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4話 二度目の異世界召喚なんだが
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「――どうかお願いします!」
幼さの残る高い声を聞き、意識が覚醒する。
どうやら意識を失っていたようだ。
俺が目を開けると、既視感を感じずにはいられない光景が目の前で繰り広げられていた。
頭に乗ったティアラを片手で押さえ、頭を下げる中学生くらいの少女は王女だろう。
少しドジっ子そうだ。
その背後に控えるのは、全身を甲冑で覆い、威圧感たっぷりで佇む護衛の騎士達だ。
その鋭い目線の先にいるのは、五人の男女プラス俺。
どうやら俺が意識を失っていた間にも話は既に始まっていたらしく、流れから察するに魔王を討伐してくださいと頼まれているところだろう。
俺の時と同じ、どこかで見たことのあるようなテンプレ展開だ。
対する五人は、騎士達の放つ威圧感に緊張を滲ませてはいるが、神様に説明を受けたおかげか比較的落ち着いているようだ。
イケメンフェイスの男が代表して王女と言葉を交わし、冷静に話し合っている。
俺の時は一人だったし、不安で仕方なかったんだよなぁ……。
あんな風に時々冗談を交えながら話す彼の姿を見ると、素直に感心してしまう。
王女様も少し赤くなっているし、あれは完全にフラグが立っているな。
代表の男の横にいる少女もなんか分かりやすく頰を膨らませているし、やっぱり顔は大事らしい。
俺の時なんて召喚された時は優しかった王女様も、修行していた間に別の意中の人と結婚してしまうし、しまいには俺を送り返した一人にまでなってしまった。
ご祝儀に不妊とEDになる呪いの札を混ぜていたのがバレたのだろうか。
でもあれはせいぜい効力は一年くらいだからそれ程問題はない筈だ。
しっかりとカモフラージュして分からないようにしてたしな。
だから半年くらいで別居になって、ラブラブだった二人の仲が険悪になったのも……いや、これ以上考えるのはやめよう。
あれは不幸な出来事だった。それでいいんだ。
俺の背筋に冷たい汗が流れるのを密かに感じていると、成り行きを見守っていた四人の内一人が、俺が目覚めたことに気付いて声をかけてきた。
「おっ、ようやく目が覚めたか。状況は分かっているか? 他の神様に説明を聞いてきたんだろ?」
「あ、ああ。大丈夫だ」
「そうか。俺の名前は武本幹治だ。これからよろしくな」
そう言って人懐っこい笑みを浮かべながら自己紹介をした角刈りの男に、俺も簡単に名前を言って自己紹介を済ませた。
残りの三人は俺の方を一瞥したが、優先順位を考えたのか再び代表の男と王女のやり取りを見守っている。
その後、俺と武本は情報を交換し合った。
俺の他に召喚された五人はクラスメイトらしく、学年も俺と同じだった。
代表で話しているイケメンの男が東堂光輝で、その横にいるショートの髪型をした女が日野美咲。
この二人と武本は幼馴染でいつも一緒にいるらしい。
ずっと無表情で成り行きを見守っている小柄な女の名前は佐倉志乃で、つり目が特徴の男が柿渕雅也。
この二人はどちらかといえば召喚に巻き込まれた側だそうだ。
メインは東堂、日野、武本の三人だったってことだな。
「秋斗も俺達に巻き込まれたせいで召喚されちまったんだな。すまん」
「いや、気にしなくていいって」
謝られると、わざと召喚陣に飛び込んだ身としては心が痛い。
むしろ感謝してるぐらいなのに。
ちなみに、俺が以前に召喚されたことは教えていない。
説明役の神様が別だったのも、適当に言って誤魔化した。
俺はこれから自由に生きる予定なのだ。あまり重要な情報を伝えるのは躊躇ってしまう。
まあ向こうもそれはなんとなく察しているようだが。
「では、魔王討伐は僕達にお任せください!」
話しているうちに向こうも終わったようだ。
ではそろそろお暇させて貰いましょうかね。
俺は静かに立ち上がり、両手を広げる。
「あ、ありがとうござ――」
「フハハハハハハ! 魔王お討伐はお前らだけでやるんだな。俺は自由にやらせて貰う!」
「え、おい。突然何言って――」
「シャラップ! どうせ王女なんてみんな腹の中は真っ黒で性格も悪いんだよ。そんな奴の頼みなんて聞けるか!」
感激した様子でお礼を言おうとした王女の言葉を遮り、立ち上がった俺は自由を求めて壁へと駆ける。
前の王女を思い出したせいでやけに悪者っぽい笑い声になったり、酷い言いがかりを付けてしまったが気にしない。
また今度合った時に謝ればいいだろう。
打ち首にならなければ、だけど。
「あ、秋斗、どこに……」
「ちょ、君。待って――」
「さらばだっ! 『転移』!」
視界が一瞬で切り替わり、青空が視界に映る。目の前に広がるのは中世ヨーロッパ風の美しい街並み。
思ったよりも高いところに転移したようだ。顔に当たる風が気持ち良い。
そのまま俺は落下に備え、手を思いっきり広げようとして……手が動かないことに気が付いた。
「え? ど、どうなってんの!?」
俺は焦る気持ちを抑えながら、恐る恐る自分の体を見る。
見えたのは白い城の壁に埋まっている俺の下半身と腕。足をばたつかせてみるが、一向に抜け出せそうにない。
