幼女と執事が異世界で

天界

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第1章

17,冒険者ギルド - 2

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「依頼には難易度に応じてランクが設定されます。
 依頼は設定されたランクが同ランクか1つ上のランクまでしか受けることができません。
下のランクについては問題なく受けられます。
 ランクはFから始まりE,D,C,B,A,S,SS,SSSと上がって行きますが、冒険者ギルドで扱っているのはランクSまでとなります。
 SSランク以上の依頼は、国からの依頼となる物です。なのでギルドではなく国から直接受ける形になります。
 まぁ、Aランクになるのもかなり難しいですけどね」

「へー……だからSランクの掲示板にはほとんど紙が張られてなかったんだ」

「そうなのよ~今のところこの街にいる、うちに登録してる人でSランクなのはたったの3人なのよ?
 ラッシュはかなり大きな街なのに3人なの3人。
 Sランクがすごいってことがよくわかるでしょ?」


 なんども指を3本立てて説明しているエルフのお姉さんは、嘆かわしいと言わんばかりだ。
 他の街ではもっとSランクがいるのだろうか?


「Sランクは他の街にはいっぱいいるの?」

「そういうわけじゃないんだけどね。
 このラッシュの街の近くには迷宮もいくつかあるし、踏破されていないのも多いの。
 だから迷宮攻略を主軸に置く冒険者も多いんだけど……多い癖にSランクが少ないって言うのがねぇ……おかげでSランク依頼が全然片付かないし」


 頬に手を当てて、はぁと溜め息を吐くお姉さん。
 数が多いくせして雑魚ばかりと言いたいのだろう。有象無象では意味がないってことなのかな。数は大きな戦力だと思うんだがなー。
 まぁ依頼が来てもこなせないんじゃ、溜め息も吐きたくなるだろう。ギルドを信用して頼ってくる依頼者に応える事ができないのだから。
 それにしても迷宮か。所謂ダンジョンってやつだ。奥深くにある宝を目指して一攫千金!
 夢がいっぱいってやつだ。オレもいつか行ってみたいものである。


「あっとごめんなさいね。愚痴なんて恥ずかしいわ……。
 ごほん。それでランクは依頼をきちんとこなしていくと上がっていくわ。
 具体的な昇格条件は栞に記載されているから呼んでもらってね?
 それと冒険者ギルドは24時間営業だから、何時来てもいいんだけど……今みたいな時間帯は特に混雑するからあまりお奨めしないわ。
 ワタリちゃんみたいな可愛い子だと、ちょっかいだすやつもいるかもしれないし!」


 ちゃん付けの辺りでまた気配察知が反応するが、気のせいと思うことにする。
 あとでその辺言い聞かせておかないといけないかなー。


「はーい」


 にっこり笑って適当に返事を返しておくのも忘れない。
 騒ぎは勘弁だからな。次からはもっと人のいない時間帯を狙ってこよう。

 それにしても24時間営業なのか。まぁ予想はしていた。
 様々な依頼を斡旋する以上、それが昼夜を問わない仕事である可能性は大いにある。というか絶対ある。
 なので、夜中にもやっていないと期限が過ぎてしまうようなパターンや夜中しかこれない人も多いのだろう。
 まぁ夜中に来る気はないから別にどうでもいいんだが。


「説明は大体こんなところかな。何か質問とかあるかな?」

「ギルドのことではありませんが、よろしいですか?」

「ええ、大丈夫ですよ。あ、でも年は秘密ですよ?」


 片目を瞑ってウインクする可愛らしいエルフさんだったが、アルは無反応だ。
 彼にとって目の前の可愛い人はどうでもいい存在のようだ。


「ではこの街で信頼でき、且つ安全性の高い宿を教えていただけますか?」

「信頼できて安全性が高い宿ね。えーとそうすると少し値が張るけど " 海鳥亭 " がお奨めね。
 ギルドカードを見せれば割引も聞くから尚お奨めです」

「ご飯は美味しい?」

「えぇ1階で食堂も経営してるから、かなり期待していいわ」


 食事はとても大事だ。ネズミの肉を食うのは勘弁。あれは非常手段だ。もう食いたくない。
 だが、値が張るのか。20万ラードあるとはいえ、長く宿泊するのは問題が出るかもしれないな。
 頑張ってランクを上げて高い報酬の依頼を受けられるようにしないとな。


