114 / 167
実力差
しおりを挟む
A級ともなれば分の悪い勝負だ。逃げることもできんか・・・
「おいおい何のマネだ?そんなチンケなナイフ構えちゃってさぁ。もしかして俺と戦おうってのかい、子猫ちゃんよぉ。」
A級冒険者の身分を明かしたにも関わらず、あからさまな戦闘態勢を取ったことにハウンドの自尊心は少なからず傷ついた。ハウンドの目つきが変わる。
「何が目的かは知らんが、ロクでもない目に会わされることは確かなようなのでな。大人しく捕まってやるなどできん。」
「あぁ嫌だねえ、往生際の悪いヤツぁ。大人しくしときゃあ夢見心地に誘ってやろうってのによぉ。」
ハウンドは抱きしめるようなジェスチャーをしてフザケて見せる。それを見たリアンが心底軽蔑した視線で応じた。
「下衆ほど口が回るものだ。」
「おっし、決めた!高慢ちきなエルフ女はさんざん痛めつけてキチッと型にはめてやる。泣いて許しを請うともヤメねえから覚悟しとけや。」
動きを見せたハウンドに向けてリアンが腕を掲げる。
「バリスティックアイシクル」
「はは、当たらねーってよ。」
数十の氷柱が高速で襲いかかるもそこに手応えはなかった。一瞬前まで見ていた姿は幻だとでも言うのか。
「消えただと?」
「ここだよ。」
「くっ、何故だ?」
気づくとハウンドが背後から抱きついていた。リアンの腕にかぶさるように腕を回しているので身動きが取れない。
「はあ~良いニオイ。抱き心地も悪くねーなこりゃーよー。チャチャッとしけこみてーぜ」
ハウンドがリアンの胸の辺りに手を伸ばすと激高したリアンが叫んだ。
「私に触れるな俗物!」
リアンがハウンドの足めがけて思い切り踏み抜こうとすると、それに気づいたハウンドはリアンの拘束を解いて後方に退いた。リアンへの抱きつきに夢中になっていても、スキを見せない辺りはA級の余裕なのかもしれない。
「おぉ怖い怖い。だが怒ってるその顔もそそるぜぇ。ふへへへ」
ハウンドは感触の余韻を愉しむかのように手をわしわしさせると、下卑たニヤつきを見せている。
リアンは胸元の嫌な感触を頭から振り払うと、一息置いてハウンドへ猛然と斬りかかった。
「このっ」
相手の地力が上回る以上、防御に回るのは苦しい。ヤツの用いるトリックを見破るためにも手数で
「さっきからドコ狙ってやがんだぁ。ん~?」
おかしい、さっきから目の前のヤツに触れることすらできない。幻でも見ているのか私は。
「おらよっ!」
「ぐはっ!」
いま正対していたはずにも関わらず、不意に左から飛び蹴りを食らったリアンが大きく吹き飛ばされて地面に倒れ込む。
「良いのもらっちゃったなぁ、くそアマ?それともそんなところに倒れたフリして誘ってんのかよ、あぁ?」
「・・・よくもやってくれたな。」
ヨロヨロと立ち上がったリアンは再びナイフを構える。魔術を使おうと詠唱に入ろうものならハウンドも容赦なく襲いかかって来ることだろう。ひとまずはハウンドを本気にさせないためにも苦手な格闘で立ち回るほかない。
「はぁ・・・まだヤル気かよ?俺の言うこと何でも聞くってんなら今から可愛がってやっても良いんだぜぇ?」
「A級がこの程度とはたかが知れているな。それともお前がランクをごまかしているからか?」
「ちっ!ロクに手も足も出ねーくせによぉ、言ってくれるじゃねーか。お前はとっくに俺の術中にハマってるんだよ。A級冒険者様の無敵能力になぁ!」
戦意を削ぐことに失敗したハウンドは自らの優位を誇示するかのように能力をほのめかす。精神的屈服を引き出すことこそが欲望を満たすために最も重要なことだ。
「何をした?幻でも見せているのか?」
「そんなこと教えるなぁ冒険者として失格だ。誰が言うかよバーカ!」
「そこか!」
「どこ見てんだくそアマ!」
正対しているハウンドが実体である可能性は低い。リアンは視覚情報を無視して左側に斬り込むと、不幸にもそれとは逆方向から再び蹴り飛ばされてしまった。
「かはっ、ゲホッゲホッ!」
「俺が蹴りじゃなく剣を抜いてりゃあ今ので死んでたんだぜ。俺はお前が根負けするまで付き合わされんのかよ?ったく面倒くせー!とっとと諦めちまえ、俺がたーっぷり可愛がってやっからよぉ」
「ゴホッ、はぁ、はぁ」
再び立ち上がったリアンは息を切らしながらも不気味にニヤリと笑った。その様子を見たハウンドが疑問を抱く。
何だコイツ?遅効性の毒が回って正常な知覚能力がどんどん奪われて行ってんだ。もう勝ち目なんざどこにも残ってねーのに。・・・何かあんのか?
