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2章 リリスと闇の侯爵家
71 はじめての製本制作その一
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ゆっくり眠って起きた朝は、身体が重く感じることがある。
「寝すぎたかしら?」
リリスは重い身体を起こした所で、眼前に広がる光景に納得した。
カラス達が人の姿でリリスにくっついて寝ていたのだ。
いつの間に人の姿になったのだろう。
これは重いはずだとリリスは苦笑する。
「みんな、起きて…」
リリスは悪いと思ったが、このままでは起き上がれないのでカラス達を起こすことにした。
今日は楽しみにしていることがある。
「あれぇ…朝?」
「おはようございます」
「…リリス元気?」
カラス達がそれぞれ声をかけてくれる。
「ええ、もうすっかり大丈夫よ。
みんなずっと一緒にいてくれてたのよね。
ありがとう」
その言葉に三つ子たちが嬉しそうに眠そうな目をこすりながら、抱きついてくる。
私も優しく抱きしめ返した。
「さてと、今日はメルヒと初歩的な魔術書を作ることになってるのよ!
私、楽しみで仕方ないの」
「リリス嬉しそう」
「よかったね」
「すごく元気そう。
…安心した」
「さぁ、ご飯食べて工房へ向かいましょう!」
カラス達と共に朝の身支度をする。
メルヒにも、もう元気であることを証明するために顔を見せにいかないといけない。
すごく心配かけてしまったから…。
リリスは目を覚ますために浴室へ行く。
鏡見てクマがないことも確認した。
「たくさん眠るとなくなるのね…。
心配させてしまうから、夜更かししないようにしないと」
「たくさん眠ったから」
「顔色もよくなりましたね」
サファイアとルビーが嬉しそうにしている。
後ろの方でエメラルドも笑っている気がした。
あんまり、表情が表に出るタイプではないから分かりにくいけれど。
カラス達をつれて食堂に向かう。
寝てばかりいたのでしばらくぶりのご飯だ。
屋敷の妖精は体調を気遣ってくれているのか、リリスの席にはミルク粥とフルーツが用意されていた。
カラス達にはオムレツとサラダだ。
相変わらず、こぼしながら食べている。
あとで拭いてあげないといけない。
メルヒの座る席に目を向けると、すでに食事を終えていたようで何も無かった。
すでに工房に向かったのだと思う。
カラス達とお話をしながら、賑やかな朝食を終えると、リリスは道具を取りに部屋に戻ることにした。
カラス達は他にやることがあるのか、それぞれどこかに行ってしまった。
「お邪魔虫になるから退散するの」
「ボク達、空気が読めるいいカラス」
「「「ねー」」」
***
自分の部屋に戻り、必要なものを探す。
「エプロンとブローチはあったけれど、修復道具は?」
そこで、部屋に修復道具がないことに気づいた。
大切な物なのにどこに行ってしまったのだろうと、眠る前の記憶を探し始める。
グレイと会った時は持ってなかったわよね。
あの日、朝起きた時は手に持ってたと思うけど。
「もしかして、工房に置きっぱなし?」
リリスはエプロンをつけて、工房へ向かった。
工房の扉を開けると、いつもの様にメルヒが先にいて何か作業をしている。
「おはようございます!」
「おはよう、リリス」
メルヒがにこやかに迎え入れてくれる。
紫色の瞳がこちらを見ていて、眩しくて目を細めてしまう。
「元気そうだねぇ。
ゆっくり休めたかい?」
「はい、もうすっかり元気になりましたよ。
度々、ご迷惑かけて申し訳ありません」
「リリスのせいじゃないでしょう。
気にしないことだよ…。
むしろ僕が悪い」
苦い顔をしてメルヒはこちらを見つめた。
リリスは扉の前に立ち止まってる訳にも行かないので、奥へと足を進める。
メルヒがいるところまで近づいた。
「うん、顔色もかなり戻ったね。
安心したよ。
よかった」
顔を見つめられて恥ずかしくなり、リリスは下を向いた。
メルヒはそんなリリスに気にもとめず、カラス達にするように頭を撫でた。
くすぐったいような不思議な気持ちになる。
顔を上げると作業机の上に、見覚えのある赤い布が見えた。
「あっ、よかった。
ここに置きっぱなしだったのですね」
メルヒはリリスの視線を辿って置いてあるものを見る。
「あぁ、リリスの修復道具ねぇ。
はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
メルヒから修復道具を受け取り、ぎゅっと抱きしめた。
この道具を持っていると、弟子になれた実感がわいてくる。
まだ、使っていないものも多いけれど。
早くいろんなことを出来るようになりたい。
「ここで作業するから、修復道具は置いといても大丈夫だよ」
「買ってもらった大切な物なので、手もとに置いておきたいです」
「気に入ってるんだね」
メルヒは微笑ましいというように柔らかな表情になった。
「もちろん、気に入ってますよ。
…えっと、今日は本を作るのですよね。
この道具もつい使うときがきましたよね?」
嬉しくなってリリスは修復道具を掲げる。
今まではメルヒの作業のちょっとした手伝いだったのでこの道具をあんまり使っていなかった。
きっと、今日は本格的に使うことになるはずだ。
「そうだったねぇ。
今日は本を作るよ」
「私、とても楽しみです」
「寝すぎたかしら?」
リリスは重い身体を起こした所で、眼前に広がる光景に納得した。
カラス達が人の姿でリリスにくっついて寝ていたのだ。
いつの間に人の姿になったのだろう。
これは重いはずだとリリスは苦笑する。
「みんな、起きて…」
リリスは悪いと思ったが、このままでは起き上がれないのでカラス達を起こすことにした。
今日は楽しみにしていることがある。
「あれぇ…朝?」
「おはようございます」
「…リリス元気?」
カラス達がそれぞれ声をかけてくれる。
「ええ、もうすっかり大丈夫よ。
みんなずっと一緒にいてくれてたのよね。
ありがとう」
その言葉に三つ子たちが嬉しそうに眠そうな目をこすりながら、抱きついてくる。
私も優しく抱きしめ返した。
「さてと、今日はメルヒと初歩的な魔術書を作ることになってるのよ!
