命の使い方

よしお@暇人

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後悔……そして、探す

意外な獲物

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「……朝か」

やはり何度寝て起きても目の前に広がる焼け野原は変わらないらしい。
これが夢でいつも通り家族と一緒に朝食を食べれることが出来たらどんなに嬉しいだろうか……
朝食を食べ終えればいつも通り村の皆に挨拶をして、仕事をする……
そんな当たり前の日常はもう二度と訪れることはない。

「何を分かりきったことを考えてるんだろうな俺は……今さら後悔したってな」

後悔してもしきれない俺は後悔を先延ばすことにしたのだが、自分では抑えきれたと思っていても、心は正直なのか後悔の波が押し寄せてくる。

決して終わらせることの出来ない後悔。

忘れてはいけない記憶。

体に染み付いた裏切り者の臭い。

俺はまともに暮らすことが出来ないのは分かっている……いや、分かっていたつもりだったのだろう。
どこかで許されると思っているのかもしれない。
だが、俺は許されるわけがない。

「早く罠を確認しにいくか……この村には俺の居場所は無いのだから」

俺はゆっくりと重い腰を動かし、ノソノソと冬眠から目覚めたばかりの熊のような動きをしながら村から出ていった。
 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「誰だお前……なんで罠に引っ掛かってる?」

目の前に足が蔓に絡まり、宙吊りになっている女がいた。
女の外見は髪は動きやすくするためか短く切り揃えられており、白髪では無いみたいだが髪が白く染まっている。
身長はまだ成長しきれてない子供くらいだった。

「好きで引っ掛かってるわけじゃありませ~ん!見てないで助けてくださいよ!見た目より結構キツいんですよ!」

本当にキツいのか足をバタバタと暴れさせながら必死に俺にアピールしてきた。

「そうなのか……じゃあ、なんかキレそう物を持ってくるから少し待ってくれ」

正直、怪しすぎるから関わりたくないからこのまま放置して逃げようと思う。
もし、罠を外した途端に襲われたらさすがに勝てない。

「一人にしないでくださいよ~!もしかしたら、近くにまだあの獣がいるかもしれないので食べられちゃいます!」

「じゃあ、食われる前に戻ってくるから待ってくれ」

「その背中に背負っている剣で斬ればいいじゃないですか!」

なにかと理由を付けて逃げようとするが、よほど宙吊りが嫌なのか必死に訴えかけてくる。

「助けてくれたら……少しくらいなら触らせてあげますよ?」

「お前みたいなガキには興味はない」

「酷い!あなたとは初対面のはずなのに!いきなりガキ扱いは酷すぎます!」

「どう見たってガキだろ。まずお前はどこの誰なんだ?」

「わ、私はこの先の村に薬を届けに来た商人です!名前はレイルです!この先にある村の方からきちんと証明貰ってます!」

そう言って女は上着のポケットからグシャグシャになってしまっている羊皮紙を取り出した。

女から渡された羊皮紙には確かに俺の住んでいた村での商売を認める文と印が記されていた。

「ふーん……怪しいやつじゃ無さそうだから降ろしてやるよ。蔓を引きちぎるからちょっと揺れるかもしれないから気を付けろ」

「え、その剣は使わないんですか?」

「あ?あー……これは飾りの剣だ。だがら斬れないし、鞘からそもそも抜けない」

適当に返事しながら力任せに蔓を引きちぎると女が頭から落ちそうになったので、下から支えるように抱えた。

「あ、ありがとうございます。でも、そんなものなんで持っているのですか?」

「これは……形見みたいな物だな。俺が犯した罪を忘れないための……」

「あなたは犯罪者なのですか!?……こ、殺さないでくださいお願いします!お金も半分くらいならあげますので!」

「いや、罪って捕まるほどのじゃないからな?……いや、裏切りは捕まるのか?」

「あ、犯罪者ではないのですか……よかったです。ところで……あなたの名前はなんと言うのですか?」
 
「俺は名乗る名前はない……と言うよりは名乗れない。裏切り者の俺が名前を名乗る資格は無いからな」

「じゃあ……なんと呼べばいいですか?」

「そうだな……適当に呼んでくれ」

「じゃあ……お兄さんと呼びますね」

「どうぞ、ご自由に……なんなら村まで案内してやろうか?誰もいないがな」

「村人総出で何かなさってるのですか?」

「それは着いてみてから自分で確認してくれ。俺の口からなるべく言いたくない」

「まぁ、お兄さんがそう言うのなら私は黙って付いていきます」

「理解してくれて助かるよ。それじゃあ、行こうか」

「はい、分かりました!でも、私を置いていかないでくださいよ?まだあの獣が近くにいるのかもしれませんから……」

「獣ね……もし、魔獣だったら俺はお前を間違いなく囮にして逃げるからな?」

「あはは……ま、魔獣なんてこんなところにいるわけないじゃないですか~!あはは……」

妙に俺の放った言葉に苦笑いしながら答えてる……
もしかして、コイツ魔獣に追いかけられてるんじゃないだろうな?
もしそうなら、遠慮なく見捨てるからな。

「あはは……め、目が怖いですよお兄さん。もっと笑いましょうよ……あはは」

「なぁ、俺になんか隠し事してないか?隠し事あるなら正直に話せよ?」

「か、隠し事なんてありませんよ!ただ、ちょっと変わった獣が私を追いかけてきてるだ……って!なんで私から距離を取るんですか!」

「お前何したんだよ!魔獣に追いかけられるなんてなんか変なイタズラでもしたんだろ!?俺は死にたくないからお前とは離れるからな!」 

「そ、そんな!お願いしますよお兄さん!私このお仕事を出来なかったからお仕事クビになっちゃうんですよ!だから、私を守ってくださいよ!」

魔獣が怖いと言うよりは仕事の邪魔をされたくないらしい……
この女少し感覚がずれてるな。
この女には気の毒だが、俺にはコイツを魔獣から守ってやれるほど強くないからさっさと見捨てるに限る。

「断る!俺みたいなただの村人に魔獣からお前を守れると思うか?それに、俺にはやることがあるから街に行かないと行けねぇんだよ!」

「そこをなんとかお願いします!もし私を守ってくださったら……今回の報酬を半分お渡ししますから!あと一つだけできる限りのお願いを聞きますので~!」

ここまで食い下がってくるとは……
こいつ、よほど今まで仕事をまともに出来てなかったんだな。
でも、街に行くには金もいるし、案内もいるからな……
仕方ない……魔獣に会わないように祈りながら適当に護衛でもするか。

「分かったよ、俺ができる限りは守るよ。だが、一つだけ言わせてくれ。俺は魔獣は倒せないから全力で逃げるからな?もちろん、お前を連れてになるが」

「え、いいんですか!ありがとうございますお兄さん!これで無事にお仕事出来そうです!」

「じゃあ、早いとこ村に行くぞ。どうせなんにも無いけどな……」

「はい!護衛よろしくお願いしますねお兄さん!」

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