やがて虹がかかるまで

朝飛

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「ヒューネル、は……」
 自分だけ一方的にイかされたことがちょっと申し訳ないような、悔しいような、複雑な心境でヒューネルのそこに視線を滑らせた俺は息を飲む。前回した時はあまりまじまじと見ていなかったが、ヒューネルの一物は驚くほど、なんだか。
「大きい……」
 思わず口にしてしまうと、反応するようにそこがぴくりと動いたような気がした。まだ完勃ち状態ではないにも関わらず、大きさのせいもあり、ズボンの中で生地を押し上げて既に苦しそうだ。
「そんなまじまじと見ないでくれないかな」
「あっ、ごめ……」
 珍しく恥ずかしげにしているヒューネルを見て、俺は謝りながらも、ふいに嗜虐心のようなものが沸き起こるのを感じた。
「え、エレン?」
 ヒューネルのそこに手を伸ばし、ズボンのファスナーを下ろして取り出そうとすると、頭上から少し慌てたような声が降ってくる。その声におかしさが込み上げながら、下着の上からヒューネルの立派な一物を握り込むと、呻くような声とともに俺の手の上に手を重ねられた。
「エレン、下着から出して、直接触ってくれる?」
「う、うん……」
 ドキドキしながら、指示された通りに下着から取り出して握ると、手に収まりきれないサイズの一物が喜ぶようにふるりと震えた気がした。恐る恐る形を確かめるように竿を上から下まで触っていくと、ヒューネルが唸りながら低く言った。
「それ、わざとやってる?」
「え?」
「焦らされてるみたいなんだけど」
「ちがっ……べ、つにそんなつもりじゃっ……」
 ぱっと離しそうになった手を強く掴まれたかと思うと、俺の手の上に手を重ねて竿を握り込まされ、勝手に上下に動かされ始めた。
「あっ」
 驚いて離そうとするのも許されず、半強制的にヒューネルの一物を一緒に育てていくことになる。
「先の方、指で弄って」
「こ、こう……?あっ……」
 言葉に従って、先端を指で押したりぐるりと撫でたりすると、先の方から微かにとろりとした液体が出てきた。
「っ……」
 自分のものを触っているわけではないのに、羞恥心とともに下腹がかっと熱を持ってくるのを感じて喉が鳴る。こういう時、ヒューネルはいち早く俺の変化に気づいてしまう。片手を俺の手に添えたまま、もう片方を俺の下肢に伸ばして撫でてきた。
「ひぁっ」
 それだけで自分のものからも先走りが溢れてきてしまうのを感じ、背中を反るように動かせば、ちょうどヒューネルの一物を握っている手に押し付けるかたちになる。
「あっ……、さわっ……」
「ごめん、君のもいい加減触ってほしかったよね?待ちくたびれたでしょ」
「えっ、ちがっ……」
 制止する声も聞かず、ヒューネルは俺の下肢に手を這わせると、あっという間にズボンと下着を取り払ってしまう。
「やっ……」
 隠すものがなくなり、顕になったそこは既にほとんど勃ち上がりかけていて、触れてほしいと言わんばかりに浅ましく唾液を垂らしている。あまりの恥ずかしさにぱっと隠そうとするが、両手首を掴まれてシーツに縫い留められた。
「隠さないで。しっかり見せて」
「み、見ないでっ……」
「ううん、見たいから見るよ」
「そ、んなっ……やっ」
 片手で両手首を一纏めにされたかと思うと、もう片方の手で俺の右足を掴み、ぐいっと思い切り開脚させられた。
「やっ、やぁっ」
「恥ずかしがらないで。すごく綺麗」
 ヒューネルは恍惚としたようにそう言いながら、俺の屹立を一心に眺める。恥ずかしさでどうにかなりそうなほどじっくりと眺め回された後、今度は掴んでいた足をヒューネルの肩に担ぎ上げられ、信じられないことに双丘の奥もじっくりと見始める。
「やっ、やだ、やめっ……」
「舐めていい?」
「へ?な……にいっ……ひぁっ!?」
 言葉の意味を理解する前に、ヒューネルは頭を伏せて双丘の奥の窄まりを舐めてきた。入口の皺をくすぐるように舐め回され、くすぐったさとともに何とも言えないもぞもぞとした感覚が背筋を這う。
「ん、んくっ……」
 不思議な感覚だったけれど、不快ではなかったためにされるがままになっていると、屹立も同時に扱かれ始めた。
「あっ、あぅっ」
 皺が濡れそぼったところで、中にまで舌を挿し込まれていく。驚いて屹立がびくりと動くと、あやすように上下に動かされながら、入口付近の内壁を舐め解され始めた。
「やっ、ぁン……っ、中まで、やあっ」
 下肢に伏せられたヒューネルの頭を掴み、どうにかやめさせようとするが、竿を扱く手の動きが激しさを増したせいで、髪を掴むだけで終わる。
「やっ、そんな、したらっ……」
