蠍の舌─アル・ギーラ─

希彗まゆ

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 ウルウは夢にとけこみながら、ぼんやり思う。
 タツミも、同じ思い出を持って行っただろうかと。
 この懐かしく、美しい思い出を。

  ─── きっと持っていけただろう。

 なぜかそう信じられた。

 ウルウはとけこんでいく。白の中に。このうえなく純粋で愛しげな、

 やすらかなゆめのなかに。
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