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雪の恐ろしさ
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ソードマン、レンジャー、シーフ・・・あの前衛装備の小娘も違う。山に足を踏み入れた頃から感じていた遠くの視線も今は感じない・・・この中に実は魔術を使えるのが最低でももう一人混じっていることになるのかしら。
目を見開いて真の脅威を探すジェゼーモフだったが、彼の意識を引きつけたのは意外にもあっさり選択肢から除外した前衛装備の小娘だった。
「ふん~、素人めいた動きのくせして・・・何か気になる。」
目の前のゴーレムが思案でするかのように腕を組んでいる。とは言っても片腕が無いので何とも不気味なのだが、まったく気にする素振りも無い。そのゴーレムが先ほどからリーファをまじまじと眺めている。
「短剣一本の中途半端な前衛装備、しかもそれすら抜いてないじゃない。」
「ん?何だぁ、文句あんのか?」
「どう見ても見習い冒険者のあなたが泥岩武闘を目の当たりにして戦意を喪失しない。どう考えても変よね。一体どういうことかしら?」
「そんなの気にしなくても良いよ。」
「どうして?おかしなことが生じたのって丁度あなたたちが現れてからなのよ?」
「だって極悪非道の人さらいは直にこの世から消えて無くなるんだもの。」
ニッコリ微笑む表情とは裏腹にリーファの内心は怒りに満ち溢れていた。それに呼応するかのようにホーネットファントムの殺意も激烈に跳ね上がる。
<ジュー>
「また白煙!」
先ほど瓦解した脚部もドロドロに溶けていたのを見ると、どうも強力な酸にやられてるみたいなのよね。でも出どころが全くわかんないわ。たぶんこの小娘の仕業なんでしょうけど、ジョブすら検討つかないわよ。いろいろカマかけて見ようかしら。
「ひょっとしてアンタってば死霊使いなのかしら、渦巻く殺気に埋もれそうだわ。」
「知ったことか、祈る時間はくれてやる。」
あら、冷たいのね。ちょっとくらい話に乗んなさいよ。
「投降してくれ、ジェゼーモフ!リアンさえ返してくれれば俺たちは」
激高するリーファとは対照的にスアレスがジェゼーモフに呼びかける。スアレスのジェゼーモフに対する温情的な態度にリーファが驚きのあまり目を見開いた。
「何言ってんのスアレス!こいつは」
「アンタたち本当に胸キュンよ、私が冒険者だってこと思い起こさせてくれるんだもの。」
「おいリーファ、アイツ大丈夫か?さっきゴーレムと一緒にオツムまで溶かしちまったんじゃ」
「確かに何か変なこと口走ってるんだよ~。恐怖でイカレちゃったのかも」
「失礼ぶっこいてんじゃないわよ小娘ズ!お姉さんにはちゃんと聞こえてんのよ!」
「お姉さん?」
「おっさん・・・だろ?」
「聞こえてるっつってんだろーが!」
あの野郎!敵意ありだ、仕留めるよバトラー!
