111 / 345
彼の好み リベンジ 10
しおりを挟む「逸……………っ逸ぃ、それっもう、やだ……」
「それ?ってどれ?」
「ん…………っん──……!っだから、これ……ぇ」
「んー…………?」
自分の脚の間に座って腰を捉えている逸の手首を握り、とろとろと涙を零しながら敬吾は訴えていた。
が、その敬吾を眺めるのが楽しくて仕方がない逸は察していても汲んではくれない。
ついさっきまで狂ったように突き上げていたそこを、今はゆったりとーーと言おうか、ねっとりと抜いては押し上げ抜いては押し上げしている。
その激しさにごまかされない往復が、嫌と言うほどはっきりと存在を主張し、敬吾に絡みつく余地を与え、狂ってしまうことを許してくれない。
「ん……………っ!あぁ……──」
「敬吾さん……、ほんと可愛い………」
「逸──……お願い………だからー……」
温かい波に浚われるような快感が、いつまでも鮮烈に敬吾の体を震わせる。
激しい熱を伴わないそれは、あまりに緩やかに蓄積して敬吾を苛んだ。
少しずつ少しずつ絶頂へと迫るのを、その間ずっと思い知らされるようで──
「逸ぃ…………っ」
「んん…………」
泣きながら懇願する敬吾の頬を撫で、逸は笑いかけて子供にするように言い含めた。
「敬吾さん……気持ちは良いでしょ?」
「……でも、……」
「でもって思わないで、浸ってほしいなー……」
「あっ…………」
ゆっくりと、もう先端が食い込んでいるだけというところまで腰を引くと逸は改めて敬吾の上に重なった。
その体温が少し敬吾の心を解く。
「……入れますよ?」
「ん…………っ」
「……ん、すごい絡んできて、気持ちいい………」
熱に浮かされた逸の声が直接耳に触れ、敬吾はその背中に爪を立てた。
逸が僅かに目を顰め、それでも嬉しげに口の端を上げる。
今その爪が食い込んだからにはきっと分かっているのだろうが、敢えて言い聞かせることにした。
「……気持ちいいとこに当たりますよ」
「………………!」
「あー……、凄いきつくなった」
「ん──…………!」
「……全部入った、敬吾さん──………」
陶酔しきった逸の声が間近に聞こえ、張り付いた腹が大きく蠢く。
逸の感じる酩酊がそのまま伝わってくるようで、最後の一欠片が溶けなかった敬吾の理性もその熱に沈んで消えた。
またゆったりと中を抉られ、それに合わせて何度も素直に声が溢れる。
そうして与えられる快感がやっとのことで頂きに達すると、焦らされた性感が昂りきっていてあまりに激しいものになった。
泣き叫んでいるような敬吾の喘ぎに聞き入りながら体を起こし、その中に逸も吐き出す。
激しすぎる快感から敬吾は何度も弛緩しては締め付け、腰が抜けそうだった。
「っあ………敬吾さんやばい、良すぎる………」
「ん────っ、っぁ、あ…………っ逸………っ」
敬吾に腕を広げられ、逸は微笑んでまた体を伏せる。
と、首を強く抱き締められた上に腰に脚も絡まった。
(うおーー……!)
総身で甘えつかれ、逸は驚愕の表情でばちばちと瞬く。
未だ苦しげに溢れる敬吾の声を聞きながら、慰めるように髪を撫でて逸はその雰囲気に浸った。
「敬吾さん、可愛い………」
「はあ………っ、んー………っ……」
「好きです、敬吾さん大好き………」
「っあ、馬鹿っやめ………」
「敬吾さん…………」
「っぁあっなにでかくしてっ──」
「だって敬吾さん凄いきゅってするから………、血ぃ戻んなくて」
「…………………っ!」
しっとりと落ち着いていた逸の呼吸が、気づくと駆け足になっていた──。
「………っ岩井、待って……ちょっと……休憩、させろ」
「ん………、はい」
逸の呼吸から逃げるように敬吾が顔を背ける。
やや落胆気味に、しかし素直に逸は敬吾の横に半身を立てた。
「でも入れたままでもいい……?」
「ん……」
疲れ果てたように敬吾が頷くのを見届けて、逸は敬吾の体を自分と同じように横にして背中から抱き込む。
逸の腕に頭を預けると敬吾も安心したように吐息を漏らした。逸もふっと微笑む。
「……何か食べます?」
「や、大丈夫……」
「ん」
逸の手に髪を梳かれ、腹を撫でられて敬吾は目を閉じた。
そこまで体が疲れているわけではないのだが──。
体の芯の、心と言うか──魂とでも呼ばれるところに近い部分が震えているような感覚。
決して不快ではないのだが感じたことのない感慨に、少し怖気づくような気持ちになる。
「んっ…………」
「ぁ……ごめんなさい」
「うん……」
逸が身じろぎでもしたのか中を軽く抉られる。
そしてまた、ぞくぞくと胸の奥が総毛立つような切なさ。
逸が後ろにいて良かった──今自分がどんな顔をしているか分からない。
蕩けた顔を更に困ったように眉根を寄せて敬吾が唇を噛んでいると、逸の片脚が敬吾の脚を掻き寄せるように絡んだ。
「ぁ………」
「……ごめんなさい、少しだけ」
「んっ……………」
耳元で逸の呼吸はまた熱くなり、耳に首にと口付けられる音が小さく響く。
脚を撫でていた手が内腿に滑り、鼠径部をくすぐって腹へ胸へと上がっていく。
「や………逸………、」
柔らかく全身を揺すぶられて、敬吾はまた何も考えられなくなった。
撫でられる度また温かい熱が滞留して体が撓る。
「敬吾さん……、可愛い………」
「んゃ……逸、あっ、ぁ………」
「敬吾さん、気持ちい?」
「ん………っ気持ち、いぃ…………」
「ふふっ……」
決して激しい快感ではないのに抗いようもなくその熱に引き込まれてしまう。
そうして正気を手放していた間敬吾は喘ぎに喘いで、逸はにやけににやけた。
自分でも知らないうちにまた激しく達して、文字通り果てるように意識も手放して、敬吾がまた自我を取り戻した時にはとっくに夜は明けていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ふたなり治験棟
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる