時を超えて愛を誓う

沙夜

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第一章:始まりの街と二人の師

第六話:知の探求と偶然の好機

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ロンドさんと出会ってから一週間が経った。 相変わらず私の生活は清楽亭と図書館の往復で、魔法書の世界に浸る日々が続いていた。

しかし、知識が増えるにつれて、新たな壁にぶつかってもいた。 あまりにも膨大な情報量。一つの理論を理解すれば、それに関連する十の理論が顔を出す。何が基礎で、何が応用なのか。独学の限界を感じ始めていた。

その日も、私は頭を抱えながら難解な魔力構造式の本と格闘していた。

「またお会いしましたね、ソラさん」

ふと聞こえてきた声に顔を上げると、いつかのコアラ族の紳士、ロンドさんが微笑んで立っていた。

「ロンドさん、こんにちは」

「ええ、こんにちは。勉強は捗っていますかな?」

彼の問いに、私は正直に首を横に振った。

「それが…少し、行き詰まっていまして。何から手をつければいいのか分からなくなってしまって」

情けないところを見せてしまった、と少し俯く。 すると、ロンドさんは私の机に積み上げられた本を興味深そうに眺めた。

「ふむ…。ですが、あなたの本の選び方には一貫性がある。無意識のうちに、魔法の根源に関わるものから順に手を伸ばしているようだ。素晴らしい探求心です」

「いえ、そんな…」

「もしよろしければ、私があなたに魔法の基礎をお教えしましょうか?」

「え?」

思ってもみなかった申し出に、私は間の抜けた声を上げた。 一体どうして? 見ず知らずの、ただ本を読んでいるだけの私に?

私の戸惑いを察したのか、ロンドさんは穏やかに続けた。

「私は教師のような性分でしてね。あなたのように純粋な知的好奇心を持つ人を見ると、つい手を差し伸べたくなってしまうのです。それに、私の仕事も、こういう知識を扱う場所ですから」

「お仕事、ですか?」

「ええ。魔法研究所で、日々研究に明け暮れておりますよ」

魔法研究所――。 どこの研究所かは分からない。けれど、この世界の魔法という深淵な学問を専門に「研究」している人が、今、目の前にいる。

独学で手探りを続けていた私にとって、それは闇の中に差し込んだ一筋の光のように思えた。 この好機を逃す手はない。

「ぜひ…! ぜひ、私に、魔法を教えてください!」

私は椅子から立ち上がると、目の前の研究者に向かって、深く、深く頭を下げた。

古書の匂いが満ちていた静かな図書館が、私の未来を照らす輝かしい場所のように思えた。
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