「全力で沈めて御覧に入れますリーファさま。」
「投降しないなら望み通り終わりにしてやるよ。溶けて無くなれ外道」
バトラーは予備戦力として待機させていたホーネットを全て投入し、ゴーレムごと溶かしにかかる。しかし目の前のゴーレムは不気味な余裕をかもし出していた。
「やだ怖~い~。でもね、こういうピンチをひっくり返すんがぁ・・・冒険者っちゅうモンじゃろがーいっ!」
<ゴゴゴゴゴゴ>
「何だこの揺れは!」
「うひぃ~」
地面の振動に呼応するかのように泥岩武闘が姿を変化させて巨大化していく。ゴーレムだけでも目を疑うのに冗談のような出来事がさらに繰り広げられていた。
「いかん、こんな場所で!」
「あー、やっと本気出す気になったか。」
あんなしみったれた土人形ごときがジェゼーモフの実力だと思うなよ。真骨頂はこっちの・・・痛い
「今すぐやめさせろヴァイス。」
「な、何だよエルフちゃん?痛たたっ、ちょ、放してくれ!」
ヴァイスが振り向くとリアンが思い切り力を込めて腕をつかんでいるではないか。慌てて腕を振りほどくヴァイスだったが、普段の余裕が見られないほどリアンが焦っていることに面食らってしまった。
「みんな死んでしまうぞ、今すぐ止める。手伝ってくれ」
「安心しなよエルフちゃん。とっくに頭の芯まで腐り果ててもはや手遅れだけど、ジェゼーモフはアイツらを殺しやしないって。どこまでも甘いから」
「ジェゼーモフも死んでしまうと言っているのだ。無論、我らとて安全とは言えぬぞ。」
「はぁ?な、何を馬鹿なこと言ってるんだい?」
「知らないのか・・・」
「何のことだい?」
心底絶望した表情を浮かべたリアンだったが、もはやヴァイスなどどうでもいいとばかりに戦闘中の面々に向けて声を張り上げた。
「いかん、やめろジェゼーモフ!誰でもいい、彼らを止めろ!」
「ん?リアンが何か叫んでるんだよ。」
「おぁ?本当だ。たぶんアタシらを応援してるんだぜ。手ぇ振り返してやんねーとな」
「激しく同意なんだよ。もうすぐ終わるんだよ~、待っててね~リアン!」
のん気に手を振り返すシンディーとティナの姿にリアンが舌打ちする。山の形状を変えるほど大規模なジェゼーモフのスキル発動だ、おそらく騒音が勝っているのだろう。何としても伝えなければとんでもない悲劇が起こるに違いない。
「泥岩要塞」
<ズドドドド>
「何だこれは?」
「チクショー、ホーネット=アシッドが効かなくなちまった」
「リーファさま、ヤツは溶けるよりも早く再生しているようです」
困惑するリーファの一方、どんどん大きくなる泥岩要塞にリアンも頭を抱えていた。
「マズい」
「おっと、行かないでくれよ。」
「くっ、離せ!」
戦闘地域に向かって駆け出したリアンを見えない糸で引き留めたヴァイスに対し、リアンが刺すような視線を向けた。リアンの性格からしても、あからさまにこんなむき出しの敵意を向けられるとは想像だにしなかったヴァイスが目を白黒させる。
「何だい取り乱して、らしくないじゃないか?」
「説明している時間など無い。邪魔をするな!」
「こんなことしてジェゼーモフに小言をもらうのは僕なんだぜ?」
「今すぐ戦いをやめろ。全員そこを離れるんだ!・・・チッ、魔術さえ使えれば」
目の前のエルフはその場から大声を張り上げる。ヴァイスなど眼中にないとばかりに無視を決め込んだ。
「必死こいて何なんだよ。」
「協力する気が無いなら黙っていろ!」
「言ってくれるぜ、そういうのムカつくんだよね。・・・ん、何だ?」
さすがに許容限度を超えたとばかりに制裁に乗り出したヴァイスの耳に不気味な音が届いた。それは戦闘地域ではなく、山の上方からのものであるようだ。
<ズドドドドド>
「来てしまった」
