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ひとりめ
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◆
その翌朝、学校中が大騒ぎになった。使われていない旧校舎、その技術室で他校の生徒が舌を噛んで死んでいたのである。
乱闘の痕跡もあったため、どうやら他殺の疑いもあるらしい。
その日は生徒達も興奮状態にあったため、急遽短縮授業に変更された。
放課後の部活動、文化祭の用意なども中止になり、すみやかに下校せよと放送で指示があった。
「幡多、ちょっと」
下駄箱で靴を履きかえようとしていた結珂は、追いかけてきた坂本に呼びかけられた。
「どうしたの?」
また、閏のことで何かあったのだろうか。靴を下駄箱に戻した結珂に、坂本は歩み寄ってくる。小声で耳打ちした。
「技術室で死んでたの、賀久の仲間だぜ」
「えっ……」
「この前、帰りにお前の手を掴んだヤツ、ほら、両耳にずらっとピアスした金髪の」
「し、知ってる。覚えてる」
知らず声が震えてしまう。
「あいつ高村(たかむら)って名前なんだけど、そいつだった。見てきたから間違いない」
「見 ─── 見てきたって」
よく平気なものだ。
「警察が話してる内容聞いてたら、なんか気になっちまったんだ。でもまさか高村だとはなあ ─── 」
「なっなんであの人がこの学校で」
「誰かに呼び出されたんじゃないかって警察が言ってたけど、だとしたら知り合いに殺されたんだろうって」
「まさか……この学校の人間?」
「可能性は高いんじゃないか」
坂本は淡々と言う。
青冷めてしまった結珂に気付き、ちょっと微笑んでみせた。
「送ってくよ。紅茶、またおごってやろうか?」
「 ────── 」
思わずうなずきかけて、結珂はじろりと坂本を見上げる。つんとして戻した靴をまた取り上げた。
「いい、誤解されるから。それに昨日みたいなこと言うのやめて」
「昨日って?」
「人に彼女ってウソ紹介するの」
「でもお前、赤くなってたぜ」
「うそばっか!」
ちなみに嘘ではないのだが、結珂には自覚がない。靴を履いてとっとと校庭に出ていくのを坂本が追っていく。
その翌朝、学校中が大騒ぎになった。使われていない旧校舎、その技術室で他校の生徒が舌を噛んで死んでいたのである。
乱闘の痕跡もあったため、どうやら他殺の疑いもあるらしい。
その日は生徒達も興奮状態にあったため、急遽短縮授業に変更された。
放課後の部活動、文化祭の用意なども中止になり、すみやかに下校せよと放送で指示があった。
「幡多、ちょっと」
下駄箱で靴を履きかえようとしていた結珂は、追いかけてきた坂本に呼びかけられた。
「どうしたの?」
また、閏のことで何かあったのだろうか。靴を下駄箱に戻した結珂に、坂本は歩み寄ってくる。小声で耳打ちした。
「技術室で死んでたの、賀久の仲間だぜ」
「えっ……」
「この前、帰りにお前の手を掴んだヤツ、ほら、両耳にずらっとピアスした金髪の」
「し、知ってる。覚えてる」
知らず声が震えてしまう。
「あいつ高村(たかむら)って名前なんだけど、そいつだった。見てきたから間違いない」
「見 ─── 見てきたって」
よく平気なものだ。
「警察が話してる内容聞いてたら、なんか気になっちまったんだ。でもまさか高村だとはなあ ─── 」
「なっなんであの人がこの学校で」
「誰かに呼び出されたんじゃないかって警察が言ってたけど、だとしたら知り合いに殺されたんだろうって」
「まさか……この学校の人間?」
「可能性は高いんじゃないか」
坂本は淡々と言う。
青冷めてしまった結珂に気付き、ちょっと微笑んでみせた。
「送ってくよ。紅茶、またおごってやろうか?」
「 ────── 」
思わずうなずきかけて、結珂はじろりと坂本を見上げる。つんとして戻した靴をまた取り上げた。
「いい、誤解されるから。それに昨日みたいなこと言うのやめて」
「昨日って?」
「人に彼女ってウソ紹介するの」
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「うそばっか!」
ちなみに嘘ではないのだが、結珂には自覚がない。靴を履いてとっとと校庭に出ていくのを坂本が追っていく。
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