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第3章
54,vs岩食いペンギンボス
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酒場から聞こえてきた大声は予想通りのものだ。
採掘場まで確認しにいったニールが何もいないことを確認して戻ってきたんだろう。
岩食いペンギンは基本的に昼活動する魔物で、採掘場には餌が豊富だ。
食い尽くすまで岩食いペンギンが何体かは常にいるはずなのでまったくいなかったことからオレの言葉が事実だと知ったのだろう。
酒場からは慌しい声が響いてくる。
ネーシャがまた少し怯えているけど頭を撫でて大丈夫だよ、と微笑んであげたらなんとか安心してくれたようだ。
お昼も食べ終わったし、葡萄ジュースの木のコップを返したら帰ろうかな、と思っていたら酒場から男達が大量に出てきてそれぞれ駆け出していった。
「お、嬢ちゃんそこにいたか」
「岩食いペンギンいなかったでしょう?」
「あぁそうらしい。まさか本当だったとはな。そこで聞きたいことがあるんだがいいか?」
「なんでしょう?」
「おまえさん達、岩食いの野郎の巣は潰したのか?」
「いいえ、採掘場に居たやつらだけを退治しましたけど」
「やはりそうか。いやな、岩食いペンギンは巣を作って行動するタイプなんだが、やつらは餌を交代で取るんだよ。
日中に活動するからほとんどの場合は餌場に大量に集まるがそれでも巣にも残るんだよ」
「ということは、まだ残りが居ると?」
「そういうことだ。調査に来たってのは知ってる。さっき見せてもらったしな。
だから無理強いはできないが、もしよかったら今から確認しにいくからついてきてくれないか?
もちろん少ないが報酬も出す」
「えっと……。巣を探しに行くということならちょっと……」
「あぁいや大丈夫だ。ニールのヤツが言うには石材はかなりの量まだ残ってるって言ってたからな。その確認と他のヤツラがうずうずしちまってな」
「なるほど。じゃあまだ残ってる岩食いペンギンがもし現れたらすぐに逃げるように言ってくれますか?
もし戦闘になったら危ないので」
「あぁ、もちろんだ。俺達じゃあの化け物には敵わないからな」
「わかりました。それで報酬は――」
その後酒場に居た男達がそれぞれ手にツルハシやハンマーを持って集まるまで報酬の話し合いをしたり、彼らが最初襲われた時の岩食いペンギンの大体の数などを教えてもらったりした。
彼らが最初襲われたときには20匹以上いたそうだ。
オレが倒した数は16匹だから数が合わない。
それに一際大きな群のボスと思われる固体がいたそうだ。
オレが倒した個体は多少の個体差はあってもそこまで大きく抜けていたヤツはいなかった。おそらくボスは巣にいたんだろう。
そのことを話すと男――このリール村の採掘場の親方をしているハッシュが少し考え込んだが予定通り全員で確認しにいくことになった。
すでにオレが護衛モドキをすることは他の人達にも話が通っているようで誰も文句は言わなかったが眉根を寄せていたり、疑いの眼差しを向けている人も多かった。
まぁ文句言わないだけでもマシだからいいだろう。
ハッシュが岩食いペンギンが現れたらすぐに逃げるように何度か言った後酒場に居た男達と採掘場の石切り場へと出発した。
ちなみにジュースのコップはニールが持って行ってくれた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ぞろぞろと40人近くの団体だったが道中は距離も短いということもあり、全員押し黙って緊張した面持ちだった。
石切り場が見えるぎりぎりのところで一旦オレだけ先行し、何もいないことを確認するとアルに念話で伝えてもらう。
「ほんとに何もいねぇ……」
「あぁくそ! こんなに食われちまった!」
「これだけで済んでるんだマシだろうが」
「だがよ!」
「お、おい。なんだこれ!?」
「な、なんだこりゃ!?」
石材の確認などをしている男達がどうやら岩場の穴を見つけてしまったようで何やら騒いでいる。
正直に言うべきか、黙っているべきか迷っていると……。
「岩食いの野郎、どこまでいじきたねぇんだ!」
「まったくだ。まだ切り出してもいねぇ岩まで食っちまうとはな!」
どうやら都合よく勘違いしてくれたようなのでほうって置くことにしよう。
岩場を破壊して穴あけちゃったのを弁償しろとか言われたら困るからラッキーだ。
「昨日今日だからそれほど被害も深刻なものじゃないな。いや嬢ちゃんほんとに助かった。
これがもっと日数がかかるようなら俺達は大変なことになっていたよ」
「いえ、でもここって兵士の人とかいないんですか?
