば!」
ジンの身体が音もなく地面を蹴ると、瞬く間にイノシシの顔面に殴る蹴るの攻撃を休む間もなく浴びせ続けた。
え、あいつジャンプしたままだろ? 空中でなんで止まれるのさ!?
そして今度は片方の牙を掴み、思い切り投げつけた。
そこからはもう一方的だった。
立ち上がったイノシシの突進を紙一重でかわし、ローキックで転ばせて、立ち上がったところを胸に膝蹴り……
そうだ、俺なんかじゃこんなの無理だ。戦い慣れしているジンだからこそやれるんだ。
いつしかイノシシは両肩で大きく息をするまでに疲弊していた。
「どうした? 俺はまだ準備運動しかやってねえぞ」
鋭く爪の伸びた親指で、ジンは胸を指した。
そうだ、余裕たっぷりの挑発。
「ウゴォォォォオ!」
……だけど、イノシシの体力の方が先に尽きたみたいだ。
ガクッとひざが崩れて、そのままうつ伏せに倒れてしまった。
「情けねえな、特に最後に吠えるところとか」一方ジンは息切れすらしていない。すげえ……まるで格闘ゲームのパーフェクト勝ちを目の当たりにしたような、そんな感じすらした。
だけどジンはそんなワーイノシシに目もくれないまま、今度は俺のところへ来たんだ。
「さて、次はお前の番だ」
……え?
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