私、楽しみで仕方ないの」
「リリス嬉しそう」
「よかったね」
「すごく元気そう。
…安心した」
「さぁ、ご飯食べて工房へ向かいましょう!」
カラス達と共に朝の身支度をする。
メルヒにも、もう元気であることを証明するために顔を見せにいかないといけない。
すごく心配かけてしまったから…。
リリスは目を覚ますために浴室へ行く。
鏡見てクマがないことも確認した。
「たくさん眠るとなくなるのね…。
心配させてしまうから、夜更かししないようにしないと」
「たくさん眠ったから」
「顔色もよくなりましたね」
サファイアとルビーが嬉しそうにしている。
後ろの方でエメラルドも笑っている気がした。
あんまり、表情が表に出るタイプではないから分かりにくいけれど。
カラス達をつれて食堂に向かう。
寝てばかりいたのでしばらくぶりのご飯だ。
屋敷の妖精は体調を気遣ってくれているのか、リリスの席にはミルク粥とフルーツが用意されていた。
カラス達にはオムレツとサラダだ。
相変わらず、こぼしながら食べている。
あとで拭いてあげないといけない。
メルヒの座る席に目を向けると、すでに食事を終えていたようで何も無かった。
すでに工房に向かったのだと思う。
カラス達とお話をしながら、賑やかな朝食を終えると、リリスは道具を取りに部屋に戻ることにした。
カラス達は他にやることがあるのか、それぞれどこかに行ってしまった。
「お邪魔虫になるから退散するの」
「ボク達、空気が読めるいいカラス」
「「「ねー」」」
***
自分の部屋に戻り、必要なものを探す。
「エプロンとブローチはあったけれど、修復道具は?」
そこで、部屋に修復道具がないことに気づいた。
大切な物なのにどこに行ってしまったのだろうと、眠る前の記憶を探し始める。
グレイと会った時は持ってなかったわよね。
あの日、朝起きた時は手に持ってたと思うけど。
「もしかして、工房に置きっぱなし?」
リリスはエプロンをつけて、工房へ向かった。
工房の扉を開けると、いつもの様にメルヒが先にいて何か作業をしている。
「おはようございます!」
「おはよう、リリス」
メルヒがにこやかに迎え入れてくれる。
紫色の瞳がこちらを見ていて、眩しくて目を細めてしまう。
「元気そうだねぇ。
ゆっくり休めたかい?」
「はい、もうすっかり元気になりましたよ。
度々、ご迷惑かけて申し訳ありません」
「リリスのせいじゃないでしょう。
気にしないことだよ…。
むしろ僕が悪い」
苦い顔をしてメルヒはこちらを見つめた。
リリスは扉の前に立ち止まってる訳にも行かないので、奥へと足を進める。
メルヒがいるところまで近づいた。
「うん、顔色もかなり戻ったね。
安心したよ。
よかった」
顔を見つめられて恥ずかしくなり、リリスは下を向いた。
メルヒはそんなリリスに気にもとめず、カラス達にするように頭を撫でた。
くすぐったいような不思議な気持ちになる。
顔を上げると作業机の上に、見覚えのある赤い布が見えた。
「あっ、よかった。
ここに置きっぱなしだったのですね」
メルヒはリリスの視線を辿って置いてあるものを見る。
「あぁ、リリスの修復道具ねぇ。
はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
メルヒから修復道具を受け取り、ぎゅっと抱きしめた。
この道具を持っていると、弟子になれた実感がわいてくる。
まだ、使っていないものも多いけれど。
早くいろんなことを出来るようになりたい。
「ここで作業するから、修復道具は置いといても大丈夫だよ」
「買ってもらった大切な物なので、手もとに置いておきたいです」
「気に入ってるんだね」
メルヒは微笑ましいというように柔らかな表情になった。
「もちろん、気に入ってますよ。
…えっと、今日は本を作るのですよね。
この道具もつい使うときがきましたよね?」
嬉しくなってリリスは修復道具を掲げる。
今まではメルヒの作業のちょっとした手伝いだったのでこの道具をあんまり使っていなかった。
きっと、今日は本格的に使うことになるはずだ。
「そうだったねぇ。
今日は本を作るよ」
「私、とても楽しみです」
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