命の使い方

後悔……そして、探す

後悔

あいつが憎い……

あいつを壊したい……

あいつに復讐したい……

あいつを殺したい……

だが、願っても無駄なことだと分かっている。
そして、こんな考えを持つことを死んでいった奴らが望むわけがない……

なら、この行き場のない怒りはどうすればいい？

なら、俺はなんのために生きている？

なんで俺を一人だけ残した？

そんなこと最初から分かっていた……
俺が卑怯だから生き残ったのだ。
家族を見捨て、友人を見捨て、村を見捨てたのだから。

こんなことになるのなら俺も一緒に死ねばよかったとさえ思えるが死ぬ勇気が出てこない……

炎で焼けて黒くなってしまった手とは対照的に銀色の鈍い光を放つナイフを何度も何度も心臓に突き刺そうとしたが怖くて出来ずにいた……

俺は村では一番剣の扱いが上手かった……
だが、俺の剣技は殺すための剣技ではなかった。
ただ、競技と言う枠の中で収まっているお遊びだったのだ。　

俺は村一番の戦士だと自分で思ってた。
皆もそう言ってくれたので何も疑いもしなかった。
だが、所詮は小さな村のお遊び剣技……
他の土地から来た盗賊になど敵うはずがなかったのだ……

こんな自分に調子のいい言葉を並べたところで死んでいった彼らに許されるとは思っていない……
だから俺は考えた。　

この見逃された虫けらのようにちっぽけで悪人のようなずる賢く汚い命を使って何か出来ることをしようと……

俺のせいで死んでいった彼らの命の上に俺は立っている……
死んでいった命を戻すことは出来ないが、これから死んでいく命を守る。

これが俺の出来る唯一の償いかもしれない。