終末

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終末

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「続いてのニュースです、我々破壊の民は今朝見事に船を木っ端微塵に破壊することに成功致しました!人類初の快挙です」

おお!人類はついに船を木っ端微塵にするにまで発展したのか、破壊の民として僕は誇らしい気持ちになった。

この調子で創造の民に差をつけて行くことができれば我々破壊の民が世界を統一させることもそう遠くない話かもしれない。

昔、世界は7つの民に分かれていたが破壊の民と創造の民が戦争に勝ち、現在は創造の民とあらゆるものを破壊し尽くす破壊の民と2つの国となった。

そして今朝、創造の民が破壊できないと豪語していた船を木っ端微塵にしたのだ。

これを気に破壊の民は優勢になったのだ。

後日創造の民と破壊の民は統一の儀をするための国際会議を行うことが決まった。

そしてその様子をテレビで生放送されることとなる。


「今回、創造の民の破壊できないとされていた船を木っ端微塵にすることに成功した。
我々破壊の民が今優勢であり、実質この戦争に勝ったと言える。
あなた方創造の民が私達破壊の民に破壊できないものを用意できないのであれば我々破壊の民の傘下に入り、統一国とすることを提案する」

破壊の民の国王は毅然とした態度で発言した。

創造の民の国王も決して狼狽えることなく話し始めた。

「確かに、我々が作り上げた壊すことの出来ない船が最高傑作でありそれを木っ端微塵にされたことは紛れもない事実。
しかし、これはあくまで公表してきた創造物の話であり我々にはまだ公表していない創造物がある。それはこの星そのものだ。
それを破壊できるのであれば私達の負けは認める。しかしそんなことができるか?この星を破壊することはこの世界の終わりを意味する。
できなければ我々の勝ちということになる」

どういうことだ?この星を創造した?
そんなことが可能なのだろうか?はったりなのではないだろうか?と破壊の民は真っ先に考えただろう。

事実だと証明できない以上これは話にならない。

しかし、創造の国王の発言でその疑いの気持ちが揺らぐ

「我々はこの星を創り上げたことを証明することができる。それを証明するためにはあなた方破壊の民の力が必要だ。
この星の核である中心に繋がる場所があり、その場所をあなた達に教えよう。
核が唯一この星を破壊することができる場所であり、そしてあなた達にはそれを破壊することができれば証明できるだろう」

「なるほど、この星を創ったあなた達はこの星の弱点を知っている。しかしそれを証明するためにはそこを破壊して初めて証明できるということだな?」


「そうだ、できないのであれば我々の勝ちということになる」

嘘だろ?テレビに釘付けになった僕はさっきまでの優越感が消え、一気にどん底に落とされた。

いや、まてよこの絶望感の中生きるくらいなら核を破壊して世界を消してしまう方がマシじゃないか?

そうだ、きっと破壊の民のみんなも同じ事を考えているだろう。

我々破壊の民は負けない、絶対勝つのだ。

そしてそれが証明される日も近いだろう。
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