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第二章 新生活、はじめるよ!
嫉妬
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何かにつけユキナと張りあうリィーナだが、その相手のユキナからはまったく相手にされていない。
そんな事もありリィーナの機嫌は最高潮に悪い。もちろんそのとばっちりは周囲の者に甚大な被害をもたらしていた。
「レンジ様。どうにかしてください!」
「なにをだ」
「なにを、じゃありませんよ! このままでは私達の繊細な心が折れてしまいますから!」
ロータはそう言うが、誰が繊細な心を持っているのだろうか。強く疑問に思う。
「なに不思議そうな顔をしてるんですか! 分かってますか。このままじゃ皆ストレスで倒れてしまいますよ!」
「それはご愁傷様だな。なんとかしてやりたいのは山々だが。俺には無理だな」
「そんなぁ……」
だいたい勝手に嫉妬して暴れまくるリィーナ(実際は暴れてはいない)に対して何を言っても無駄なことは目に見えている。
「それにリィーナ様に内緒でクオンちゃんを連れてユキナ様達の歓迎会なんてするから余計に火に油を注ぐんですよ!」
まぁ次の日にうっかりクオンがしゃべってしまったからな。それは仕方がないさ。まだ子供だし。
「ユキナ様の名の変更を求めます。このままでは永遠に私達の命が脅かされます!」
あほか。そう簡単に名など変えられるか。馬鹿も休み休み言え。
「ならせめて、もっとリィーナ様にかまってあげてくださいよ」
今でも充分にかまってるだろうが。
というか、あいつが傍にいないほうが珍しいくらいだ。今みたいにな。
「ところでさっきから俺の心の声と会話するのはやめろ。やっぱりおまえは読心スキル持ちだな」
「いえ、持ってません。美少女神官の勘です」
「何度そのやりとりをすれば、おまえは気が済むんだよ!」
俺は目頭を抑えてため息をついた。
「よし、おまえのスキルを葬ろう。額をだせ」
ロータの額に向けて手をかざした。
ロータはすぐに額を隠して半身になって構えた。
「ふふふ、ついに正体をあらわしたな。自ら額を隠すとはスキル持っていると自白したのと同じだぞ、あっはははは!」
俺はほれほれと言いながら手をかざしてロータを追い詰める。
「だ、誰か助けてください! レンジ様にいやらしい事を、あっ、きゃあああ!」
おい、妙に迫真な演技だな。
というか、誤解されるようなことはやめてくれ。俺の評判が落ちる。
そんな感じでロータに白い目を向けていると背中に強い衝撃が……
「うっ!」
「レンジ、なにやってるのさ!」
俺は逆くの時になりながら前方へ蹴り飛ばされた。
そして無惨にも地面の上を転がる。
「とうとうロータにまで手をだして。なにやってるのさ、レンジは!」
意識が半分とびながらも、ロータにまでってなんだよ。と、強く否定した。
やばい。今のは会心の一撃だ。
「おい、リィーナ。こいつの演技も見破れないほど、おまえはポンコツだったのか……」
そう言って俺は地面にうつ伏せで倒れ、意識をなくした。
◇
俺の目の前では凄惨な光景が……
「だっあああ、れかああああ、助けてください!」
棒に手足を縛られて今にも波に飲まれそうなロータの姿がそこにあった。
もちろんそんな事をしたのは俺じゃない。
「我らが王に冤罪などきせおって。許し難い暴挙!」
アンジュ達六人の妖精は大人バージョン(人の大きさ)になってリィーナ、ユキナと共にロータを責めていた。
ロータの悲痛な叫びにスクルドやルージュ達は誰も応えない。完全に見捨てられてたのだ。
「あっぷ。うへ、はぁはぁ。すみませんでした、許してください!」
「許す訳ないじゃん。危うくレンジが死にかけたんだから」
おい、その原因はおまえのドロップキックだろうが……
はぁ、まったくしょうがねえなぁ。
俺は走って海に飛び込み、ロータの手足を縛るロープをナイフで切って助けた。
「大丈夫か、ロータ」
「ケホケホッ。……なんとか生きてます」
俺はロータを抱き上げて浜辺へ戻り、ロータに大きめのタオルを手渡した。
「おまえ達、加減ていうものがあるだろうが。まったくなんて酷いことを」
アンジュやリィーナ達に厳しい目を向けた。
俺が本気で怒ってると知ってアンジュ達に動揺が走る。
俺はアンジュ達に歩み寄ると海藻が風で飛んできて顔に張り付いた。
その海藻を取ろうともがくが一向に取れない。だが、ひんやりして気持ちがいい。
(れんじ、だいじょうぶ)
心配してるクオンの声が聞こえる
(パパ、めをさまさないね)
レイの声も
(パパ、なんか苦しそう)
レンの心配する声も
(だっ! クオン、濡れたタオルで鼻と口をふさいじゃ駄目だよ)
慌ててるリィーナの声が
その声と共に息苦しさから解放される。
そして頬を何度も軽く叩かれた。
「レンジ、大丈夫。死んでないよね」
「リィーナ様落ち着いてください。ちゃんと呼吸してますから」
エイルの声も聞こえる。
「うわっ!」
ベッドから慌てて体を起こした。
「おい、ロータは。ロータは大丈夫か」
リィーナに聞くも、エイルと顔を見合わせて不思議そうな顔をしている。
「……あれは夢だったのか」
俺は安心してまた体を倒し眠りについた。
変な夢だったな。けど、夢で良かった。
そんな事もありリィーナの機嫌は最高潮に悪い。もちろんそのとばっちりは周囲の者に甚大な被害をもたらしていた。
「レンジ様。どうにかしてください!」
「なにをだ」
「なにを、じゃありませんよ! このままでは私達の繊細な心が折れてしまいますから!」
ロータはそう言うが、誰が繊細な心を持っているのだろうか。強く疑問に思う。
「なに不思議そうな顔をしてるんですか! 分かってますか。このままじゃ皆ストレスで倒れてしまいますよ!」
「それはご愁傷様だな。なんとかしてやりたいのは山々だが。俺には無理だな」
「そんなぁ……」
だいたい勝手に嫉妬して暴れまくるリィーナ(実際は暴れてはいない)に対して何を言っても無駄なことは目に見えている。
「それにリィーナ様に内緒でクオンちゃんを連れてユキナ様達の歓迎会なんてするから余計に火に油を注ぐんですよ!」
まぁ次の日にうっかりクオンがしゃべってしまったからな。それは仕方がないさ。まだ子供だし。
「ユキナ様の名の変更を求めます。このままでは永遠に私達の命が脅かされます!」
あほか。そう簡単に名など変えられるか。馬鹿も休み休み言え。
「ならせめて、もっとリィーナ様にかまってあげてくださいよ」
今でも充分にかまってるだろうが。
というか、あいつが傍にいないほうが珍しいくらいだ。今みたいにな。
「ところでさっきから俺の心の声と会話するのはやめろ。やっぱりおまえは読心スキル持ちだな」
「いえ、持ってません。美少女神官の勘です」
「何度そのやりとりをすれば、おまえは気が済むんだよ!」
俺は目頭を抑えてため息をついた。
「よし、おまえのスキルを葬ろう。額をだせ」
ロータの額に向けて手をかざした。
ロータはすぐに額を隠して半身になって構えた。
「ふふふ、ついに正体をあらわしたな。自ら額を隠すとはスキル持っていると自白したのと同じだぞ、あっはははは!」
俺はほれほれと言いながら手をかざしてロータを追い詰める。
「だ、誰か助けてください! レンジ様にいやらしい事を、あっ、きゃあああ!」
おい、妙に迫真な演技だな。
というか、誤解されるようなことはやめてくれ。俺の評判が落ちる。
そんな感じでロータに白い目を向けていると背中に強い衝撃が……
「うっ!」
「レンジ、なにやってるのさ!」
俺は逆くの時になりながら前方へ蹴り飛ばされた。
そして無惨にも地面の上を転がる。
「とうとうロータにまで手をだして。なにやってるのさ、レンジは!」
意識が半分とびながらも、ロータにまでってなんだよ。と、強く否定した。
やばい。今のは会心の一撃だ。
「おい、リィーナ。こいつの演技も見破れないほど、おまえはポンコツだったのか……」
そう言って俺は地面にうつ伏せで倒れ、意識をなくした。
◇
俺の目の前では凄惨な光景が……
「だっあああ、れかああああ、助けてください!」
棒に手足を縛られて今にも波に飲まれそうなロータの姿がそこにあった。
もちろんそんな事をしたのは俺じゃない。
「我らが王に冤罪などきせおって。許し難い暴挙!」
アンジュ達六人の妖精は大人バージョン(人の大きさ)になってリィーナ、ユキナと共にロータを責めていた。
ロータの悲痛な叫びにスクルドやルージュ達は誰も応えない。完全に見捨てられてたのだ。
「あっぷ。うへ、はぁはぁ。すみませんでした、許してください!」
「許す訳ないじゃん。危うくレンジが死にかけたんだから」
おい、その原因はおまえのドロップキックだろうが……
はぁ、まったくしょうがねえなぁ。
俺は走って海に飛び込み、ロータの手足を縛るロープをナイフで切って助けた。
「大丈夫か、ロータ」
「ケホケホッ。……なんとか生きてます」
俺はロータを抱き上げて浜辺へ戻り、ロータに大きめのタオルを手渡した。
「おまえ達、加減ていうものがあるだろうが。まったくなんて酷いことを」
アンジュやリィーナ達に厳しい目を向けた。
俺が本気で怒ってると知ってアンジュ達に動揺が走る。
俺はアンジュ達に歩み寄ると海藻が風で飛んできて顔に張り付いた。
その海藻を取ろうともがくが一向に取れない。だが、ひんやりして気持ちがいい。
(れんじ、だいじょうぶ)
心配してるクオンの声が聞こえる
(パパ、めをさまさないね)
レイの声も
(パパ、なんか苦しそう)
レンの心配する声も
(だっ! クオン、濡れたタオルで鼻と口をふさいじゃ駄目だよ)
慌ててるリィーナの声が
その声と共に息苦しさから解放される。
そして頬を何度も軽く叩かれた。
「レンジ、大丈夫。死んでないよね」
「リィーナ様落ち着いてください。ちゃんと呼吸してますから」
エイルの声も聞こえる。
「うわっ!」
ベッドから慌てて体を起こした。
「おい、ロータは。ロータは大丈夫か」
リィーナに聞くも、エイルと顔を見合わせて不思議そうな顔をしている。
「……あれは夢だったのか」
俺は安心してまた体を倒し眠りについた。
変な夢だったな。けど、夢で良かった。
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