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第一章 未知なる世界でスローライフを!
いざ冒険者ギルド
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教えてもらった通りに冒険者ギルドの前まで来た。
途中、リィーナが串焼きを食べたいと駄々をこね屋台に寄ったのだが、そんなの出されても釣りがねぇよ! と、金貨での支払いは駄目だと断られた。
……そうだよな、金貨だもんな。
だいたい俺たちお金のレートも種類も知らないしな。ほんと困ったもんだ。
「ねえ、レンジ。お決まりのアレ、楽しみだねぇ」
「なんだよ、お決まりのアレって」
「ふふふ、アレだよ、アレ。ギルドに入った途端、美少女が荒くれ者に絡まれるってヤツ。それをレンジがスパッと解決しちゃうの、ふふふ楽しみ」
両手で口を隠し、楽しそうな妄想の世界にリィーナは入り込んでいた。
そんなあほの娘はほっておいて、俺は一人ギルドの中へと入っていった。
中は奥に五窓の受付けのカウンターがあり、右の壁には依頼募集が貼ってあった。そして左側は酒場兼食堂となっていて簡素なテーブルと椅子がいくつか並んでいた。
うん、よくある(ゲームやアニメ)冒険者ギルドだな。
そんな事を考えながら空いている窓口のお姉さんに声を掛けた。
「冒険者登録がしたい」
「はい、ではこちらに記入してください。それと登録料は銅貨二十枚になりますが大丈夫ですよね」
「ああ、問題ない」
差し出された紙に名前と年齢……
むむむ、今の俺だいぶ若返ってるが実年齢記入したら変な誤解されるよな。
絶対そうだよな。
よし、二十七歳にしておこう!
「これでいいかな」
「はい、僕も書いたよ!」
「では確認しますね。えっと、レンジさんは剣士、リィーナさんは聖女……
えっ、えええぇ! リィーナさん、聖女を騙るのは犯罪、罪になりますよ!」
「ん、僕は正真正銘の聖女、そしてその真の姿は、十万年に一人の美少女スーパーアイドル、リィーナ!」
おい、しれっと盛ってんじゃねぇよ。
なにが十万年に一人だ、さっきは一万年だったろうが。
隣で最強の機能美をこれでもかと恥ずかしげもなく胸を張って誇る痛い子に生ぬるい眼差しを向け、口を開けて放心状態の受付のお姉さんに声を掛ける。
「あっ、あほな娘ですが聖女なのは本当です」
「そ、そうなんですか。ちなみにレンジさん達は東方の国から来られたのですか」
「ああ、はい、その通りです。なので何も分からなくて困っています」
「そうでしたか。それは大変ですね。では簡単に冒険者ギルドの説明をしますので、あちらのテーブルに移動しましょう」
「ちょ、ちょっとぉ! あほな子って何さ、レンジは失礼過ぎるよ!」
俺の首に騒ぎながらまとわりつくリィーナをそのままに受付のお姉さんと椅子についた。
それからギルドの利用に関する説明を一通り受けた。
「冒険者は一つ星から三つ星のランクに分かれていますが、違うのは報酬料や信頼度だけで誰でもどんな依頼を受けることが出来ます。ただ、依頼を失敗するとペナルティとして、その受けた報酬の半分を支払ってもらいますので依頼を受ける際は慎重にお選びください」
「もしそのペナルティを払えなかったらどうなるの」
「奴隷として売られるだけですね。それが嫌だと逃げても必ず捕まりますから、逃げてさらに悪い犯罪奴隷になるのはお勧めしません」
ん、奴隷があることにも驚いたが、奴隷にも種類があるとは……
「ありがとう。依頼を受ける際は気をつけるよ。それと悪いんだがこれを両替してくれないか」
金貨をテーブルに置いて指でそっとお姉さんに向けて滑らせた。
「え、き、金貨ですか? あっはい、両替できますが手数料銅貨十枚を頂きますが宜しいですか」
「構いません。それと二人分の登録料もこちらからお願いします」
