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ハンマープライス
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「私、お風呂は初めてなんだ。」
「リーファちゃん、私はしょっちゅう温泉に入ってたから懐かしいよ。」
あぁぁぁ、何だろうこの気持ち。身体が喜んでいるのがわかる。川での沐浴なんかとは比べものにならないぞ。この世にはこんなものがあったのかぁ。
「こんなに気持ちいいものなのかぁ。あぁ、このままお湯に溶ける。」
「ふふふ、だよねぇ。このまま一緒にいられたらいいのに。」
「そうしよっか。」
「えっ?でも私たちすぐにどこかへ売られてしまうよ。」
「そうかなぁ。私はロミアには助けが現れると思うぜー。」
「そうだと良いんだけど・・・。」
すると待ちに待った報告が飛び込んで来た。
「リーファ様。ニコ様を見つけました。」
「やった!」
「いきなりどうしたの?」
「あっ、ごめん。気にしないで。」
いきなりバトラーへの応答を口に出したらロミアもそりゃあ驚くわ。目を閉じるとホーネットから転送されたニコの姿がはっきりと映し出されている。良かった、無事みたいだ。そのままニコの護衛も頼むよバトラー。
「ニコ様には既に護衛を配置しておりますのでご安心ください。」
さて、もはやここには用が無いので正面から脱出しても良いのだが。それでは芸が無いというもの、礼はたっぷりしていかないとなぁ。ふふふ、見てろよ。
私はそのまま二泊して三日目の朝を迎えた。風呂もちゃんとしたベッドもあるので設備は良いが、唯一飯が粗末なのは残念だった。ここにいる間、私はパントリーから料理を取り出してロミアと分け合った。パントリーに入れておけば腐らないのでしこたま料理を買い込んで正解だったよ。ニコにも分けてあげたかった。
「おら、起きろ。お前ら、これを着て外へ出てこい。」
「何じゃこりゃ、上着は?おいっ、ほとんど隠れてないじゃないか!ふざけんなっ。」
「うるせぇ、つべこべ言うな。お前らさっさと着てこい。」
「くそっ!何なんだ。妙にキラキラして、胸と尻しか隠れてねぇじゃんか。こりゃ誰の趣味なんだよ?」
きわどい衣装に身を包んだ奴隷たちが数人ずつどこかへ連れていかれる。しばらく待ちぼうけを食わされていたリーファも鏡と椅子が並ぶ部屋に連れていかれた。他の席を見ると顔に何かしているのが見える。
「ここに座れ。そのまま動くなよ。」
「ちっ!・・・ははは、何すんだよ。くすぐったいからやめろ!」
「動くな、メイクできねぇだろうが。我慢しろ!」
「メイク?」
リーファが自分勝手に動くものだからファンデーションを塗っている女が苛立たしげにわめいた。
「もう黙れっ!しゃべるな。」
「何だってんだよ。」
「メイクしたから顔をベタベタ触るなよ。ほら、笑え。・・・ニヤニヤ笑うな、そういうことじゃねぇよ馬鹿。にっこりと愛らしく微笑むんだよ。今から客の前に立つのに大丈夫なのか?」
うるっせぇババアだなぁ、マジぶっ飛ばすぞ!この私に変な格好させやがって。あぁ、顔がベタついて気持ち悪い。今すぐ風呂に入って落としたい。
「よし、良いだろう。部屋の前にいる奴にステージへ連れてってもらいな!」
「ステージでは指示に従え。勝手に声を出したりすんじゃねーぞ。お前たちは合図でステージに上がり、合図でステージを降りる。それだけだ。」
「おら、お前の番だ。行け!」
「44番。金貨80枚からスタートです。」
「81!」
「82!」
「90!」
「いきなり上がりました。91はいませんか?」
「・・・91!」
「100!」
女子供をさらって売り飛ばす、このイカれた商売が成り立つのも客がいるからだよ。お前ら豚野郎どもをここでまとめてぶっ潰してやる。既に敷地は完全包囲してあるからなぁ。
「お前らっ!私を買おうなんて良い度胸だ、高くつくぞ!」
「おい誰かあの馬鹿を黙らせろ。早くひきずり下ろせ!」
するとステージの脇から数人の男たちが私の方に歩いて来た。上等だ、死にたい奴からかかって来い。大掃除だ!