岩食いペンギンって結構頻繁に出没するって聞きましたけど」
そう、実は岩食いペンギンは結構現れては石材を食い荒らすことで有名だ。だから通常は雇われた兵士や冒険者が巡回や警備をしているんだが、今回はその気配がまったくない。
「あぁ……。ちょっと事情があってな。いつも警備を頼んでる兵士が今回これなくてその隙を狙われちまったんだ」
「案外頭のいい魔物なんですね」
「あいつらはかなり狡猾だからな。警備がいつもより手薄なのを見て団体で襲ってきやがったんだ。
いつもなら少数だったり、団体で来ることはなかなかないんだがな……。今回は本当にタイミングが悪かった」
「まぁでも死者は出てないって聞いてますよ?」
「まぁな。そこだけは徹底してたからな。岩食いの野郎が姿を現した時にはすぐに全員逃げ出したから事なきを得たよ。
まぁそれでも大慌てだったからな。転んで怪我したヤツラが何人かいた程度だ」
「被害が小さくてよかったですね」
「あぁ」
男達が動き回っている中でハッシュと色々と雑談していると、残っている岩食いペンギンも群の大部分がやられたので逃げ出した可能性が高いのではないかという話になった。
だが一応討伐依頼は出すらしい。逃げない可能性も十分にあるからだ。
まだ群のボスは生きているのだからという理由らしい。
狡猾な割には無謀なような気もするけど、その辺は魔物なのでオレ達の常識は通用しないのだそうだ。
今日中にラッシュの街に帰って現状を伝えることを約束していると岩場の陰の方から男数人が慌てて逃げてくるのが見えた。
「で、でたああああ!」
「なに!?」
男達の後ろには倒した岩食いペンギンと同じ位のサイズが5体とそれらよりも2回り以上大きな明らかに違いの分かる岩食いペンギンがノッシノッシと歩いてきていた。
「くそ! 逃げなかったか!
全員退避だ! 退避ーッ!
嬢ちゃんあとは頼んでいいか!?」
「わかりました。打ち合わせ通りにお願いします」
「了解した! おい、そこ! 早く逃げろ!」
ハッシュが大声で散らばっている男達に退避の旨を告げ、男達はすぐさま逃げ出す。
だが酒場でオレに怒声を浴びせた男は無謀にもツルハシを持って岩食いペンギンに突撃していた。
怒声の男は確かに逞しい体をしている。採掘場で働いているのだからそれなりに力もあって強いのだろう。ラージラビット程度の雑魚の魔物なら倒せるだろう。
だが相手は岩食いペンギンだ。魔法には弱くても物理攻撃にはかなりの耐性を持っているとエリザベートさんの抗議のような講義で教えてもらっている。
まぁ見た目でもよくわかるけど。
「あのばか!」
「仕方ないなぁ……」
雄叫びを上げて自身を奮い立たせ突撃していった怒声の男だが、岩食いペンギンはその男を気にも留めずに悠然と近づいてきている。
恐らく眼中にすらないのであろう。その証拠に怒声の男が大上段から振り下ろしたツルハシの一撃は長い助走があったのにも関わらず激しい衝突音と火花を散らしただけで、まったくダメージを与えることはなかった。
それどころか体表の岩の鎧に弾かれて体勢を崩して尻餅をついた怒声の男に邪魔だとばかりに岩食いペンギンの鋭い羽が閃く。
「うわあああああ、アーッ!?」
岩食いペンギンの刃物のような鋭い羽が怒声の男を切り裂くより早く、オレが首根っこをつかんで後ろに無造作に投げ飛ばして助けるのが間に合った。空を裂く鋭い音が怒声の男の悲鳴と重なり遠ざかっていく。
男を投げ飛ばして一旦岩食いペンギンから距離を取ると、相手も悠然と接近するのを止め鋭い12の視線がこちらを射抜くように向けられる。
岩食いペンギンにとって怒声の男は眼中になかったが、オレは違ったようだ。
男を切り裂こうとした1匹が狂ったように奇声をけたたましく上げ目は真っ赤になり突撃をかましてきた。