「それでしたら登録料のお釣りとして手数料は頂きませんのでご安心ください。それと、あの、もし良ければ私のオススメする宿に宿泊してくれたら、色々と他の事も教えますけど如何でしょうか」
「ちなみに宿の名前は」
「ポプラのお宿、通称肉の満腹亭です」
俺とリィーナは目を合わせてうなづいた。
「ええ、ご紹介してください」
「あっ、ありがとうございます! ではこの紙を宿で見せてください。では私は夕食時に後から食堂で合流しますね」
立ち上がったお姉さんから小さな紙を受け取ると、たぶんお姉さんの名前だろうと思われる名で、私の紹介ですと大きく書いてあった。
なんかウケるな。
「はい、こちらがお釣りになります。銀貨十九枚と銅貨二百枚です。お確かめください」
金貨一枚で銀貨二十枚。
銀貨一枚で銅貨二百四十枚ということか。恐ろしく分かりずらいな。
「ん、不思議そうな顔をしてますね」
「いや、あまりこちらのお金の事には不慣れで」
「そうですよね。来たばかりですし、少しお教え致しますね。金貨一枚で銀貨二十枚、銀貨一枚で銅貨二百四十枚になります。それと半銅貨があり、名前そのままに銅貨一枚の半分の価値として取引されます。一般的には銅貨、半銅貨での取引が主流です。屋台や食堂、雑貨屋などのお店で少額の購入は金貨や銀貨を出したら断られますので注意してくださいね。ちなみに私のお給料は月に銀貨一枚です。これでも一般的な同年代の女性、いや男性を含めても賃金としては高い方になります。何もしなくても金貨一枚あれば充分一年は過ごせる感じです」
一年は充分に過ごせるって、あの暴力妖精が言っていた事は本当だったんだな。
おい、リィーナ。俺を、物欲しそうな目で俺を見るな!
「ぐふふふ、十三億年、いや、死ぬまで贅沢に、ふっはははははっ!」
「おいっ、抱きつくな、離れろ!」
「ふふふ、忘れたのレンジ。私は狙った獲物は逃さないんだよ」
リィーナの碧い瞳が不穏に光る。
ぎゃああああ!
こ、怖いんですけどっ!
慌ててお姉さんにお礼をして、リィーナから逃げるように冒険者ギルドから出ると、指定された宿屋へ全力ダッシュを決めた。
うむ、どうやら逃げられたみたいだな。
あっははははっ、さすがは俺。
とりあえず宿屋へ入る、か、か……
俺が気持ちよく宿屋のドアを開けると、カウンターに持たれかかるリィーナが不敵に笑って俺を見た。
「遅かったね、レンジ。僕からは逃げられないんだよ」
ぎゃあああああ!
あまりの恐怖に俺はその場で崩れ落ちた。
途中、リィーナが串焼きを食べたいと駄々をこね屋台に寄ったのだが、そんなの出されても釣りがねぇよ! と、金貨での支払いは駄目だと断られた。
……そうだよな、金貨だもんな。
だいたい俺たちお金のレートも種類も知らないしな。ほんと困ったもんだ。
「ねえ、レンジ。お決まりのアレ、楽しみだねぇ」
「なんだよ、お決まりのアレって」
「ふふふ、アレだよ、アレ。ギルドに入った途端、美少女が荒くれ者に絡まれるってヤツ。それをレンジがスパッと解決しちゃうの、ふふふ楽しみ」
両手で口を隠し、楽しそうな妄想の世界にリィーナは入り込んでいた。
そんなあほの娘はほっておいて、俺は一人ギルドの中へと入っていった。
中は奥に五窓の受付けのカウンターがあり、右の壁には依頼募集が貼ってあった。そして左側は酒場兼食堂となっていて簡素なテーブルと椅子がいくつか並んでいた。
うん、よくある(ゲームやアニメ)冒険者ギルドだな。
そんな事を考えながら空いている窓口のお姉さんに声を掛けた。
「冒険者登録がしたい」
「はい、ではこちらに記入してください。それと登録料は銅貨二十枚になりますが大丈夫ですよね」
「ああ、問題ない」
差し出された紙に名前と年齢……
むむむ、今の俺だいぶ若返ってるが実年齢記入したら変な誤解されるよな。
絶対そうだよな。
よし、二十七歳にしておこう!