「うぎゃぁ!」
「痛ぇっ!」
「何だアレは・・・余興か?ますます気に入ったぞ、必ず競り落としてやる。お前はワシのものだ。110!」
派手なリップサービスと勘違いした仮面の変態紳士たちのコールに勢いが増す。値段があっと言う間につり上がって行った。ってか入札してる場合か!
「お代はお前らド変態貴族どもの命で我慢してやる。一網打尽だ!」
「どうしたドルム?おっ、おい!死んでる?うぎゃぁ!」
「死んでるぞ!逃げろーっ痛ぇ!」
「助けてくっ・・・れ。」
阿鼻叫喚の惨劇だが、全ての出入り口にはホーネット=ファントムが集まっている。あっと言う間に客席は静まり返って行った。すると一斉に私に向かって矢が飛んでくる。私は抜かりなくハニカムウォールで無力化し、ステージ上で頭を抱えてしゃがみ込んでいる子たちも守った。
「ん、虫でも飛んで来たのか?」
「てっ、てめぇ。何で無傷なんだ!」
「さぁな。これから死んじまうお前にゃ関係ないことだ。」
「うがぁっ!」
「うわっ!」
「おい、勝手に死ぬんじゃねぇ!俺を・・・、このアドルフ様を守れってんだよ。誰か」
「いないよ。もうここにはお前を守る部下なんていないんだ。」
私が同時多発的に全て始末させた。この建物で生き残っているのは連れて来られた子たちだけだ。
「お前は何者だ?」
「冒険者だが?」
「違う、そんなことじゃねぇ!いや、そんなことどうでもいい。頼む、俺を見逃してくれ!」
「私はお前に手持ちの金を全て奪われた上に、はだか同然で売り飛ばされようとしてたんだぜ。助けて欲しいなんて、あたま大丈夫か?」
「ああ、全部返す。倍額、いや10倍だ。」
「私むずかしいこと言われてもわからないんだ。何だよ倍って?」
「わかった、金貨180枚だ。どうだ?」
「うーん、どうしようか。私にはむずかしいし、もっとシンプルな方が。」
「金貨200枚。」
「私が財産も自由も全て奪われたんだから、私もあんたから全て奪わないと。」
「待てよ・・・、待ってくれ。そりゃあんまりだ!」
「ふふふ、地獄にはお金を持って行けないんだぜ。」
「うぎゃぁっ!」
「さてと、ニコはどこかな?」
「リーファ様、ご案内いたします。」
「リーファちゃん、私はしょっちゅう温泉に入ってたから懐かしいよ。」
あぁぁぁ、何だろうこの気持ち。身体が喜んでいるのがわかる。川での沐浴なんかとは比べものにならないぞ。この世にはこんなものがあったのかぁ。
「こんなに気持ちいいものなのかぁ。あぁ、このままお湯に溶ける。」
「ふふふ、だよねぇ。このまま一緒にいられたらいいのに。」
「そうしよっか。」
「えっ?でも私たちすぐにどこかへ売られてしまうよ。」
「そうかなぁ。私はロミアには助けが現れると思うぜー。」
「そうだと良いんだけど・・・。」
すると待ちに待った報告が飛び込んで来た。
「リーファ様。ニコ様を見つけました。」
「やった!」
「いきなりどうしたの?」
「あっ、ごめん。気にしないで。」
いきなりバトラーへの応答を口に出したらロミアもそりゃあ驚くわ。目を閉じるとホーネットから転送されたニコの姿がはっきりと映し出されている。良かった、無事みたいだ。そのままニコの護衛も頼むよバトラー。
「ニコ様には既に護衛を配置しておりますのでご安心ください。」
さて、もはやここには用が無いので正面から脱出しても良いのだが。それでは芸が無いというもの、礼はたっぷりしていかないとなぁ。ふふふ、見てろよ。
私はそのまま二泊して三日目の朝を迎えた。風呂もちゃんとしたベッドもあるので設備は良いが、唯一飯が粗末なのは残念だった。ここにいる間、私はパントリーから料理を取り出してロミアと分け合った。パントリーに入れておけば腐らないのでしこたま料理を買い込んで正解だったよ。ニコにも分けてあげたかった。
「おら、起きろ。お前ら、これを着て外へ出てこい。」
「何じゃこりゃ、上着は?おいっ、ほとんど隠れてないじゃないか!ふざけんなっ。」
「うるせぇ、つべこべ言うな。お前らさっさと着てこい。」
「くそっ!何なんだ。妙にキラキラして、胸と尻しか隠れてねぇじゃんか。こりゃ誰の趣味なんだよ?」