「毒だな。」
「毒・・・何の話だ?」
コイツ、気づいたか。
「隠しても無駄だ。しっかりとお前の顔に書いてある。」
「ちっ、わかったからって何だってんだ!毒は毒だが俺の能力による毒さ。俺以外に解毒できるヤツなんざいないんだぜ?その気になりゃ即座にお前を殺すことだってできるんだ。俺との立ち話に応じた時点で毒を吸い込んだお前の負けは確定してんだよマヌケ!」
ハウンドの撒き散らす毒は非常にコントロールが難しく、濃度を正確にはコントロールできない。リアンを生け捕りにするためにも濃度を薄くして時間をかけていた。リアンの足腰が立たなくなった時が丁度良い頃合いだ。そして無慈悲にもその時は迫っている。
毒をコントロールすることで死に至らしめることなく身体能力を低下させているのか?言われてみればたしかに私の知覚や動作に支障が生じている。だが・・・
「この程度で勝った気になられては困るな。」
「強がりを言ってられんなぁ今の内だ。あともう少しでテメェは動けなくなる。そうなりゃあお前も晴れて俺のオモチャよ。散々イラつかせてくれたんだ、使い込んでやるぜぇ」
「お前の能力による毒だと言うならば、お前を消し去ることで毒も消えよう。」
「その残り少ない時間でどうやって俺を倒すんだ?おら、時間ねーぞ。かかって来いや。今の内に上下関係ってやつをわからせてやらぁ!」
「時間内には何とでもなる。」
「うおっ・・・ってな。」
正面から側面に回り込んだハウンドだったが、リアンのナイフが狙いを済ましたかのように襲いかかった。間一髪それをかわしたハウンドは冷や汗とともに後退して距離を取る。
あっぶねー!コイツ、いま俺の首めがけて斬りつけて来やがった。そんな馬鹿な、いくらなんでもそろそろ動けなくなってもいい頃合だってのによぉ。実は効いてないなんてこたぁ・・・いや、まぐれに決まってる。
「どうした?聞くに堪えない世迷い言がすっかり聞こえなくなったぞ。」
今頃は恐怖に凝り固まった表情を見せるべきエルフはまたしても不敵な笑みを浮かべているではないか。ハウンドはエルフを威圧するために剣に手をかけた。とびきりの美人を相手に少し手加減が過ぎたかもしれない。
「ハッタリを。お前は恐怖を紛らわせるために当てずっぽうでナイフを振り回してるだけだ。これだけナメたマネしてくれたからにゃあベッドの上で・・・アレ?」
<ミキミキ>
ハウンドの足下で妙なキシミが聞こえた。何故かはわからないが、ハウンドの脳がその場を一歩も動くなと警鐘を鳴らしている。それに従うかのようにハウンドもピタリと止まった。すると目の前のエルフがつぶやいた。
「ようやく根が張ったようだな。」
「根?・・・根と言ったのか?」
「そうとも、根だ。」
「何を言っている?」
「そうか、お前には見えていないのだったな。」
どうにも的を射ないことを口走るエルフにハウンドの忍耐も限界を超えた。
「何がだっ!」
「お前の靴を貫いて地下に伸びているのだよ。」
「何が・・・って、まさか・・・」
「そう、根だ。」
「嘘だ・・・そんなことあってたまるか!」
「嘘?嘘だと言うなら動いて見ると良い。」
「あぁ、見てろ。そんなこと造作もない。やってやる!」
眼の前のエルフは腕組みしながら眺めている。だがハウンドがどれだけ動こうとしても一向に足が上がらない。頭では足を動かしているつもりだが、動くのに必要な筋肉は何一つ動いていなかった。ただ一歩踏み出せば済む話にも関わらず、何が起きているのか理解ができない。
「くそっ!どうしてだ?身体が動こうとしない。というよりも・・・動きたくない・・・だと?」
俺の意志に反して両足はビクともしない。思考ってよりも・・・もっと本能的な部分で動けねーってのが近い。どうしちまったんだ!