どうやらオレが群の仲間を殺した犯人だと気づいているようだ。どうやって気づいたのかは不明だが関係ない。
どうせおまえらも同じ道を辿ることになるんだから。
アルにはすでにネーシャを守るように指示を出しているし、すでに距離を取って退避しているはずだ。
まっすぐに岩の鎧を盾に体当たりを敢行してきた1匹に対して後ろにいる岩怪獣が軸上に合わさるように少し移動し、すぐさま氷の槍を射出。
螺旋の刻まれた氷の槍が凄まじいスピードで空間を削り取るが如く飛来する。
結構な速さで体当たりをしてきた岩食いペンギンを貫き、なぎ倒して狙い通り後ろのもう1匹を巻き込んでそのまま背後の林道の木を数本なぎ倒して氷の槍は停止した。
その威力に残っていた岩食いペンギンが一瞬停止した隙を見逃さず5本の氷の槍を射出。
今度は横に並んでいるので一遍には狙えないので数で勝負。
どっちにしろ一撃必殺であることには変わりないのであまり関係ないが。
ボス格の岩食いペンギン以外は振り分けた氷の槍に貫かれ絶命したが、ボスはなんと体表の岩の鎧を投げつけ軌道を逸らし、ボス用に多めに割り振っておいた残った2本のうちの1本をかわし、1本を体を捻って致命傷を避けるのに成功していた。
その巨体に似合わない俊敏でアクロバティックな動きに一瞬ギョッとしたが、すぐさま次の氷の槍を射出。
ほとんど間を置かない連続攻撃にボス格の岩食いペンギンの顔に驚愕の表情が浮かんだように思えた。
鰐のような鋭い歯が並んだ口に真っ赤な巨大な目。そのペンギンとはとても言えない爬虫類の顔が歪んだような気がしたが、射出された氷の槍5本により1本が口から頭を貫き頭部を爆砕してしまったのでよくわからなくなってしまった。
地響きと共にその巨体が地に激突し、戦いの終わりを告げる。
一瞬の間の後に背後で大きな歓声があがったが、念のため死んだ振りを考慮しているオレは淡々と広げた炎を岩食いペンギンの残骸に投げつけるのだった。
採掘場まで確認しにいったニールが何もいないことを確認して戻ってきたんだろう。
岩食いペンギンは基本的に昼活動する魔物で、採掘場には餌が豊富だ。
食い尽くすまで岩食いペンギンが何体かは常にいるはずなのでまったくいなかったことからオレの言葉が事実だと知ったのだろう。
酒場からは慌しい声が響いてくる。
ネーシャがまた少し怯えているけど頭を撫でて大丈夫だよ、と微笑んであげたらなんとか安心してくれたようだ。
お昼も食べ終わったし、葡萄ジュースの木のコップを返したら帰ろうかな、と思っていたら酒場から男達が大量に出てきてそれぞれ駆け出していった。
「お、嬢ちゃんそこにいたか」
「岩食いペンギンいなかったでしょう?」
「あぁそうらしい。まさか本当だったとはな。そこで聞きたいことがあるんだがいいか?」
「なんでしょう?」
「おまえさん達、岩食いの野郎の巣は潰したのか?」
「いいえ、採掘場に居たやつらだけを退治しましたけど」
「やはりそうか。いやな、岩食いペンギンは巣を作って行動するタイプなんだが、やつらは餌を交代で取るんだよ。
日中に活動するからほとんどの場合は餌場に大量に集まるがそれでも巣にも残るんだよ」
「ということは、まだ残りが居ると?」
「そういうことだ。調査に来たってのは知ってる。さっき見せてもらったしな。
だから無理強いはできないが、もしよかったら今から確認しにいくからついてきてくれないか?
もちろん少ないが報酬も出す」
「えっと……。巣を探しに行くということならちょっと……」
「あぁいや大丈夫だ。ニールのヤツが言うには石材はかなりの量まだ残ってるって言ってたからな。その確認と他のヤツラがうずうずしちまってな」
「なるほど。じゃあまだ残ってる岩食いペンギンがもし現れたらすぐに逃げるように言ってくれますか?