「これでいいかな」
「はい、僕も書いたよ!」
「では確認しますね。えっと、レンジさんは剣士、リィーナさんは聖女……
えっ、えええぇ! リィーナさん、聖女を騙るのは犯罪、罪になりますよ!」
「ん、僕は正真正銘の聖女、そしてその真の姿は、十万年に一人の美少女スーパーアイドル、リィーナ!」
おい、しれっと盛ってんじゃねぇよ。
なにが十万年に一人だ、さっきは一万年だったろうが。
隣で最強の機能美をこれでもかと恥ずかしげもなく胸を張って誇る痛い子に生ぬるい眼差しを向け、口を開けて放心状態の受付のお姉さんに声を掛ける。
「あっ、あほな娘ですが聖女なのは本当です」
「そ、そうなんですか。ちなみにレンジさん達は東方の国から来られたのですか」
「ああ、はい、その通りです。なので何も分からなくて困っています」
「そうでしたか。それは大変ですね。では簡単に冒険者ギルドの説明をしますので、あちらのテーブルに移動しましょう」
「ちょ、ちょっとぉ! あほな子って何さ、レンジは失礼過ぎるよ!」
俺の首に騒ぎながらまとわりつくリィーナをそのままに受付のお姉さんと椅子についた。
それからギルドの利用に関する説明を一通り受けた。
「冒険者は一つ星から三つ星のランクに分かれていますが、違うのは報酬料や信頼度だけで誰でもどんな依頼を受けることが出来ます。ただ、依頼を失敗するとペナルティとして、その受けた報酬の半分を支払ってもらいますので依頼を受ける際は慎重にお選びください」
「もしそのペナルティを払えなかったらどうなるの」
「奴隷として売られるだけですね。それが嫌だと逃げても必ず捕まりますから、逃げてさらに悪い犯罪奴隷になるのはお勧めしません」
ん、奴隷があることにも驚いたが、奴隷にも種類があるとは……
「ありがとう。依頼を受ける際は気をつけるよ。それと悪いんだがこれを両替してくれないか」
金貨をテーブルに置いて指でそっとお姉さんに向けて滑らせた。
「え、き、金貨ですか? あっはい、両替できますが手数料銅貨十枚を頂きますが宜しいですか」
「構いません。それと二人分の登録料もこちらからお願いします」
「それでしたら登録料のお釣りとして手数料は頂きませんのでご安心ください。それと、あの、もし良ければ私のオススメする宿に宿泊してくれたら、色々と他の事も教えますけど如何でしょうか」
「ちなみに宿の名前は」
「ポプラのお宿、通称肉の満腹亭です」
俺とリィーナは目を合わせてうなづいた。
「ええ、ご紹介してください」
「あっ、ありがとうございます! ではこの紙を宿で見せてください。では私は夕食時に後から食堂で合流しますね」
立ち上がったお姉さんから小さな紙を受け取ると、たぶんお姉さんの名前だろうと思われる名で、私の紹介ですと大きく書いてあった。
なんかウケるな。
「はい、こちらがお釣りになります。銀貨十九枚と銅貨二百枚です。お確かめください」
金貨一枚で銀貨二十枚。
銀貨一枚で銅貨二百四十枚ということか。恐ろしく分かりずらいな。
「ん、不思議そうな顔をしてますね」
「いや、あまりこちらのお金の事には不慣れで」
「そうですよね。来たばかりですし、少しお教え致しますね。金貨一枚で銀貨二十枚、銀貨一枚で銅貨二百四十枚になります。それと半銅貨があり、名前そのままに銅貨一枚の半分の価値として取引されます。一般的には銅貨、半銅貨での取引が主流です。屋台や食堂、雑貨屋などのお店で少額の購入は金貨や銀貨を出したら断られますので注意してくださいね。ちなみに私のお給料は月に銀貨一枚です。これでも一般的な同年代の女性、いや男性を含めても賃金としては高い方になります。何もしなくても金貨一枚あれば充分一年は過ごせる感じです」
一年は充分に過ごせるって、あの暴力妖精が言っていた事は本当だったんだな。
おい、リィーナ。俺を、物欲しそうな目で俺を見るな!
「ぐふふふ、十三億年、いや、死ぬまで贅沢に、ふっはははははっ!」
「おいっ、抱きつくな、離れろ!」
「ふふふ、忘れたのレンジ。私は狙った獲物は逃さないんだよ」
リィーナの碧い瞳が不穏に光る。
ぎゃああああ!
こ、怖いんですけどっ!
慌ててお姉さんにお礼をして、リィーナから逃げるように冒険者ギルドから出ると、指定された宿屋へ全力ダッシュを決めた。
うむ、どうやら逃げられたみたいだな。
あっははははっ、さすがは俺。
とりあえず宿屋へ入る、か、か……
俺が気持ちよく宿屋のドアを開けると、カウンターに持たれかかるリィーナが不敵に笑って俺を見た。
「遅かったね、レンジ。僕からは逃げられないんだよ」
ぎゃあああああ!
あまりの恐怖に俺はその場で崩れ落ちた。
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