「どうした、動かないのか?」
「う、動けんのだっ!」
「ふふっ、動けなくなったのはお前のようだな。」
「俺に何をした!」
「おいおい何のマネだ?そんなチンケなナイフ構えちゃってさぁ。もしかして俺と戦おうってのかい、子猫ちゃんよぉ。」
A級冒険者の身分を明かしたにも関わらず、あからさまな戦闘態勢を取ったことにハウンドの自尊心は少なからず傷ついた。ハウンドの目つきが変わる。
「何が目的かは知らんが、ロクでもない目に会わされることは確かなようなのでな。大人しく捕まってやるなどできん。」
「あぁ嫌だねえ、往生際の悪いヤツぁ。大人しくしときゃあ夢見心地に誘ってやろうってのによぉ。」
ハウンドは抱きしめるようなジェスチャーをしてフザケて見せる。それを見たリアンが心底軽蔑した視線で応じた。
「下衆ほど口が回るものだ。」
「おっし、決めた!高慢ちきなエルフ女はさんざん痛めつけてキチッと型にはめてやる。泣いて許しを請うともヤメねえから覚悟しとけや。」
動きを見せたハウンドに向けてリアンが腕を掲げる。
「バリスティックアイシクル」
「はは、当たらねーってよ。」
数十の氷柱が高速で襲いかかるもそこに手応えはなかった。一瞬前まで見ていた姿は幻だとでも言うのか。
「消えただと?」
「ここだよ。」
「くっ、何故だ?」
気づくとハウンドが背後から抱きついていた。リアンの腕にかぶさるように腕を回しているので身動きが取れない。
「はあ~良いニオイ。抱き心地も悪くねーなこりゃーよー。チャチャッとしけこみてーぜ」
ハウンドがリアンの胸の辺りに手を伸ばすと激高したリアンが叫んだ。
「私に触れるな俗物!」
リアンがハウンドの足めがけて思い切り踏み抜こうとすると、それに気づいたハウンドはリアンの拘束を解いて後方に退いた。リアンへの抱きつきに夢中になっていても、スキを見せない辺りはA級の余裕なのかもしれない。
「おぉ怖い怖い。だが怒ってるその顔もそそるぜぇ。ふへへへ」
ハウンドは感触の余韻を愉しむかのように手をわしわしさせると、下卑たニヤつきを見せている。
リアンは胸元の嫌な感触を頭から振り払うと、一息置いてハウンドへ猛然と斬りかかった。
「このっ」
相手の地力が上回る以上、防御に回るのは苦しい。ヤツの用いるトリックを見破るためにも手数で
「さっきからドコ狙ってやがんだぁ。ん~?」
おかしい、さっきから目の前のヤツに触れることすらできない。幻でも見ているのか私は。
「おらよっ!」
「ぐはっ!」
いま正対していたはずにも関わらず、不意に左から飛び蹴りを食らったリアンが大きく吹き飛ばされて地面に倒れ込む。
「良いのもらっちゃったなぁ、くそアマ?それともそんなところに倒れたフリして誘ってんのかよ、あぁ?」
「・・・よくもやってくれたな。」
ヨロヨロと立ち上がったリアンは再びナイフを構える。魔術を使おうと詠唱に入ろうものならハウンドも容赦なく襲いかかって来ることだろう。ひとまずはハウンドを本気にさせないためにも苦手な格闘で立ち回るほかない。
「はぁ・・・まだヤル気かよ?俺の言うこと何でも聞くってんなら今から可愛がってやっても良いんだぜぇ?」
「A級がこの程度とはたかが知れているな。それともお前がランクをごまかしているからか?」
「ちっ!ロクに手も足も出ねーくせによぉ、言ってくれるじゃねーか。お前はとっくに俺の術中にハマってるんだよ。A級冒険者様の無敵能力になぁ!」
戦意を削ぐことに失敗したハウンドは自らの優位を誇示するかのように能力をほのめかす。精神的屈服を引き出すことこそが欲望を満たすために最も重要なことだ。
「何をした?幻でも見せているのか?」
「そんなこと教えるなぁ冒険者として失格だ。誰が言うかよバーカ!」
「そこか!」
「どこ見てんだくそアマ!」
正対しているハウンドが実体である可能性は低い。リアンは視覚情報を無視して左側に斬り込むと、不幸にもそれとは逆方向から再び蹴り飛ばされてしまった。
「かはっ、ゲホッゲホッ!」
「俺が蹴りじゃなく剣を抜いてりゃあ今ので死んでたんだぜ。俺はお前が根負けするまで付き合わされんのかよ?ったく面倒くせー!とっとと諦めちまえ、俺がたーっぷり可愛がってやっからよぉ」
「ゴホッ、はぁ、はぁ」
再び立ち上がったリアンは息を切らしながらも不気味にニヤリと笑った。その様子を見たハウンドが疑問を抱く。
何だコイツ?遅効性の毒が回って正常な知覚能力がどんどん奪われて行ってんだ。もう勝ち目なんざどこにも残ってねーのに。・・・何かあんのか?