もし戦闘になったら危ないので」
「あぁ、もちろんだ。俺達じゃあの化け物には敵わないからな」
「わかりました。それで報酬は――」
その後酒場に居た男達がそれぞれ手にツルハシやハンマーを持って集まるまで報酬の話し合いをしたり、彼らが最初襲われた時の岩食いペンギンの大体の数などを教えてもらったりした。
彼らが最初襲われたときには20匹以上いたそうだ。
オレが倒した数は16匹だから数が合わない。
それに一際大きな群のボスと思われる固体がいたそうだ。
オレが倒した個体は多少の個体差はあってもそこまで大きく抜けていたヤツはいなかった。おそらくボスは巣にいたんだろう。
そのことを話すと男――このリール村の採掘場の親方をしているハッシュが少し考え込んだが予定通り全員で確認しにいくことになった。
すでにオレが護衛モドキをすることは他の人達にも話が通っているようで誰も文句は言わなかったが眉根を寄せていたり、疑いの眼差しを向けている人も多かった。
まぁ文句言わないだけでもマシだからいいだろう。
ハッシュが岩食いペンギンが現れたらすぐに逃げるように何度か言った後酒場に居た男達と採掘場の石切り場へと出発した。
ちなみにジュースのコップはニールが持って行ってくれた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ぞろぞろと40人近くの団体だったが道中は距離も短いということもあり、全員押し黙って緊張した面持ちだった。
石切り場が見えるぎりぎりのところで一旦オレだけ先行し、何もいないことを確認するとアルに念話で伝えてもらう。
「ほんとに何もいねぇ……」
「あぁくそ! こんなに食われちまった!」
「これだけで済んでるんだマシだろうが」
「だがよ!」
「お、おい。なんだこれ!?」
「な、なんだこりゃ!?」
石材の確認などをしている男達がどうやら岩場の穴を見つけてしまったようで何やら騒いでいる。
正直に言うべきか、黙っているべきか迷っていると……。
「岩食いの野郎、どこまでいじきたねぇんだ!」
「まったくだ。まだ切り出してもいねぇ岩まで食っちまうとはな!」
どうやら都合よく勘違いしてくれたようなのでほうって置くことにしよう。
岩場を破壊して穴あけちゃったのを弁償しろとか言われたら困るからラッキーだ。
「昨日今日だからそれほど被害も深刻なものじゃないな。いや嬢ちゃんほんとに助かった。
これがもっと日数がかかるようなら俺達は大変なことになっていたよ」
「いえ、でもここって兵士の人とかいないんですか?
岩食いペンギンって結構頻繁に出没するって聞きましたけど」
そう、実は岩食いペンギンは結構現れては石材を食い荒らすことで有名だ。だから通常は雇われた兵士や冒険者が巡回や警備をしているんだが、今回はその気配がまったくない。
「あぁ……。ちょっと事情があってな。いつも警備を頼んでる兵士が今回これなくてその隙を狙われちまったんだ」
「案外頭のいい魔物なんですね」
「あいつらはかなり狡猾だからな。警備がいつもより手薄なのを見て団体で襲ってきやがったんだ。
いつもなら少数だったり、団体で来ることはなかなかないんだがな……。今回は本当にタイミングが悪かった」
「まぁでも死者は出てないって聞いてますよ?」
「まぁな。そこだけは徹底してたからな。岩食いの野郎が姿を現した時にはすぐに全員逃げ出したから事なきを得たよ。
まぁそれでも大慌てだったからな。転んで怪我したヤツラが何人かいた程度だ」
「被害が小さくてよかったですね」
「あぁ」
男達が動き回っている中でハッシュと色々と雑談していると、残っている岩食いペンギンも群の大部分がやられたので逃げ出した可能性が高いのではないかという話になった。
だが一応討伐依頼は出すらしい。逃げない可能性も十分にあるからだ。
まだ群のボスは生きているのだからという理由らしい。
狡猾な割には無謀なような気もするけど、その辺は魔物なのでオレ達の常識は通用しないのだそうだ。
今日中にラッシュの街に帰って現状を伝えることを約束していると岩場の陰の方から男数人が慌てて逃げてくるのが見えた。
「で、でたああああ!」
「なに!?」
男達の後ろには倒した岩食いペンギンと同じ位のサイズが5体とそれらよりも2回り以上大きな明らかに違いの分かる岩食いペンギンがノッシノッシと歩いてきていた。
「くそ! 逃げなかったか!
全員退避だ! 退避ーッ!
