旅行記

井津 馨

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奥多摩

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 初めて一人で旅に出た時、辿り着いたのは奥多摩であった。

 前日に荷物を大方まとめ、旅行雑誌と一眼レフカメラを見る。
 この一眼レフカメラは、この日の為に購入したものだ。
 何が撮れるだろうか、どんな人に会えるだろうかと私の心は期待でいっぱいだった。




 一日目は、奥多摩へと向かう。

 着くと多くの人がいた。登山届を出す人、写真を撮る人、観光案内所へ立ち寄る人など様々だ。
 私はベンチに腰掛ける。
 一眼レフカメラで街の風景を試し撮りした後、一枚駅舎の写真を撮る。
 
 さて、どこに行こうか。

 まずは空腹を満たす為に蕎麦屋へ入る。
 人がいっぱいで、後に有名処だったことを知った。
 瓶に入ったオレンジジュースをガラスコップに移し、そして蕎麦を食べる。
 美味しい。すぐに完食してしまった。

 一眼レフカメラを首から下げて歩く。
 東京かと疑う様な景色が目の前にあった。
 川で親子が遊んでいる。私の住んでいた地方の様な景色だった。
 微笑ましく、暫く眺めてしまう。会いたい、と思いながら。

 歩いていると山に続く道があった。
 どうやらクマが出る様で、鈴の音が山から鳴り響いている。
 やめておこう、と考えて周りを散策した後電車に乗った。

 道中で幾度か電車を降り、散策をした。
 自然的で良い場所である。
 写真を撮り、景色を眺めていると急に雨が降ってきた。
 続行して散策し、駅のホームに辿り着くとそれは豪雨へと変わった。
 
 山の天気は急に変化する。
 先程まで晴れだったのに、今は前を見ることが困難な程の雨が降っているのだから。
 遂には雷まで鳴り始め、奥多摩にいた観光客のことが少し気になった。

 タイミングよく電車に乗り、私は今日の旅館へと向かった。
 
 




 その日は、武蔵五日市駅付近の旅館へ泊った。
 生憎の雨だったが、路線バスのライトが煌めいていて見惚れてしまった。
 写真を撮った後、食料を買い込んで旅館で寛ぐ。
 家庭の様なアットホームな雰囲気で心身ともに癒された。











 二日目は早起きをして食事処へ。和食でとても美味しかった。
 食べ終わり、リュックを背負ってチェックアウト。
 天気は曇りだが、いざ、出発。

 ますは、数馬という場所へ向かった。
 此処でドライブすればきっと楽しいだろうと思えるような急カーブを思わず写真に収める。
 
 地域の方とお会いし、挨拶をする。
 東京で見知らぬ人に挨拶が出来るなんて思ってもみなかった。
 私は地方から東京へ上京した身で、山奥へ来たのも懐かしい地方に似た景色を探すためだった。
 歩いていると狐が祀られた珍しい神社を見つけた。(狐だったかは少しあやふや)
 有名な所の様で、複数の旗が立てられている。

 そんな景色を横目に歩いていると、看板と橋が見えてきた。
 随分と距離があるようで、私は橋の下を覗いてから帰る事にした。
 橋の下を覗いていると、自殺志願者と思われたのか走る車のスピードががくんと落ちて後ろを過ぎ去っていく。
 
 心配をかけてはいけないと思い、私は来た道を引き返した。
 





 道を引き返していると、大きな建物が見えた。温泉のようだ。
 ふらっと中へ立ち入ってみると、食堂とお土産屋があるではないか。
 
 悩んだ末、天ぷら定食を頼んでテレビを見ながら食べる。
 地元で採れたのだろうか、山菜が美味しい。お茶の入ったコップも浮世絵で粋である。
 お腹はいっぱいになり、お土産屋さんへと向かう。
 見たことのないお土産がたくさん並んでおり、店員も感じよく「いらっしゃいませ~」と声をかけてきた。
 木の香りがするという小袋と、木板に彫られたこの町のストラップを購入。
 礼を告げて外に出る。

 運良く、晴れ間が見えてきた。
 すれ違う人はいないに等しかったが、優しさが感じられる場所であった。
 





 そのまま帰路につく為、青梅へと向かう。
 昭和レトロな街並みを何枚か写真に撮り、観光施設へと入った。
 昭和を再現した景色・雰囲気を目に焼き付ける。

 ここでも人が優しく、幸せな気持ちであった。

 珈琲が苦手で飲めなかったが、美味しいと評判らしい。
 観光施設二か所のチケットを購入すると珈琲一杯がタダの様だ。

 もし好きな方がいたら、行ってみてほしい。

 
 
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