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静寂
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◆
「二人…… ─── 」
闇の中をたゆたうように、声が流れる。
うっとりと哀しげに。
安堵したように、けれど怒りをひそめるように。
「あと、……ひとりだ。それで終わる」
終わると口にしたとたん、皮肉げな笑みが漏れる。
─── 本当に、終わるのか?
この憎しみが。この殺意が。
まだ分からない。終わるのか分からない。
けれど昨夜から ─── この殺意を解放した時から、彼はカウントをしないで済んでいる。今まで……もう何年も毎晩続けていた行為をしないで済んでいる。初めてのことだ。
『あいつ』の姿を見ないでも平気でいる。鏡はもう必要ないのだ。
そう、
─── とりあえず、今は。
「あとひとり………」
つぶやく。
あとには、
─── 静寂。
「二人…… ─── 」
闇の中をたゆたうように、声が流れる。
うっとりと哀しげに。
安堵したように、けれど怒りをひそめるように。
「あと、……ひとりだ。それで終わる」
終わると口にしたとたん、皮肉げな笑みが漏れる。
─── 本当に、終わるのか?
この憎しみが。この殺意が。
まだ分からない。終わるのか分からない。
けれど昨夜から ─── この殺意を解放した時から、彼はカウントをしないで済んでいる。今まで……もう何年も毎晩続けていた行為をしないで済んでいる。初めてのことだ。
『あいつ』の姿を見ないでも平気でいる。鏡はもう必要ないのだ。
そう、
─── とりあえず、今は。
「あとひとり………」
つぶやく。
あとには、
─── 静寂。
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