先ほどとは別人のごとく目の前のエルフは力なくその場に崩れ落ち、一言か細い声を吐いた。
***
「ゴライアスフィスト!」
「うおっ。あんなのまともに食らったらペシャンコだ。」
「どう、アナタたちこそ降参する気に・・・」
全く別の方角を見て震えあがっているティナに気付いたジェゼーモフが戦闘を中断した。他の連中を見ると皆一様に青ざめて、後ろ後ろと指を差すジェスチャーをしているではないか。
「ん?何かあるの・・・ゲロゲ~ロ!」
「もうアッタマ来た。ホーネット=ランサーでアイツのとこまで一点突破だ。ぶっ殺す」
私たちの攻撃を無効化した挙句、戦闘中に意識を他に向けるなんてナメまくりやがって。いきなり城に変化したからって勝った気になってんじゃ
「リーファ!」
無防備なリーファにティナミサイルが命中する。くの字に折れ曲がったリーファはその場に尻もちをついてしまった。
「ぐへぇ。イテテテ、何だよ」
「ゆゆゆ雪が・・・ゆゆ雪がががぁっ!」
「は?雪?」
この世の終わりみたいな顔してティナが私を離さない。ってか、今は目の前のアイツを無慈悲にブチ殺すのが
「間に合わない、死んだ」
「おい、シンディー」
今度はシンディーまで力無く地面にへたり込んじまったじゃないか。いったい何がどうしたんだよ。何で二人そろって真っ青な顔してるんだ。
目を見開いて真の脅威を探すジェゼーモフだったが、彼の意識を引きつけたのは意外にもあっさり選択肢から除外した前衛装備の小娘だった。
「ふん~、素人めいた動きのくせして・・・何か気になる。」
目の前のゴーレムが思案でするかのように腕を組んでいる。とは言っても片腕が無いので何とも不気味なのだが、まったく気にする素振りも無い。そのゴーレムが先ほどからリーファをまじまじと眺めている。
「短剣一本の中途半端な前衛装備、しかもそれすら抜いてないじゃない。」
「ん?何だぁ、文句あんのか?」
「どう見ても見習い冒険者のあなたが泥岩武闘を目の当たりにして戦意を喪失しない。どう考えても変よね。一体どういうことかしら?」
「そんなの気にしなくても良いよ。」
「どうして?おかしなことが生じたのって丁度あなたたちが現れてからなのよ?」
「だって極悪非道の人さらいは直にこの世から消えて無くなるんだもの。」
ニッコリ微笑む表情とは裏腹にリーファの内心は怒りに満ち溢れていた。それに呼応するかのようにホーネットファントムの殺意も激烈に跳ね上がる。
<ジュー>
「また白煙!」
先ほど瓦解した脚部もドロドロに溶けていたのを見ると、どうも強力な酸にやられてるみたいなのよね。でも出どころが全くわかんないわ。たぶんこの小娘の仕業なんでしょうけど、ジョブすら検討つかないわよ。いろいろカマかけて見ようかしら。
「ひょっとしてアンタってば死霊使いなのかしら、渦巻く殺気に埋もれそうだわ。」
「知ったことか、祈る時間はくれてやる。」
あら、冷たいのね。ちょっとくらい話に乗んなさいよ。
「投降してくれ、ジェゼーモフ!リアンさえ返してくれれば俺たちは」
激高するリーファとは対照的にスアレスがジェゼーモフに呼びかける。スアレスのジェゼーモフに対する温情的な態度にリーファが驚きのあまり目を見開いた。
「何言ってんのスアレス!こいつは」
「アンタたち本当に胸キュンよ、私が冒険者だってこと思い起こさせてくれるんだもの。」
「おいリーファ、アイツ大丈夫か?さっきゴーレムと一緒にオツムまで溶かしちまったんじゃ」
「確かに何か変なこと口走ってるんだよ~。恐怖でイカレちゃったのかも」
「失礼ぶっこいてんじゃないわよ小娘ズ!お姉さんにはちゃんと聞こえてんのよ!」
「お姉さん?」
「おっさん・・・だろ?」
「聞こえてるっつってんだろーが!」
あの野郎!敵意ありだ、仕留めるよバトラー!
