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第一章 未知なる世界でスローライフを!

幕間

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「何度も言わすな。お前はノースフォートへ赴き魔族の対処をしろ。それにだ。俺に断りもなく勝手に兵を集めたばかりか公国に使者など送りよって。どこまで俺の邪魔をすれば良いのだ、お前は」

 いきなり玉座の間に呼ばれ父上からお叱りを受けた。
 言葉こそ荒げてはいないがかなり怒っている事が分かる。

「父上に断りもなく兵を集めた事は謝罪いたします。けれど、邪魔などした覚えは」
「黙れ、この愚息めが。俺が話をするのも煩わしい。ゼスト、お前から話してやれ」

 父上の近くにいる宰相が困り顔で話した。

「良いですか。あの聖教国領土は我々が黙っていても近いうちにあちらから割譲の話がくるのは分かっていた事なのです。然るに、公国からの話であれば我々はかなり有利な条件で事を進められたという事です」
「なっ……」
「戦う事しか能がないお前でも少しは理解出来たか。お前のせいでこちらの思惑が全て破綻したのだ。しかもあちらはオースティン辺境伯が公王に替わり政務の指揮を執っているのだぞ。これほど面倒で好ましくない状況なのにだ」

 額から大筋の汗が流れる。
 またもや失態を繰り返してしまった。

「お前には王は無理だ。第二王子であるロイドを王太子とする」

 冷たく私を玉座から父上は見下ろす。
 その目は今までにない程に冷酷だった。

「それとお前の王子としての権限は全て剥奪する。王城への出入りも制限し、今後は王族と名乗ることも許さん。せめてお前が蒔いた種くらいは自分でなんとかしてみせろ。ノースフォートを魔族の侵攻から守れ」

 王の近衛兵達がその場で項垂れる私の両腕を抱え玉座の間から退出させた。

「どうして、こうなった」

 私は自分の愚かさを悔いた。



 ◇



「なるほど、失敗しましたか。それで今後の計画は」

 私の前で片膝をつき頭を下げている側近に説明を求めた。

「マクミリアの城にある地下迷宮も発見され、今後あの地の人間を貴方様の贄にする事は出来なくなりました。しかし、東の大陸に新たな工作拠点をつくり、贄を集めていく所存です。混沌と混乱、恐怖を煽りながら」

 東の大陸ですか。確かに戦乱の世が続いているあの地であれば秘密裏に行動できるでしょう。
 一足飛びに事を進めても今回のような事になるだけでしょうし。

「わかりました。焦らずにゆっくりと計画を進めていきましょう。最終的にあの男を殺せれば良いのですからね。ここは確実に奴を殺すために入念に事を運びましょうか」
「はい。わたくしベルゼバブが必ず、必ずや彼奴を仕留めてみせましょう」
「期待していますよ。ベルゼバブ」


 あの紛い物の男に〇〇〇の異名は絶対に名乗らせん。
 絶対に、絶対にだ。必ず貴様をこの地で屠ってやるからな。覚えておけ。
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