3 / 7
2
しおりを挟む
そんな出来事を機に、尚昌と禁断の関係が始まった、というわけでもない。実際のところ、尚昌はあくまでも軽い冗談のつもりか、それとも母に似ている自分を身代わりにしているだけなのだろう。
そのため、一度口付けをされて以来、確かにやたらとべたべた体に触れられるようになったり、戯れのようなキスも何度もされたのだが、それ以上先に進むことはない。キスもあくまでも触れ合わせるだけで終わるうえに、体に触れるといっても友人同士のじゃれ合いのようなハグの延長上のようなものだ。
しかし、真面目な性格が災いして、大学生になっても女性経験がまるでなかった清和は、たったそれだけのふれあいでさえ過剰に意識してしまい、それを知っている尚昌にますますからかわれるという悪循環だ。
そのうえ、そんな現状になったせいか、夢の内容もエスカレートした。夢が現実に合わせて変化したというよりも、夢の内容の方が現実を軽く飛び越えて過激になっている。そして、むしろ最初に尚昌に口付けられる夢を見た後に現実でも起こったことを考えると、正夢になりはしないかと思っている。
その夢を初めは不快だったり悪夢のように思っていた清和だったが、次第に慣れてきたのか、それとも何らかの気持ちの変化が起こってしまったのか、楽しみにさえ思うようになった。
無論、尚昌にこのことは口が裂けても言えない。
実家に帰り、母が友人との電話に夢中になっている隙に尚昌に抱き寄せられ、いつもより長く口付けられた日の晩のことだった。
残暑が和らぎ、扇風機だけでも十分な室温になった部屋で、清和が浅い眠りを行き来していると、ふいにその夢が訪れた。
初めに見た夢と変わらず、まるで現実のようにリアルな感触のベッドに横たわっており、今か今かと心待ちしていると、ノックもせずに男が入ってくる。
確かめるまでもなくその男は尚昌だが、近づいてきた男の顔を引き寄せ、じっくり眺めて確認すると、自ら唇を寄せて貪った。現実ではここまで大胆なことはできないのだが、夢の中だと思えばどこまでもしたいようにできる。
口の中に潜り込んできた湿った分厚い舌の感触と、口付ける度にちくちくと刺さる髭を楽しんでいると、尚昌にそのまま伸し掛かってこられて服を全て脱がされた。生れたままの状態で尚昌に体のあちこちを愛撫され、素直に気持ちよさを感じて昇りつめていく。
自分の性器から液体が噴射されるのをはっきりと感じた途端、炭酸の泡のように夢は覚めていった。薄目を開けると、カーテンの隙間から朝陽が差し込んでいる。
下着が明らかに夢精のために湿っているのを感じる。布団から起き上がって下着を脱ごうとすると、まだ興奮が冷めやらないのか、明らかに主張している自身を目の当たりにして苦笑が漏れた。
血のつながった叔父とのこんな夢を見て興奮する自分は明らかにおかしいのだろう。そして、戯れや身代わりとは言っても大学生になった甥っ子にキスをする叔父というのもおかしい。
もしこれが世間一般で言う近親相姦であるとしたら、自分の想いは絶対に報われない。そこまで考えて、叔父の尚昌に対する情の意味を知ってしまい、いや、すでに自覚していたのだが、改めて痛感して、どうしたらいいのか分からなくなった。
近親相姦であることも確かに重要なことなのだが、そもそも尚昌の想い人というのは。
その先の答えは考えるまでもないので、思考を中断して洗濯機に汚れた下着と衣類を放り込んだ。スイッチを押して回り始める洗濯機を見ながら、洗濯のように全てなかったことにできたらいいのにと詮無いことをいつまでも考えた。
そのため、一度口付けをされて以来、確かにやたらとべたべた体に触れられるようになったり、戯れのようなキスも何度もされたのだが、それ以上先に進むことはない。キスもあくまでも触れ合わせるだけで終わるうえに、体に触れるといっても友人同士のじゃれ合いのようなハグの延長上のようなものだ。
しかし、真面目な性格が災いして、大学生になっても女性経験がまるでなかった清和は、たったそれだけのふれあいでさえ過剰に意識してしまい、それを知っている尚昌にますますからかわれるという悪循環だ。
そのうえ、そんな現状になったせいか、夢の内容もエスカレートした。夢が現実に合わせて変化したというよりも、夢の内容の方が現実を軽く飛び越えて過激になっている。そして、むしろ最初に尚昌に口付けられる夢を見た後に現実でも起こったことを考えると、正夢になりはしないかと思っている。
その夢を初めは不快だったり悪夢のように思っていた清和だったが、次第に慣れてきたのか、それとも何らかの気持ちの変化が起こってしまったのか、楽しみにさえ思うようになった。
無論、尚昌にこのことは口が裂けても言えない。
実家に帰り、母が友人との電話に夢中になっている隙に尚昌に抱き寄せられ、いつもより長く口付けられた日の晩のことだった。
残暑が和らぎ、扇風機だけでも十分な室温になった部屋で、清和が浅い眠りを行き来していると、ふいにその夢が訪れた。
初めに見た夢と変わらず、まるで現実のようにリアルな感触のベッドに横たわっており、今か今かと心待ちしていると、ノックもせずに男が入ってくる。
確かめるまでもなくその男は尚昌だが、近づいてきた男の顔を引き寄せ、じっくり眺めて確認すると、自ら唇を寄せて貪った。現実ではここまで大胆なことはできないのだが、夢の中だと思えばどこまでもしたいようにできる。
口の中に潜り込んできた湿った分厚い舌の感触と、口付ける度にちくちくと刺さる髭を楽しんでいると、尚昌にそのまま伸し掛かってこられて服を全て脱がされた。生れたままの状態で尚昌に体のあちこちを愛撫され、素直に気持ちよさを感じて昇りつめていく。
自分の性器から液体が噴射されるのをはっきりと感じた途端、炭酸の泡のように夢は覚めていった。薄目を開けると、カーテンの隙間から朝陽が差し込んでいる。
下着が明らかに夢精のために湿っているのを感じる。布団から起き上がって下着を脱ごうとすると、まだ興奮が冷めやらないのか、明らかに主張している自身を目の当たりにして苦笑が漏れた。
血のつながった叔父とのこんな夢を見て興奮する自分は明らかにおかしいのだろう。そして、戯れや身代わりとは言っても大学生になった甥っ子にキスをする叔父というのもおかしい。
もしこれが世間一般で言う近親相姦であるとしたら、自分の想いは絶対に報われない。そこまで考えて、叔父の尚昌に対する情の意味を知ってしまい、いや、すでに自覚していたのだが、改めて痛感して、どうしたらいいのか分からなくなった。
近親相姦であることも確かに重要なことなのだが、そもそも尚昌の想い人というのは。
その先の答えは考えるまでもないので、思考を中断して洗濯機に汚れた下着と衣類を放り込んだ。スイッチを押して回り始める洗濯機を見ながら、洗濯のように全てなかったことにできたらいいのにと詮無いことをいつまでも考えた。
0
あなたにおすすめの小説
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる