邪神様に恋をして

そらまめ

文字の大きさ
48 / 230
邂逅

邪神様、専属メイドは心配です

しおりを挟む
「あの娘、なかなかやるわね。悠太くんもなんか楽しそうだし、うちに来ないかな」

 マルデル様がまた突拍子のない事を。と、心の中で呟いた。
 しかし、人間にしては本当に強いですね。
 剣を掻い潜って反撃する、あの度胸は認めなくもないです。

「あれ、悠太さんと遊んでる娘、戦技無双じゃないですか。悠太さんも有名どころに目を付けられるなんて、やりますね」
「エイル姉様、知ってるんですか」
「ちょっとロータ。あなた仮にも前領主代行でしょう。当代一と謳われた光の勇者マチルダくらい覚えておきなさいよ」

 まったくロータは、これだからダメなんですよ。
 自分が関心あるもの以外はからっきしですね。

「エイル、遅かったわね。座って一緒に食事でもしながら観戦しましょう」
「はい、マルデル様。ありがとうございます」

「おお! 悠太様と互角に打ち合ってますよ!」
「悠太、楽しそうですね。あの剣技は当代一と謳われることはありますね」

 ロータはまだしも、ブリュンヒルドお姉様まで。

「でも妹に比べると兄は弱いよね。ユータにあっさり負けてたし」
「兄のエドガーは魔術師だよ、クロノア」
「え、そうなの。じゃあなんで剣なんて使ったの」
「たぶん悠太様の力量を妹に伝えるためでしょうか」
「なんか姑息ね。でも嫌いじゃないわ」

 あまりヴェールから外に出ない、エルルーンまで知っていたのですか。
 まあ私達ワルキューレは未だに勇士の魂を集めたがりますからね。今はそんな事は必要ないというのに。

 互いに距離を取りましたか。そろそろ決着をつけるつもりですね。

「ヒルデ、あの娘気に入ったわ。あなたから勧誘してちょうだい」

 はあ、やっぱりこうなりましたか……
 また悠太様のもとに女性が増えますよ……



 ◇



 勢いで誘っておいてなんだが、マチルダとエドガーが、マルデル達に拒否されないか不安だった。
 しかし二人はあっさりと受け入れられて拍子抜けした。
 それにヒルデがマチルダをこの街に勧誘していたし、気に入られたのだろう。
 ただ、兄エドガーはイケメンにも関わらず、あまり皆に相手をされずにマチルダのおまけ扱いだった。
 そんな可哀想なエドガーを、俺が構ってやった。

「はああ、エドガーって魔術師だったの!」
「そうだ。だからお前には負けてないからな。勘違いすんなよ」
「いやいや。俺だって魔法使えるし、本気をだしたらエドガーなんか瞬殺だよ、瞬殺」
「なにっ、悠太てめえ、勝負すっかコラッ!」

 俺たちは額を合わせる位に近づいて互いのプライドを賭け、口喧嘩を繰り広げた。

「ユータ、楽しそうだね。これは初めての男友達が誕生するかもね」
「そうだね、クロ。とっても良いことね」

 うちの女神様と大妖精様がとんでもない爆弾発言をした。

「失礼なことを言うな、ノア。俺にも男友達は、……いるぞ」
「見栄をはらなくてもいいよ。うんうん、ユータにもやっと男友達ができるのか。良かった良かった」

 ダメだ、相変わらず空気を読めない。
 なんでクロノアは俺の事を辱めるかなぁ、ほんとに。
 大抵は悪気がないから余計にタチが悪い。

「しかし悠太は魔法使えるのか。今度、見せてくれよ」
「お、いいぞ。どんなのがいい」
「そうだなあ、派手なやつがいいな。ドーンと一発で殲滅できるやつ、イテッ!」
「バカですか貴方は。そんな魔法を気軽に使って良い訳がないでしょう。悠太様もです。そんな魔法で大地を焼き尽くすつもりですか」

 うっ、スクルドに怒られた。
 目が赤くなってるし本気で怒ってるよ。

「お前のメイド怖いな。女にビビったの妹以来だぜ」
「エドガー。最後格好いいこと言ったつもりだろうけど、妹にビビってる時点で情けないな、おまえ」
「あん、おまえだって怒ったマチルダにはションベンちびるぞ。あれはもう人じゃねぇ、鬼だ鬼」

 刹那、エドガーの首筋に剣が突きつけられた。

「兄さん、嘘はいけないよ」

 おお、黒い瞳に威圧の光。

「そ、そうだな。ちょっと盛りすぎたな」
「……ちょっと?」
「い、いや、盛りすぎた、かなり盛りすぎたな。悠太、マチルダは優しいやつだからな」

 兄の威厳をまったく感じさせない。なんか親近感が湧くな。

「俺は知ってたぞ、エドガー。マチルダがとても優しいきれいな人だってな」
「おう、俺の妹は世界一だ」
「兄さん、そういうのはいらない。君もね」

 くわっ! 飛び火したじゃねぇか、エドガー!

「わたし、ここでマルデル様に仕えることにしたから。兄さんはどっか行ってもいいよ」

 ホッ。どうやら飛び火はしていなかった様だ。

「いやいや、おまえ一人にしておけないだろ! 悠太、お前俺を雇え、な」
「わたしはもう十六歳、兄さんは要らないよ」
「おお! マチルダ、俺と同い年かぁ。親近感わくなぁ」
「おい、悠太! 親近感とかいいから、お前は俺を雇えよな!」


 うん、同性と話すのは良いものだ。
 こうして楽しく、騒がしく夜が更けていく。


 マルデル達の水着姿といい、今日は本当に良い日だ。
 そんな事を思いながら、マルデルのコテージへ行った。 

 とても優しく、とても熱い夜になった
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

処理中です...