「あとは何かあるかしら?
 ないようなら……はい。この石に手のひらを置いてください」


 もう一度確認してから、特にこちらの動きが無いのをみてバインダーから1枚の薄い石を取り出すと、ちょっと乗り出してこちらの方に置いてくれる。
 ゆったりとしたローブのような服の上からでは判り辛かったが、結構なボリュームのようだ。
 だが、如何せんオレの趣味じゃない。もっと慎ましい方が好みだ。ぺったんこはだめだがな? 幼女は論外だ。

 門のところで犯罪者チェックの時に使った石とは違い、こっちはすごく薄い。
 良く見ると細かく何か文字のような物が刻んであるようだ。翻訳されないところを見ると共通語ではないらしい。

 毒見役はアルの担当なのでこちらを一瞥した彼にアイコンタクトでお先にどうぞ、と返すとすぐにその石の上に手を置く。
 手を置いてすぐに青く光った石が、複雑な幾何学模様を刻み数秒でソレも消える。
 すると石の横からシャッっと音を鳴らして何かが飛び出てきた。


「はい、これがアル君のギルドカードになります。
 無くすと再発行にお金がかかるから気をつけてね」


 どうやらこの石がカードの発行機のようだ。
 厚さ1cmもないような薄い石に手の平を置くだけで発行されるとは……すごい技術の結晶のような気がしてくる。
 深く考えると泥沼にはまりそうなので、ここはそういう物と無理やり納得しておいた。

 次にギルドカード発行機の上に手の平を置くと、犯罪者チェック板と同じようにMPが消費され、アルの時と同様の変化をしたあとカードが排出された。


「はい、これがワタリちゃんのギルドカードね。
 無くさないように紐をつけて首から提げておくといいわ。紐はお姉さんがあげちゃう!」

「ありがとー」


 受け取ったカードには隅のほうに小さな穴があり、そこにエリザベートさんが紐を通して結んでくれた。
 それをそのまま首に掛けて眺めてみる。

 大きさは幼女の小さな手の平には少し納まらない大きさだったが、それほど大きいわけでもない。
 生前の免許証を少し大きくしたような程度だろうか。
 カードには名前とランクが記されているだけだった。当然ランクはF。登録したばかりなのだから仕方ない。
 その他には何も記載はなく、裏返してみても特になにもない。
 これで身分証になるんだろうか……ちょっと心配だ。


「そのカードは、結構すごいんだよ?
 専用の読み取り用の板に翳すと、中に大量の文字が記憶されているのがわかるの。
 主にカードの持ち主に関する情報だね。あとは倒した魔物の数とかこなした依頼の情報とかだねー」

「へー……すごいものなんだ」


 このカードはそれ単体で記憶媒体となっているようだ。
 しかも倒した魔物の数とかどうやって記憶するんだろうか。あ、魔法か。
 つまりこれは魔法のカードということだ。
 さすが異世界。ご多分に漏れずファンタジックだ。
 なんだかすごいものを手に入れた気分になってくる。個人情報云々とかプライバシー云々とか、そういうのは一旦隅に置いておくことにした。
 キラキラした目でカードを掲げて見てみると、なんだか光り輝いて見える気がしてくるから不思議だ。
 実際はただの光沢も何もない、名前とランクの記されただけの薄いカードなんだけどね。


「ふふ……喜んでもらえてお姉さん嬉しいな。
 はい、アル君これが栞ね。ちゃんとワタリちゃんに読んで聞かせてあげてね?」

「ご心配には及びません。このアル、ワタリ様には不自由をさせるつもりは毛頭ありません」

「……ふーん。まぁいいけど。
 ワタリちゃん、何かあったらすぐにお姉さんに教えてね?
 すぐになんとかしてあげるから」


 何やら2人の間で火花が散っている気がする。


 そんな不穏な空気を感じつつ、冒険者ギルド説明会は幕を閉じたのだった。
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