LOVE PHANTOM-罪深き天使の夢-

希彗まゆ

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そのいのちを動かすもの

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「水琴のチカラを消滅させるもの」……「水琴を救うもの」の設計、製作は、思ったよりも多くの時間を要した。
緑炎は実験に実験を重ね、見ている者が地団太を踏みたくなるほど慎重だった。

まだ設計段階の時に彩地が臨月を迎え、子供を産むために外界へ出た。
『母体』の事件から外では40年以上が経っているため、そうした「外出」も比較的楽にできるようになっていた。

彩地とその子供を養うための役を、毬黄が名乗り出た。
白い塔の環境派子供を育てるのに向いていない。
ましてや緑炎が欲しがっているのは決して「自分の子供」ではなく、研究を手助けしてくれる、最低でも自分と同じだけの能力を持った“助手”である。
外で科学者として育てて、また白い塔へ連れてくるという計画を立てていたのだ。

「水琴のために、自分の子供の人生まで犠牲にするとはな」

毬黄の言葉も、ただ亡き空水の希望を叶えることに固執している緑炎の耳には入らないようだった。

「さよなら、紫嵐。どうせ外に出られるのなら母さん達にも会いたいけど、こんな外見じゃそれも無理ね」

彩地の言葉に、紫嵐はかぶりを振った。

「それ以前にわたしたちは死んだことになっています。どんな事情があれ、旧人に会うことは許されません」
「──そうね」

白い塔の出口まで来て姉妹は、毬黄と見送る人々が降りてくるのを待った。
何か想像した彩地が、くすっと笑った。

「今度会うときは、わたしは50近くね。若いあなたを羨むかもしれないわ」
「いい子供を産んでください」

淡々とした紫嵐の口調に、彩地は目を伏せた。
緑炎の子供を身ごもったときから、なにかうしろめたい気がしてならなかった。
それを紫嵐は察したようだ。

「緑炎の判断は的確でしたよ。わたしは母親には向いていない。しっかりしてください、姉さん」
「……ありがとう」

やがて階段を降りてきた毬黄と緑炎は、握手を交わした。

「なにがあるか分からねえからな。一応お別れを言っておくぜ」
「お前がいてくれて随分と助かった。よろしく頼む」
「じゃあ、元気でな。あまり無理するなよ、天才!」

毬黄は少ない荷物を持ち、紫嵐と藤雅、水琴にも手を振って、彩地と共に白い塔を出ていった。

最後に彼は、紫嵐の姿を目に焼きつけることを忘れなかった。
この想いは伝えなくても良かった。一生伝える気はなかった。

そしてそれが、彼らの永遠の別れとなった。

親の意思をちゃんと受け継ぎ、立派な科学者になった青年が緑炎の元に現れたのは、それから約2年の後だった。
萌天(ほだか)と名付けられた緑炎の息子は、妻と生まれたばかりの長男、翠陸(すくい)を連れていた。

毬黄と彩地は一緒ではなかった。

毬黄はますます勢いづく巨大流砂の研究のために世界政府に連れて行かれ──むろん彼が昔『母なる都』でトップグループに所属していたことを知る者はいなかったが──彩地はずっと寝たきりで、今では毬黄との間に生まれた娘と暮らしているとのことだった。

しかし、緑炎は一年も暮らさないうちに息子に愛想を尽かした。
萌天は確かに有能な科学者ではあったが、とても緑炎に追いつくほどではなかったのだ。

水琴が15歳になると、緑炎は彼女に完成したばかりのカプセルに入るように指示をした。
それは凍眠(コールドスリープ)のための装置で、緑炎の目指すものの完成がまだまだ先になることを示していた。

水琴ははじめ恐がったが、藤雅に説得され、「じゃあいつも声をかけてね。毎日よ」と約束を交わすと、石薬を預けてひとりぼっちの凍眠に入った。

緑炎が興味を示したのは、萌天よりもむしろ孫の翠陸のほうだった。
まだ幼い翠陸が非凡な頭脳を持っていることを認めた緑炎は、自分の研究が間に合わなかったときにはこの孫に託すことに決めた。

