こっち向いてください

もなか

文字の大きさ
108 / 345

彼の好み リベンジ 7

しおりを挟む





床に埋め込まれた浴槽の縁に腰を下ろし、逸はにこにこと敬吾を呼んだ。
楽しそうにぱたぱたと自分の腿を叩き、そこに敬吾を座らせる。

「ん………」

ゆったりと頭を引き下ろされて、敬吾は触れる前から僅かに唇を開いていた。
それに気づいた逸がにやけてしまいながらその愛しい隙間を舌先で埋め、開かせていく。

それが深く熱くなり、敬吾の理性が弛み始めた頃に逸は手をぱしゃりと湯にくぐらせた。
薄く濡れた手が、自分の膝の間にある敬吾の尻を撫で、指先でその谷間を滑る。

「ん、ッん……」

少しずつ指が埋め込まれ、敬吾が顔を引こうとするが項を抑えた手がそれを許さない。
ゆっくりとただ緩やかに指を入れられ、抜き出されして堪らずに敬吾が逸の肩を押す。

「やっ、………!」

声が反響してしまい、口をふさぐと逸はとっくりとそれを見つめながらも指を動かした。

「ん──……!」
「敬吾さん………」
「っは、んんっ……んん…………!」
「増やしますよ」
「っあ…………!」

急に中を広げられ、それでも苦痛より快感と受容してしまう。
それに耐えきれずに逸の首に抱きつくと、逸がその勢いのまま尻を掴んで更に高く上げた。

「ん、っ!!?」

そしてそこに充てがわれる熱。
逸が敬吾の腰を下ろしていき、それはずぶずぶと飲み込まれて行く。

「あっ、ん……!ゃ──………!」
「あー……、っいい……」
「──っ馬鹿!なん、いきなり……っんぅ!」
「ごめんなさい、我慢できなかったぁー……」

苦笑しながら早い呼吸を繰り返し、逸は敬吾の鎖骨に深く息を吐きだして目を瞑った。

しばしそのまま抱き締め合っていると、どうにか呼吸を御し始めた敬吾が憎まれ口を叩く。

「つーか、俺っ全然風呂浸かってねえのに……!」
「んん、ですね」
「へっ!!!?」

敬吾の腿の下を支え、逸が腰を上げる。
敬吾が驚いて悲鳴のような声を上げ逸の腰に足を絡めるが、逸は気にもせず湯の中に腰を沈めた。

「っわ、うわぁっばか、汚れる………っ」
「動かしませんから」
「いやそういう問題、じゃないっ」

──なんだか、不道徳だ!

温かいお湯はほっこりと心を緩ませるのに、その温もりの中では逸の淫らな熱が更に深い所まで侵している。
それが余りに相反していて倒錯していて、敬吾はただ混乱して赤くなる他なかった。

その敬吾を見て内心は同じ感想ながらも逸は意地悪げに口の端を上げる。

「でも締まりましたよ、水圧か……… ……興奮してる?」
「っ!違うっばかっ」
「んん……」

素直になってくれない口をふさぎ、少しだけ足を開かせて奥に捩じ込む。
泣き声のような抗議は、唇の合間に「奥だけ」と囁くと噤まれた。

「んっ、ん──……っ!」

苦しげな敬吾の喘ぎを掻き消しそうなほど、激しい水音が跳ねる。
尋常ならない心拍数と熱さに敬吾が逸の肩を押すと、辛うじて唇だけが解放された。
深く繋がったそこは奥を抉られ続けて、敬吾の背がくたりと撓る。

「っあ……あ、ぁ……」
「敬吾さん………」
「あ………っあっあ、っんっんっん………!」

支えきれない頭がくらりと傾いで、敬吾の喉が剥き出しになる。
そこにかぶりつくように逸が口づけ更に捩じ込むと、敬吾の胸が激しく跳ねて逸に当たった。

「ん──……!………………!」

痙攣が収まって弛緩する敬吾の体を押し上げ、床に寝かせると逸は激しく突き上げる。
敬吾の悲痛な喘ぎと、浴槽の中に残った脚が湯を蹴る激しい音が響く。

「んっ…………」
「っや!あぁっ……──ばか!っんんっ──……!」
「っは……ごめんなさい、……」

昂揚から笑ってしまいながらも謝って、逸は敬吾の胸に顔を乗せた。
敬吾は重いだろうが、力が抜けてしまう。
そうしていると怒りながらも敬吾は頭を撫でてくれた。

「ふふ……でも……敬吾さんが汚しちゃいましたね……」
「…………っ、…………ごめ……」
「いやいやいやいや俺が悪いんです」

予想外に敬吾が謝ってしまったので逸はずり上がり、顔を撫でて口づける。
長いことそうしていたが、さすがに敬吾の背中が心配になってきて体を起こしシャワーを出した。

「しかし心臓に悪いですねこれ………」
「……もう風呂では禁止。」
「事情聴取やだから?」
「うん」
「あはは!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

宵にまぎれて兎は回る

宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…

処理中です...