嬢ちゃんあとは頼んでいいか!?」
「わかりました。打ち合わせ通りにお願いします」
「了解した! おい、そこ! 早く逃げろ!」
ハッシュが大声で散らばっている男達に退避の旨を告げ、男達はすぐさま逃げ出す。
だが酒場でオレに怒声を浴びせた男は無謀にもツルハシを持って岩食いペンギンに突撃していた。
怒声の男は確かに逞しい体をしている。採掘場で働いているのだからそれなりに力もあって強いのだろう。ラージラビット程度の雑魚の魔物なら倒せるだろう。
だが相手は岩食いペンギンだ。魔法には弱くても物理攻撃にはかなりの耐性を持っているとエリザベートさんの抗議のような講義で教えてもらっている。
まぁ見た目でもよくわかるけど。
「あのばか!」
「仕方ないなぁ……」
雄叫びを上げて自身を奮い立たせ突撃していった怒声の男だが、岩食いペンギンはその男を気にも留めずに悠然と近づいてきている。
恐らく眼中にすらないのであろう。その証拠に怒声の男が大上段から振り下ろしたツルハシの一撃は長い助走があったのにも関わらず激しい衝突音と火花を散らしただけで、まったくダメージを与えることはなかった。
それどころか体表の岩の鎧に弾かれて体勢を崩して尻餅をついた怒声の男に邪魔だとばかりに岩食いペンギンの鋭い羽が閃く。
「うわあああああ、アーッ!?」
岩食いペンギンの刃物のような鋭い羽が怒声の男を切り裂くより早く、オレが首根っこをつかんで後ろに無造作に投げ飛ばして助けるのが間に合った。空を裂く鋭い音が怒声の男の悲鳴と重なり遠ざかっていく。
男を投げ飛ばして一旦岩食いペンギンから距離を取ると、相手も悠然と接近するのを止め鋭い12の視線がこちらを射抜くように向けられる。
岩食いペンギンにとって怒声の男は眼中になかったが、オレは違ったようだ。
男を切り裂こうとした1匹が狂ったように奇声をけたたましく上げ目は真っ赤になり突撃をかましてきた。
どうやらオレが群の仲間を殺した犯人だと気づいているようだ。どうやって気づいたのかは不明だが関係ない。
どうせおまえらも同じ道を辿ることになるんだから。
アルにはすでにネーシャを守るように指示を出しているし、すでに距離を取って退避しているはずだ。
まっすぐに岩の鎧を盾に体当たりを敢行してきた1匹に対して後ろにいる岩怪獣が軸上に合わさるように少し移動し、すぐさま氷の槍を射出。
螺旋の刻まれた氷の槍が凄まじいスピードで空間を削り取るが如く飛来する。
結構な速さで体当たりをしてきた岩食いペンギンを貫き、なぎ倒して狙い通り後ろのもう1匹を巻き込んでそのまま背後の林道の木を数本なぎ倒して氷の槍は停止した。
その威力に残っていた岩食いペンギンが一瞬停止した隙を見逃さず5本の氷の槍を射出。
今度は横に並んでいるので一遍には狙えないので数で勝負。
どっちにしろ一撃必殺であることには変わりないのであまり関係ないが。
ボス格の岩食いペンギン以外は振り分けた氷の槍に貫かれ絶命したが、ボスはなんと体表の岩の鎧を投げつけ軌道を逸らし、ボス用に多めに割り振っておいた残った2本のうちの1本をかわし、1本を体を捻って致命傷を避けるのに成功していた。
その巨体に似合わない俊敏でアクロバティックな動きに一瞬ギョッとしたが、すぐさま次の氷の槍を射出。
ほとんど間を置かない連続攻撃にボス格の岩食いペンギンの顔に驚愕の表情が浮かんだように思えた。
鰐のような鋭い歯が並んだ口に真っ赤な巨大な目。そのペンギンとはとても言えない爬虫類の顔が歪んだような気がしたが、射出された氷の槍5本により1本が口から頭を貫き頭部を爆砕してしまったのでよくわからなくなってしまった。
地響きと共にその巨体が地に激突し、戦いの終わりを告げる。
一瞬の間の後に背後で大きな歓声があがったが、念のため死んだ振りを考慮しているオレは淡々と広げた炎を岩食いペンギンの残骸に投げつけるのだった。
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