鬼精王

希彗まゆ

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誓いの証、純白の花

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「ん……ん、っ、はぁ、っ」

「苺ちゃん……ここは?」

「っ、……やん、いや、っ」

「ここも感じるんだ」


昼間からわたしの部屋で、わたしと霞はイチャイチャしている。


あの後、【鬼精鬼】が張っていた結界が自然に解かれ、わたしの泣き叫ぶ声を聞き付けた禾牙魅さんと架鞍くんが飛んできて、結界が解かれたことによりわたしと霞が落ちるところを助けてくれた。

霞は目を覚まさず、息が細いまま一度【鬼精界】へと連れ去られ、禾牙魅さんと架鞍くんの強い力によって出来る限りの「治療」を施し、どうにか一命を取り留めた。

霞は持ち前の体力と力で見る間に持ち直し、その間に正式にただ一人の【鬼精王】として認められた。

……の、だが。


「か、すみ」

「なに? もう欲しくなった? じゃあベッドに行こうか。それとも立ったままってのやってみる?」


霞の手が、太股の奥に入ってくる。


「あ、んん……っ、そ、うじゃなくってっ!」


抜けかかる力を振り絞って霞を押し退ける。


「あんた、ただ一人の【鬼精王】になったクセに毎日人間界に来てこんなことばっかしてていいのっ!?」


わたしは腰が砕けそうになるのを必死でこらえているのに、霞は余裕の笑顔だ。


「いーんじゃねえの? ちゃんと【補佐】の禾牙魅と架鞍がいるんだし」

「あの二人のこと護りたいって言ってたじゃない」

「苺ちゃんのこともね」

「……!」


【鬼精鬼】と戦った時に言ってた【最低三人】のうちのひとりって、私のことだったんだ……。

そんなわたしの心中を見透かしたように、霞はわたしの腰を触る。


「鈍すぎ、苺ちゃん」

「だ、だめさわっちゃ」

「身体は敏感で楽しいけど」

「あっあのねえっ、いくらまだ私の家族が旅行から帰ってこないからって毎日毎日エッチなことばっかりしてていいと思うっ!?」

「いいと思う」


どぎっぱりと、霞。

ダメだ……このすけべ男にはなに言っても無駄かも……。


「あ、でもそうだなあ、いつまでもこのままじゃいけねえよな、確かに」


ふとそんなことを言い出す霞に、ちょっと救われた気持ちになってわたしは笑顔になる。


「そうでしょ? そう思うでしょ?」


すると霞は、いつもの悪戯っぽい笑みを見せた。


「毎日感じてるクセに」

「うっ……」

「毎日俺のアレでイッて、指だけでもイッて、口だけでもイッて」

「う、そ、それはっ……、」

「そうだなあ……じゃあそろそろ結婚でもしようか?」

「!!??」

「そうと決まったら早速愛を確かめあ……」


そのとき、ゲシッと鈍い音が響いた。


「いてっ!」


霞が悲鳴を上げる。

いつのまにかそこに禾牙魅さんと架鞍くんが立っていた。


「自分の身体がどうなっているのかまだ分かっていないようだな、【鬼精王】は」

「霞、ここにまだ【鬼精虫】の毒が入ってるんだよ? そんなに毎日セックスばっかしてたらホントに死ぬよ?」


ふたりはまっとうなことを言っていると思うのに、霞は彼らを睨みつける。


「ここ、とか言いながら足でぐりぐりやるんじゃねえっいてーだろうが! 今後頭部殴りやがったのもてめーだな架鞍っ!?」

「それは俺だ」

「言うようになりやがったな禾牙魅……」


禾牙魅さんと架鞍くんがいつの間にか部屋に入ってきていたことには気付かなかったが、わたしはホッと一息つく。


「大体苺はまだ大学生だ。結婚はまだ先だろう」

「するなら学生結婚になっちゃうね」


禾牙魅さんと架鞍くんのその言葉に、なぜか霞は輝かんばかりの笑顔になった。


「それだ! そのシチュエーションもらった!」

「「「は?」」」


わたしと禾牙魅さん、そして架鞍くんは一斉に間の抜けた声を出してしまう。

けれどそれにかまわず霞はわたしを抱き上げたかと思うと、窓から外へ飛び出した。


「俺も大学に入る、そんで苺ちゃんと学生結婚だ! 萌えるぜ~学生結婚!」

「空っ、空飛んでるってば霞っ! それに言ってること意味わかんないよーっ!」


【鬼精王Side】


飛んでいく二人を見上げながら、禾牙魅はぽつりと呟いた。