きわどい衣装に身を包んだ奴隷たちが数人ずつどこかへ連れていかれる。しばらく待ちぼうけを食わされていたリーファも鏡と椅子が並ぶ部屋に連れていかれた。他の席を見ると顔に何かしているのが見える。
「ここに座れ。そのまま動くなよ。」
「ちっ!・・・ははは、何すんだよ。くすぐったいからやめろ!」
「動くな、メイクできねぇだろうが。我慢しろ!」
「メイク?」
リーファが自分勝手に動くものだからファンデーションを塗っている女が苛立たしげにわめいた。
「もう黙れっ!しゃべるな。」
「何だってんだよ。」
「メイクしたから顔をベタベタ触るなよ。ほら、笑え。・・・ニヤニヤ笑うな、そういうことじゃねぇよ馬鹿。にっこりと愛らしく微笑むんだよ。今から客の前に立つのに大丈夫なのか?」
うるっせぇババアだなぁ、マジぶっ飛ばすぞ!この私に変な格好させやがって。あぁ、顔がベタついて気持ち悪い。今すぐ風呂に入って落としたい。
「よし、良いだろう。部屋の前にいる奴にステージへ連れてってもらいな!」
「ステージでは指示に従え。勝手に声を出したりすんじゃねーぞ。お前たちは合図でステージに上がり、合図でステージを降りる。それだけだ。」
「おら、お前の番だ。行け!」
「44番。金貨80枚からスタートです。」
「81!」
「82!」
「90!」
「いきなり上がりました。91はいませんか?」
「・・・91!」
「100!」
女子供をさらって売り飛ばす、このイカれた商売が成り立つのも客がいるからだよ。お前ら豚野郎どもをここでまとめてぶっ潰してやる。既に敷地は完全包囲してあるからなぁ。
「お前らっ!私を買おうなんて良い度胸だ、高くつくぞ!」
「おい誰かあの馬鹿を黙らせろ。早くひきずり下ろせ!」
するとステージの脇から数人の男たちが私の方に歩いて来た。上等だ、死にたい奴からかかって来い。大掃除だ!
「うぎゃぁ!」
「痛ぇっ!」
「何だアレは・・・余興か?ますます気に入ったぞ、必ず競り落としてやる。お前はワシのものだ。110!」
派手なリップサービスと勘違いした仮面の変態紳士たちのコールに勢いが増す。値段があっと言う間につり上がって行った。ってか入札してる場合か!
「お代はお前らド変態貴族どもの命で我慢してやる。一網打尽だ!」
「どうしたドルム?おっ、おい!死んでる?うぎゃぁ!」
「死んでるぞ!逃げろーっ痛ぇ!」
「助けてくっ・・・れ。」
阿鼻叫喚の惨劇だが、全ての出入り口にはホーネット=ファントムが集まっている。あっと言う間に客席は静まり返って行った。すると一斉に私に向かって矢が飛んでくる。私は抜かりなくハニカムウォールで無力化し、ステージ上で頭を抱えてしゃがみ込んでいる子たちも守った。
「ん、虫でも飛んで来たのか?」
「てっ、てめぇ。何で無傷なんだ!」
「さぁな。これから死んじまうお前にゃ関係ないことだ。」
「うがぁっ!」
「うわっ!」
「おい、勝手に死ぬんじゃねぇ!俺を・・・、このアドルフ様を守れってんだよ。誰か」
「いないよ。もうここにはお前を守る部下なんていないんだ。」
私が同時多発的に全て始末させた。この建物で生き残っているのは連れて来られた子たちだけだ。
「お前は何者だ?」
「冒険者だが?」
「違う、そんなことじゃねぇ!いや、そんなことどうでもいい。頼む、俺を見逃してくれ!」
「私はお前に手持ちの金を全て奪われた上に、はだか同然で売り飛ばされようとしてたんだぜ。助けて欲しいなんて、あたま大丈夫か?」
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「私むずかしいこと言われてもわからないんだ。何だよ倍って?」
「わかった、金貨180枚だ。どうだ?」
「うーん、どうしようか。私にはむずかしいし、もっとシンプルな方が。」
「金貨200枚。」
「私が財産も自由も全て奪われたんだから、私もあんたから全て奪わないと。」
「待てよ・・・、待ってくれ。そりゃあんまりだ!」
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「リーファ様、ご案内いたします。」
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