母にいつも緑炎のことを聞かされ、憧れを抱いていた萌天は、父の眼中に自分の姿はいないと知り、翠陸を残して妻と共に外界へ戻っていった。
──緑炎は、見送りにもこなかった。



緑炎が息を引き取ったのは、白い塔において80歳のとき──「水琴を救うもの」の設計、製作を終え、あとは発動させるだけという時だ。
『母体』の事件から、外界では250年が経っていた。

ただひとこと翠陸に、「あとはすべてをお前に託す」と告げた、それが緑炎の最期の言葉だった。
既にそのとき、紫嵐も亡く、膨大な量の研究データと、そして水琴を、彼は引き継ぐことになったのだ。
研究者としては、ただひとり。

それでも、藤雅がいなければどうなっていたか──世界でただひとつ残った街と、少女を救う使命を肩に背負わされて。



「顔をお上げ、水琴」

翠陸の声に、しかし水琴はなかなか従わなかった。
過去の映像は緑炎が息を引き取ったところで消え、今はまた闇の中を、一本の光が左右に走っているだけだ。
だがそれも、地響きのためにかすかに揺れていた。

「俺は水琴、『お前を救うもの』を発動させた。そしてお前を凍眠装置(コールドスリープ)から起こした」
「でもあたし、覚えてないわ」

蚊の鳴くような声で水琴はつぶやく。
翠陸はうなずいた。

「そう、装置から出してもお前は長く目覚めなかった。凍眠が長すぎたんだ。そしてそのために、過去の記憶をすべてなくしてしまった」
「それに、あたし結局知らないわ。……緑炎がつくったもの──あたしのチカラをなくすものって、なんなの?」

過去の映像にも、それは映っていなかった。

風火も関係している、と過去を見た今は分かっている。
けれどそれはなんだったのか。

翠陸の唇が動いた。……短く。

それは、“紅凪”だ、と。

「──紅凪?」

水琴は耳を疑った。苦笑すら浮かべた。

「何を言っているの?」
「紅凪は人間ではない。限りなく人間に近づけた、機械人形だ」

説明が足りないと思ったか、翠陸は言葉を続けた。

「お前のチカラを消滅させるためには、風火のチカラを使うことがあらゆる点で一番良かった。しかし、お前も思い出したと思うが、お前のチカラをすべて消滅させるには彼の身体が追いつかない。半分も中和しないうちに風火は死んでしまうだろう。──そこで、祖父は……緑炎は、『紅凪』という機械人形の設計を始めた」

体内にチカラを集積する性能のある『片(チップ)』を埋め込むことで、数倍ものチカラを取り込むことが可能になる。
しかしそれも機械人形の身体相手であって、初めて成功する。
だが、ただ『片』を埋め込んだだけの機械人形では、中和・消滅まではできない。

だから。

「緑炎は風火の承諾を得て、彼を仮死状態にし、脳だけを取り出し、保存した。やがて機械人形の本体が完成し、緑炎は風火の脳を『紅凪』の頭部に内蔵した。──強大なチカラの集積に耐え得る身体と、中和・消滅の能力を持ったチカラ。このふたつが合併してようやく水琴、お前のチカラをなくすことが可能になった」

水琴は震えていた。
忘れていた過去と、知らなかった真実が交錯し、混乱していた。

翠陸の説明は、尚も続く。

「しかし『紅凪』を発動した時点で、事故がおきた。発動のショックに噛み合わず、風火の意識がうまく働かなくなり、新たに『紅凪』としての意識が生まれてしまった。要は風火が二重人格になってしまったわけだが……あいつは本来の使命まで忘れてしまった。『紅凪』は自分の能力の使い方を間違えた。水琴、お前からチカラを吸い取り、それを自分のものとしてチカラをふるった。
俺に反発し、止めようとした藤雅を吹き飛ばして、まだ眠っているお前を連れて『紅凪』はここを出ていった。初めてチカラを使ったから、少しの間動けなくなったようだが」

