空想世界

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集合意識

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店に入ると元気よくいらっしゃいませ!と出迎えてくれた。

あまり換気できていないのか、店内はかなり煙たく、白色であっただろう壁紙は油汚れで黄色くギトギトに汚れていた。

二人は各々注文した。

「いやー丁度焼き肉食べたいなと思ってたところなんだよ」

久しぶりに肉にありつける喜びが想真の表情に溢れていた。

「大勝ちしてさ、今日の俺はついてるぜ」
とゴッドが言う。

「そういえばこの前解散したあと、今後の生活どうしようって考えながら歩いてたんだけどさ、どう考えても生活できそうになかったんだよ、そこでお金ほしいって思ったら1万円拾ったんだよ、すごくないか?」

ゴッドは運ばれてきたお酒を一口飲んだ。
「それはラッキーじゃん!

でもお前それつかったのか?犯罪だぞ」

「自分の命かかってたんだからしょうがねぇだろ」

「何が命かかってるだ、10日くらい水飲んでれば死なねぇよ」

そう言いながらゴッドはお通しを一口摘む。

「幸運はそれだけじゃねぇぞ、今日焼き肉食いてぇーって呟いたらこれだよ!言霊ってのは本当にあるんだなって関心したわ」

「珍しいな、お前言霊とかそんなの信じないタイプなのにお前もこっちよりの人間に染まりつつあるんじゃないか?」

ゴッドはニヤニヤしていた。

「馬鹿、お前のオカルト好きと一緒にすんな!」

ゴッドはオカルト好きで、スピリチュアル的なことから、宇宙人、古代文明などあらゆる物を信じている。


オカルト好きという単語を聞いただけなのだがゴッドのオカルトスイッチが入ってしまった。
「お前集合意識って知ってるか?」

「知らん」

「複数の人間がひとつの意識を共有しているんだ。
共有といってもテレパシーとかそんなんじゃない。

この世界を通じて共有しているんだ。」

「意味わかんねえぞ」

「この世界は俺たち生命の想像から創られているという説と関係している。

無意識の内に、世界のイメージを思い描いている。
そのイメージと言うものがこの世界を形作っているんだ」

ややこしい話が苦手な想真は顔をしかめながら質問した。

「でも世界のイメージなんて人それぞれ違うだろ?それなのになんで同じ世界を共有しているんだ?」

「簡単なことさ、俺達が生まれたときから世界が当たり前のように存在しているだろ?
だから、物心着いたときには世界のイメージが頭に刷り込まれてんだよ。つまりみんな同じ世界を想像し、共有しているんだ。」


「うーん、同じ世界を想像して共有してる理由はわかったけどさ、じゃあ一番最初の一人ははどうやって世界を創ったんだ?」

待ってましたとばかりにゴッドは満面の笑みを咲かせていた。

自分の胸を指差しながら言った。

「ゴッドだよ!神が作ったんだ」

想真は一気に冷めたなにが神だ。

「お前は宗教家か!なんだよ神が創ったって馬鹿らしい」


「お前にはオカルトのロマンはわからんか」

ゴッドは小さなため息を吐いた。

「もしかしたら想真の思いが強すぎてお前の求めるイメージが目の前でおきてるんじゃないか?」

呆れた想真は鼻で笑い、運ばれてきた肉を焼き始めた。

この時まではゴッドを馬鹿にしていたが、後に起きる出来事で想真の考えは覆ることになる。
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