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魔女見習いルラの『なんでも屋』
1-3(ジン視点)
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「フィオーラ様が安心できるよう、すぐにでも見つけ出します! それでは早速行ってまいります!」
そう言うや否や、教室を飛び出していこうとするルラの手を引っ張り、ジンは引き留める。
今は一時限目の授業が始まる5分前だ。
「おい待って、もうすぐ授業だ! 終わってから行くぞ」
ルラはジンの言葉に渋々ながら従がった。
授業に出ないつもりだったのか、と呆れる。
最初の授業はルラの苦手な数学なので、出来るのなら授業に出たくないのだろう。
しかも、ルラは何故か数学の担当教師に目をつけられているのだ。
ジンもその理由は分からないが、表立ってルラを貶めている訳ではないので、そのままにしている。
ルラは数学の授業が終わると、勢いよく教室を飛び出していった。
ジンはその後を追う。
■
「相手は猫っていっても、使い魔だぞ? 簡単には見つかるもんじゃねぇだろ。そんな安請け合いして良かったのかよ」
「難しいとか関係ないんですよ! 見ましたか!? フィオーラ様の悲しそうなお顔を!」
ルラは周りの目を気にしていないのか、声高に語る。
目をギラギラと輝かせて、興奮し切ったその勢いに押されてジンは一歩後退る。
何も言えず、苦笑いを返すしか出来ない。
「そんなお顔はフィオーラ様には似合わないんです! 私は笑っていて欲しいのです」
出会ってから、一年半ほど一緒に居てジンはこの時初めて知ったのだった。
この破天荒な魔法使い見習いルラが大のフィオーラ好きであった事を。
ルラの一番は魔法だと思っていた。
しかし、光が差す茶色の瞳には魔法を語る時より数百倍もの輝きがあった。
知らないことを知れた喜びと少しだけ悔しさが心に宿った。
よく知っていると思っていたが、まだまだ知らないことの方が多いみたいだ。
「ああ、わかった、わかったから、さっさと迷子猫探しをしよう」
「すみません、そうでしたね。行きましょう!」
勢いが止まらず、なおも話を続けようとするルラをジンは止めた。
このまま、いくと日が暮れる。
ようやく調子を取り戻したところで歩き出したと思いきや、ルラは前に向けていた体を突然クルッと回して、こちらの方に向き直った。
「ところでジンくん、迷子“猫“ではなくフィオーラ様の使い魔であられる、フィフィ様、ですよ?」
ルラは困った子供に言い聞かせるような笑顔でそう言った。
その笑顔は今まで見たこともないような威圧感が込められていた。
威圧感のある笑顔におののきながら、ジンはたどたどしく答える。
「あ、ああ、分かった。フィフィ、様だな」
そう言うや否や、教室を飛び出していこうとするルラの手を引っ張り、ジンは引き留める。
今は一時限目の授業が始まる5分前だ。
「おい待って、もうすぐ授業だ! 終わってから行くぞ」
ルラはジンの言葉に渋々ながら従がった。
授業に出ないつもりだったのか、と呆れる。
最初の授業はルラの苦手な数学なので、出来るのなら授業に出たくないのだろう。
しかも、ルラは何故か数学の担当教師に目をつけられているのだ。
ジンもその理由は分からないが、表立ってルラを貶めている訳ではないので、そのままにしている。
ルラは数学の授業が終わると、勢いよく教室を飛び出していった。
ジンはその後を追う。
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「相手は猫っていっても、使い魔だぞ? 簡単には見つかるもんじゃねぇだろ。そんな安請け合いして良かったのかよ」
「難しいとか関係ないんですよ! 見ましたか!? フィオーラ様の悲しそうなお顔を!」
ルラは周りの目を気にしていないのか、声高に語る。
目をギラギラと輝かせて、興奮し切ったその勢いに押されてジンは一歩後退る。
何も言えず、苦笑いを返すしか出来ない。
「そんなお顔はフィオーラ様には似合わないんです! 私は笑っていて欲しいのです」
出会ってから、一年半ほど一緒に居てジンはこの時初めて知ったのだった。
この破天荒な魔法使い見習いルラが大のフィオーラ好きであった事を。
ルラの一番は魔法だと思っていた。
しかし、光が差す茶色の瞳には魔法を語る時より数百倍もの輝きがあった。
知らないことを知れた喜びと少しだけ悔しさが心に宿った。
よく知っていると思っていたが、まだまだ知らないことの方が多いみたいだ。
「ああ、わかった、わかったから、さっさと迷子猫探しをしよう」
「すみません、そうでしたね。行きましょう!」
勢いが止まらず、なおも話を続けようとするルラをジンは止めた。
このまま、いくと日が暮れる。
ようやく調子を取り戻したところで歩き出したと思いきや、ルラは前に向けていた体を突然クルッと回して、こちらの方に向き直った。
「ところでジンくん、迷子“猫“ではなくフィオーラ様の使い魔であられる、フィフィ様、ですよ?」
ルラは困った子供に言い聞かせるような笑顔でそう言った。
その笑顔は今まで見たこともないような威圧感が込められていた。
威圧感のある笑顔におののきながら、ジンはたどたどしく答える。
「あ、ああ、分かった。フィフィ、様だな」
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