「でも、」

水琴は思い出していた。

一年前の雪の日、水琴はパン屋の前で倒れていた。
確かに紅凪にしっかりと抱きかかえられて。

でも。

「紅凪は死んだわ。動かなくなったわ」
「『紅凪』の機能を唯一停止させるキーワードを、緑炎は設定していた。それをお前が口にしたからだ」
「そんなの知らないわ」
「『紅凪』を否定しただろう。お前の声であいつの存在を否定することが、キーワードだった」
「……そんなこと!」

水琴は叫んでいた。
“たったひとつの方法”に、彼女は今初めて気づいた。

「そんなことしなくてよかったのに!」

水琴からチカラをなくすことが望みだった空水。
その望みを受け継いだ緑炎。協力した風火と大人たち。

「簡単だったのに! あたしを殺してしまえばよかったのに……!」

……世界のために、それが一番良い策だった。

チカラを発するのは水琴。
巨大流砂をつくっていたのは水琴。

だったら、彼女を殺してしまえば済むことだった。
すべてがそれでおさまったはずだ。

「だけどな、お嬢ちゃん。俺たちの誰もがそれを望まなかった」

気だるげな声に、水琴は顔を上げた。
光の線の向こうに、懐かしいシルエット。

「藤雅……」
「“風火”の奴に、原子単位にまで身体の組織を破壊されちまった。おかげで身体を組み合わせて、こうして動けるようになるまで、一年もかかっちまったわけさ」

身体のあちこちを押さえながら、藤雅が歩み寄ってくる。

「長くかかったな。待ち兼ねた」

翠陸の言葉に肩をすくめる。
奥のほうで、回復をはかっていたらしい。
目を細めて水琴を見つめた。

「緑炎もお前さんのおふくろさんも、俺も彩ちゃんもしいちゃんも、毬黄もさ。そこに立ってる小僧っこも、お嬢ちゃんが幸せになることが第一だったんだぜ。お嬢ちゃんが大好きな風火もさ」
「世界中の人を犠牲にしても!? 世界の全部を犠牲にしても!?」

言葉を投げつけて、水琴は身を翻す。

「水琴!」
「お嬢ちゃん!」

世界中のたくさんの人たちの命を犠牲にしてまで、幸せに生きられるだろうか。

以前はそんな簡単なことに気づかなかった。
自分が死を選べばそれで済むということに。

……水琴は、大切にされていたから。
みんなから、大切にされていたから。
だから、そんな簡単な方法に気づかなかった。

部屋を出た水琴は、階段を駆け降りた。
そこは翠陸の寝室。
いつか紅凪が侵入してきたところ。
壁すれすれまで近づき、外のほうを向いて水琴は立った。

「あたしのチカラ……」

戻ってる。
紅凪が倒れたときから流れ込んできていた、身体の中に渦巻いていた、これがあたしのチカラ。
呪われたチカラ。

こんなもの誰も望まなかった!

