カエル転生からのゲコゲコ下克上!踏まれたカエルが目指すのは……魔王!?

氷狐

文字の大きさ
7 / 26

第六話

しおりを挟む
 あれから三日が過ぎた。

 え、カニはどうしたって?  逃げたよ、もちろん……俺が!

 まだまだ未知なる敵に挑むのは時期尚早だとの判断からだ。産まれた初日だったし、何よりたくさん食べてたからね。
 まあ、翌日にあのカニが俺と同種のオタマジャクシを捕まえて食べてたのを見た時、判断は正しかったと思ったけど……ハサミでズタズタにされたオタマジャクシに一瞬自分が重なってゾッとしたよ。

 わかってきたことも幾つかあった。
 まずはスキルだけど、これはどうやら食べた対象が持っているものをごく稀に得ることがあるらしい。
 先日、弱った小魚を見つけて食べたらなんか『水棲』ってスキルが手に入った。後は隠れていた昆虫をたまたま見つけて食べたら『隠蔽』ってのとか。
 どちらも、あのプラカードみたいなステータス画面ではグレーで表記されているので、まだ使えるようにはなってないってことだろう。

 それとエクストラスキルの『大食漢』だな。
 あれは、一定時間自分の身体のサイズ以上に『食べる』ことが出来る能力みたいだ。その上限はわからないが、どんなに大きなものでも口に入っていくし腹が膨れることもない。しかも発動中は気が狂いそうな飢餓感と引き換えに全ステータスが一時的にブーストがかかって上昇する。
 まあ、とはいっても基本ステータスがまだまだ低いのでたかが知れているけどね。
 実はこのスキル、保有魔力総量の半分を消費してしまう最終手段的なものだったのだが、それに気付くのはさらに数日後のことだ。

 ◇◆

「くそ、絶対今日こそ終わらせてやるからな!」
「ダル……大声を出すとまたスライムが逃げてしまうよ」

 今日もまた駆け出し冒険者のダルムとキッシュの二人がスライムを求めて沼地へと足を踏み入れている。
 彼らが受けた依頼はよくありがちな、スライムの核を獲ってくるというもの。ノルマは五つで、今日までに集めた核は三つだけ。毎日泥だらけになって帰っているのだが、依頼が達成されないために全く収入に結び付かず、ダルムの苛立ちはもう限界近くに来ていた。

 そんな事情もあり、朝、早めに出かけたかったのだが、薄暗いうちは街道にもふらりと魔物が出てくることがある。しかも今朝は朝靄が濃かったこともあり沼地に到着したのは昼前になってからだった。
 夕方以降も魔物の脅威がある以上、まだ実戦経験のほとんどない駆け出しの二人では暗くなる前に街まで戻らねば危険である。
 結果、スライム探しにあてられる時間はごく僅かとなり、それがさらに焦りと苛立ちを生む原因となっているのだ。

「さあ、出てこいスライム野郎!さあ、どこだ!さあっ!」
「ダル……さすがの私も怒りますよ……」
「……す、すまねえ」

 自らを奮い立たせるつもりで気合いを入れていたダルムだったが、苛立ち混じりのそれは少々やり過ぎであったようで、キッシュに不快な虫でも見るような目で睨まれると、すぐに詫びを入れ小さくなり、彼の後をすごすごとついていった……。

 ◆◇

 ……どうにも、人間が来ると獲物がみんな隠れてしまうのでいかんなあ……。

 ダルムのムダなカラ元気は、こんなところにまで悪影響を及ぼしてしまっているようだ。
 人間たちが沼地へと来ると、大抵の魔物たちは一斉に姿を隠す。それ故に狩りが非常に難しくなるのだが、特に今日のように喚き散らしながら来られると、いよいよ以てお手上げ状態になってしまう。

 恨めしそうな視線を向けつつ、俺はスイスイと泳ぎながら付かず離れず彼らを追った。狙いは先日のスライムの食べかけのようなおこぼれにありつくことである。
 本当ならこの沼地最弱とも思える俺みたいな小さな個体が、こんなに自由に泳ぎ回れるわけがないのだが、今は人間を警戒して出てくるやつなど全くいないし、そもそもこの発想自体が普通の魔物とはかけ離れているからだろう。

 しばらくすると、人間二人は何かを見つけたらしく、身を隠すように姿勢を低くした……。

 ◇◆

「……ダル、止まってください」
「……お、おう」

 キッシュは弓使い。故郷の村でも野山でウサギや鳥などを狩っていた。だから、元農夫で今は片手剣を使っているダルムよりも目が良く、生き物の存在にも敏感である。
 そんな彼が、三メートルほど先の水草の根本に、身体のほとんどを水の中に浸けた状態のゼリー状の生物を見つけたようだ。ゼリーの色は緑。ということはグリーンスライムだろう。

「核を射抜けば昨日のように壊してしまいます。ここは任せましたよダル」

 友からの信頼。それに応えるべくダルムは一度頷くと、物音をたてぬようにスライムへと近づいていった……。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

処理中です...