「もう、あいつの考えていることを読もうとするのはやめよう……」

「禾牙魅、まだそれあきらめてなかったの?」





【苺Side】


「信じられない、ホントに大学生になっちゃうなんて……」


ぐったりと、壁に背をつけ、ため息をつくわたし。

霞は力を使って色々と「工作」をし、その日のうちに大学生になってしまったのだ。


「大体あんた大学生に見えないよ? どう見たって社会人だし」


霞はにこにこと、ご機嫌だ。


「大学なんて年齢関係ねーじゃん」

「それはそうだけど……っ、」


霞が壁に手をつき、わたしを囲うようにして深くキスをしてきた。


「ん……、っ、ちょ、ちょっと、ここ大学の中……人が来たら、」

「大学内でするのもいいと思わねえ?」

「お・も・わ・な・い!」

「あの夜のようなセックスも、もうしたいとは思わない?」

「……え……」


あの夜……間違いない、【鬼精鬼】と争う直前に愛し合った事だ。あの時の霞は、どこか違っていて。恐くて意地悪で、でもたまらなく魅力的で愛しくて……。そう、今のような真剣な表情でわたしを見つめ、霞は愛してくれた。


「思い出しただけで濡れただろ」


くす、と霞は笑う。


「ば、ばかなこと言わないでよっ!」

「キスだけでイくってのやってみるか?」

「そ、そんなことあるわけ、」


霞の唇がわたしの言葉の続きを奪った。舌が絡みつき、吸っては唇をなぞる。やっていることは同じなのに、明らかに今までの霞からのキスと違った。

唇から、口内から、チョクに身体の芯へと強い刺激がビリビリビリと走ったかと思うと……。


「っ、っっっっ!!!!!」


かくんと抜けたわたしの腰を霞は支え、膝を足の間に割り込ませる。

うそ……ホントにキスだけでこんな……。

息を乱したわたしは、びくっと身体を震わせた。霞の手がインナーの上から花芯に触れていた。油断も隙もない。だけど、不甲斐なくもキスだけで絶頂を迎えてしまったばかりのわたしは、霞の肩に掴まって立っているのがやっとだ。



「溢れてるぜ、ここまで」


と、霞は余裕たっぷりの笑顔でわたしの太股に手を滑らせる。


「や、これ以上されたら私、」


なんとか霞の身体を押し退けようとしたわたしは、太股に何かがはまったのに気付いた。何か……冷たくて柔らかいもの。


「え……?」

「スカートめくってみな。俺が隠しててやるから」


霞に言われたとおりドキドキしながらそろそろとスカートをめくると、左の太股に純白の小さな花が連なった布のようなものがはめられていた。


「これ……?」

「【鬼精界】での婚約の証のひとつ」

「…………!」

「今じゃなくていい。苺の心の準備が出来た時、俺と結婚してくれるか?」


じんわりと霞の言葉が心の奥にしみわたり、そこからあふれ出た嬉し涙がぽろぽろと頬を伝う。


「うん、……うん……する、霞と結婚、したい」


霞は、優しい笑顔でわたしにささやきかける。


「お前を快ばせて泣かせるのは、いつも俺でいたいよ。お前を幸せに出来るのも、俺だけだ。こんなに本気で女を愛したのは、お前が初めてだから」

「意地悪、しないでね」

「それはする。お前の泣き顔、そそるから」

「意地悪……」

「最高の誉め言葉だな」

「でも、好き。霞、愛してる……」

「俺も愛してる。苺、覚えとけ。一生俺の身体無しじゃ生きていけねえ身体にしてやるからな」


わたしの次の言葉は、霞の唇でまたも塞がれた。

あらわになったわたしの太股の連なった純白の花の布が、ちかりと二人の幸せを祈るように、光った。

**********

ここまで読んで下さって、ありがとうございました。霞編はここで終了です。このあとはいよいよ最終章、鬼精鬼編に続きます。

その際、プロローグから夏祭りの「誰かからの呼びかけ」の部分まで一緒なので、その部分はとばして夏祭りの「呼びかけ」の部分から書かせて頂きます。

ところどころ同じエピソードがありますので、その部分は架鞍編・禾牙魅編・霞編と文章も同じです。その場合は、面倒でしたらとばしてお読みください。


また、プロローグの最初の三行の意味等は鬼精鬼編で明らかになる予定です。


鬼精鬼編(凜音編)は次の頁からです。
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