僕たちの3年間

禅乃蓮

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06-コウモリだろうが鳥は鳥

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 頭からシャワーを浴びながら、けれど身体を洗う気力もわかずただ茫然と水が流れていく様を見ていた。
 心の中は真っ黒に塗りつぶされていて何も考えたくないと叫ぶのに、目を閉じればまるで傷をなぞる様に脳の中で今日の5-On-5が強制的に再生されててしまう。

(くそう……)

 松原兄弟との実力差は歴然。練習試合に出たメンツは開始1分で痛感した。
 それでも必死で食いついていこうと頑張った。
 けれど確保したボールは簡単に奪われ、次の瞬間にはポイントをとられてしまう。走っても追いつけない、松原兄弟のディフェンスに対応できない。
 そういうのが重なり、味方の気力がそがれていく。3分を越える頃にはコートの中で棒立ちになる味方が増えていた。
 トヨは最後まで必死にボールに食らいついた。そんなトヨをあざ笑うように、トヨにパスされたボールを菖蒲はカットして奪い取ると、そのままコートを駆け抜け。
 そして。

 まるで空を舞うかのようにふわりと飛び上がり、トヨの上からダンクシュートをぶち込んでみせた。
 正直、他の松原の兄弟がダンクできるのは予想の範囲内だった。
 だが。
 トヨと体格が変わらず、ポジションも同じ3Pシューターである菖蒲がダンクできるなんて思ってもみなかった。身長とジャンプ力を理由にダンクを諦めたトヨの目の前に、諦めず努力をし続ければ届くかもしれなかった自分の可能性を突きつけられた瞬間でもあった。

(僕がもっとうまければ……)

 ドリブルが、3Pシュートがもっともっとうまければ。
 もっとしっかり練習して皆を引っ張れるだけの信頼を勝ち得ていたならば。
 ここまで辛い試合にならなくて済んだのではないかと考えてしまうたびに叫びたくなるような、泣きだしたくなるような衝動に襲われて。トヨは立ち尽くすことしかできなくなっていた。

 浴室の扉を叩く音がする。ドア一枚挟んだ向こうから「早くかわってよ」、と姉が急かす声がした。その声に、無様な試合をする自分たちを罵る瑠璃の声が重なって聞こえた気がした。

(変わってやるさ)

 トヨは歯を食いしばり、決意を胸にたぎらせる。

(菖蒲に出来るなら僕にだってできる。絶対に)

 トヨは自分に言い聞かせるとシャワーのハンドルを回す。心に流れていた涙ごと水の流れが止まった。
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