 後孔を舐められながらイくという耐えがたい事態に行きつこうとした時、ようやくヒューネルは舌先を抜いてくれた。
「え、あ……っ」
 思わず呆然とヒューネルを見てしまえば、唇を綻ばせながら呟いた。
「これで十分、解れたよね」
「へ?……ひっ、ぁ……」
 何のことを言ってるのかとぽかんとした次の瞬間、それまで嬲っていた箇所に指先を押し入れられた。
「あ、あぅっ……」
「二回目だから、分かるよね?ここに俺のを入れてもらうには、十分解さないと」
「あ、ぁんっ……わ、かってる、けどっ、そんなはげし……っ」
 まともな言葉を紡げないほど、激しく出し入れされて、一つずつ指を増やされながら奥のあの一点ばかりしつこく押された。初めての時とは比べものにならないほど喘がされ、乱れに乱れてわけが分からなくなっても、まだ足りないと言わんばかりにしつこく指で中を掻き回され続けた。
 そんな状態にさせられながらも、俺はもっと欲しいものがあって、どこか物足りない気持ちで強請るようにヒューネルを見つめる。
「ああ、そんなふうに見なくても入れてあげるよ。ほら、足を上げて」
「う、うん……」
 期待感が膨らみながら、俺は言われるままにヒューネルの肩に足を乗せる。するとすぐにヒューネルは自分の怒張を十分に解れた窄まりに押し付けてきて、誘うように蠢く後孔にゆっくりと押し入ってきた。
「っ、ふ、ぅ……」
「っく……」
 十分に弄り回されていたおかげか、先の方を越えるとすんなり招き入れていく。その上以前も感じたが、まるでそこはヒューネルを咥えこむのが当たり前のように、ぴたりと吸い付いていた。
 記憶が戻った今は、なぜそんな感覚に陥るのかがよく分かって、入ってきただけだというのに泣きたいような気持ちになった。
「エレン?」
 ヒューネルが肩に上げていた俺の足を下ろしながら、俺の目元にそっと触れてくる。
「泣いてる?痛い?」
「ううん。嬉しくて」
「嬉しい?」
「うん、やっとヒューネルが俺のところに帰ってきてくれたみたいに感じて、うれしっ、……ひっく……」
「エレン……」
 語尾を涙で詰まらせると、ヒューネルが覆い被さってきて、俺の唇をそっと塞ぐ。
「ん、……」
いつものように欲望を感じるような荒々しさはなく、ただ柔らかく啄むだけの優しい口付けに、ヒューネルの愛情が籠っているのが感じられて、ますます涙が零れてしまう。
「エレン、愛してる。俺も君と一つになれて幸せだ」
 はっと見上げれば、涙で滲んだ視界の中で、ヒューネルも目に涙を浮かべているのが見えた。それで一層幸福感が胸の中に広がり、自然と中にいるヒューネル自身をきゅっと抱き締めるように締め付けてしまう。
「っ、エレン」
「あ、ごめ……ぁあっ」
 謝る隙も与えず、緩やかな抽挿が始まる。穏やかなさざ波が押し寄せては引いていくような優しい刺激にも関わらず、あまりに気持ちが良くてすぐに昇りつめて吐精してしまう。
「あぁっ、ぁぅ……やっ、まっ……」
 イったばかりで過敏になっているからと伝えようとしても、伝える間も与えられない。ヒューネルは次第に抜き差しを速めていき、ぐりっとあの一点を強く抉ってくる。
「ひぁあっ」
 目が眩むような快感に背中をびくびくと反り返らせたのに、何度も吐精したためかもう白濁が噴き出てくることはなかった。ただ喘ぎ、乱され、快感を追う以外に何も考えられなくなる。
「あっ、ぁああンっ」
 女のような嬌声を恥ずかしく思う余裕もなく、ヒューネルの腰に足を絡め、もっともっとと強請るように腰を揺らしながらヒューネルを見つめれば、口付けが降ってくる。
「エレン、エレン……、愛してる。君は俺のものだ」
「ヒュー、ネルっ、俺も愛してる……ひぁあっ」
 愛してる、と返した途端に中のヒューネル自身が固さを増し、最奥にぐぐっと先端を伸ばしてくるのを感じた。何のための変化なのか同性であるため分かってしまい、促すように締め付けると、身の内に熱いものが注ぎ込まれていく。
「ぁあっ」
「っく……」
 待ちわびたものに中を満たされ、これ以上ない幸福を感じながら、ヒューネルに抱き着く。するとヒューネルも俺をしっかり抱き返しながら、耳元に囁いてきた。
「君の中、すごく気持ちいい。ずっとここにいたい」
「っ、いて。ずっといて」
「分かった。じゃあ、このままもう少し」
 ヒューネルの優しい声を聞き、頷いた途端に急に眠気が襲いかかってきた。中にしっかりと屹立を咥えこんだままなんとか起きていようとしたが、頭を撫でられて促される。
「眠っていいよ。起きたら、また……」
 語尾は上手く聞き取れなかった。ヒューネルの心地いい温もりに包まれながら、深い眠りに沈んでいった。
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