「――うそおぉおおおおおおおおおおお!!!!」
異世界の空に、俺の声が響き渡った。
幼さの残る高い声を聞き、意識が覚醒する。
どうやら意識を失っていたようだ。
俺が目を開けると、既視感を感じずにはいられない光景が目の前で繰り広げられていた。
頭に乗ったティアラを片手で押さえ、頭を下げる中学生くらいの少女は王女だろう。
少しドジっ子そうだ。
その背後に控えるのは、全身を甲冑で覆い、威圧感たっぷりで佇む護衛の騎士達だ。
その鋭い目線の先にいるのは、五人の男女プラス俺。
どうやら俺が意識を失っていた間にも話は既に始まっていたらしく、流れから察するに魔王を討伐してくださいと頼まれているところだろう。
俺の時と同じ、どこかで見たことのあるようなテンプレ展開だ。
対する五人は、騎士達の放つ威圧感に緊張を滲ませてはいるが、神様に説明を受けたおかげか比較的落ち着いているようだ。
イケメンフェイスの男が代表して王女と言葉を交わし、冷静に話し合っている。
俺の時は一人だったし、不安で仕方なかったんだよなぁ……。
あんな風に時々冗談を交えながら話す彼の姿を見ると、素直に感心してしまう。
王女様も少し赤くなっているし、あれは完全にフラグが立っているな。
代表の男の横にいる少女もなんか分かりやすく頰を膨らませているし、やっぱり顔は大事らしい。
俺の時なんて召喚された時は優しかった王女様も、修行していた間に別の意中の人と結婚してしまうし、しまいには俺を送り返した一人にまでなってしまった。
ご祝儀に不妊とEDになる呪いの札を混ぜていたのがバレたのだろうか。
でもあれはせいぜい効力は一年くらいだからそれ程問題はない筈だ。
しっかりとカモフラージュして分からないようにしてたしな。
だから半年くらいで別居になって、ラブラブだった二人の仲が険悪になったのも……いや、これ以上考えるのはやめよう。
あれは不幸な出来事だった。それでいいんだ。
俺の背筋に冷たい汗が流れるのを密かに感じていると、成り行きを見守っていた四人の内一人が、俺が目覚めたことに気付いて声をかけてきた。
「おっ、ようやく目が覚めたか。状況は分かっているか? 他の神様に説明を聞いてきたんだろ?」
「あ、ああ。大丈夫だ」
「そうか。俺の名前は武本幹治だ。これからよろしくな」
そう言って人懐っこい笑みを浮かべながら自己紹介をした角刈りの男に、俺も簡単に名前を言って自己紹介を済ませた。
残りの三人は俺の方を一瞥したが、優先順位を考えたのか再び代表の男と王女のやり取りを見守っている。
その後、俺と武本は情報を交換し合った。
俺の他に召喚された五人はクラスメイトらしく、学年も俺と同じだった。
代表で話しているイケメンの男が東堂光輝で、その横にいるショートの髪型をした女が日野美咲。
この二人と武本は幼馴染でいつも一緒にいるらしい。
ずっと無表情で成り行きを見守っている小柄な女の名前は佐倉志乃で、つり目が特徴の男が柿渕雅也。
この二人はどちらかといえば召喚に巻き込まれた側だそうだ。
メインは東堂、日野、武本の三人だったってことだな。
「秋斗も俺達に巻き込まれたせいで召喚されちまったんだな。すまん」
「いや、気にしなくていいって」
謝られると、わざと召喚陣に飛び込んだ身としては心が痛い。
むしろ感謝してるぐらいなのに。
ちなみに、俺が以前に召喚されたことは教えていない。
説明役の神様が別だったのも、適当に言って誤魔化した。
俺はこれから自由に生きる予定なのだ。あまり重要な情報を伝えるのは躊躇ってしまう。
まあ向こうもそれはなんとなく察しているようだが。
「では、魔王討伐は僕達にお任せください!」
話しているうちに向こうも終わったようだ。
ではそろそろお暇させて貰いましょうかね。
俺は静かに立ち上がり、両手を広げる。
「あ、ありがとうござ――」
「フハハハハハハ! 魔王お討伐はお前らだけでやるんだな。俺は自由にやらせて貰う!」
「え、おい。突然何言って――」
「シャラップ! どうせ王女なんてみんな腹の中は真っ黒で性格も悪いんだよ。そんな奴の頼みなんて聞けるか!」
感激した様子でお礼を言おうとした王女の言葉を遮り、立ち上がった俺は自由を求めて壁へと駆ける。
前の王女を思い出したせいでやけに悪者っぽい笑い声になったり、酷い言いがかりを付けてしまったが気にしない。
また今度合った時に謝ればいいだろう。
打ち首にならなければ、だけど。
「あ、秋斗、どこに……」
「ちょ、君。待って――」
「さらばだっ! 『転移』!」
視界が一瞬で切り替わり、青空が視界に映る。目の前に広がるのは中世ヨーロッパ風の美しい街並み。
思ったよりも高いところに転移したようだ。顔に当たる風が気持ち良い。
そのまま俺は落下に備え、手を思いっきり広げようとして……手が動かないことに気が付いた。
「え? ど、どうなってんの!?」
俺は焦る気持ちを抑えながら、恐る恐る自分の体を見る。
見えたのは白い城の壁に埋まっている俺の下半身と腕。足をばたつかせてみるが、一向に抜け出せそうにない。
「――うそおぉおおおおおおおおおおお!!!!」
異世界の空に、俺の声が響き渡った。
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