「毒だな。」
「毒・・・何の話だ?」
コイツ、気づいたか。
「隠しても無駄だ。しっかりとお前の顔に書いてある。」
「ちっ、わかったからって何だってんだ!毒は毒だが俺の能力による毒さ。俺以外に解毒できるヤツなんざいないんだぜ?その気になりゃ即座にお前を殺すことだってできるんだ。俺との立ち話に応じた時点で毒を吸い込んだお前の負けは確定してんだよマヌケ!」
ハウンドの撒き散らす毒は非常にコントロールが難しく、濃度を正確にはコントロールできない。リアンを生け捕りにするためにも濃度を薄くして時間をかけていた。リアンの足腰が立たなくなった時が丁度良い頃合いだ。そして無慈悲にもその時は迫っている。
毒をコントロールすることで死に至らしめることなく身体能力を低下させているのか?言われてみればたしかに私の知覚や動作に支障が生じている。だが・・・
「この程度で勝った気になられては困るな。」
「強がりを言ってられんなぁ今の内だ。あともう少しでテメェは動けなくなる。そうなりゃあお前も晴れて俺のオモチャよ。散々イラつかせてくれたんだ、使い込んでやるぜぇ」
「お前の能力による毒だと言うならば、お前を消し去ることで毒も消えよう。」
「その残り少ない時間でどうやって俺を倒すんだ?おら、時間ねーぞ。かかって来いや。今の内に上下関係ってやつをわからせてやらぁ!」
「時間内には何とでもなる。」
「うおっ・・・ってな。」
正面から側面に回り込んだハウンドだったが、リアンのナイフが狙いを済ましたかのように襲いかかった。間一髪それをかわしたハウンドは冷や汗とともに後退して距離を取る。
あっぶねー!コイツ、いま俺の首めがけて斬りつけて来やがった。そんな馬鹿な、いくらなんでもそろそろ動けなくなってもいい頃合だってのによぉ。実は効いてないなんてこたぁ・・・いや、まぐれに決まってる。
「どうした?聞くに堪えない世迷い言がすっかり聞こえなくなったぞ。」
今頃は恐怖に凝り固まった表情を見せるべきエルフはまたしても不敵な笑みを浮かべているではないか。ハウンドはエルフを威圧するために剣に手をかけた。とびきりの美人を相手に少し手加減が過ぎたかもしれない。
「ハッタリを。お前は恐怖を紛らわせるために当てずっぽうでナイフを振り回してるだけだ。これだけナメたマネしてくれたからにゃあベッドの上で・・・アレ?」
<ミキミキ>
ハウンドの足下で妙なキシミが聞こえた。何故かはわからないが、ハウンドの脳がその場を一歩も動くなと警鐘を鳴らしている。それに従うかのようにハウンドもピタリと止まった。すると目の前のエルフがつぶやいた。
「ようやく根が張ったようだな。」
「根?・・・根と言ったのか?」
「そうとも、根だ。」
「何を言っている?」
「そうか、お前には見えていないのだったな。」
どうにも的を射ないことを口走るエルフにハウンドの忍耐も限界を超えた。
「何がだっ!」
「お前の靴を貫いて地下に伸びているのだよ。」
「何が・・・って、まさか・・・」
「そう、根だ。」
「嘘だ・・・そんなことあってたまるか!」
「嘘?嘘だと言うなら動いて見ると良い。」
「あぁ、見てろ。そんなこと造作もない。やってやる!」
眼の前のエルフは腕組みしながら眺めている。だがハウンドがどれだけ動こうとしても一向に足が上がらない。頭では足を動かしているつもりだが、動くのに必要な筋肉は何一つ動いていなかった。ただ一歩踏み出せば済む話にも関わらず、何が起きているのか理解ができない。
「くそっ!どうしてだ?身体が動こうとしない。というよりも・・・動きたくない・・・だと?」
俺の意志に反して両足はビクともしない。思考ってよりも・・・もっと本能的な部分で動けねーってのが近い。どうしちまったんだ!
「どうした、動かないのか?」
「う、動けんのだっ!」
「ふふっ、動けなくなったのはお前のようだな。」
「俺に何をした!」
0
あなたにおすすめの小説
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる