こっち向いてください

もなか

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褒めて伸ばしてー閑話休題ー 13

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「お前はーー!ほんっっっっとに!!!!!」
「ごめっ、ごめんなさい!」

敬吾が逸の太腿をこれでもかとつねっていた。
打撃よりも、効く。

「痛い痛い!敬吾さん、ギブ!」

呆れたような溜め息をつき、敬吾が右膝を上げてそのまま逸の上から退いた。
逸も起き上がって敬吾の上に覆い被さる。
スカートを下げ、さりげなく髪をまとめる仕草が焦げ付きそうなほどに蠱惑的だった。

「ん…………」

また逸がスカートの中に手を潜り込ませていく。
追い詰められるような、掴まえられてしまいたいような気持ちで敬吾は見えないそこを見つめている。

「ん…………!っ、」

特に寄り道をすることもなく逸の指は布の端を縫いながら更に奥へと入り込んだ。
敬吾が逸の腕を掴み、顔を歪める。
その顔が、どれほど見たかったか──

緩く掻き回し、抜き差しするともう敬吾は涙を堪えられなくなる。
──自分がこんなにも逸の指を待ちかねていたとは思わなかった。

その表情がまた逸を夢中にさせる。
全身擦りつけたい気分だが、敬吾の顔が見えるところから動きたくない。
その艶はどんどん増していき、腹の奥が焼き付いてしまいそうだった。

「敬吾さん……、ほんと可愛い」

そういうことを言うと、敬吾は冷めてしまうのだが。言わずにいられなかった。
──だが、敬吾の瞳は蕩けたままで──伏せられていた瞼を上げ、潤んだ視線を逸に注ぐ。

「………………?」

見つめたままに喘がれると少々刺激が強い。
何を今更ーーと自分でも思うのだが、平素敬吾はそんなことはしない。
こちらを見るなら口を噤むし、声を出すなら顔を背けるのだ。

不思議ではあるが──

──眼福だから、まあいいか。

もっと見ていたくて逸は弱いところを攻め始める。
強すぎる刺激に、敬吾は仰け反ってしまった。

(あ、失敗)

悔やみつつ、それなら啼いてくれと攻め上げる。
敬吾の声は悲痛になっていった。

「んっあ、やだ、逸っ、まだ……あ!い、れて、やだっ──」
「──敬吾さん?」
「逸……!」

ぼろぼろと泣いてしまいながら、敬吾は自分に挿さっている逸の腕を懇願するように掴む。

「いちぃ、ゆびもうやだ、入れ………っあ…………!」
「──────」

敬吾の体が激しく引き攣る。
腰だけを震わせて弛緩し始める体を、逸は組み伏せ腿を開かせてスカートを上げた。

また、布の裂ける音がする。

「…………?」

敬吾がそちらを見るが、よく見えない。
逸は更に広がった裂け目に自らの欲望を宛てがっていた。

「や…………!逸っ、まだ、やめ……」
「入れてって言いましたよね」
「ちが……そうじゃな、いっちゃった、から……!」

必死で懇願する敬吾に逸は冷たい笑みを返すばかり。

「欲しかったんですよね?」
「──────」

逸の笑顔も、敬吾の泣き顔も一時静止する。
浅くて速い呼吸を繰り返す敬吾の胸だけが、痛々しく上下していた。

その奇妙な沈黙に、ひゅっと敬吾が息を呑む音が過る。

「あ…………、っあ………!」

了承も得ず、まだ過敏な体内に押し入ってくる熱がぞくぞくと快感を生む。
恐ろしいほどだが、どうしようもなく絡みついてしまう。
それがあとどれ程で根本まで埋まりきるかもう分かってしまっている、待ちわびてしまっている、のに──逸はそれを止め、上体を起こしてシャツを脱ぎ落とした。
頭をひとつ振って僅かに残った敬吾のブラウスのボタンを外し、前をはだけさせる。
そうして肌を合わせると一息に奥まで貫いた。

「っんぁ、あっ──…………!」
「敬吾さん…………」

敬吾が性急に逸の背中に腕を回す。
体の奥が脈打って熱くて堪らないが、そこにあるのは激しい快感ではなく沁み入るような充足感だった。

逸が柔らかく胸板や首すじを食み、慈しまれているような気持ちになる。
堪らずに頭を撫でると逸も穏やかに笑った。

「敬吾さん……すごい可愛い、ここ、甘えてるみたいに吸い付いてきますよ……」
「んー…………、言うなよ…………」
「ふふ……気持ちいい、」
「………………」
「──ちょっとこのままでいていいですか?」
「ん……………」

ずしりと胸が重くなる。
逸はあまり、体重を掛けることはしないのだが──。

子供のように目を閉じる逸の頭を撫でてやりながら、敬吾も暫し、目を閉じた。
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