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彼の好み リベンジ 7
しおりを挟む床に埋め込まれた浴槽の縁に腰を下ろし、逸はにこにこと敬吾を呼んだ。
楽しそうにぱたぱたと自分の腿を叩き、そこに敬吾を座らせる。
「ん………」
ゆったりと頭を引き下ろされて、敬吾は触れる前から僅かに唇を開いていた。
それに気づいた逸がにやけてしまいながらその愛しい隙間を舌先で埋め、開かせていく。
それが深く熱くなり、敬吾の理性が弛み始めた頃に逸は手をぱしゃりと湯にくぐらせた。
薄く濡れた手が、自分の膝の間にある敬吾の尻を撫で、指先でその谷間を滑る。
「ん、ッん……」
少しずつ指が埋め込まれ、敬吾が顔を引こうとするが項を抑えた手がそれを許さない。
ゆっくりとただ緩やかに指を入れられ、抜き出されして堪らずに敬吾が逸の肩を押す。
「やっ、………!」
声が反響してしまい、口をふさぐと逸はとっくりとそれを見つめながらも指を動かした。
「ん──……!」
「敬吾さん………」
「っは、んんっ……んん…………!」
「増やしますよ」
「っあ…………!」
急に中を広げられ、それでも苦痛より快感と受容してしまう。
それに耐えきれずに逸の首に抱きつくと、逸がその勢いのまま尻を掴んで更に高く上げた。
「ん、っ!!?」
そしてそこに充てがわれる熱。
逸が敬吾の腰を下ろしていき、それはずぶずぶと飲み込まれて行く。
「あっ、ん……!ゃ──………!」
「あー……、っいい……」
「──っ馬鹿!なん、いきなり……っんぅ!」
「ごめんなさい、我慢できなかったぁー……」
苦笑しながら早い呼吸を繰り返し、逸は敬吾の鎖骨に深く息を吐きだして目を瞑った。
しばしそのまま抱き締め合っていると、どうにか呼吸を御し始めた敬吾が憎まれ口を叩く。
「つーか、俺っ全然風呂浸かってねえのに……!」
「んん、ですね」
「へっ!!!?」
敬吾の腿の下を支え、逸が腰を上げる。
敬吾が驚いて悲鳴のような声を上げ逸の腰に足を絡めるが、逸は気にもせず湯の中に腰を沈めた。
「っわ、うわぁっばか、汚れる………っ」
「動かしませんから」
「いやそういう問題、じゃないっ」
──なんだか、不道徳だ!
温かいお湯はほっこりと心を緩ませるのに、その温もりの中では逸の淫らな熱が更に深い所まで侵している。
それが余りに相反していて倒錯していて、敬吾はただ混乱して赤くなる他なかった。
その敬吾を見て内心は同じ感想ながらも逸は意地悪げに口の端を上げる。
「でも締まりましたよ、水圧か……… ……興奮してる?」
「っ!違うっばかっ」
「んん……」
素直になってくれない口をふさぎ、少しだけ足を開かせて奥に捩じ込む。
泣き声のような抗議は、唇の合間に「奥だけ」と囁くと噤まれた。
「んっ、ん──……っ!」
苦しげな敬吾の喘ぎを掻き消しそうなほど、激しい水音が跳ねる。
尋常ならない心拍数と熱さに敬吾が逸の肩を押すと、辛うじて唇だけが解放された。
深く繋がったそこは奥を抉られ続けて、敬吾の背がくたりと撓る。
「っあ……あ、ぁ……」
「敬吾さん………」
「あ………っあっあ、っんっんっん………!」
支えきれない頭がくらりと傾いで、敬吾の喉が剥き出しになる。
そこにかぶりつくように逸が口づけ更に捩じ込むと、敬吾の胸が激しく跳ねて逸に当たった。
「ん──……!………………!」
痙攣が収まって弛緩する敬吾の体を押し上げ、床に寝かせると逸は激しく突き上げる。
敬吾の悲痛な喘ぎと、浴槽の中に残った脚が湯を蹴る激しい音が響く。
「んっ…………」
「っや!あぁっ……──ばか!っんんっ──……!」
「っは……ごめんなさい、……」
昂揚から笑ってしまいながらも謝って、逸は敬吾の胸に顔を乗せた。
敬吾は重いだろうが、力が抜けてしまう。
そうしていると怒りながらも敬吾は頭を撫でてくれた。
「ふふ……でも……敬吾さんが汚しちゃいましたね……」
「…………っ、…………ごめ……」
「いやいやいやいや俺が悪いんです」
予想外に敬吾が謝ってしまったので逸はずり上がり、顔を撫でて口づける。
長いことそうしていたが、さすがに敬吾の背中が心配になってきて体を起こしシャワーを出した。
「しかし心臓に悪いですねこれ………」
「……もう風呂では禁止。」
「事情聴取やだから?」
「うん」
「あはは!」
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