ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ

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第2章 

20.魔王城の会議①

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 久しぶりに見るジャングリラの街並みは、大変貌だいへんぼうを遂げていた。

 モダンな建物が立ち並び、通りは石畳で舗装されている。
 魔石を使った街灯、豪華な装飾が施された時計塔まであった。

「あっ、サタン様! おかえりなさいませ……だぴょん!」
 
 兎人族のシャルロットだ。
 荷馬車の御者席に座っている。
 荷台には、色とりどりの様々な野菜が積まれていた。

「ただいま。農園の方は順調そうだね」

「はい! おかげさまで、絶好調ですぴょん! サタン様は、これからお城に帰られるのですか?」

「そうだけど……」

「なら、お送りしますぴょん! ちょうどお城に荷物を届けるところでしたので!」

 ありがたく御者席の隣に座らせてもらい、城まで送ってもらった。

 タイミングよく、リリス、ロキア、緋魅狐、アモンの全員が城にいた。
 4人を会議室に集め、アルニラム神皇国が魔王誕生を知ったという話をした。

「配下の者たちに伝えて欲しい。人間に危害を加えるなと。戦争になるのは避けたいと思ってる」

「なぜですか!」
 アモンが両手で机を叩いた。
「戦争となれば好都合! 100年前に味わった苦渋を何倍にもして返す好機ではありませんか!」

「落ち着くでありんす、アモン」
 煙管を吸いながら緋魅狐がたしなめる。
「魔王様……人間との戦争を避けたいというのは、魔王様が元人間だったことが関係しているのでありんしょうか?」

「関係ない……と言えば嘘になると思う……」
 俺は少し考えて言った。
「魔族の手で人間が殺される光景は正直、見たくない。でも、同時に、人間に魔族が殺されるのも見たくはないんだ。……みんなに聞くけど、人間のことを下等な種族だと思ってる?」

 4人は顔を見合わせた。

「……サタンくんには悪いけど、魔力もチカラも劣っている種族だからなぁ……」
 ロキアが言いにくそうに口を開いた。
「魔族の中には、そう思っている者が多いと思うよ……」

「それなら、何故なぜ、魔族は100年前の戦争で敗れた? 下等種族と見下している相手に」

 4人は沈黙した。
 
 少し経って、リリスが重い口を開いた。
「ひとことで言うと、“奢り”かの。魔族は、自分たちよりも能力《ちから》が劣る人間を捩じ伏せることなど、赤子の手をひねるよりも簡単とばかりに真正面から戦いを挑む。だが、人間は違う。自分たちよりも強大な能力を持つ魔族と渡り合うために、様々な戦術を立て集団で戦う。実に見事な連携でな」

「人間は魔族よりも脆弱かもしれないけど、集団で力を合わせることで大きな力と成果を得ることができる種族だ。あんまりナメないほうがいい」

 心臓がバクバクしている。
 4人が一斉に攻撃してきたら、俺は間違いなく死ぬだろう。

「俺が、人間の街を視察してきたことは知ってるな? 納得いかないのは、人間の方が魔族よりも豊かな暮らしをしているってことだ。人間より優れているはずの魔族が、どうして人間より劣った環境で暮しているんだ? 答えは、協力して何かを行うという能力が欠けているからだ。いくら能力が高くても、一人でやれることは、たかが知れてる。能力が低くても100人、1000人、10000人で協力し合えば、とんでもなく大きな成果を上げることが可能だ。それは人間が証明している」

「「「「……………………」」」」

「俺が留守にしている間に、ジャングリラの街は見違えるほど大きくなった。これは四天王が一つになったことで、魔族間の垣根を越えた協力関係が出来たからだと思う。やれば出来るんだよ! 魔族の力を結集すれば、人間の国よりも遥かに発展した国を作ることが出来る。人間に勝って留飲を下げたいんなら、戦争ではなく、生活の豊かさで人間を見下せるくらいにジャングリラを発展させろ!!」

「あの……」
 ロキアが小さく手を挙げた。
「人間の国は、魔王誕生を知ってるんだよね? 向こうから攻めてきた場合はどうするの?」

「こちらの領土を侵そうとする輩に遠慮する必要はない。全力で叩き潰す!」

「申し訳ございませんでした!」 
 アモンが頭を下げた。
「魔王様のお考えを全て聞く前に、先走って感情を爆発させてしまった非礼、深くお詫びいたします。このアモン、魔族の誇りにかけて、必ずやジャングリラを人間のどの国よりも豊かにするため尽力することを、ここに誓いましょう」

「アチキも誓うでありんすえ、魔王様。どうか我らを地上の楽園へと導いておくんなんし」

「……ボ、ボクは最初からサタンくんに付いていくって決めてたけどね、うん!」

「念のため、防御壁は造っておいたほうがいいかもしれんの。サタンよ、命じてくれれば城にいる悪魔と魔人を総動員して建設するが?」

「よろしく頼む!」
 俺は、ホッと胸を撫で下ろしながら言った。
 よかった……どうやら殺されずに済んだようだ。

「でも、どれくらいの大きさにしたらいいんだろう?」
 今後、住人が増えることを考慮して大きめに造らなきゃならないのは分かるのだが……。
 
「森を丸ごと囲むつもりじゃが、小さすぎるか?」
 リリスが、珍しく不安そうな面持ちで尋ねる。

「逆だわ! デカすぎるだろ! そもそも、そんな大規模な城塞が造れるのか?」

「魔族の力を侮ってもらっては困るの!」
 リリスは、えへんと胸を張った。
「楽しみにしておれ。難攻不落の城塞を築き、招かれざる客の魔国への侵入は防いでみせる!」
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