「全力で沈めて御覧に入れますリーファさま。」
「投降しないなら望み通り終わりにしてやるよ。溶けて無くなれ外道」
バトラーは予備戦力として待機させていたホーネットを全て投入し、ゴーレムごと溶かしにかかる。しかし目の前のゴーレムは不気味な余裕をかもし出していた。
「やだ怖~い~。でもね、こういうピンチをひっくり返すんがぁ・・・冒険者っちゅうモンじゃろがーいっ!」
<ゴゴゴゴゴゴ>
「何だこの揺れは!」
「うひぃ~」
地面の振動に呼応するかのように泥岩武闘が姿を変化させて巨大化していく。ゴーレムだけでも目を疑うのに冗談のような出来事がさらに繰り広げられていた。
「いかん、こんな場所で!」
「あー、やっと本気出す気になったか。」
あんなしみったれた土人形ごときがジェゼーモフの実力だと思うなよ。真骨頂はこっちの・・・痛い
「今すぐやめさせろヴァイス。」
「な、何だよエルフちゃん?痛たたっ、ちょ、放してくれ!」
ヴァイスが振り向くとリアンが思い切り力を込めて腕をつかんでいるではないか。慌てて腕を振りほどくヴァイスだったが、普段の余裕が見られないほどリアンが焦っていることに面食らってしまった。
「みんな死んでしまうぞ、今すぐ止める。手伝ってくれ」
「安心しなよエルフちゃん。とっくに頭の芯まで腐り果ててもはや手遅れだけど、ジェゼーモフはアイツらを殺しやしないって。どこまでも甘いから」
「ジェゼーモフも死んでしまうと言っているのだ。無論、我らとて安全とは言えぬぞ。」
「はぁ?な、何を馬鹿なこと言ってるんだい?」
「知らないのか・・・」
「何のことだい?」
心底絶望した表情を浮かべたリアンだったが、もはやヴァイスなどどうでもいいとばかりに戦闘中の面々に向けて声を張り上げた。
「いかん、やめろジェゼーモフ!誰でもいい、彼らを止めろ!」
「ん?リアンが何か叫んでるんだよ。」
「おぁ?本当だ。たぶんアタシらを応援してるんだぜ。手ぇ振り返してやんねーとな」
「激しく同意なんだよ。もうすぐ終わるんだよ~、待っててね~リアン!」
のん気に手を振り返すシンディーとティナの姿にリアンが舌打ちする。山の形状を変えるほど大規模なジェゼーモフのスキル発動だ、おそらく騒音が勝っているのだろう。何としても伝えなければとんでもない悲劇が起こるに違いない。
「泥岩要塞」
<ズドドドド>
「何だこれは?」
「チクショー、ホーネット=アシッドが効かなくなちまった」
「リーファさま、ヤツは溶けるよりも早く再生しているようです」
困惑するリーファの一方、どんどん大きくなる泥岩要塞にリアンも頭を抱えていた。
「マズい」
「おっと、行かないでくれよ。」
「くっ、離せ!」
戦闘地域に向かって駆け出したリアンを見えない糸で引き留めたヴァイスに対し、リアンが刺すような視線を向けた。リアンの性格からしても、あからさまにこんなむき出しの敵意を向けられるとは想像だにしなかったヴァイスが目を白黒させる。
「何だい取り乱して、らしくないじゃないか?」
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「こんなことしてジェゼーモフに小言をもらうのは僕なんだぜ?」
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目の前のエルフはその場から大声を張り上げる。ヴァイスなど眼中にないとばかりに無視を決め込んだ。
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さすがに許容限度を超えたとばかりに制裁に乗り出したヴァイスの耳に不気味な音が届いた。それは戦闘地域ではなく、山の上方からのものであるようだ。
<ズドドドドド>
「来てしまった」
先ほどとは別人のごとく目の前のエルフは力なくその場に崩れ落ち、一言か細い声を吐いた。
***
「ゴライアスフィスト!」
「うおっ。あんなのまともに食らったらペシャンコだ。」
「どう、アナタたちこそ降参する気に・・・」
全く別の方角を見て震えあがっているティナに気付いたジェゼーモフが戦闘を中断した。他の連中を見ると皆一様に青ざめて、後ろ後ろと指を差すジェスチャーをしているではないか。
「ん?何かあるの・・・ゲロゲ~ロ!」
「もうアッタマ来た。ホーネット=ランサーでアイツのとこまで一点突破だ。ぶっ殺す」
私たちの攻撃を無効化した挙句、戦闘中に意識を他に向けるなんてナメまくりやがって。いきなり城に変化したからって勝った気になってんじゃ
「リーファ!」
無防備なリーファにティナミサイルが命中する。くの字に折れ曲がったリーファはその場に尻もちをついてしまった。
「ぐへぇ。イテテテ、何だよ」
「ゆゆゆ雪が・・・ゆゆ雪がががぁっ!」
「は?雪?」
この世の終わりみたいな顔してティナが私を離さない。ってか、今は目の前のアイツを無慈悲にブチ殺すのが
「間に合わない、死んだ」
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