「あたしを外に出して! 最期くらいいうことをききなさい!」
「水琴!」

翠陸が走ってくる。
その背後から、痛む身体に鞭打ちながら、藤雅。

──瞬間。

目前の壁が粉砕した。
チカラが持ち主のいうことをきいたのだろうか。

水琴は振り向きもせず、床を蹴った。
一瞬遅れた翠陸の手が、虚しく空を切る。

高い塔のその場所から落ちる時、一瞬街の様子が見えた。

ゆっくりとゆっくりと、砂に変わっていく地面。
建物が沈んでいく。
人々は高いほうに避難してはいたが、それも時間の問題だろう。

……間に合うだろうか。
この街の人たちだけでも、まだ。

廃墟の破片に覆われた地面が、近づいてくる。

しかし落下は、寸前で止まった。
空気がやわらかなクッションに変化したようだった。

水琴は地に降り立ち、そこに少年の姿を認めた。

──『紅凪』。

鈍い動きで、ぎこちなく水琴に近寄ってくる。
水琴の声に応えて壁を破壊したのも、水琴を受け止めたのも、わずかに残っていた『紅凪』のチカラ。

水琴に存在を否定された今、すべての機能が停止しているはずなのに。
その機械人形(いのち)を動かしているものは、なんなのか──。

「紅凪」

思わず名を呼んでいた。
しかしその呼びかけにも、紅凪は応えない。
表情もただ無のままで、動くだけで精一杯のようだった。

──そうね、あなたならあたしを殺せるでしょう。笑顔で人を殺せる、残酷なあなたなら。

水琴は目を閉じる。
小さな破片を蹴飛ばしながら、壊れかけた機械人形、『紅凪』は水琴の前に辿り着いた。

紅凪の身体からは、かすかに機械の軋む音がした。
なぜかそれも優しげで、耳に心地よかった。

ふわ、と空気が動き、水琴は目を開いた。
紅凪の腕に、抱かれていた。

紅凪──。

力の加減もうまくいかないだろうに、懸命に優しく、水琴を抱いている。
決して決して、傷つけないように。

「…………」

──違う。これは紅凪じゃない。

「かざか……?」

小さな声で、確認を求めた。

表情は動かなかったけれど。
返事のつもりかただの偶然か、水琴の背中に回した指が、ギイ、と音を立てた。

そして水琴は気づいた──紅凪の……風火の意図に。

風火は水琴のチカラを吸い取っていた。
忘れていた使命を、実行するために。

「風火──」

『紅凪』という機械人形に姿を変えた風火。
急変した人格は、おそらく以前の彼の抑圧された闇の部分。
けれど、表現(かたち)は変わっても水琴を愛することは変わらなかった。

水琴は風火を抱き返した。
チカラが流れ出ていくことに身体がついていかず、どんどん力が抜けていく。
それでも必死にしがみついた。

言いたいことも伝えたいこともいっぱいあった。
でも、もうそんなこともどうでもよかった。

風火が今、ここにいる。

──違う。

藤雅の言うとおりだった。
風火はいつもここにいた。
ここに──水琴の傍に。

身体が死んで、こんな機械人形になってしまっても。
愛する少女のために、彼は人であることを捨てた。

すべてはただ、水琴のために──。

紅凪は──風火は、すべてチカラを吸い込んでしまうと、水琴から離れた。
巨大流砂の中心へ向かうため、身体を軋ませながら歩いていく。

水琴はその背中をじっと見つめていた。
追いかけたくても、こうして立っているだけで精一杯だ。

「水琴!」

白い塔から出てきた翠陸と藤雅が駆け寄ってくる。
左右からふたりに支えられた水琴は、足元が崩れていくのを感じて下を見た。

地面が、建物の破片が、砂に変わっていく。
水琴たちを引きずり込もうとしている。

翠陸は、信じられない思いで紅凪の背中を見つめていた。
紅凪は、水琴のチカラを処理したあとも動き続けるようにつくられたはずだった。
けれど、あの状態ではもう保つまい。

──いや、一度停止したはずの機械人形がなぜ動けるのか、それだけでも不思議だった。

ずるっと一息に膝まで呑み込まれ、水琴は両脇の翠陸と藤雅の腕にしがみついた。

「大丈夫だ、お嬢ちゃん。最後まで俺たちにつかまってろな」

小さな頭を撫でてやりながら、藤雅は「間に合わないかもしれない」、と覚悟した。
それでも、砂の中に埋もれてしまっても、最後まで息が続くのはおそらく自分。
昔にはその強すぎる生命力を憎みもしたが、今は感謝した。

おかげで最後まで、このふたりを守ってやれる──。

今でこそ成長してはいたが、藤雅にとっては翠陸も「小僧っこ」でしかない。
彼の成長を、祖父である緑炎よりも真摯に見守ってきたのも藤雅だ。
実の子供のように……あるいは弟のように。

翠陸は、心の中で祖父に謝罪していた。
『紅凪』の発動を祖父が行っていれば、風火の意識がしっかり働いたかもしれない。
自分ではまだ未熟だったのかもしれない。

……この街を、水琴を、守ることができなかった。

祖父譲りであまり表情を出さない彼の瞳に、生まれて初めて涙が浮かんだ。

凍眠装置に入った水琴を見て、彼は恋をした。
いつしか自分のほうが水琴の歳を越えても、気持ちは変わらなかった。
祖父を継ぐだけではなく、自ら水琴を守りたいと思った。

──なのに。

「すみません……」

小さなその声も、地響きの音にかき消された。
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