極運転移〜大事な人の復活のため、７つの世界を旅します〜

海の世界で呪い解き

07

「家を建てよう。」

　そのアマテの提案にNOと言うものは存在しなかった。
　何しろ昨日の夜は極寒の寒さの中、海で野外で過ごすというたわけのようなことをしていたのだから。

　それに国を作るならまず家と土地と人が必要なんじゃ？と思う。
　家を作るのは国造りにとってマイナスにはならないはずだ。
　早速建築士のイヴァンが設計を始めた。
　彼には建築のための素材を無限に入手できる能力があるらしい。
　イヴァンが家を立てている間に、俺とユリさんはいかだの警備に、アマテは食料調達に出かけることにした。
　ユリさんが自分はアマテと一緒がいい、と騒いだこともあり、出発が大きく遅れた。
　イヴァンはすでに骨組みを作り始めている。

「そんじゃ行きますか」
「そうだね～！」
　
　自分の主張が通らなかったからと言って決してすねたりしないあたり大人だなと思う。
　適当にいかだを歩き回りながら適当に会話をする。

「テンリくんタイプとかあるの？」
「タイプですか。清楚で包容力のある女性ですかね。」
「あらまぁ、いやらしい」
「いやらしくはなくないですか！？」
「好きな人とのエピソードとかは？」

　なんでだろう、自分でも分からない。けどその次の瞬間、俺はアマテとのストーリーを語ってしまった。


「ヒロイン力足りてないねぇその子。」
「え？」
「幼馴染かはっきりしないまま死んでしまったなんて。」
「まぁ確かに」
「難しいわね、幼馴染って。親友以上恋人以下なんて。」
「まぁ、そうっすね、本当に幼馴染なのかもわからないわけですけど」


　そんな会話をしているのを生ゴミを見るかのような目で見るアマテ。
　彼女は言う。「あの二人はなんで半径一メートルの円を描きながらひたすら歩いてるの？」と。